その冷たいまなざしで

ココ

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二部 優人side15

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最近 紗奈が変だ。


何か考え込んでは黙りこむ。

家でじっくり話をしようと 仕事終りの電話で

「うちに来るか?ゆっくり話できる。」

誘っても 首を横にふる。

「背中痛めて 病院に行くから。」

確かに最近辛そうで。
何かしてやりたいが 精々たまに整形外科に車で送り迎えぐらい。


園児に抱きつかれたり中腰になったり
幼稚園の先生にはよくあることらしい。
だいたいは腰にくるらしいが。

病院ならしょうがない と諦め
今日は早く帰れたので一度家に帰り 車に乗り込んでから病院に迎えに行く。

迷惑にならない所に停車してメッセージを送った。


 今着いた
 病院の裏で待ってる



シートベルトを外し フーッ っと息を吐いて背もたれに体重をかける。

何なんだろうな この気持ちは。

紗奈の事なら待ってる事だって幸せだ。

そのくせ 早く来ないか気がはやる。

要するに



愛しくてたまらない。


考えるだけで口元がゆるみ 心が暖かくなる。


40分位で紗奈が現れた。

こちらを見て嬉しそうに手をふる。

それだけで凄く幸せを感じ



俺は 堪えきれずに 満面の笑みになる。



紗奈の所だけに 


 俺の幸せがある 



と再確認した。




家に着くなり溜め息が漏れ
一緒に居れない欲求不満にイライラが募る。

紗奈の様子のおかしい事も問題だが こんな時帰る家が同じなら
イライラも減る。





 ー そろそろ動き出すか。
そう思い立ち 嬉しさが込み上げた。
 








「そろそろご挨拶に伺いたい。」



そう決めたのに 紗奈は絶句して

「もう少し待って。」

という。

「どうして?何が問題?」

不機嫌さを隠せず俺は問いただした。

紗奈はすがるような目で俺を見上げた後
視線を落とし黙ってしまい

そんな紗奈に俺は我慢できず 
紗奈を抱き締めながら責めるように言った。

「紗奈は俺と結婚したく無いのか?」

「そんなことない!」

そう言いながら 紗奈が俺を見上げた時
そのかわいい瞳を 見つめながら気付いてしまった。



そのかわいい唇が 俺に好きだと言った事がないと。

焦燥感に苛まれながら

沈黙が流れ

堪えられなくなり

俺は 席を立った。
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