さわらないで

ココ

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二人で

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ロビーには そんな巧さんに恐れをなして いつも温度の上がる女の子も

今日はピリピリして 見て見ぬふりで。

私も 多分怒らせたのは 自分だと思ったけど あまりの怖さに

何かあったのかと。

巧さんは 私の顔を見るなり 私の左腕をつかんで 引きずるように

非常階段へ引き入れた。

私を燃える様な眼差しで見下ろすと

「由里子 どういうことだ?」

と 怒りに震える声で言った。


その顔を見て

私は やり方を間違ったのか と思ったけど

怖くても 負けたら駄目だと思って奮い起たせた。

怖くて体が震えた。

目が熱くなってきたけど 泣くな って 自分に言い聞かせた。

喉の奥が狭くなって 声が出ない。

すると

「そんな顔 させたいんじゃない。俺から由里子を取り上げるな。
 
 何かあった?俺 何かしたか?」

今度は切ない声で

おもいっきり強く 抱き締めた。

何だか もうどうでも良くなって。

この前は 抱き締められると ふにゃふにゃだったのに

今日は 凄く安心して。

例えば 子鳥が親鳥の巣に戻ったような

戻るべき所のような。

泣きたくなるなるぐらいの 安心感だった。

巧さんも 怒りではない理由で震えている様な気がした。

「今日 定時で上がるから。話がしたい。
 
 携帯の電源絶対に切るな。逃げるな 俺から。」

そう言うと 巧さんは そうっと腕を解き

いとおしいそうに私の両頬を包み

切ない目をして私をみつめた。
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