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結side その後1
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最近何だか凰雅さんがおかしい。
何がって...
私の側にあまり来ない。
言いたくないけど 興味がないようにみえる。
少し離れてじっと見られてる。
まるで夢から覚めたように。
何で俺はこんな女に惚れてたんだ
と思っているような... 冷静に見ようとしている感じがする。
こんな事初めてで
....理由は思い当たる。
大学卒業してからずっと思っていることがある。
それは社会人になったのに仕事で一人前にならずに家庭に入ったこと。
こうなるのが怖かったのに
こうなりたくなかったのに。
それは勿論一番欲しかった家族とは引きかえになるような話じゃなかったけど ずっと引っ掛かってはいた。
昔から一番望んでいたのは家族が増える事で子供だって凄く嬉しかった。
今の 凰雅さんと子供の生活には満足しているし感謝もしている。
でも一人前になる前に家庭に入ったらきっと劣等感を持つって分かってた。
凰雅さんは
あれだけ若い頃から仕事してきた人だもん。
だからこそ社会人として通用しないそんな女が魅力に欠けるってことに気がついたんだろう。
当然の事だと思う。
何だか不甲斐なくて 我慢していた涙がこぼれた。
母親にもなって何してるんだろう。
結婚式の後 これから先の方が長いからきっと色んな事があるって思ったじゃない。
それでも 凰雅さんなら大丈夫って。
そうよ 今きっと倦怠期で頑張って乗り越えてこそ 夫婦の愛は深まるんだ。
「頑張ってみせる」
私は弱りそうな心に叱咤激励し態と声に出して決意を固めた。
『でも今は子供中心の生活を崩したくないの。子供達が学校に行くようになったら何か仕事をしようと思ってる。
その前にプレスクールに行くようになったらその時間でスキルアップして。少しでもいい、自立できる女性になるの』
『具体的に何がしたいの?』
『できれば英語をいかしたい。私ぐらいならできる人なんて山ほどいるけど、凌駕と恵真のナニーがイギリス人とフランス人でね、私や子供とも其々の母国語で会話しているの。家政婦さんが中国人だから少しは出来るし ちゃんと習おうと思ってる。その上で華道を外国人に教えるってどう?』
『案としてもいいしユイに合いそうだ。始めは無理せず少しずつやってみてそれから本格的にしたらいいんじゃないかな。日本にいる間に体験でもやってみたい人は結構いると思う。僕も日本にいる間訊いてみるよ』
今話しているのはビリー。
ビジネスで来日している彼は 凰雅さんと仕事の話を終えたばかりで凰雅さんが電話で席を外した隙に急いで相談した。
ビリーにはアメリカ人として意見を訊きたかったし 凰雅さんには少し自信をつけてから言おうと思っていた。
凰雅さんが戻った頃には私はニマニマとにやけていたようで、凰雅さんに不可解なものを見る目で見られ思い切り不機嫌な顔をされた。
『何の話してたんだ?』
『さ、里美の話』
ドスンと音が鳴るぐらいソファーに勢いをつけて私の真横に座り直し脚を組んで私を威嚇するように背凭れに腕をあずけ顔を覗き込む。
絶対に納得していない雰囲気を漂わせてじろりと睨まれた。
何がって...
私の側にあまり来ない。
言いたくないけど 興味がないようにみえる。
少し離れてじっと見られてる。
まるで夢から覚めたように。
何で俺はこんな女に惚れてたんだ
と思っているような... 冷静に見ようとしている感じがする。
こんな事初めてで
....理由は思い当たる。
大学卒業してからずっと思っていることがある。
それは社会人になったのに仕事で一人前にならずに家庭に入ったこと。
こうなるのが怖かったのに
こうなりたくなかったのに。
それは勿論一番欲しかった家族とは引きかえになるような話じゃなかったけど ずっと引っ掛かってはいた。
昔から一番望んでいたのは家族が増える事で子供だって凄く嬉しかった。
今の 凰雅さんと子供の生活には満足しているし感謝もしている。
でも一人前になる前に家庭に入ったらきっと劣等感を持つって分かってた。
凰雅さんは
あれだけ若い頃から仕事してきた人だもん。
だからこそ社会人として通用しないそんな女が魅力に欠けるってことに気がついたんだろう。
当然の事だと思う。
何だか不甲斐なくて 我慢していた涙がこぼれた。
母親にもなって何してるんだろう。
結婚式の後 これから先の方が長いからきっと色んな事があるって思ったじゃない。
それでも 凰雅さんなら大丈夫って。
そうよ 今きっと倦怠期で頑張って乗り越えてこそ 夫婦の愛は深まるんだ。
「頑張ってみせる」
私は弱りそうな心に叱咤激励し態と声に出して決意を固めた。
『でも今は子供中心の生活を崩したくないの。子供達が学校に行くようになったら何か仕事をしようと思ってる。
その前にプレスクールに行くようになったらその時間でスキルアップして。少しでもいい、自立できる女性になるの』
『具体的に何がしたいの?』
『できれば英語をいかしたい。私ぐらいならできる人なんて山ほどいるけど、凌駕と恵真のナニーがイギリス人とフランス人でね、私や子供とも其々の母国語で会話しているの。家政婦さんが中国人だから少しは出来るし ちゃんと習おうと思ってる。その上で華道を外国人に教えるってどう?』
『案としてもいいしユイに合いそうだ。始めは無理せず少しずつやってみてそれから本格的にしたらいいんじゃないかな。日本にいる間に体験でもやってみたい人は結構いると思う。僕も日本にいる間訊いてみるよ』
今話しているのはビリー。
ビジネスで来日している彼は 凰雅さんと仕事の話を終えたばかりで凰雅さんが電話で席を外した隙に急いで相談した。
ビリーにはアメリカ人として意見を訊きたかったし 凰雅さんには少し自信をつけてから言おうと思っていた。
凰雅さんが戻った頃には私はニマニマとにやけていたようで、凰雅さんに不可解なものを見る目で見られ思い切り不機嫌な顔をされた。
『何の話してたんだ?』
『さ、里美の話』
ドスンと音が鳴るぐらいソファーに勢いをつけて私の真横に座り直し脚を組んで私を威嚇するように背凭れに腕をあずけ顔を覗き込む。
絶対に納得していない雰囲気を漂わせてじろりと睨まれた。
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