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第二章 凰雅side14
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当日どうしても抜けれない仕事を無理矢理何がなんでもと抜け出す。
逸る気持ちを押さえられず運転手付きの車から降りて足早に店まで急いだ。
店の一角が見え 結が外から見える所に座ってないだろうか と忙しく視線を巡らせ確認する。
...いた。
結 だ。 本物の結。
どうしてあんなに綺麗になってる?
...里美にきいていたあのビリーのせいか?
いや まさか。
この三年間一度も会いに行かなかった事が悔やまれる。
熟慮しての判断だったのに 一気に考えを覆す勢いだった。
フリーズしそうな頭で結の後ろに立つ。
そのやわらかそうな髪 三年前さわるとしっとりさらさらしていた。
その記憶が今目の前の髪にリンクされピタリと合わさる。
振り向いた結は少し大人びていた。
近くで見る結は少女から爽やかな色気をまとって綺麗になって。
その全てが艶やかで清潔でいつだって俺を惹き付ける。
この腕に掻き抱き唇を這わせて胸一杯に結の匂いを吸い込みたい。
驚いた顔で固まっている結を見ていると思わず口元が綻んでいた。
言葉もないまま結の右斜めの椅子に腰かけて。
「ごめん 結の事 たまに聞かれてて 今日会うって言ったら 行くわ って。二人で会うから駄目だって言ったんだけど。
結が嫌なら帰ってもらう?」
里美が物騒な事を言い出す。
結は我に返ったようで 普段通りにすることにしたようだった。
イタリアンカフェのスタッフが注文をとりにきたのでメニューを指差しアイスコーヒーをたのむ。その間も俺は結を見つめる。
ふと 結の手元にあるピザやサラダ 水が目に入り。
中学生か もしくは変態か。
結の飲む水すら俺のものだと手を伸ばして一気に飲む。
自分の水もアイスコーヒーもまだ残っていたのに。
こんな事さえ近くにいないと出来ないことで 俺は嬉しくてしょうがない。
結 今俺はお前にとって何なんだ?
....俺にとっては 全てなんだよ。
思っている事を伝えるにはまだ早い。
口を開くと結への愛が溢れ落ちそうになるから今日のところは何も言わずにそっとしておこう。
ひたすら結を眺める時間。
至福ではあるけれど時間がたつにつれ俺を見ない結に不満が募る。
結がトイレに立った途端 里美が不満顔で言った。
「凰雅さん!勝手に来ておいて私に妬きもち妬かないで下さい!迷惑です!」
こいつは 昔から遠慮がない。
その分用件だけでも付き合いやすい。
「しょうがねえだろう 一度もこっちを向かねえんだから」
哀れだったんだろうか。
俺の気持ちが読めたんだろうか。
里美は一つ溜め息をついた。
「..化粧室の近くに待つスペース有りますけど。タイミングが良かったら二人になれますよ」
逸る気持ちを押さえられず運転手付きの車から降りて足早に店まで急いだ。
店の一角が見え 結が外から見える所に座ってないだろうか と忙しく視線を巡らせ確認する。
...いた。
結 だ。 本物の結。
どうしてあんなに綺麗になってる?
...里美にきいていたあのビリーのせいか?
いや まさか。
この三年間一度も会いに行かなかった事が悔やまれる。
熟慮しての判断だったのに 一気に考えを覆す勢いだった。
フリーズしそうな頭で結の後ろに立つ。
そのやわらかそうな髪 三年前さわるとしっとりさらさらしていた。
その記憶が今目の前の髪にリンクされピタリと合わさる。
振り向いた結は少し大人びていた。
近くで見る結は少女から爽やかな色気をまとって綺麗になって。
その全てが艶やかで清潔でいつだって俺を惹き付ける。
この腕に掻き抱き唇を這わせて胸一杯に結の匂いを吸い込みたい。
驚いた顔で固まっている結を見ていると思わず口元が綻んでいた。
言葉もないまま結の右斜めの椅子に腰かけて。
「ごめん 結の事 たまに聞かれてて 今日会うって言ったら 行くわ って。二人で会うから駄目だって言ったんだけど。
結が嫌なら帰ってもらう?」
里美が物騒な事を言い出す。
結は我に返ったようで 普段通りにすることにしたようだった。
イタリアンカフェのスタッフが注文をとりにきたのでメニューを指差しアイスコーヒーをたのむ。その間も俺は結を見つめる。
ふと 結の手元にあるピザやサラダ 水が目に入り。
中学生か もしくは変態か。
結の飲む水すら俺のものだと手を伸ばして一気に飲む。
自分の水もアイスコーヒーもまだ残っていたのに。
こんな事さえ近くにいないと出来ないことで 俺は嬉しくてしょうがない。
結 今俺はお前にとって何なんだ?
....俺にとっては 全てなんだよ。
思っている事を伝えるにはまだ早い。
口を開くと結への愛が溢れ落ちそうになるから今日のところは何も言わずにそっとしておこう。
ひたすら結を眺める時間。
至福ではあるけれど時間がたつにつれ俺を見ない結に不満が募る。
結がトイレに立った途端 里美が不満顔で言った。
「凰雅さん!勝手に来ておいて私に妬きもち妬かないで下さい!迷惑です!」
こいつは 昔から遠慮がない。
その分用件だけでも付き合いやすい。
「しょうがねえだろう 一度もこっちを向かねえんだから」
哀れだったんだろうか。
俺の気持ちが読めたんだろうか。
里美は一つ溜め息をついた。
「..化粧室の近くに待つスペース有りますけど。タイミングが良かったら二人になれますよ」
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