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大学生 近づく心 Ⅰー6

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帰りの車では二人の間に会話はなく 凰雅さんは車の窓枠に肘をついて外に顔を向け ちらりともこちらを見ない。

それが凄く寂しくて。

でも帰って話をきちんとするまで我慢しようと思った。

ビルに着いても
凰雅さんはエレベーターの中でも私を見ようともしない。

私は我慢出来ずに そっとため息をついた。



家に戻りオートロックのドアがとじた時 凰雅さんはやっと私を見て。

「何が理由なんだ。どんな条件が揃えば籍を入れる?」

私を見る目は冷たくて。苛立ちを隠さず 本題をズバリと言い出した。

今までの凰雅さんとは違う反応に戸惑う。

確かに最近の私の歩み寄りを見たら 解せない言葉なんだろう。 

「...私ね 最近凰雅さんを見ていて思うんだけど 私も一度は就職して自分の収入で生活してみたいの」

目を見開いた凰雅さんは 

「何で?」

「漠然と夫の収入で生活する方法しか考えてなかったんだけど 最終的にそうなっても一度は大した生活しか出来なくても自分の力でやりたい。じゃないと凰雅さんが凄いって思うだけで凄い の根拠がないと言うか...。自分が最低限の事は出来る自信が欲しいから」

「そんな必要はねえと思うけど 百歩譲ってそうとして。何で今結婚出来ねえんだ?」

「凰雅さんと関係ない所で頑張ってみたいの。それに結婚して主婦なのに役割を何にも果たせないなんて嫌だから」

「俺はお前の足枷か?家の事は出来なくてもいいって言ったよな。...お前は自信自信って言うけどそんなに必要な事か?これからもずっと新しい自信が必要になるんじゃねえか?」

「そんな事ない。分かって」

「わからねえよ!」

凰雅さんの大きな声を聞いて思わず体が強ばる。

それを見た凰雅さんははっと傷ついた顔をした。

「ちょっと頭冷やしてくる」

そう言うと 足早に家を出ていった。
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