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番外編16 甘やかされ放題デー

三 マイナスの距離(※)

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「多紀くん」

 と、和臣さんは俺を呼びながら、見つめながら何かを待っている。
 あ、そうだ。
 昨日、甘やかされ放題デーで何するのか確認したら、エッチになったらとにかく淫乱になって卑猥なことを言うように、という指示があったんだった。
 あといつ犯されてもいいように準備しといてとか。
 甘くてエロい言葉を言えとか。
 好きと愛してるは質もいいけど量も欲しいから何回言ってもOKとか。
 要望多いっちゅーねん。

「和臣さん、犯されたい。早く入れて……なか抉って、そのでかいの奥まで」
「多紀くん」

 和臣さんは俺の言葉を遮るように、至極満足そうにのしかかってくる。

「和臣さん……! あ……っ、好き、あ、愛してる、大好き、和臣さん、好き」
「多紀くん、ちゃんと覚えてたね」

 くすくす笑いながら、和臣さんは俺を覗き込んで、唇で、愛おしそうに前髪を分けてくる。

「和臣さんが言ったんでしょ……」

 俺は、熱くなりながら言い訳。
 急に冷静にならないでほしいよ。
 語彙力ないし、恥ずかしいけど、頑張って伝えようとしているんだからさ。

「多紀くん、俺も、愛してる」

 そんな真っ直ぐ見つめられて、言われたらさぁ。
 たまらなくなっちゃうじゃん。
 ぎゅっと抱き返している俺を、和臣さんはゆさゆさしてくる。耳元で吐息まじりに囁いている。

「ふふ。いい子いい子。はー、とろとろ。ほんとすぐ入っちゃった……好き……」
「お、奥、まだ、奥だめ」
「だめそう?」
「イきそう、イ、イく」
「刺されてすぐイくって言って痙攣するの? 絶景だね。あ、そうだ。今日は一日、半径三十センチ以内にいて、離れないでね」
「つ、繋がってるから」
「この距離いいよね。マイナス二十センチ。多紀くん、勝手に自分の扱いちゃだめ。俺のちんぽだけでイきなさい。ね」
「あっ、ああっ……!」
「お返事は?」
「は、はい、っ……!」
「いい子」

 珍しい命令口調に、腰が砕けそうになった。
 和臣さんの低くてかすれた穏やかな声と、有無を言わさぬ命令のギャップに、抗えないどころか、瞬時に屈服してしまう。
 普段、あんまり年上っぽく振る舞わないせい。
 あと俺、たぶん命令に弱い。
 和臣さんが下になって、俺は跨って、奥まで貫かれる。
 和臣さんの胸に両手を置いて、腰をそらして、繋がってる箇所をこすりつけていると、中が甘く痺れて膝が震え、和臣さんのおなかの上に潮吹き。

「あー、や……」
「びしょびしょ。多紀くん」
「和臣さん、壊れちゃう」
「お尻がいいの?」
「いい……」
「よく見せて。見たい」
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