エリート先輩はうかつな後輩に執着する

番外編１５ リクエストなどなど２

縛りたい①

　起きたら、身動きが取れなくなっていた。
　え！？
　なんだっけ、昨日すごく酔っ払ったな。会社の飲み会があって、いい気分で帰ってきた。
　んで、和臣さんが笑顔で「おかえりっ、楽しかった？　多紀くん。俺、いい子で待ってたよっ」って出迎えて、ぎゅーぎゅーしてきて、俺の帰宅が心底嬉しそうで俺も嬉しくてご機嫌で、酔いに任せてむにゃむにゃ甘えるうちに性欲が爆発してしまって、でも眠くなってきて、うつろな頭でお互いに甘えたり甘えられたりしながらエッチしたけど、最後のほうは覚えてないや。寝落ちしちゃったのかも。
　あれからまだそんなに時間経ってないのかな。いや、カーテン見たら隙間から漏れる光の気配が完全に朝だわ。
　時計を見ると午前七時。

「多紀くん、ん……多紀くん……好き……」

　和臣さんが横向きに眠る俺の背後から体をまさぐってくる。
　なんか締め付けられていて、なんだろう。
　体に紐状のものが巻き付いている。
　胸元を見下げると、俺はお歳暮のハムみたいに縛られている。
　んん？

「これはいったい……？」
「起きた？　ごめん、ちょっと縛ってみたんだ」

　そんなさらっと説明をされても、内容的に、はいそうですかと看過できないんですけど……。
　たしかに、後ろ手に縛られてる。
　なにかの間違いかと思って何度か見直しても変わらない。

「多紀くんが悪いよ。昨日、可愛すぎなんだよ」
「可愛いかはさておき、可愛いものを縛るというのはいったい……？」

　可愛いものって愛でたり、撫で撫でしたり、守りたくなったりじゃない？　俺は和臣さんに対してそんな感じなんだけどな。
　可愛い！　縛りたい！　って衝動を覚えた経験は一度たりともないや。

「だって、昨日の乱れっぷりがすごくて……。あんなに欲しがってさ。覚えてる？　お酒飲んだだけであんなにまでなっちゃうものなの？」
「え、いや……？」

　というよりは、帰宅したら和臣さんが出迎えてくれて、笑顔でぎゅーっとしてきて、可愛い可愛いといってはむはむしてきて、耳元でいろいろ囁かれて……。
　それから、マッサージしてくれたり、着替えさせてくれて、身の回りのお世話をしてくれて、腕の中にいたら心地よくて、ちゅーしたらもっと気持ちいいじゃん。
　ちゅーちゅーするうちにむらむらしてきて、たしかに俺のほうが積極的に求めていったかな。
　俺を寝かしつけようとする和臣さんに口づけながら下半身を触って、勃ってきたの確認して焦らしながら咥えて……。
　そうしたら和臣さんは我慢できないから、押し潰されながら挿入されて……。
　好き好き言いながらイっちゃって。
　んー、俺のせいかも？
　でもそれがなぜ縛るという方向に？