エリート先輩はうかつな後輩に執着する

みつきみつか

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最終章 あるふたりきりの夜

四 我慢できない(※)

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「多紀くん。今夜、ホテルに泊まらない?」
「えっ、ホテルですか?」
「うん」

 といって連れて行かれたのは都内の高級ホテルだった。こっそり予約していたらしい。聞いてないよ。
 案内されたのはスイート。めっちゃ広くてきれいな部屋。夜景きれい。
 お値段いくらするんだろ……。つい考えてしまう。
 スーツの上着を脱ぎながら、和臣さんが振り返る。

「多紀くんも脱いで、掛けて」
「こんなの用意してるなんて」
「本当は部屋でプロポーズするつもりだったんだけど、プレゼントが嬉しくて、我慢できなくなっちゃった。えへへ」

 幸せそうな笑みが可愛くて、俺の方から口づける。和臣さんはうっとりしながら抱きしめてくる。手を繋いで、指を絡ませる。

「多紀くん……」
「ん……」

 丁寧にするのかな、と思ってたのに、キスし始めたら性急で、担ぎ上げられてベッドに押し倒されて、ネクタイを緩めながらにじり寄ってくる。

「冷蔵庫に、お誕生日のケーキがあるんだけど」
「あ、そうなんですね」
「先に抱きたいな……」
「あ、はい……」

 スラックスの隙間からお互いの性器を取り出してくっつけて、夢中になって扱く。
 男前な上に、こんな凶器みたいなの反則。
 俺のスーツは上下一万の安物だけど、和臣さんのスーツは高そうなので、スラックス、ちゃんと掛けてほしいな……。無理か……。
 お互いに、相手に夢中。
 キスしながらお互いの裏筋をくっつけて両手で包みこんで扱き合うの、気持ちいい。
 皮膚の薄い部分がぬめって、張ってるカリの段差でひっかけ合って、俺の手を覆う和臣さんの大きな手のひらは力強くて、指先が時々先っぽをなぞってきて、俺も和臣さんの鈴口をなぞり返して、どちらもぱんぱんに膨れ上がって、喘ぎ声も吐息もより速くより熱くなってきて、もう出そう……。

「ぬ、ぎましょ、和臣さ、ん」
「うん、多紀くん。あ、だめ、出そう……」
「早いですって」
「今日一日緊張して……、緩んだせい」

 プロポーズする予定だったんだもんね。いつ計画しはじめたのかすらわからないけど。
 俺は誕生日を祝うだけのつもりで、何も考えていなくて申し訳ない。
 鉄板焼きのお店も個室で豪華で美味しくて、ラウンジもおしゃれで、ホテルのスイートはきれいで広い。
 なにもかも用意周到。ちっとも気づかなかったなぁ。準備してるの。
 扱き合いながら、舌を絡ませつつ喋る。

「どうして緊張するんです? っ、お、俺がオッケーするの、わかってたでしょ?」
「期待はしてた。……はぁ、でも、わからないよ。いつも不安だよ? 多紀くんが俺のことを好きなのか……」
「わかりづらいんでしょうか、俺」
「うん。俺は、わかりやすすぎると思うけど、多紀くんは、本音がわかりづらいほうだと思う」
「好きじゃなきゃ、こ、こんなことしませんし、気持ちいいし……」
「なんでふたりでするとこんなに気持ちいいんだろうね。多紀くんに触られるの、本当に好き……」
「俺も、和臣さんしか知らないけど、知らなくていいです。気持ちいい……」
「ね……」
「欲しくなる……和臣さん、欲しいです、我慢できないです、もう、ください……好きじゃなきゃ、こんな俺、見せられないし、こんな恥ずかしいこと、言えませんよ」

 俺は和臣さんを見つめて言った。

「多紀くん」
「責任、とってください。二十何年も男になんて興味なくて、本当にただの、どこにでもいる平凡な恋愛初心者野郎が、こんなハードな恋をするなんて」
「多紀くん……」
「目が離せないんだから、仕方ないでしょ。一生、和臣さんがいいんだ」

 和臣さんは、我慢できなさそうにこらえる顔をしつつ、体を離してシャツを脱ぎはじめる。だが太ももまで下ろそうとしたところで、

「あ、やばい、出る、出る……!」

 と肩に縋りついてきた。
 俺は慌てて咥えて、口の中に放たれたそれを飲み込む。スーツにかかるところだった。

「ん……」
「はぁ、はぁ……あー」
「はは。我慢できなかったですね」
「刺激が……多紀くんがそんな可愛いせい」

 と、キスしてきた。

「一回出しておくぐらいがちょうどいいかも」

 って、何回するつもりだよ。絶倫。
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