217 / 366
5 ある何の変哲もない日常(和臣視点)
四 ポークチャップ
しおりを挟む
「んん……」
何時だろう。
時計を確認しようと体を捩じるものの、仰向けで眠る多紀くんの横顔が眼の前にあって、吸い寄せられるみたいに頬に唇を寄せる。
多紀くんのほっぺた。
多紀くん、全然起きない。疲れすぎたかな。
何回イかせたのやら。
風呂場で二回して、それでもおさまらない多紀くんに煽られて、もつれるようにベッドに移動して、真夜中まで激しくエッチしてた。
多紀くんが欲しがるから両足を肩に乗せて上から潰すように種付け、バックでも獣じみた交尾。満足。
ふたりともふらふらになりながらシャワーを浴びて軽食をとって、少し休んで、明け方まで、雑談したりイチャイチャしたり、またつながったり。
無我夢中でエッチしたの久しぶり。多紀くんの耳元で愛してると言い続けたら、愛情表現に乏しい多紀くんも朦朧としながら愛してるって返してくれた。継続は力なり。
……洗脳かな?
ふたたびシャワーを浴びて寝始めたときには外が少し明るくなっていた気がする。
時計を見ると、午前十時。
お昼ごはん、外に行こうかな。なにを食べよう。多紀くん、何を食べたいかな。
雨はあがっているみたい。雨あがりの秋の街を手を繋いで歩きたいな。
多紀くんが呻いた。
「ん、おはよございます……」
「おはよう、多紀くん」
「早いですねぇ……」
「十時。でもお昼までだらだらしたいねー」
「大賛成……」
多紀くんは、横向きの俺の胸にもぐりこんでくる。肩を覆うように腕で抱くと、俺の胸に頬ずりして満足そうに息を吐いている。
多紀くんの額に口づけて生え際をくんくん。
「和臣さん、あったかい」
「多紀くんも」
「ん……」
「多紀くんも、あったかいよ」
「あ、昨日、大雨だったのに帰ってきてくれて、ありがとうございます」
「うん。多紀くんに会いたかったから」
「ふふ」
「会いたかった。多紀くん、多紀くん」
苦しくないようにやんわり抱いていると、多紀くんは何かを言おうとして、躊躇って、しばらくして呟いた。
「好き……」
恥ずかしそうな小声。
俺は幸せすぎて溶けそう。溶けてもいいや。
「多紀くん、大好き」
「うん……」
「なにか食べに行く?」
「あとで……」
「食べたいものは? なんでもいいよ」
「和臣さんの味噌汁……」
俺の手料理。胃袋を掴んだね。お料理を習っていて本当によかった。瑞穂さんに感謝。スパルタだったけど。
「具は何がいい?」
「豆腐、人参、玉ねぎ、こんにゃく……」
「全部入りにしよう。多紀くんの好きなものを全部」
「ごぼうと、芋も」
「お芋は、里芋、じゃがいも、長芋、さつまいも、何が好き?」
「好きなのは長芋……」
「味噌汁に入れる? 焼いてもいいし、おろしてもいいし、短冊切りもいいね」
「わさび醤油……。ごはんと、ほうれん草の巣ごもり卵……」
「食材あるね。メインは、冷凍庫の豚ロースをポークチャップにしようかな。玉ねぎとマッシュルームと、トマトケチャップとウスターソースとバターでソテー。あ、白出汁を入れて、和風にしようか」
多紀くんは、上掛けの中で俺の腰に腕を回してきた。
「好き……!」
これはポークチャップのことだね。憎らしい。肉だけに。
何時だろう。
時計を確認しようと体を捩じるものの、仰向けで眠る多紀くんの横顔が眼の前にあって、吸い寄せられるみたいに頬に唇を寄せる。
多紀くんのほっぺた。
多紀くん、全然起きない。疲れすぎたかな。
何回イかせたのやら。
風呂場で二回して、それでもおさまらない多紀くんに煽られて、もつれるようにベッドに移動して、真夜中まで激しくエッチしてた。
多紀くんが欲しがるから両足を肩に乗せて上から潰すように種付け、バックでも獣じみた交尾。満足。
ふたりともふらふらになりながらシャワーを浴びて軽食をとって、少し休んで、明け方まで、雑談したりイチャイチャしたり、またつながったり。
無我夢中でエッチしたの久しぶり。多紀くんの耳元で愛してると言い続けたら、愛情表現に乏しい多紀くんも朦朧としながら愛してるって返してくれた。継続は力なり。
……洗脳かな?
ふたたびシャワーを浴びて寝始めたときには外が少し明るくなっていた気がする。
時計を見ると、午前十時。
お昼ごはん、外に行こうかな。なにを食べよう。多紀くん、何を食べたいかな。
雨はあがっているみたい。雨あがりの秋の街を手を繋いで歩きたいな。
多紀くんが呻いた。
「ん、おはよございます……」
「おはよう、多紀くん」
「早いですねぇ……」
「十時。でもお昼までだらだらしたいねー」
「大賛成……」
多紀くんは、横向きの俺の胸にもぐりこんでくる。肩を覆うように腕で抱くと、俺の胸に頬ずりして満足そうに息を吐いている。
多紀くんの額に口づけて生え際をくんくん。
「和臣さん、あったかい」
「多紀くんも」
「ん……」
「多紀くんも、あったかいよ」
「あ、昨日、大雨だったのに帰ってきてくれて、ありがとうございます」
「うん。多紀くんに会いたかったから」
「ふふ」
「会いたかった。多紀くん、多紀くん」
苦しくないようにやんわり抱いていると、多紀くんは何かを言おうとして、躊躇って、しばらくして呟いた。
「好き……」
恥ずかしそうな小声。
俺は幸せすぎて溶けそう。溶けてもいいや。
「多紀くん、大好き」
「うん……」
「なにか食べに行く?」
「あとで……」
「食べたいものは? なんでもいいよ」
「和臣さんの味噌汁……」
俺の手料理。胃袋を掴んだね。お料理を習っていて本当によかった。瑞穂さんに感謝。スパルタだったけど。
「具は何がいい?」
「豆腐、人参、玉ねぎ、こんにゃく……」
「全部入りにしよう。多紀くんの好きなものを全部」
「ごぼうと、芋も」
「お芋は、里芋、じゃがいも、長芋、さつまいも、何が好き?」
「好きなのは長芋……」
「味噌汁に入れる? 焼いてもいいし、おろしてもいいし、短冊切りもいいね」
「わさび醤油……。ごはんと、ほうれん草の巣ごもり卵……」
「食材あるね。メインは、冷凍庫の豚ロースをポークチャップにしようかな。玉ねぎとマッシュルームと、トマトケチャップとウスターソースとバターでソテー。あ、白出汁を入れて、和風にしようか」
多紀くんは、上掛けの中で俺の腰に腕を回してきた。
「好き……!」
これはポークチャップのことだね。憎らしい。肉だけに。
80
お気に入りに追加
2,041
あなたにおすすめの小説
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)


久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。


イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる