上 下
210 / 366
番外編9 おまけ4(▲リバ注意▲)

※閲覧注意※ 三 可愛い(※)

しおりを挟む
 すべて挿入して、しばらく黙ったまま待って、俺は恐る恐る訊ねた。

「和臣さん、動いていいですか?」

 和臣さんは俺の体の下で呻いている。

「や、まだ、多紀くん、つらいよ」
「まだ?」
「なでなでして」
「よしよし、なでなで」

 はあ、とため息を吐いて、お互いにつながっているそこに集中する。

「ゆっくり、動くんで」
「あっ、あ……多紀くん、多紀くん……!」
「う、きつ……」
「や……」
「いや? 痛いですか?」
「いやじゃない……多紀くん、好き……」
「狭くて気持ちいい……」
「っ……腰の動きが大きくて拙い……とりあえずゆっくり動いて。もっと、もっともっとゆっくりにして!」

 注文が多い……。
 今度俺が注文したら耳を傾けてくれるのかな。

「はいはい。ん……あ、気持ちいい……包み込まれてる感じとか、ひとの体に入れてる感覚すご……」
「実況しないで!」
「和臣さん、実況するじゃないですか」
「する……でもしないで」

 ちょー身勝手。
 俺は黙って小刻みに、ゆっくりと動かしてみる。狭くてきつい。あたたかい。
 入れる側って、痛くも苦しくもなくてただ気持ちよくて、征服欲をかきたてられるし、相手が俺の体で喘いでると思うと、いいことずくめだな。入れられるときより快感は弱いものの、それ以外のメリットが大きい。

「あー、きもちいー、和臣さん、手を繋ぎましょ」
「ん……」

 片手をつないで、俺はもう片方の手で、和臣さんの萎えたペニスを握る。ローションを垂らしてみて、上下するものの、固くならない。これは無理そうだ。
 なかにも性感帯があるはずだけど、和臣さんも俺も、まだそれどころじゃない。

「なかでいけるんでしょうか?」
「俺は、絶対無理……多紀くん、出せる?」
「出すのは、少し強くすればたぶん」
「ゆっくりね、ゆっくりして、優しくして」

 いけそうかな。
 様子を見ながら、揺さぶってみる。
 苦しそうに眉をひそめながら、下唇を噛んで耐えている。ぎゅっと瞑った目から涙が流れて、こめかみのほうへと垂れていく。

「大丈夫ですか?」
「んっ、う、あ、だ、大丈夫」
「っ……あー、気持ちいい、なかすごい……可愛い、和臣さん」
「……っ、ん、ん、っ、んん」
「可愛い、可愛いです。和臣さん」
「多紀くん、好き、お願い、ゆっくり」
「あ、出そう……あ、っ」
「っ!」

 ゆっくりっていうの、最後は無理だった。何度か早めに抽送して、いきおい引き抜いて、射精。和臣さんの重たい足を抱きつつ、出した。
 はあ、気持ちよかった……。
 汗がぽたぽた落ちていく。
 息を整えながら、縮こまって涙目になっている和臣さんに口づけた。

「すみません、我慢できなくて」
「がんばったから褒めて……! よしよしして!」
「よしよし、がんばりましたね」

 呻きながら縋りついてくるので、抱きしめると、腕の中でぐずぐず泣いてる。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話

ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。 βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。 そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。 イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。 3部構成のうち、1部まで公開予定です。 イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。 最新はTwitterに掲載しています。

執着男に勤務先を特定された上に、なんなら後輩として入社して来られちゃった

パイ生地製作委員会
BL
【登場人物】 陰原 月夜(カゲハラ ツキヤ):受け 社会人として気丈に頑張っているが、恋愛面に関しては後ろ暗い過去を持つ。晴陽とは過去に高校で出会い、恋に落ちて付き合っていた。しかし、晴陽からの度重なる縛り付けが苦しくなり、大学入学を機に逃げ、遠距離を理由に自然消滅で晴陽と別れた。 太陽 晴陽(タイヨウ ハルヒ):攻め 明るく元気な性格で、周囲からの人気が高い。しかしその実、月夜との関係を大切にするあまり、執着してしまう面もある。大学卒業後、月夜と同じ会社に入社した。 【あらすじ】  晴陽と月夜は、高校時代に出会い、互いに深い愛情を育んだ。しかし、海が大学進学のため遠くに引っ越すことになり、二人の間には別れが訪れた。遠距離恋愛は困難を伴い、やがて二人は別れることを決断した。  それから数年後、月夜は大学を卒業し、有名企業に就職した。ある日、偶然の再会があった。晴陽が新入社員として月夜の勤務先を訪れ、再び二人の心は交わる。時間が経ち、お互いが成長し変わったことを認識しながらも、彼らの愛は再燃する。しかし、遠距離恋愛の過去の痛みが未だに彼らの心に影を落としていた。 更新報告用のX(Twitter)をフォローすると作品更新に早く気づけて便利です X(旧Twitter): https://twitter.com/piedough_bl 制作秘話ブログ: https://piedough.fanbox.cc/ メッセージもらえると泣いて喜びます:https://marshmallow-qa.com/8wk9xo87onpix02?t=dlOeZc&utm_medium=url_text&utm_source=promotion

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...