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番外編7 カンヅメ小旅行
一
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「わー、きれーな景色ですねぇ!」
広い部屋。海を一望できる一面の窓。なんの障害物もない水色の空と紺碧の海。すごく近い。水平線。ベランダが広くて、外にヒノキ風呂がついてる。
振り返ると和臣さんは後ろ手にドアを閉めて、にこにこしながら荷物をおろしてる。
「ねー。露天風呂がついてるのいいよね」
「めっちゃいい部屋です!」
「気に入った?」
「はい!」
俺が元気よく答えると、和臣さんはとろけるような笑顔。ドキッとして、顔が熱くなって、不自然にならないように目をそらしてしまう。なんて嬉しそうに笑うんだよ。反則だろ。
「海が見えるの、いいですよね」
今日はふたりで旅行。近場の海沿いのホテルに泊まるだけなんだけど、気分転換に。近くに古い町並みもあるし、町歩きしたりさ。
「ベランダ広いね」
早速窓に寄っていって開けてみる。潮騒と潮風。涼しいなー。和臣さんが後ろからついてきて、隣に並ぶ。顔を見合わせて笑ってみたり。
「俺、あっちのベッド使いますね」
「多紀くん、窓側使って。どのみち一緒に寝るし」
それもそっか。もぐりこんでくるね。
「少し休憩したら、散歩しにいこうか」
「はい!」
薄手の上着を脱いでTシャツ一枚になって、靴も脱いでベッドにうつ伏せに倒れ込む。解放感ー。
和臣さんも上着を脱いで、ポロシャツ。靴を脱いで、俺のベッドに早速もぐりこんできた。隣にうつ伏せてきた和臣さんの肩にすり寄って、こっちを向いたタイミングで口づける。ちゅ。
「旅行、叶いましたねー!」
「うん。ふふ」
和臣さんは、俺の髪を優しく優しく撫でてくる。少し暑いから汗っぽいのに。
風呂に入りたいな。露天風呂楽しみだなぁ。
和臣さん、今日はいつも以上に優しい。気遣ってくれてる。嬉しいな。忙しい時間を縫って計画してくれてありがたい。
そんなふうに思いながら、俺はふたたび和臣さんの唇に吸いついていく。最初は重ねるだけだけど、舌の先を出して唇を割りにいくと、和臣さんも応えるように唇をひらいて、濡れた舌先を合わせてくる。
それをきっかけに、ふたりとも息を吸い込みながら、目を閉じて、くちゅくちゅ音を立てながらのキス。和臣さんは遠慮がち。俺のほうが積極的にしていくから、吐息を漏らしている。
手を繋いで、指先を絡ませる。
「ん、ふ、ん」
すっかり耳まで熱くなった頃。唾液を引きながら、唇を離した。
和臣さんは困ったように顔をしかめている。
「せっかく、我慢してるのに」
「へ?」
「このままじゃ、観光できなくなるよ。抱きたくて仕方ない……多紀くん」
真っ赤な和臣さんが可愛くて、俺はくすぐったい気持ちになる。バンコクでは軟禁だったので、ちゃんと観光したいです、と釘を差しておいたので、我慢してたのか。申し訳ないことをしたな。
和臣さんとのキスがやめられない。俺も我慢できなくなってる。
広い部屋。海を一望できる一面の窓。なんの障害物もない水色の空と紺碧の海。すごく近い。水平線。ベランダが広くて、外にヒノキ風呂がついてる。
振り返ると和臣さんは後ろ手にドアを閉めて、にこにこしながら荷物をおろしてる。
「ねー。露天風呂がついてるのいいよね」
「めっちゃいい部屋です!」
「気に入った?」
「はい!」
俺が元気よく答えると、和臣さんはとろけるような笑顔。ドキッとして、顔が熱くなって、不自然にならないように目をそらしてしまう。なんて嬉しそうに笑うんだよ。反則だろ。
「海が見えるの、いいですよね」
今日はふたりで旅行。近場の海沿いのホテルに泊まるだけなんだけど、気分転換に。近くに古い町並みもあるし、町歩きしたりさ。
「ベランダ広いね」
早速窓に寄っていって開けてみる。潮騒と潮風。涼しいなー。和臣さんが後ろからついてきて、隣に並ぶ。顔を見合わせて笑ってみたり。
「俺、あっちのベッド使いますね」
「多紀くん、窓側使って。どのみち一緒に寝るし」
それもそっか。もぐりこんでくるね。
「少し休憩したら、散歩しにいこうか」
「はい!」
薄手の上着を脱いでTシャツ一枚になって、靴も脱いでベッドにうつ伏せに倒れ込む。解放感ー。
和臣さんも上着を脱いで、ポロシャツ。靴を脱いで、俺のベッドに早速もぐりこんできた。隣にうつ伏せてきた和臣さんの肩にすり寄って、こっちを向いたタイミングで口づける。ちゅ。
「旅行、叶いましたねー!」
「うん。ふふ」
和臣さんは、俺の髪を優しく優しく撫でてくる。少し暑いから汗っぽいのに。
風呂に入りたいな。露天風呂楽しみだなぁ。
和臣さん、今日はいつも以上に優しい。気遣ってくれてる。嬉しいな。忙しい時間を縫って計画してくれてありがたい。
そんなふうに思いながら、俺はふたたび和臣さんの唇に吸いついていく。最初は重ねるだけだけど、舌の先を出して唇を割りにいくと、和臣さんも応えるように唇をひらいて、濡れた舌先を合わせてくる。
それをきっかけに、ふたりとも息を吸い込みながら、目を閉じて、くちゅくちゅ音を立てながらのキス。和臣さんは遠慮がち。俺のほうが積極的にしていくから、吐息を漏らしている。
手を繋いで、指先を絡ませる。
「ん、ふ、ん」
すっかり耳まで熱くなった頃。唾液を引きながら、唇を離した。
和臣さんは困ったように顔をしかめている。
「せっかく、我慢してるのに」
「へ?」
「このままじゃ、観光できなくなるよ。抱きたくて仕方ない……多紀くん」
真っ赤な和臣さんが可愛くて、俺はくすぐったい気持ちになる。バンコクでは軟禁だったので、ちゃんと観光したいです、と釘を差しておいたので、我慢してたのか。申し訳ないことをしたな。
和臣さんとのキスがやめられない。俺も我慢できなくなってる。
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