エリート先輩はうかつな後輩に執着する

みつきみつか

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番外編1 バンコクの出来事

一日目③ キスマーク(※)

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 二人掛けのダイニングテーブルが置かれたダイニングキッチン。
 続きのリビングルーム。六人掛けのローソファー。その隣室、すりガラスのドア。
 ホテルの一室みたいなベッドルーム。広いしきれい。ベッドはキングサイズかな。レースカーテンが引かれてる。透けている向こう側。景色よさそう。内装もモダンでおしゃれ。
 天井が身長の倍くらいある。五十平米ってだけでも十分広いのに天井が高いものだから開放感。さらに広く見える。
 白いシーツの上に押し倒される。柔らかく弾む。
 あ、和臣さんのにおい。ラベンダーの香りがする。
 乗っかってきて、パーカーとTシャツを脱いでる。俺も慌てて上半身を起こして、長袖シャツを脱いで、Tシャツを脱いでる途中で、和臣さんが手を出してきて、脱がされる。
 ちょっと汗かいてる。シャワーを浴びたいけれど後になるかな。
 カーゴパンツを脱いでいる途中で、和臣さんがジーンズの前を開けながら、俺の体に膝立ちでまたがって、屈んでキスしてくる。

「多紀くんが来てくれた……嬉しい……本当にいる……多紀くん、多紀くん。大好き……」

 言いながら、たまらなさそうに抱きしめられて、俺もその広い肩に両腕を回して、嬉しそうに呻いている和臣さんの後ろ髪を撫でてみる。
 よしよししていると、俺の胸に額をぐいぐいこすりつけてくる。マーキングするみたい。なつっこい大型動物。
 鼻をくすぐる、エキゾチックなワックスの香り。

「よしよしお好きですね」
「うん、好き……すごく好き……」
「あ、雨降ってるかも」

 急にカーテンの向こう側が暗くなって、遠くからざあざあと音が響いてきた。あ、ベランダに続く窓がごく細く開いてる。雨。
 和臣さんは手を伸ばして窓を閉める。しんと静かになる。
 ふたりきり。

「スコールだよ。急に降るんだ。今朝も降ってた。蒸し暑いね」
「異国ですねえ」
「ねえ、多紀くん……」

 低い声に囁くように呼ばれる。口づけられる。重ね合わせる。

「ん……」

 和臣さんの舌が入ってくる。受け入れて吸う。
 やわらかくて肉厚な舌にとらえられて、口の中に滑り込まれると、一気にとろとろにさせられる気がする。貪られてる。キスだけなのに、どうしてこんなに気持ちいいんだろう。何も考えられなくなる。息が洩れて、お互いちゅうちゅう吸い合って、離れたと思ったらまた重ねて、くちゅくちゅとお互いの唾液をまぜあわせて、息ができない。

「和臣さん……」
「多紀くん、口の中、きもちいい?」
「んん……」

 答えなど聞かずに、また舌が滑り込んでくる。縦横無尽。強く差し込まれたり、柔く吸われたり、全身の力が抜けていく。こんなの、もうどうなってしまってもいい……。
 犯される期待に、頭がぼーっとしてくる。
 お互いにすっかり脱いで、下着一枚。ボクサーパンツの中では、どちらもすでに膨らんでいる。押し付け合ってむわっと熱い。
 和臣さんのきれいな指が、薄い布越しに裏筋をそろりと撫でてくる。

「あ……」

 俺の反応をたしかめるみたいに、指の腹が上に向かったり、下に向かったり。優しい刺激はじれったい。
 徐々に形がはっきりしてくる。竿を掴むようにされたり。指の腹、爪先。指と指のあいだで挟んだり。うまいってば。
 俺も和臣さんのしているのを真似して、ボクサーパンツの上から和臣さんを撫でる。張りつめていて、巨大。存在感。

「……勃ちすぎですって。でかいし」

 これに犯される。何度も何度もやられてきた、凶器じみた肉棒。否応なく思い出して、体が熱い。

「そうかな。あー……多紀くん……もっと触って」
「ん……」

 指で掴むように、下着越しに上下し合う。こすれて気持ちよくてこのまま出してしまいそうになるくらい。

「和臣さん……」
「……多紀くん、熱いよ……」

 和臣さんは圧し掛かってきて、俺の肩の上に顔を埋める。
 首筋、耳の下あたりに唇を押しつけてくる。息がかかって熱い。舌が素肌を這ってくる。熱くてぬめっていて、やわらかくて強い。

「ふっ……んんっ」

 音が近すぎ。にちゃにちゃと音を立ててる。ぞくぞくと背筋が粟立つ。
 腰のあたりまでびりびり痺れてくる。

「やっ、あ」
「多紀くん、首が弱いね。感じちゃうね」
「んん……」

 うまいせいだよ。たまらなくなる。下半身がむずむずしてくる。
 噛みつくように、和臣さんの首筋に唇を当てる。重たいし。仕返し。ちょっと吸う。

「あっ……、多紀くん……」
「和臣さんも、首弱いんですか」
「どうかな。多紀くんに吸われたって思ったら、すごくドキドキしちゃった。キスマークつけてほしいな……」

 この人にこんな上目遣いで見られて何も感じずにいられる人はいるのだろうか。それぐらい、色気の塊みたいな視線。おねだり。

「多紀くんのものってしるし、俺につけてほしい」
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