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3 ある八月の熱帯夜
三 スイートルーム①(※)
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部屋は、スイートルームだと思う。かなりグレード高め。大きな大きなベッドがひとつ。それだけで俺のワンルームくらいある。それは言いすぎか。ソファや重そうな執務机まで置いてある。絨毯も分厚い。重厚でおしゃれ。
窓の外の夜景が絶景。ここ、一泊いくらするんだろう。
間違っても男二人で泊まる部屋ではない。正しく付き合っている大人の男女がクリスマスや記念日に泊まる部屋だと俺は思う。目的は同じなのが皮肉だよ。
入室した途端に口付けられて、壁に押し付けられて、ひとしきりキスをしたあと、耳元で熱っぽく囁かれた。
「準備するの、手伝おうか」
「やめてください。自分で、します……」
俺はそう言って、浴室を借りた。
それで今、大きなベッドの上で四つん這いにさせられている。二人とも全裸だ。カズ先輩は、俺の尻を味わうみたいに顔を埋めて後ろから舐めている。時々、お尻の肉をかじられる。ふたたび舌を差し入れられる。
「あぅ、んん……」
舐められるだけだと、舌がやわらかくて、嫌になるほど気持ちいい。
相手がカズ先輩だってこととか、そこ本来舐めるとこじゃないから、とか、今から何されるのかとか、余計なことなんか、一切考えたくない。ただ快感に身を任せていたい。
「あ、あ……ああ……!」
舌が出ていって、ローションを塗った指が入ってきた。にゅーっと探るように。
指は舌よりも固い。太い。
「んんっ、ん、あ、ああ……」
「タキくん、ずいぶん慣れたね……」
一生慣れたくなかったんですよ。
カズ先輩はひとしきり中指一本でそこをほぐした後、指を引き抜いた。
「はあ……」
俺はその場にくたりと横たわる。カズ先輩は立ち上がって、自分のビジネス用リュックを持ってきて、ベッドの端に掛けながらリュックを開けて探る。
「次はこれを入れてみよう。アナルプラグ」
といって取り出したのは、ふさっとした、キツネみたいな動物の黄色い尻尾。尻尾の根元に、やわらかそうなシリコン製っぽい、ハート型の細長い杭がついてる。細いほうが先になってる。葉っぱがついたままの細い人参を思わせる。
え、なにそれ。
質問じゃない。答えを聞きたくない。こういうものを通勤リュックに入れて持ち歩いている人がいるっていうことが恐怖以外の何者でもない。
東京から持ってきたの?
「それ……入れられたくないって言ったらどうなるんですか?」
「俺が入れるって言ったら入れる」
入れたいものを全部入れてきた人の説得力はすごいな。絶対に入れられるわ。
「選択肢ください……」
「タキくんがどうしても嫌だったら」
「嫌。嫌。絶対嫌。何一つ、よかったことなんか一回もないです」
「ほら、タキくん。俺の肩につかまって」
カズ先輩はベッドの上であぐらをかいて、俺を引っ張って身を起こさせて、あぐらの上に跨らせた。向かい合った俺はカズ先輩の肩に両手を回す。縋りつくようになる。
カズ先輩は俺の陰嚢の下に手を差し入れて、ローションで濡らした杭の部分を入れてくる。
「嫌って言ってるのに……!」
「入れないって言ってないし……」
指と同じようににゅーっと入ってくる。
「ふ……んん……んん」
ストッパーで止まった。
「ああ、タキくんはいい子だね。上手だよ……」
指二本分くらいのサイズだし、もうこれくらいだったら入る。入れたくないけど痛くもないし、異物感だけ。嫌な慣れそのもの。
杭をするりと飲み込むと、俺の尻の穴から尻尾が生えているみたいに見える。
「あっ、はあ……」
カズ先輩はうっとりと笑う。
縋りついて涙目になっている俺の首筋に強く口づけながら言う。
「人間に尻尾がないのって勿体ないね。こんなに可愛いのに……」
もう絶句。何と答えろと?
カズ先輩は、俺の胸の突起をかじる。舐められて、擦られて、吸われて、引っ張られたりして、熱くてじんじんする。両方とも丹念にされる。
「うう……気持ちい……それ……やめて……」
「タキくん、可愛い……。乳首、気持ちいいんだ」
「んん……」
尻尾を生やしたまま、性器を扱かれた。握りこまれて、扱かれるだけでも本当に気持ちいい。ローションを垂らされると、すぐイきそう。
「カズ先輩、あっ、あっ、あっ……」
と、カズ先輩は、薄手の布にローションを浸らせはじめた。
またへんなことしようとしてる。俺の可能な範囲って、どこまでなんだろ。
「っ、あ、な、なんですか、それ……」
「ガーゼ」
「……ガーゼ?」
なぜ突然、衛生材料が?
「すごくいいらしいよ。俺は自分ではしたことないんだけど。タキくん、あとで感想を聞かせてね」
どういう意味?
困惑する俺をよそに、カズ先輩は作業を進める。ローションでひたひたになったガーゼで、性器を覆われる。
なんなの、と思った瞬間、カズ先輩にガーゼごしに亀頭をこねられて、俺は身悶えした。びりびりくる。激しい快感に喘ぐ。
「な、なにこれ、あぅ、あああああ、やめて、やめて先輩、お願い、ああああ」
「そのままいこう。大丈夫だから」
俺は泣いた。もう泣くしかない。
「なにが、なにが大丈夫、ちょ、やだ、あっ、あっ、あっ、うわ、いや、やめて……!」
こねられながら、プラグをずぽずぽされる。
カズ先輩の肩に縋って、背中に爪を立てながら、俺は叫んだ。
「あああ、あっ、あ、ああ……!」
頭が真っ白になる。声がかすれる。杭がへんなところに当たって、熱い。
「やめっ、ひぃ、せんぱ、や、ひ、い、せんぱい、せんぱいっ」
「どうしたの。そんないやらしい」
俺が聞きたい。身体が震えてくる。
何。何なの、これ。強烈な快感が、背中を突き抜けるみたいに。
「ああっ、ああ、あっ……!」
あ、俺、このままイくかも。よくわからない感じで、中が、身体が震える。敏感になった内側をぬるぬる行き来されて、熱く痺れる。血が集まっているような感覚。どくどくして、勝手に盛り上がっていく。止められない。
前も後ろも狂いそう。
ケツが気持ちいいとか、ほんと嫌なのに。
「先輩、お願い、あ、ああ、あっ、イく……」
力が抜けて先輩の肩にしがみつく俺を、カズ先輩は抱きしめてくる。
「エッチだなあ。これでイっちゃうんだ、タキくん。何? 中でイくの? お尻も、だんだん気持ちよくなってるね……」
「あっ……気持ちいい、あっ、や、うそ、あ、イく」
叫ぼうとした口を、カズ先輩にキスで塞がれて、息ができなくなる。身体中が快感に支配される。
どうにかなってしまう。
限界に達して、俺の先っぽから噴き出してきたのは、精液ではなくて透明な水だった。なんなのこれ……。
カズ先輩は、抜け抜けと訊ねてくる。
「どうだった?」
「聞かないでください……」
こんなの、見ればわかるでしょ。
窓の外の夜景が絶景。ここ、一泊いくらするんだろう。
間違っても男二人で泊まる部屋ではない。正しく付き合っている大人の男女がクリスマスや記念日に泊まる部屋だと俺は思う。目的は同じなのが皮肉だよ。
入室した途端に口付けられて、壁に押し付けられて、ひとしきりキスをしたあと、耳元で熱っぽく囁かれた。
「準備するの、手伝おうか」
「やめてください。自分で、します……」
俺はそう言って、浴室を借りた。
それで今、大きなベッドの上で四つん這いにさせられている。二人とも全裸だ。カズ先輩は、俺の尻を味わうみたいに顔を埋めて後ろから舐めている。時々、お尻の肉をかじられる。ふたたび舌を差し入れられる。
「あぅ、んん……」
舐められるだけだと、舌がやわらかくて、嫌になるほど気持ちいい。
相手がカズ先輩だってこととか、そこ本来舐めるとこじゃないから、とか、今から何されるのかとか、余計なことなんか、一切考えたくない。ただ快感に身を任せていたい。
「あ、あ……ああ……!」
舌が出ていって、ローションを塗った指が入ってきた。にゅーっと探るように。
指は舌よりも固い。太い。
「んんっ、ん、あ、ああ……」
「タキくん、ずいぶん慣れたね……」
一生慣れたくなかったんですよ。
カズ先輩はひとしきり中指一本でそこをほぐした後、指を引き抜いた。
「はあ……」
俺はその場にくたりと横たわる。カズ先輩は立ち上がって、自分のビジネス用リュックを持ってきて、ベッドの端に掛けながらリュックを開けて探る。
「次はこれを入れてみよう。アナルプラグ」
といって取り出したのは、ふさっとした、キツネみたいな動物の黄色い尻尾。尻尾の根元に、やわらかそうなシリコン製っぽい、ハート型の細長い杭がついてる。細いほうが先になってる。葉っぱがついたままの細い人参を思わせる。
え、なにそれ。
質問じゃない。答えを聞きたくない。こういうものを通勤リュックに入れて持ち歩いている人がいるっていうことが恐怖以外の何者でもない。
東京から持ってきたの?
「それ……入れられたくないって言ったらどうなるんですか?」
「俺が入れるって言ったら入れる」
入れたいものを全部入れてきた人の説得力はすごいな。絶対に入れられるわ。
「選択肢ください……」
「タキくんがどうしても嫌だったら」
「嫌。嫌。絶対嫌。何一つ、よかったことなんか一回もないです」
「ほら、タキくん。俺の肩につかまって」
カズ先輩はベッドの上であぐらをかいて、俺を引っ張って身を起こさせて、あぐらの上に跨らせた。向かい合った俺はカズ先輩の肩に両手を回す。縋りつくようになる。
カズ先輩は俺の陰嚢の下に手を差し入れて、ローションで濡らした杭の部分を入れてくる。
「嫌って言ってるのに……!」
「入れないって言ってないし……」
指と同じようににゅーっと入ってくる。
「ふ……んん……んん」
ストッパーで止まった。
「ああ、タキくんはいい子だね。上手だよ……」
指二本分くらいのサイズだし、もうこれくらいだったら入る。入れたくないけど痛くもないし、異物感だけ。嫌な慣れそのもの。
杭をするりと飲み込むと、俺の尻の穴から尻尾が生えているみたいに見える。
「あっ、はあ……」
カズ先輩はうっとりと笑う。
縋りついて涙目になっている俺の首筋に強く口づけながら言う。
「人間に尻尾がないのって勿体ないね。こんなに可愛いのに……」
もう絶句。何と答えろと?
カズ先輩は、俺の胸の突起をかじる。舐められて、擦られて、吸われて、引っ張られたりして、熱くてじんじんする。両方とも丹念にされる。
「うう……気持ちい……それ……やめて……」
「タキくん、可愛い……。乳首、気持ちいいんだ」
「んん……」
尻尾を生やしたまま、性器を扱かれた。握りこまれて、扱かれるだけでも本当に気持ちいい。ローションを垂らされると、すぐイきそう。
「カズ先輩、あっ、あっ、あっ……」
と、カズ先輩は、薄手の布にローションを浸らせはじめた。
またへんなことしようとしてる。俺の可能な範囲って、どこまでなんだろ。
「っ、あ、な、なんですか、それ……」
「ガーゼ」
「……ガーゼ?」
なぜ突然、衛生材料が?
「すごくいいらしいよ。俺は自分ではしたことないんだけど。タキくん、あとで感想を聞かせてね」
どういう意味?
困惑する俺をよそに、カズ先輩は作業を進める。ローションでひたひたになったガーゼで、性器を覆われる。
なんなの、と思った瞬間、カズ先輩にガーゼごしに亀頭をこねられて、俺は身悶えした。びりびりくる。激しい快感に喘ぐ。
「な、なにこれ、あぅ、あああああ、やめて、やめて先輩、お願い、ああああ」
「そのままいこう。大丈夫だから」
俺は泣いた。もう泣くしかない。
「なにが、なにが大丈夫、ちょ、やだ、あっ、あっ、あっ、うわ、いや、やめて……!」
こねられながら、プラグをずぽずぽされる。
カズ先輩の肩に縋って、背中に爪を立てながら、俺は叫んだ。
「あああ、あっ、あ、ああ……!」
頭が真っ白になる。声がかすれる。杭がへんなところに当たって、熱い。
「やめっ、ひぃ、せんぱ、や、ひ、い、せんぱい、せんぱいっ」
「どうしたの。そんないやらしい」
俺が聞きたい。身体が震えてくる。
何。何なの、これ。強烈な快感が、背中を突き抜けるみたいに。
「ああっ、ああ、あっ……!」
あ、俺、このままイくかも。よくわからない感じで、中が、身体が震える。敏感になった内側をぬるぬる行き来されて、熱く痺れる。血が集まっているような感覚。どくどくして、勝手に盛り上がっていく。止められない。
前も後ろも狂いそう。
ケツが気持ちいいとか、ほんと嫌なのに。
「先輩、お願い、あ、ああ、あっ、イく……」
力が抜けて先輩の肩にしがみつく俺を、カズ先輩は抱きしめてくる。
「エッチだなあ。これでイっちゃうんだ、タキくん。何? 中でイくの? お尻も、だんだん気持ちよくなってるね……」
「あっ……気持ちいい、あっ、や、うそ、あ、イく」
叫ぼうとした口を、カズ先輩にキスで塞がれて、息ができなくなる。身体中が快感に支配される。
どうにかなってしまう。
限界に達して、俺の先っぽから噴き出してきたのは、精液ではなくて透明な水だった。なんなのこれ……。
カズ先輩は、抜け抜けと訊ねてくる。
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