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2 ある七月の暑い夜

七 その後②(※)

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 先輩は上になって、キスしてきた。
 ちょっと許したらすぐこれだよ。遠慮なく舌を出し入れするな。
 生温かい。
 カズ先輩の唾液が、流し込まれるみたいに入ってくる。
 ぞくりと肌が粟立つ。
 生理的に気持ち悪いのに、苦しくて飲まざるを得ない。

「うう、んん、う」

 喉が上下したのを確かめたあと、やっとカズ先輩はいったん唇を離した。
 相変わらずめっちゃ優しそうな、雰囲気の良いイケメンで、しかも幸せそうに、ごく当たり前のようにそうされて、なんでも許してしまいそうになる。
 なんか、俺、このままだとまたやられちゃうかも……。
 キスされる。柔らかくしたり、ついばむようにしたり、激しくしたり、ねっとりしたり。何度もされる。
 カズ先輩の両手が、俺の頬を包み込む。額とか頬とか、髪とか、耳とか頭の横とか、大切そうに撫でてくる。そうされながらキスされると、気持ちいい。瞼が落ちてくる。
 唇を食んだり、歯茎とか歯列とか、舌の根を吸われたり、隙間からぴちゃぴちゃと音が漏れる。お互いに吸ったり、唾液を出して絡めたり。

「ん、先輩……」
「タキくん……」

 正直、このキスは気持ちいい。目を閉じて応じて、それだけに集中する。背中がぞくぞくする。
 カズ先輩は唇を少し離して言った。

「キス、いいね、気持ちいいね……」
「はい……」

 そう答えるとまた舌が入ってくる。
 しばらくそうしたあと、やっと離れた。カズ先輩は苦笑する。

「あはは、でもちょっと萎えちゃった」
「あっ、すみません」
「後ろから、抱いていい?」
「あ、はい」

 先輩は、横向きに寝る俺の身体を、背中から抱く。
 キスをするうちに少し復活した俺のそれを扱きながら、カズ先輩は、俺の太ももの間に性器を挟んでくる。
 いわゆる素股ってやつ。
 睾丸の下をぬるぬると行き来する感触に、ぞくぞくしてくる。

「あっ、タキくんのここ気持ちい」

 むずむずする。カズ先輩は俺の上半身を抱いて腰だけを動かしている。突かれるようにされて、カズ先輩の恥骨が尻に当たる。
 あのときみたいに、バックで入れられてるみたいだ。

「タキくんに挿入してるみたい……」

 俺にとっては嫌な記憶だから言わないでほしい。俺は言わなかったのに。あと、耳元で喋らないで。
 玉を強く擦られて、俺は呻いた。カズ先輩の先端が玉の裏とか、その下のあたりに擦れる。もう、すぐのところは……。

「あっ、だめですよ」
「入れない。入れないよ、当てるだけ、少し」

 入れないから、と言って、カズ先輩は俺の片足の膝を、片手で軽く持ち上げた。
 穴のあたりとか、そこから睾丸にかけてがあらわになって、そこにこすりつけてくる。
 カズ先輩は、腕を使って俺の片足を抱え上げるようにして、手を伸ばして俺の性器を上手く掴んで扱く。

「タキくんもまた大きくなってきてる」
「やっ、言わないでください、絶対に入れないで」
「わかってるよ……」

 入るかもしれない。
 ローションでぬるぬるしている。カズ先輩は射精しようとしていて、高まっていて激しい。冷静な動きじゃない。快感を追うような速度。
 少し角度を間違えたら、すぐに入ってしまう。
 耳元で、濡れた声で、囁かないで欲しい。

「あっ、イく、タキくん、タキくん……!」
「あっ、先輩、俺も、イく……っ」

 射精したのは、ほとんど同時だったと思う。
 また出してしまったと思っていたら、背後から強く、強く抱かれる。息が整ったのを見計らって、カズ先輩は顔を起こして、俺の唇を奪いにくる。
 こんなの、何もしないって、嘘じゃん。入れてないだけじゃん。
 俺は遅ればせながら冷静になってくる。なんでこんな状況になってんだろ……。
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