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4 別れさせ屋
最終話 キスをする理由(※)
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夜。
「んっ、んっ、青、もう、それやばいって」
「んー?」
湯上がりにマッサージをされるうちにエロっちい手つきになって、シマもとい青のベッドでくたくたに転がっていると、青が横たわってきた。
「藤さーん、ちゅー」
「んー」
うつ伏せていた俺は胸を起こし、仰向けの青のうえに屈んで、口づける。
マッサージのお礼だから他意はない。
あくまでマッサージのお礼。
「いやー、まじで仕事やめるとは。心許ないな……」
所属先がないのって不安だわ。
「あ、総務に言って、俺の会社の社保に入れてもらう手続きしますね」
「……働いてないのに?」
「社長の息子の地位、フル活用です」
「怖いよ……」
こんなにも絡め取られて、俺、大丈夫? 逃げ場なくない? アパート引き払っちゃったし。
明日にでもハロワ行って早く仕事を見つけなくちゃ……。
どうせそのうち一緒に暮らすんだから早ければ早いほどいいですね、などと言われていつの間にか一緒に住んでる。
なんで???
「時期をみてハワイ行きましょ。それまではゆっくりしましょうね。藤さん」
青は俺の前髪を弄びながら言った。腕を立てて、キスをしながら。
俺を見つめている。
「……そういや、会社のやつらに、シマは俺を入社当初から狙ってたって言われたんだけど」
「気づいてなかったのはフジ先輩だけでしたね、マジで」
「なんで憐れみの目で見られなきゃならないんだよ」
「鈍感な藤さんが悪い」
「はぁ?」
「新歓直後から、大体のひとが気づいてましたよ。俺が藤さんを見ていること。本当の本当に藤さんだけです。気づいていなかったのは」
「!?」
寝巻き代わりのTシャツをたくしあげられ、乳首をねじられる。
「ぁ、っ、おい」
半パン越しに尻を撫でられ、ぐいっと下げてくる。
先程シャワーを浴びて、準備はしてあった。
「立ってますよー?」
「お前のほうだろ。俺の体いじくってこんなに勃たせやがって、変態」
「絶対犯しますね」
あっという間に裸になって、お互いに貪りあう。あちこちをせめられると俺はすぐ欲しがって、なんにもわからなくなってしまう。
けだものみたいに覆いかぶさって犯された。
気づくと四つん這いで、シーツを両手で掴み、夢中で腰を振っていた。
「あっ、あン、ん、あっあっ、いいっ、あ、あぁ~!」
「藤さんの負け。ごめんなさいは?」
「ひっ、あっ、あっ、きもちい、あ、あう……ごめんなさい、ごめ、あっあっ、許して」
「これ以上は離れられなくなると思って、せっかく俺のほうから離れてあげたのに、藤さんが俺と離れたくないなんて。ねぇ、藤さん」
「やっ、そこ、押さないでぇ」
「イっちゃうんでしょ。ここ弱いですよね。ほらイっちゃえ」
ピストンされながら俺が自分のペニスを扱いていると、青は俺の先っぽを指先でねちねちといじる。我慢汁がだらだら垂れてる。
「う、ん……イく、出ちゃう」
「出して」
「んん……!」
射精したら、俺はすっかりくたくたでばたっと倒れた。気持ちよかった……。
「はぁ、はぁ……」
「俺もイく……」
青は俺の中で出したあと、ふぅ、と引き抜いて、にこにこと嬉しそうに横に来て、俺の肩を抱いてくる。
「藤さん」
「んー……」
「ちゅーしましょ?」
「ん……」
俺は青の頬を両手で包んでキス。
これはセックスが気持ちよかったからそのお礼みたいなもの。
青は俺のことを嬉しそうに抱いてる。そういう顔をされると、俺のほうも、青が喜ぶことをたくさんしてあげようかなって。
なんでやねん。
青はしみじみ言った。
「……無駄な二年じゃなかったんです。母のこともそうですけど、なにより」
「?」
「藤さんを見つけたんで。こっちのほうが大収穫。一生、幸せにします」
よくそんな小っ恥ずかしいこと、素面で言えるなぁ。俺には無理。
恥ずかしすぎて砂吐きそう。
「藤さんも、早く素直になって、俺のこと大好きって言ってくださいね」
「欲張り野郎」
強欲はとどまることを知らない。
その手口を熟知している俺は、好きだと口にするまで恥ずかしい格好で嬲られるという事態を回避すべく、青を見つめて、唇をついばむ。
一回では足りないかもしれないので、何度もそうした。
やむなく。
「……青」
「はい」
「……なに笑ってんの」
「だって、藤さん、耳まで真ーっ赤なんですもん。そんなに幸せそうにされると……」
「……!」
「一生、そうやって、恥ずかしそうに笑っててください」
うるせー!
〈同僚の裏の顔 終わり〉
お読みいただきありがとうございました。
「んっ、んっ、青、もう、それやばいって」
「んー?」
湯上がりにマッサージをされるうちにエロっちい手つきになって、シマもとい青のベッドでくたくたに転がっていると、青が横たわってきた。
「藤さーん、ちゅー」
「んー」
うつ伏せていた俺は胸を起こし、仰向けの青のうえに屈んで、口づける。
マッサージのお礼だから他意はない。
あくまでマッサージのお礼。
「いやー、まじで仕事やめるとは。心許ないな……」
所属先がないのって不安だわ。
「あ、総務に言って、俺の会社の社保に入れてもらう手続きしますね」
「……働いてないのに?」
「社長の息子の地位、フル活用です」
「怖いよ……」
こんなにも絡め取られて、俺、大丈夫? 逃げ場なくない? アパート引き払っちゃったし。
明日にでもハロワ行って早く仕事を見つけなくちゃ……。
どうせそのうち一緒に暮らすんだから早ければ早いほどいいですね、などと言われていつの間にか一緒に住んでる。
なんで???
「時期をみてハワイ行きましょ。それまではゆっくりしましょうね。藤さん」
青は俺の前髪を弄びながら言った。腕を立てて、キスをしながら。
俺を見つめている。
「……そういや、会社のやつらに、シマは俺を入社当初から狙ってたって言われたんだけど」
「気づいてなかったのはフジ先輩だけでしたね、マジで」
「なんで憐れみの目で見られなきゃならないんだよ」
「鈍感な藤さんが悪い」
「はぁ?」
「新歓直後から、大体のひとが気づいてましたよ。俺が藤さんを見ていること。本当の本当に藤さんだけです。気づいていなかったのは」
「!?」
寝巻き代わりのTシャツをたくしあげられ、乳首をねじられる。
「ぁ、っ、おい」
半パン越しに尻を撫でられ、ぐいっと下げてくる。
先程シャワーを浴びて、準備はしてあった。
「立ってますよー?」
「お前のほうだろ。俺の体いじくってこんなに勃たせやがって、変態」
「絶対犯しますね」
あっという間に裸になって、お互いに貪りあう。あちこちをせめられると俺はすぐ欲しがって、なんにもわからなくなってしまう。
けだものみたいに覆いかぶさって犯された。
気づくと四つん這いで、シーツを両手で掴み、夢中で腰を振っていた。
「あっ、あン、ん、あっあっ、いいっ、あ、あぁ~!」
「藤さんの負け。ごめんなさいは?」
「ひっ、あっ、あっ、きもちい、あ、あう……ごめんなさい、ごめ、あっあっ、許して」
「これ以上は離れられなくなると思って、せっかく俺のほうから離れてあげたのに、藤さんが俺と離れたくないなんて。ねぇ、藤さん」
「やっ、そこ、押さないでぇ」
「イっちゃうんでしょ。ここ弱いですよね。ほらイっちゃえ」
ピストンされながら俺が自分のペニスを扱いていると、青は俺の先っぽを指先でねちねちといじる。我慢汁がだらだら垂れてる。
「う、ん……イく、出ちゃう」
「出して」
「んん……!」
射精したら、俺はすっかりくたくたでばたっと倒れた。気持ちよかった……。
「はぁ、はぁ……」
「俺もイく……」
青は俺の中で出したあと、ふぅ、と引き抜いて、にこにこと嬉しそうに横に来て、俺の肩を抱いてくる。
「藤さん」
「んー……」
「ちゅーしましょ?」
「ん……」
俺は青の頬を両手で包んでキス。
これはセックスが気持ちよかったからそのお礼みたいなもの。
青は俺のことを嬉しそうに抱いてる。そういう顔をされると、俺のほうも、青が喜ぶことをたくさんしてあげようかなって。
なんでやねん。
青はしみじみ言った。
「……無駄な二年じゃなかったんです。母のこともそうですけど、なにより」
「?」
「藤さんを見つけたんで。こっちのほうが大収穫。一生、幸せにします」
よくそんな小っ恥ずかしいこと、素面で言えるなぁ。俺には無理。
恥ずかしすぎて砂吐きそう。
「藤さんも、早く素直になって、俺のこと大好きって言ってくださいね」
「欲張り野郎」
強欲はとどまることを知らない。
その手口を熟知している俺は、好きだと口にするまで恥ずかしい格好で嬲られるという事態を回避すべく、青を見つめて、唇をついばむ。
一回では足りないかもしれないので、何度もそうした。
やむなく。
「……青」
「はい」
「……なに笑ってんの」
「だって、藤さん、耳まで真ーっ赤なんですもん。そんなに幸せそうにされると……」
「……!」
「一生、そうやって、恥ずかしそうに笑っててください」
うるせー!
〈同僚の裏の顔 終わり〉
お読みいただきありがとうございました。
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いつも、大好きー!な作品を読ませてもらって、とても幸せ😆
終わっちゃいましたね
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終わっちゃったよー😭
まだまだ読んでいたかったです。
溺愛社長のときもエリート先輩のときもそうだったんですが、終わってしまうと寂しくて
最初から読み返します。
いつも素敵な作品を読ませてもらってありがとうございます。
こんばんはー! いつもありがとうございます!
終わっちゃいました~(*'ω'*)
駆け足展開でしたが…ふたりが幸せになってよかったです笑
寂しいとまで仰っていただけて嬉しいです~
お話しを終わらせるときはわたしも寂しかったりします笑
溺愛社長は約三ヶ月、エリート先輩は約一年の長期連載で、最終話が感慨深かったの思い出しました。
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こちらこそ、数多ある作品の中から拙作をお読みくださり、ありがとうございますm(__)m
こんばんは
完結おめでとうございます!
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ありがとうございました✨
こんばんはー!
おめありです!
先輩後輩に続き、こちらもお読みくださりありがとうございます!
ちょー強引攻×流され受のケンカップル、楽しんでいただけたようで嬉しいです!
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こちらこそありがとうございました!
みつき様こんにちは~⸜(*˙꒳˙*)⸝
完結おめでとう&ありがとうございます🤗💗
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おめありです!!!
こちらこそお読みいただきありがとうございます!m(__)m
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