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夏の話

六 鏡に映る痴態(※)

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「レン、手をついて、腰を突き出して」
「はい……」

 ルイスに命じられるまま、レンは洗面台に手をついて、腰を突き出す。真正面の鏡を見ていられなくて目を瞑る。
 ルイスはレンの下着を脱がせたあと、どこかからローションのボトルを持ってきて、レンの背中に垂らした。冷たい。

「ひゃ」

 ルイスは大きな手のひらでレンの背や下肢を撫でる。

「レンの背中、きれいですね。肌もすべすべしていて気持ちいいです。お尻も引き締まっていますね。割れ目に垂れたの、わかりますか」
「ルイスさん、あの、シャワーは」
「まだです。今日は覚悟してください。部屋に来たレンが悪いんですから。こういうことをされるってわかっていて、来たんでしょう?」
「っ、ルイスさん……」
「さあ、足を開いて」
「は、はい」

 ルイスはレンに両足を開かせた。ルイスが垂らしたローションは、臀部を伝って太ももを流れていく。ふくらはぎにも、ぬめる感触がある。ルイスはローションの滑りを借りて、レンの後孔をほぐしはじめる。

「ひ……っ」

 指先が挿入されて、レンの腰が引ける。ルイスがその身体をただした。その拍子に指が奥に一気にすべりこむ。

「あっ、あああぁう」
「可愛いレン。三ヶ月前のこと、覚えていますか? 他の人とはセックスした?」
「す、するわけ、ない、です、あう、あっ」
「よかった。これからも僕だけにしてください」
「あっああ、あ」
「指を増やしましょうね。痛かったら言ってくださいね」
「あああ……!」

 ずぶりと指が二本挿入され、レンは嬌声をあげた。軽くピストンされながら広げられる。
 ルイスを受け入れるための動きに、否応なく期待が高まる。ルイスの指をきゅうきゅう締めつける。
 レンはたまらなくなって啼いた。

「あっあっあ」
「ああ、後ろだけでも気持ちいいんですね、レン」
「やっ、ああっ、んっ」

 指が抜ける。レンは息を吐いた。このまま力が抜けて倒れてしまいそうだ。だがルイスは許さない。

「手をついて、腰をあげて。受け入れてください」

 と、ルイスは両手でレンの腰を軽く持ち上げた。思いがけず力が強い。
 ルイスの核心がレンの秘部に当たっている。レンは身体をびくりとさせる。先端がレンの身体を裂くようにめり込む。性急だ。

「あっ、ルイスさんっ、ま、待って、俺の」

 前を触ってほしい。そうでなくとも、せめて自分で扱かせてほしい。だが、本能的に、そのどちらも許可が必要だとレンはわかる。ルイスに許されなければならない。

「だめですよ。自分でもいじっちゃだめです。僕のだけを感じてください」

 そう言うとルイスはレンの奥まで、ゆっくりと、しかし一息に雄を挿入した。

「っ! う、ん、んうう、ふ」

 挿入されている間は、これ以上入るのかと思うほど長い。まるで太く長い杭で貫かれるようだ。

「あ……あ……」
「はあ、全部入りましたよ。この体位、本当にいいです。レンが咥えこんでいる様子がとてもいいです。素晴らしい眺めですよ。レンの引き締まったお尻、穴を塞がれてびくびく震えてます」
「や……」

 ルイスはなだめるようにレンの臀部を優しく撫でる。

「レン、目を開けてください」
「や、いやです、許して、許してください……!」
「見なさい」

 レンは震えた。
 これは命令だ。ルイスに逆らえない。
 ルイスの命令は絶対だ。上から押さえつけるような強い圧力は、支配者の持つそれだ。そしてレンは、そんなルイスに、このように踏み躙られることを心から望んでいる。
 レンはおそるおそる目を開ける。涙があふれてくる。

「いやです……」
「レン、君はとってもいい子ですね」
「……っ」

 想像していたとおり、明るい洗面所では、洗面台に手をついた痩せっぽちのレンを、美しい外見のルイスが背後から犯している。ルイスの体は引き締まっていて、細くて痩せているだけのレンとは異なる。
 どちらも、このセックスを待ち望んでいた顔で、互いの身体を貪っている。
 レンは性交渉の最中の自分の姿を初めて見た。
 熱っぽく上気し、涙ぐみ、蕩けたような顔。
 こんな物欲しそうな表情を浮かべていたら、食べられても仕方がない。もしくは、自分がルイスを食べている。ルイスの性器を美味しそうに咥えこんでいる。手足は快感に震えている。
 お尻の穴がいっぱいになって満足そうにしている。だが、さらなる刺激が欲しくて不満げでもある。
 鏡に映るレンの陰茎はこれまでになく張りつめている。先端は、いやらしくよだれを垂らしている。求めていたからとしか言いようがない。
 ルイスにこうされるのを渇望していたせいだ。
 そう諦めた瞬間、射精感がこみあげる。足が引きつるようになる。
 こらえきれない。

「あっ、イく……!」
「イくんですか。まだ動いていないのに」

 ルイスのいうとおり、ルイスは挿入しただけだ。深いところまで刺したまま、少しも動いていない。レンの腰を両手でしっかりと掴んでいる。動こうともしていない。
 レンは思わず目を閉じようとしたが、ルイスはだめだと言った。

「目を瞑らないで。レン、男に挿入されてよがってイっちゃう自分の姿を、よく見て」

 レンは身を捩ろうとし、ルイスはレンを拘束する。

「やっ、ルイスさんっ、ルイスさん! 出る、出ちゃう……!」
「出していいですよ、そのまま出して」
「イく、や、イ、イく、いやだ、いやです、お願い、イく、イく、イっちゃう……!」
「イきなさい」

 こんな風に後ろだけでイかされるなんて。

「ずっぽり咥えこんで、お尻でイくなんて、なんていやらしい子なんでしょう」
「やだ、うっ……あああ、あ、ああ……!」

 レンは涙を流した。とうとう立っていられなくなる。ルイスはレンを背後から支えるように立たせる。
 肌が熱い。全身が性感帯のようになっている。どこを触られても気持ちいい。だけど核心に触れてほしい。ルイスはなじむようにとレンの臀部を揉みしだく。中で当たる位置が変わる。なじんでくる。

「ああ、レンのおちんちんは、触られなくても勝手にイっちゃうんですね。こんな風にされて、なすすべがないですね」
「ルイスさんっ、あっ、イく、イく、イく! あっ、あっ、あっ、あっ」

 レンは長くかかって吐精した。
 汚れひとつない白い洗面台が、レンの白濁に汚される。

「あ……あ……」

 力が抜けるレンの髪をルイスは愛おしそうに撫でる。

「たっぷり出ましたねえ、ふふ」
「はあ、はあ……」

 レンは精液を垂らしながら下を向いた性器を情けなく思い、涙目になってルイスを睨んだ。

「ル、ルイスさん、ひどいです、こんなの……」

 だがルイスはなにも反省していない。ルイスは苦笑しながら、

「ふふっ、僕の可愛いレン。これから、もっとひどくするんですよ」

 と容赦なく言った。
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