落ちこぼれ精霊使いの英雄譚

朧月

文字の大きさ
上 下
16 / 20
第2章 旅立ち

魔法

しおりを挟む


 山道を歩く2つの人影。

 片方は、黒い革鎧を来ている青年。もう片方は、黒い髪をした、美少女。

 「はぁ、もう旅を初めて2ヶ月かぁ」

 その青年--レイは、野宿続きの、日々に少し疲れが溜まっているように見える。

 「多分そろそろ人族の大陸に入ると思いますよ。ほらっ! あの川を超えたら向こう側は人族の大陸です」

 やっとつくのか

 いやー、野宿ってのがここまで大変だとは……

 レイの思ってることが顔に出ているのか、ペルはレイを見てうっとりしている。

 レイ、嬉しそう。

 あー、かっこいいです。

 そんなことをペルが思っていると知らないレイは、

 「ほら、ペルいくぞ」

 と、おもむろにペルの手を握ると、そのまま引っ張っていく。

 ペルは、レイに手を握られているのがとても嬉しいのか、この世で最も美しいと言って良いほど素晴らしい笑顔をしている。




 そんなこんなで川までたどり着いた2人。

 「レイ、この川はどうするのですか? 見た感じ結構深そうですけど……。いっそのこと、跳び超え、、、、ますか?」

そう言うとペルは、屈伸運動のようなものを始める。

しかし、レイはペルを唐突にお姫様だっこし、

「いや、飛ぶ、、ぞ」

と、レイは魔法を発動させて飛行を始める。

レイにお姫様抱っこされている間、終始ぼうっとしていたペル。

しかし、反対側につくと突如、

 「レイ! いつの間に魔法を? それにこんな難しい魔法を……」

 「実はな、この前起きたら魔法使えるようになってた。だからこっそり家にある魔道書で魔法の練習してた」

 と、悪びれる様子もなくあっけらかんと言い放つレイ。

 それを聞いても、なお納得できていない様子のペル。

 それも当たり前である。

 この世界では魔法とは、才能に依存、、、、、すると考えられており、実際にそれは事実である。

 だから、才能がなかった人が朝起きたらいつの間にか使えるようになってた! なんていう事が起こるわけがないのである。

 しかし、それが起こったレイ。

 ペルにはそれが、疑問で疑問で仕方なかった。

 そんなことが起き得るのでしょうか? しかし、実際に起きているのですから何とも言えませんし……

 1人思考にふけっているペル。

 「おい、ペル帰ってこいー! まぁ、俺が魔法を使えるようになった事はひとまずおいておいて、とりあえず、近くの街に向かうぞ」

 そう言うとレイは、ペルを地面に下ろして歩き出す。


 「そうですね。しかし、レイが飛行魔法を使えたならここまでその魔法で来ればよかったのでは?」

 と、素直に疑問をぶつけるペル。

 レイは---ゆっくりと顔を後ろに向ける。

 その顔には、明らかに驚愕の色が伺えた。

 どこまで行ってもドジは抜けないレイである。













しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔導書転生。 最強の魔導王は気がついたら古本屋で売られていた。

チョコレート
ファンタジー
最強の魔導王だったゾディアは気がついたら古本屋に売られている魔導書に転生していた。 名前以外のほとんどの記憶を失い、本なので自由に動く事も出来ず、なにもする事が無いままに本棚で数十年が経過していた。 そして念願の購入者が現れることにより運命は動き出す…… 元最強の魔導書と魔導が苦手な少女の話。

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

奴隷魔法使い

克全
ファンタジー
死んだはずの男が、魔法と魔獣・魔竜が生息する江戸時代に似た王国の奴隷に成り代わり、奴隷が想いを寄せていた女の子を助けるために悪戦苦闘し、平民・貴族と成りあがっていく御話。

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

Snowy owl~幸せを探して~

神在琉葵(かみありるき)
ファンタジー
人生最高の日と思ってたその日は、実は最悪の日だった…!?

WORLD CREATE

ぬこぬこ麻呂ロン@劉竜
ファンタジー
 主人公の少年・リオは冒険者の父と、元冒険者である母と共に、生まれ故郷であるユリアナ村で平穏な日々を過ごしていた。  いつもと変わらない日常。大切な家族や友達。村の大人たちと共にあった日々は、しかしある日を境に崩れ落ちていく。突如として村を襲った魔物が、リオ達の平穏を奪い去っていったのだ。  混乱の最中、辛くも生き延びたリオは、母を失った悲しみも癒えぬまま、仕事で村に居なかった父親を探すことを決意する。災禍に見舞われた村を抜け出し、とある冒険者に保護され向かった先で、リオは新たな家族と出会う。  そして彼の人生が動き始めると同時に、世界の歯車もまた回り始めていた――。  メインに投稿していく作品です。18時更新になります

これが普通なら、獣人と結婚したくないわ~王女様は復讐を始める~

黒鴉宙ニ
ファンタジー
「私には心から愛するテレサがいる。君のような偽りの愛とは違う、魂で繋がった番なのだ。君との婚約は破棄させていただこう!」 自身の成人を祝う誕生パーティーで婚約破棄を申し出た王子と婚約者と番と、それを見ていた第三者である他国の姫のお話。 全然関係ない第三者がおこなっていく復讐? そこまでざまぁ要素は強くないです。 最後まで書いているので更新をお待ちください。6話で完結の短編です。

婚約者の浮気相手が子を授かったので

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。 ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。 アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。 ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。 自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。 しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。 彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。 ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。 まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。 ※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。 ※完結しました

処理中です...