牧草地の白馬

蓬屋 月餅

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20「天界」後編

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 【天界】に存在する神々の屋敷は【地界】のどの家や屋敷よりも多彩な特色を持ち、それぞれが荘厳な造りをしている。
 しかし、それも元々は人間達の住まいを参考にして建造されたものだ。
 その名残として神々の屋敷には本来必要のない造りも多々見受けられる。
 ねやもその1つだ。
 眠ることのない神々には必要のない寝室、閨。
 そこをほとんどの神は瞑想の場として利用しているのだが、牧草地の神もその1人だった。
 自ら屋敷をかまえてから今に至るまで、瞑想のためにしか利用してこなかったこの閨。
 しかし、今は………

ーーーーーーーーー

 薄明かりに照らされた閨の中、寝具の上に牧草地の神のしなやかな足が伸ばされている。
 白馬はそのなめらかな曲線を描く瑞々しい足をまるで繊細な宝物を扱うかのように恭しく触れ、片足のふくらはぎをそっと持ち上げつつ、膝、脛、足の甲…と上から順に口づけを落としていく。
 薄衣の裾が太ももの方へ滑り落ちたことであらわになった素肌。
 そこへの口づけは不思議な高揚感をもたらすものであり、牧草地の神はただじっとその様子を見つめてしまう。
 白馬は牧草地の神のふくらはぎを揉みほぐしながらさすり、何度もそこへ口づける。

「蒼様…私が背に乗せてさしあげなければならないのに………」

 【天界】から離れていた間、牧草地の神が務めをはたすためにあちこちを自身の足で歩いていたことが白馬には気がかりでならないらしい。
 だが、その疲れを癒さんとするかのように足を揉むその動きは次第に牧草地の神をむず痒くさせていく。

「ハク…そんなこと、しなくていいから……」
「いいえ、蒼様。私は蒼様の疲れを癒やしてさしあげたいんです…こうして……」
「ハ、ハク……っ……」

 白馬は唇をもう一度牧草地の神の脛から足首、踝、足の甲へと滑らせ、さらにその下へとなんの躊躇いもなく進む。
 足先に柔らかな唇が触れ、牧草地の神は思わず足を引きそうになったが、白馬はそれを阻んだ。
 ふくらはぎを優しく、それでいてしっかりと掴む白馬は牧草地の神のつま先に恭しく口づける。
 そして足の小指をそっと食むようにして口づけた後、なんと白馬はその唇を足の裏に移動させた。
 牧草地の神は白馬に軽く膝を曲げさせられたことで体勢をわずかに崩し、寝具に後ろ手をつく。
 足裏への白馬の口づけからは自らのものとは違う神力がごくわずかに体内へ流れ込んでくるのが伝わってきており、それはたしかに牧草地の神の気分を高揚させているのだが、さらにその上に白馬の艶かしさと妖しさの混ざり合った視線が向けられていて、すでに牧草地の神は今以上のものへの好奇心が抑えきれなくなっていた。
 口づけだけで…こんなにもわずかな唇の触れ合いだけで得られる神力でもこんなに素晴らしく思えるのだ。

 もし、互いの1番敏感な部分を触れ合わせ、そして存分に神力を放ち合ったとしたら…一体どうなってしまうというのだろう。

 未知の感覚への戸惑いや不安がないわけではない。
 しかし、それ以上のものを求める気持ちはそれを大きく上回っているのだ。
 牧草地の神は「ちょっと…それは、もう…」と声を途切れさせながら白馬へ手を伸ばす。

「そんなこと、しないで…ハク…」
「いけませんか…?」
「っ……」

 足元から向けられている白馬の熱のこもった瞳、そしてわずかに前傾姿勢であることによって開かれた襟元。
 弛んだ襟元からは閨の中の薄明かりに照らされた胸板むないたが覗いている。
 直接触れなくともその熱が伝わってくるような胸板だ。
 すべてを晒しているわけではなく、胸の線や起伏が少し分かる程度であるということが余計に牧草地の神の想像と興奮を煽る。
 今すぐにでも衣を剥いてすべてを目にしたいという気持ちにさせられてしまうのだ。
 白馬はこれを意図しているのだろうか。
 意図しているものだとすれば相当な誘い上手であり、していないのだとすればあまりにも危険だ。
 もはや牧草地の神は湧き上がってくる欲を抑えきれなくなり、両手を伸ばして「ハク……」と白馬を自らの元へ呼び寄せた。

「もう…きて、ハク……こっちに……」

 牧草地の神の呼びかけに応えるように、白馬はジリジリと身を寄せる。
 それまで抱えていた牧草地の神の足を自らの脇腹に滑らせるようにしながら、ゆっくりと白馬は牧草地の神に迫った。
 「蒼様…」という小さな囁きと共に白馬は牧草地の神の両腕の中に収まり、そのまま牧草地の神の背に手を当ててゆっくりと牧草地の神を寝具に寝かせる。
 完全に押し倒された状態で、白馬は牧草地の神の手を取ってその甲に口づけた。

「蒼様…よろしいのですか、本当に…私を…」
「どうしてだめだと思うの…」
「…蒼様の御身は……人と同じ、なのですよね…?」
「うん…ほとんど、ね」
「その…私はもう無知ではありません、なので…『そういう事』も知っています。【地界】で、人間としての時に……」
「……誰かと、学んだの?」

 鼻先がくっつくような距離での会話。
 囁き合う声が耳にくすぐったくてたまらない。
 白馬は牧草地の神に向けてわずかに眉根を寄せた。

「【地界】で私のそばにいたのなら、もう充分ご存知のはずでしょう?誰かとなんて…ありえません。ただ、一般的な…知識として知っているだけです」

 白馬は牧草地の神の頬に片手で触れながら続ける。

「【地界】にいた頃…私は不思議なまでに一切『そういう事』に興味がありませんでした。周りの人達とははっきり一線を画すほどに…あまりにも興味がなくて人々の輪に入れないこともありました。自分でもどうしてなんだろうかと思ったことがあります、自分はどこかおかしいのではないか…と。でも今ならその理由がよく分かります」

 とろけるような笑みを見せる白馬。

「私は…あなた様だけを想っているんです。蒼様、あなた様だけを…。他のものが入り込む余地なんてありません。この私の2つの目はあなた様だけを見つめて、この2本の腕はあなた様だけを抱きしめて、この唇は…」

 牧草地の神はたまらず白馬の首に腕を回し、夢中になってその唇に吸い付いた。
 すでに言葉を交わし合う間さえも惜しい。
 胸の内から溢れ出るような愛しさを伝えようとする牧草地の神の舌の動きに即座に反応を返す白馬は、牧草地の神の頬をさらに一撫でした後、自らの上衣の留め紐を引っ張って解く。
 はらりと衣の前が開かれ、先程までわずかに覗く程度だった白馬の胸元が完全にあらわになった。
 薄目を開けてそれを見た牧草地の神はハッと息を呑み、あまりにも素晴らしいその胸に魅入ってしまう。
 すると白馬は「あなた様のものです」とまっすぐに言った。

「この体も、心も、すべて蒼様のものです。ですから…好きにしていいんです」
「好きに…」
「はい。触れるのも、なにをするのも……」

 白馬の言葉に目を瞬かせた牧草地の神は少し躊躇ってから、おずおずと白馬の胸に手を差し伸べる。
 指先を近づけ、その熱気に怯みながらも白馬の色白な胸に触れる牧草地の神。
 一度触れさえしてしまえば躊躇う気持ちはどこかへと消え去り、牧草地の神はそのまま手のひらを白馬の胸に押し当ててそこからの熱気を存分に感じ始める。
 白馬は牧草地の神の手の上から自らの手を重ね、さらに胸に押しつけさせた。

「もっと…私に触れてください、蒼様。私のすべてに触れて……何もかもあなた様のものだと、知らしめていただきたいんです」
「ハク…」
「蒼様」

 白馬の眼差しに感化され、牧草地の神も自らの衣の留め紐を解いて上半身を晒け出させる。
 若い草の茎のように瑞々しいその胸は白馬のものと比べるとやはりいくらか貧弱な印象を受けるが、それも白馬に言わせると『繊細な芸術品のようです』ということだ。

「美しい……蒼様、とても…お美しいです」
「ハク…この体へ触れてほしい、君に。同じように、私も君のものだと知らしめてほしいんだ…私は君のものだよ、ハク…すべて君の好きにしてほしい、どんなことでもしてほしいんだ」

 牧草地の神は白馬の手を取り、自らの胸に当てさせる。

「どんなことでも…?」
「うん、どんなことでも」
「それは…こういうことも?」

 白馬の手が牧草地の神の胸からさらに下へ向かい、下腹部の辺りを彷徨い始める。
 牧草地の神は白馬の首筋に ちゅっと口づけると、「もちろん…」と腰を動かして下腹部を白馬の手に擦りつけた。

「君と…君と1つに……身も心も繋がりたいんだ。もう……ずっと前から…そう思ってる……」
「蒼様…っ」

 牧草地の神の甘えるような、懇願するような声と瞳と仕草は白馬の興奮を煽る。
 白馬はもう1度激しく牧草地の神に口づけると、牧草地の神の下衣の留め紐に手を掛けてそれをそっと解き、少しずつその中へと手を進めて足の間にあるものを手の中に納めた。
 初めての感覚に身震いする牧草地の神は、それから柔らかくそこを扱われ、次第にあけすけな嬌声をあげ始める。
 (自分は一体白馬の目にどう映っているのだろうか)という不安や恥ずかしさ、そして敏感な部分に感じる白馬の神力の心地良さは混ざり合って気分を高めていく。
 足をもじもじと動かすと股の間はきつく締まり、それはまるでそこにある白馬の手を逃すまいとしているかのようだ。

「蒼様…気持ちいいですか?」
「ん…う、ん……」

 なんとか頷いて応えると、白馬は「良かった…」と微かに笑みを見せる。

「蒼様は私と1つになりたいと…仰いましたね。それはつまり…ここを……」
「んっ…っ」
「委ねてくださる、ということですか」

 白馬の人差し指は牧草地の神のぴたりとくっついた尻の割れ目をなぞり、その奥に隠されている秘められた孔を探り当てていた。
 牧草地の神は人間がどのようにして睦み合うのかを(不本意な状況が多かったにせよ)すでに良く知っている。
 それが男同士では、どういう風になるのかということについても。
 牧草地の神は自らが上になりたいと思ったことは1度もなく、むしろ白馬のこの見事な体に組みしだかれたいと思い続けてきた。
 そしてそれはもう、すぐ手の届くところにある。
 牧草地の神はもぞもぞと足を動かし、緩みきった下衣の裾につま先を引っ掛けてそれを脱ぎ捨てると、自らのすべてを捧げるといわんばかりにわずかに足を開いた。

「ハク…言ったでしょ、どこもかしこも全部…君のものだって」
「…っ」

 牧草地の神の手は白馬の胸元から徐々に下へと向かい、やがて固く結ばれた下衣の留め紐にたどり着く。
 その一端を引っ張ると、その結び目は簡単に解け、さらりという軽やかな音と共に牧草地の神の下腹部へ落ちた。
 その妙な感覚がもたらした くすぐったさに「っん…」と喉から声が漏れる。
 次の瞬間、ぱっと身を起こした白馬はその弛くなった下衣を太ももまでおろし、そこにある雄々しいものをあらわにさせた。
 突然眼前に現れた『それ』。
 牧草地の神は思わず手で顔を覆うようにしながらも『それ』から目を離せない。

「き、君は……やっぱり馬、なんだね…」
「…?」
「いや、その……お、おおきい…と思っ、て……」

 直視するのは恥ずかしいが、しかしどうしても見ずにはいられない白馬の『それ』。
 無論、牧草地の神はそうした男の象徴たるものが一般的にどれくらいの大きさであるものかは知らない。それが分かるほど近くで『それ』を見たことはないからだ。
 自らのものを他と比べることなども全くしたことがない。
 しかし、これだけははっきりと分かる。
 人のものと形は同じだが、明らかに白馬の『それ』は一般的なものよりもはるかに太く、長いということを。
 固く勃起した白馬のそれはけっして無視できない存在感を放っていて、牧草地の神はつい目が釘付けになってしまう。
 これに直接触れたら、一体白馬はどんな反応をするのだろうか。
 そんな好奇心もあり、牧草地の神は手を伸ばして『それ』を手のひらで包み込む。

「っ……」

 白馬の反応は非常に良い。
 手のひらでも包み込みきれないほどの白馬の肉棒は熱く脈打っているようで、それ自体がなにか別の生き物のようにも思える。
 牧草地の神は白馬の反応につられ、神力を弱く放ちながら手を前後に動かして刺激を強めた。

「は、ぁっ……そ、蒼様……っ」
「ハク……気持ちいいの?」
「蒼、様………」

 牧草地の神の首筋を白馬の熱い吐息が撫でていく。
 時々漏れる声と切なげな「蒼様…」という囁きは牧草地の神をこれ以上ないというほどに興奮させ、まるで強烈な媚薬のように作用する。
 やがて白馬は「い、いけません、蒼様…」と苦しげにしだした。

「も、う…止めてください、いけません、このままでは、私は………」
「ハク…いいから、このまま…ね?私のお腹の上に出して…気持ちいいまま、そのまま…存分に……」
「そ、蒼、さま…はぁっ、あっ……」

 白馬は牧草地の神を強く抱き締め直すと、いくつかの甘い吐息を吐き出し、「イ…クッ……蒼さま……っ」と声をあげてから放出した。
 白馬の神力が多く込められた大量の精液は牧草地の神の手の中に収まりきるはずもなく、ぽたぽたと滴って牧草地の神の腹の上に白濁の池を作る。
 白馬が自らの手技で射精したことは、牧草地の神に大きな満足感と高揚感をもたらした。
 ほんの少しの間 呼吸を整えた牧草地の神は、白馬の白濁にまみれた手を自らの秘められた孔にあてがい、その周りと中の指が届く範囲にたっぷりとその白濁を塗りつけ始める。
 それに気づいた白馬はまだ興奮の収まっていない肉棒をさらに固く勃起させた。

「蒼様…」
「早く…もう、きて、ハク……」
「いけません…まずは指などで…よく慣らさないと、蒼様の御体が…」
「かまわない…私には痛みというものはないし、体が傷つくこともないから…」
「しかし……」

 この期に及んでもまだ躊躇いをみせる白馬がいよいよ焦れったくなった牧草地の神は片手で白馬のうなじをぐいっと引き寄せ、さらにもう片方の手で白馬の肉棒を握る。

「焦らさないで、ハク。もう、我慢できないんだって…分からない?はやくこれを中にちょうだい、はやく、今すぐに」
「蒼様…」
「はやく…はやく…っ!!」

 牧草地の神が自らの秘部に白馬の先端をあてがった瞬間、白馬は腰を動かし、牧草地の神の中へと侵入を始めた。
 今まで触れることすらしてこなかったそこは、あまりにも巨大なものを突然呑み込まされ、驚いているかのように激しく収縮する。
 だが白馬の方もすっかり余裕をなくしており、そんな抵抗をものともせずに強引に中を進んでいった。
 牧草地の神の秘部は目一杯に拡げられ、ゆっくりと腹の中へ入ってくる熱い肉棒をなす術もなく呑み込んでいく。
 初めての感覚に目を白黒させながら、牧草地の神はしっかりと白馬に抱きついてその強烈な異物感を全身で受け止める。

「~~っ…!!!」

 どれだけ経ったか。
 ようやく白馬の動きが止まり、牧草地の神はそっと腕の力を解いて白馬と真正面から向き合う。
 白馬の銀の長い髪が簾のように視界を遮り、互いの顔以外はまったく目に入らない状況だ。
 牧草地の神が潤む瞳を細めて微笑むと、白馬は最後だといわんばかりに力強く腰を動かし、互いの股と股をぴったりと隙間なく くっつかせた。
 すでにすべての挿入が済んだと思い込んでいた牧草地の神はその最後の一突きでようやく本当に今この瞬間をもって白馬のすべてを呑み込み終えたのだと理解する。
 白馬の肉棒は見るより、触れるよりもずっと大きい。
 体の中心にまで届くような『それ』は牧草地の神の腹をかすかに盛り上げ、今どこにあるのかをはっきりと知らしめている。
 だが、そんな状況でも痛みを感じない牧草地の神は完全に良い思いだけを味わっていた。

「全部…きてくれたね」
「大丈夫、ですか」
「ん、大丈夫…すごく嬉しいよ、ハク…君がこんなところにまできてる、私の中は君でいっぱいだ…心も体も…全部君でいっぱいだよ、ハク………」

 囁き合う間に熱烈な口づけを交わす2人。
 牧草地の神はいよいよ本格的に神力を白馬に向けて流し込み始めた。
 全身の至る所から神力を発散し、白馬の体内を隅々まで巡るように…。
 それは結果として白馬自身の神力を牧草地の神に流れ込ませることにも繋がる。
 敏感な部分は大量の神力をそれぞれ伝え合い、表現しがたいほどの激しい快感の渦を引き起こす。
 やがて白馬は牧草地の神の体内を内側から強く押し上げるような力強い抽挿を始めた。

「はっ、あっ、あぁっ…!!」

 体を揺さぶられ、首を右に左にと振りながら快感に酔いしれる牧草地の神。
 白馬は牧草地の神の魄が胸の辺りに収まっていると知っているかのように牧草地の神の胸の薄い桃色の部分に触れ、そこからも神力を流し込む。
 魄に近いところから直接流し込まれる白馬の神力は強烈に作用し、牧草地の神をさらに激しく喘がせた。

「ううっ、ああっあっ、い、いいっ…きもちぃ……っ!」
「蒼様…すごくお美しいです……美しすぎて、どうにかなってしまいそうです……」
「ハ、ク…うんんっ!!やっ、あああっ!!!」

 足を曲げ伸ばししながら身をよがらせる牧草地の神は信じられないほど官能的で、妖艶で、愛らしい。
 そんな姿を見てさらなる欲が湧かないはずがないだろう。
 白馬は牧草地の神に覆いかぶさりながらいっそう激しく中を攻めたてる。
 激しくしながらも気遣い、欲を満たしながらも愛を伝えるようなその動きはすっかり牧草地の神の身と心を溶かし、互いのすべてが1つになったような感覚にさせてしまう。
 想像していたものとは比べ物にならない。
 ましてや、口づけだけで神力を混ぜ合っていた時とも雲泥の差だ。
 意識を朦朧とさせてしまうようなゾクゾクとした感覚が体中を駆け巡る中、牧草地の神は必死に白馬の腕にすがりつく。

「ハク、ハクぅ……」
「蒼様…」

 白馬に耳たぶを甘噛された牧草地の神はハァハァと息をつきながら「ハク…」と呼びかける。

「『そう』って呼んでよ…ハク……」
「それ、は…いけません、蒼様のことをそんな……」
「お願い、ハク…せめて閨の中だけでもいいから…様なんてつけないで……」
「………」
「おねがい、ハク…ねぇ、ハクぅ…」
「………蒼」
「っん、ああっあっ…!!」

 白馬の声に敏感に反応する牧草地の神。
 すると白馬は動きを止め、牧草地の神の額にかかる前髪を指先で除けると、頬を優しく包み込みながら言った。

「蒼…愛してる」

 一度名をそう呼んでしまえばもはや何も遮るものはない。
 白馬は何度も「蒼、愛してる、蒼」と囁きながら再び絶え間なく腰を打ちつけ始めた。
 この閨はすっかり甘いもので満ちていて、何人たりとも近寄らせないような雰囲気に包まれている。
 やがて牧草地の神は足を白馬の腰に絡めながら「だ、め……おか、しい……」と喉を反らせながらうわ言のように呟いた。

「おかしく、なっちゃ……っ、ハク……ぅ」
「うん…おかしくなってよ、蒼」
「うっ、や、ああっ、あっ……!!!」

 白馬は指で牧草地の神の唇に触れながら流し込む神力を強める。
 その瞬間、牧草地の神は白馬が離れていくのを許さないというかのように四肢を絡みつかせてしっかりとしがみつくと、腰を浮かせながら体をガクガクと痙攣させた。
 体の奥底から湧き出てくる正体の分からないその感覚はまったく未知のものでありながらも、素晴らしい。
 激しく胸を上下させる牧草地の神は潤んだ瞳を白馬に向け、しばしの間ぼうっとする。
 だが、それからわずかに眉根を寄せて「な、んか……おかしい……」と熱っぽく言った。

「なんで………はあっ、これ……」

 牧草地の神は絶頂を迎えはしたが射精しておらず、未だに前のものは1滴も白濁を漏らさずに固く勃ったままだ。
 白馬はすぐさまそれに気づき、牧草地の神の前のものを握り込んだ。

「こっちを出せば…楽になるはず」
「ひ、いいっ、やぁっあっ……!!!」
「少し我慢して……精を、放つまで……」

 中で絶頂を迎えたばかりの牧草地の神は手を握るのだけでも充分に感じてしまうほど全身が敏感になっているというのにもかかわらず、そんな部分を扱われて正気を保てるはずがない。
 まるで苦しみを味わっているかのようにきつく眉根を寄せ、上半身を仰け反らせたり、首を左右に振ったりする牧草地の神。
 白馬はなるべく早く牧草地の神が射精に到れるよう、牧草地の神の腹の上に散らばった自身の白濁を手に塗りつけてからさらにそこを扱った。
 滑らかな感覚になったことで、より刺激を強められた牧草地の神は「い、いいっ、い、く………っ!!!」と大きな声をあげる。

「やっ、ああっ、あああっあっ、うぅんんっ……!!!!!」

 牧草地の神の腹の上。
 白馬と牧草地の神の白濁がそこで混ざりあった。

ーーーーーーーー

 体を重ね、足を絡め、鼻先をくっつけながら2人は時々何かを囁き合いながら軽く口づけを交わす。
 くすくすと微笑んでは唇を重ね、目を見つめては唇を重ね、髪を撫でては唇を重ねる…。そんな穏やかという言葉そのものの時が流れているが、下の方は未だにしっかりと繋がったままであり、けっしてすべてが終わっているわけではない。
 だが一通りしたい放題をした後でのこの時間は、2人にとっての至福の一時だ。

 改めて間近で見ると、白馬は転生する前と比べて少しずつ、様々な部分が成熟し、洗練されたような印象を受ける。
 あどけさの残るようだった瞳はすっかり大人びて不思議な深みを持ち、眉の凛々しさもよりはっきりとしているようだ。
 さらにそこに体を巡る神力がただならぬ雰囲気を醸し出している。
 転生前は歳下のような可愛らしさが見受けられたのだが、今ではすっかり歳上の、頼りがいのある様子がうかがえる白馬。
 それでも言葉を交わせば以前の白馬と同じであり、牧草地の神には白馬がまさに完全無欠の存在に思えてならなかった。

 互いの体に腕を回し、抱きしめながら口づけをするのは一体これで何度目だろうか。
 もはや何度目とも分からない深い口づけを交わしていると、牧草地の神は目の端に何かふわふわとしたものが漂っているのに気がついた。
 それに何気なく目を向けながら唇を離すと、白馬も牧草地の神の視線を辿ってそのふわふわとしたものを見つける。
 それは白く輝いているようで、なんとも不思議な様子だ。

(な…んだろう、これは……?)

 牧草地の神がぼうっと見つめていると、そのふわふわとしたものは閨のそばにまで近づいてきた。

「…?」

 正体の掴めないそのふわふわとしたものを何故かじっと見つめてしまう2人。
 だがその時、2人の耳にはっきりとした声が聞こえてきた。

『おとうさま』

「……!?」

 牧草地の神は耳を疑ったが、たしかに今聞こえた声はそのふわふわとしたものから聞こえてきたのに間違いないようだ。
 呆然と目を瞬かせる牧草地の神に対し、白馬はそのふわふわとしたものが意思(もしくは意識)をもっているのだと気がつき、すぐさまそばにある寝具を引き寄せて牧草地の神の体を隠す。
 白馬の体はほとんど隠されていないが、白馬にとっては自身のことなど二の次三の次であるらしい。
 白馬はいくらか警戒しているが、牧草地の神は呆然としたままそのふわふわとしたものを見つめ続けていた。

『おとうさま』
「おとう…さま…?」
『おとうさま』
「それ、は…私のこと?」
『おとうさま』
「私のことなの?」

 ふわふわしたものに話しかける牧草地の神。
 牧草地の神が手をついて起き上がろうとしたため、白馬は慌てて牧草地の神の中から自らのものを抜き出すと、牧草地の神を支え起こし、その体をしっかりと寝具で覆った。
 牧草地の神はふわふわとしたものに手を伸ばす。
 すると、なんとそれは牧草地の神の手の上に乗るかのようにそこへ落ち着いた。
 牧草地の神は手をそばへ引き寄せると、再び「おとうさま、なの?」と呼びかける。
 すると、ふわふわしたものは『おとうさま』と答えた。

『おとうさま』
「君は…もしかして……」
『また、会えた』
「………!」
『おとうさま』

 その瞬間、すべてを悟ったらしい牧草地の神はぱっと泣き出しそうにも見えるような笑みを浮かべ、まるで宝物を扱うかのようにしてそのふわふわとしたものを両手で包みこんだ。
 まったく訳が分からない白馬。
 牧草地の神は手の中のふわふわとしたものに額を近づけると、それから「ごめんね、ちょっと向こうで待っててね」と優しく声をかけた。
 するとそれは言葉をきちんと理解しているかのように、宙を漂って部屋の端へと向かう。
 白馬は「な、なんなんですか?」と困惑して訊ねた。

「あれ…は、小さい神とも違いますよね?蒼様はあれがなんなのか、ご存知なんですか?あれは……」
「うん…ハク、分かるよ」
「えっ…」

 ますます困惑する白馬の首後ろに両腕を回した牧草地の神は、口づけをしながら自らを押し倒させる。
 それからなんと、牧草地の神は自身のものと白馬のものを同時に手の中に収めて扱い出した。
 戸惑いながらもその感覚にゾクリとさせる白馬。
 牧草地の神は片手では収まりきらない2本の肉棒を両手で扱く。

「ハクの…本当に大きい……っ……片手ではとても無理だよ………」
「ちょ、ちょっと、蒼様……っ」
「ねぇ…蒼って呼んでって言ったのに……ハク、ハクぅ……んっ……ハクのが熱くって……きもち、いいっ………」

 熱く拍動を強める敏感なその部分は互いの神力をつぶさに伝え合い、すぐさま絶頂へと引き上げてしまう。
 覆いかぶさる白馬が腰を動かし、牧草地の神の手の中を強く擦りあげるようにしたことであまりにも大きな快感の波がもたらされた2人はそのまま揃って射精した。
 放たれた精液が牧草地の神の腹の上で混ざる中、2人はさらに固く抱き合ってじっと呼吸を整える。
 ようやく顔を向き合わせることができるようになった頃、やはり目の端になにかふわふわとしたものが漂っていることに気づいた白馬は「また…なんなんですか」と眉根を寄せ、牧草地の神を自らの体で隠そうとした。
 白馬の肩の辺りから顔を覗かせた牧草地の神はそのふわふわとしたものを見て「ん…やっぱり」と目を細める。

「ハク…ちょっといい?」
「え、はい…?」

 白馬の手を借りて起き上がった牧草地の神は、濡れていた手のひらに息を吹きかけてまっさらな状態にすると、ふわふわとしたものに向かって差し伸べて「おいで」と呼びかけた。
 するとやはりそれは言葉を理解しているように大人しくその手の上へやって来る。
 牧草地の神は嬉しそうに微笑み「君は?」と優しい声音で話しかけた。

「君の声を聴かせてくれる?」

 ふわふわとしたそれはしばらくじっと黙って牧草地の神の手の上をくるくる回っていたが、やがて『ととさま』と小さく声をあげる。
 それを聞くなり、牧草地の神は何度も嬉しそうに頷いて目に涙を浮かべた。

「ととさま…ととさまか、うん……それはきっと、この美しい銀の髪の人のことだね?」
『ととさま』
「そう、そうだね、『ととさま』か…ふふっ、私は『おとうさま』だよ」
『おとうさま』
「そう!お利口さんだね」
『言った、会える』
「うん…うん、そうだね、そうだったよね」

 状況がさっぱり飲み込めない白馬は「なんなんですか、さっきから……」と未だに警戒を緩めておらず、牧草地の神は「大丈夫だよ、ハク」と微笑んでさらに言う。

「この子はさっきの子とは別なんだ。ほら、さっきの子はまだあっちに……君もこっちにおいで、ここに来てごらん」

 牧草地の神の呼びかけに反応したらしく、部屋の外から先程のふわふわとしたものが宙を漂ってそばに来た。
 2つのそれは同じように見えるが、わずかに色味が異なるようだ。
 牧草地の神は白馬にしっかりと体を覆われながらその2つともを手に乗せる。

「ハク、見て……『かりん』と『やまもも』だよ」
「……は…い……?」
「こっちが『やまもも』、今呼び寄せた子が『かりん』だ」
「な、何を仰ってるんです…?」
「たった今生まれたんだよ、この子達。この子達から私と君の神力がわずかに感じられる………さしずめこの子達は…うん、私達2人の子なんだ」
「はい…?」

 目が点になったように呆然とする白馬の手を取り、牧草地の神はそのふわふわとしたものを自らの手から移した。

「どう?分かる?私達の神力がこの子達から感じられない?」
「それは…たしかに 蒼様と私のものに、似てはいるようですが…」
「この子達も私達の姿が見えているわけではないようだけど、おそらく神力を感じ取ることで認識しているんだろう。…ふふ、私は『おとうさま』で君は『ととさま』だって……可愛いね」

 白馬が信じられない気持ちでじっと眺めていると、ふわふわとしたものは『ととさま、ととさま』と口々に言って辺りをグルグルとせわしなく回り始める。
 まるで追いかけっこでもしているかのように『きゃあきゃあ』と歓声をあげるため、静かだった閨は途端に賑やかになり、牧草地の神は苦笑した。

「ほら、こっちにおいで」

 牧草地の神が手を差し伸べると、再び2つのふわふわしたものはそこに大人しく降り立つ。

「いい?お父様達は大事なお話があるから…2人で少しお外にいてくれる?このお屋敷の中だったらどこに居てもいいよ、お庭でもどこでもね」
『おとうさま、おとうさま』
「うん、また明るくなったら沢山お話をしよう。お父様も聞きたいことが沢山あるんだ」

 そっと手を宙に差し向けると、ふわふわとしたものは軽く浮き上がり、牧草地の神の手を離れて庭の方へと出ていった。
 まるでじゃれ合うようにくるくると回りながら、『きゃあきゃあ』と楽しそうな声をあげて。

 それらの姿が部屋の外へ消えていくのを見つめながら、牧草地の神は横にいる白馬に抱きついて「まさか、こうとはね」と頬を擦り寄せる。

「いつか会えるって…こういうことだったんだ」
「あの…さっぱり訳が分からないんですが…?」
「うん、そうだよね」

 疑問符の絶えない白馬に、牧草地の神は「これは私の憶測に過ぎないけど…」と説明する。

「本来、『命』だとか新たなものを生み出すには2つのものが必要なんだ。うーん…分かりやすく言うと、種と卵…?私達は男性体をしているから、種しか持ち合わせていないよね、だから完全な姿あるものを生み出すことはできない。そう、姿を持つものは生み出せないんだ。でも私達の神力が混ざり合うことで新たな『魄』を、『命』を生み出すことはできた。それがあの子達だ。私達の神力が生み出した、新たな『魄』なんだよ」

 牧草地の神の言葉に「そんなことが…?」と目を瞬かせる白馬。
 牧草地の神は「もちろん、私の推測に過ぎないけどね」と再度ことわる。

「推測に過ぎないけど…でもそういうことだと思う。これに関してはきっと森の神や風の神がよくご存知………あっ」
「どうしました?」
「風の神…卵………そうか、そういうことだったのか」

 牧草地の神はいつか見た風の神と側仕えのひたきの姿を思い出す。
 あの時、鶲が抱えていた卵に関して随分と疑問に思ったものだが……あれはきっと本当に『風の神と鶲の子』である『魄』が宿った『器』だったに違いない。
 忘れかけていたようなあの時の疑問の答えをここで知ることになるとは、と牧草地の神は微笑む。

「あの、それにしても、なぜ蒼様はあの子達が『かりん』と『やまもも』だと仰ったんですか?」
「うん、それは声が同じだったからね」
「声、ですか?」
「うん、そうだよ、声。…そっか、君は聞いたことがないんだった」
「声…?」

 牧草地の神は自身が『器』に魄を移していたときのことを改めて話す。
 『あけび』や『やまもも』などとして他の動物達と話をしたりする際、牧草地の神は自身の声がいつもとは微妙に異なるような印象を受けていたのだ。
 『器』の体の大きさなどによるものかと考え、当時はたいして気にも留めていなかったのだが…どうやらあの声は『あけび』や『やまもも』、『かりん』自身のものだったらしい。
 声が似ているのは、『器』も、あのふわふわとした新たな『魄』も、どちらも牧草地の神の神力を受け継いだものだからだろう。
 いわば牧草地の神とは血が繋がっている、親子なのだ。

「あの子達が…蒼様と私の……子……」
「うん、そういうことになるね」
「蒼様と…私の、子……」

 白馬は牧草地の神を抱きしめ、髪から香る爽やかな花の香りを胸に入れながら囁く。

「子を…それも蒼様との子を授かるだなんて……私にはありえないことだと、思っていたので……そんな幸運があって…いいんでしょうか……」
「…でも、実際にあの子達が生まれたよ」
「そう…そうですね、本当に蒼様と私の神力を持つ子が……」

 白馬は目に涙を浮かべ、何度も「信じられないくらいに…嬉しいです、とても…」と繰り返した。

 神と側仕えの動物。
 男同士。

 どんな角度から考えても、子を授かるはずのない2人。
 しかし、現に先程の『かりん』と『やまもも』は2人を『父』と、『親』とみなした。
 2人の内なる神力が新たな『魄』を生み出したことは間違いない。

「ねぇ…ハク……」

 牧草地の神が首筋へ吸い付くような口づけをすると、白馬はゴクリと喉を鳴らす。

「あけびも……待っているんじゃないかな…また私達に会うのを……」
「あけびも……」
「うん……」

 唇が触れ合うほどの距離で囁やき合うその声は、どちらも次第に熱を帯びていく。

「どうすれば…あけびが生まれるんですか」
「ん……知りたい…?」
「はい…教えてください、蒼様…」

 白馬は牧草地の神に腕を回し、そっと、じっくりと、焦らすように閨へ牧草地の神を押し倒した。
 間近で見つめ合う瞳にはどちはも情欲の炎が燃えている。

「蒼…教えて…?」
「んん……どうしようかな……秘密にしちゃおうか」
「……またそんないじわるを」

 堪えきれずに唇を合わせて神力を混ぜ合う2人。

「んっ……ハクが私を沢山愛してくれたら……きっと生まれるよ」
「こんなに愛してるのに、もっと…?」
「うん…もっと……」
「もっと…?」
「ん…もっと、もっとたくさん……」

 互いのすべてを舐め尽くすかのような熱烈な口づけを交わす中、牧草地の神は白馬の胸、肩、背、脇腹をなぞり、さらに腰の後ろから前の方へと手を滑らせていく。
 白馬も先程まで自らのものを咥え込んでいた牧草地の神の秘部に手を伸ばし、まだそこが充分に柔らかいことを確認した。

「んっ、はぁっ、あっ……すき…すき、ハク…ぅ……っ」
「っ……」

 従順に足を開いて白馬を待つ牧草地の神。
 白馬は牧草地の神の片足を自身の胸に引き寄せて肩にかけると、尻の間にひっそりと隠れている秘部に向かって勃起した肉棒の先端をあてがう。

「ああっ、あっ、あ、ハク……おっきい……おっきいの、挿入はいってきてる…ぅっ……」
「もう少し待って…全部挿入るまで、まだ……………あと半分……」
「ひ、いぃっ…んぅぅ、ぅ、ぅぅっ……あっ、あぁっ、あっ……おっ…おっきい………」

 身を捩らせる牧草地の神は片足を上げさせられていることにより、体が横向きになってしまう。
 牧草地の神の片足の上に跨り、挿入を続ける白馬。
 この体勢では仰向けの時よりもずっと深くまで白馬のものが届き、牧草地の神はまるで天と地がひっくり返ったかのような凄まじい感覚に襲われた。
 さらに、目を白黒させながら顔を俯かせると、視界に自らの下腹部の様子が飛び込んでくる。
 大きく開かれた足と、その間にピッタリとくっつけられた白馬の下腹部。
 膝立ちになっていることで一層引き締まった筋肉をみせる白馬の太ももと自らの足を抱えあげている腕の筋。
 そして、白馬が動く度に見え隠れする結合部…。
 まさに白馬と繋がっているのだということがありありと分かるその光景に、牧草地の神は激しい興奮と羞恥を掻き立てられる。
 敏感な部分で牧草地の神を感じている白馬もそれをきちんと理解しており、むしろわざとらしくぎりぎりのところまで肉棒を抜き出しては、ゆっくりと見せつけるようにしてまた挿し込むということを繰り返している。

「や、やめ……あ、やぁっあっ、ぅうあっっ……!!!」

 牧草地の神が両腕を伸ばすと、白馬は足を抱えているのとは別の腕を伸ばして牧草地の神をしっかりと捉える。
 固く握り合った互いのその手はきっと何者にも分かれさせることはできないだろう。
 白馬は牧草地の神の両腕を引き寄せるようにしながら、喘ぎ声が途切れ途切れになってしまうほどの激しい抽挿を始めた。

 体内がめちゃくちゃになってしまいそうなほどの抽挿に悶えよがり、幾度も大きな喘ぎ声をあげる牧草地の神。
 閨の中はすっかり聞くに堪えないような嬌声でいっぱいになっていた。
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