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第三部
22「屋敷」
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「それ、は…友達…として…」
「じゃない。恋人や夫婦の『好き』だ」
「こ、恋人や夫婦…の…」
それきり黙ってしまった彼が次になんと言うかを待っていた若領主だが、そのうちしびれを切らして「なんとか…言ってくれないかな?」と困ったように尋ねた。
「何か言ってくれると…嬉しいんだけど…」
すると彼は呆然としたまま口を開く。
「あの…今日、僕はここにお別れを言いに来たんです…ここへも、もう2度と来ないつもりで…」
「…勝手にそんなことを決められては困るよ」
「若領主は夫人を迎えなくてはならないから、こんな…僕の思いが叶うはずもなくて…」
「私は夫人を迎えない、迎えられるわけがない。君のことを苦しいほど想っているのに、どうしてそんなことができるんだ」
「でもこんな…こんなの、僕に都合が良すぎるじゃないですか…」
「それは私の台詞だ、君が本当に私を想ってくれているのならね。私は君に伝えたけど、応えてはくれないのかな?」
彼は少し躊躇う素振りを見せてから、ようやく顔を上げ、「僕…」としゃくりあげながら言う。
「僕…若が好きです」
「うん」
「こんなふうに…触れていたい、そばに居たいんです…」
「うん、私もだ」
「う、嘘だ…こんなこと…夢?」
若領主は夢なのではないかと疑って戸惑う彼の頬に手をあてると、そのまま首を傾けて唇を重ねた。
先日の口元を掠めたものとは違う柔らかなその感覚は、なんとも言い表せない幸福感をもたらす。
どれほど経ったか、ようやく唇を離した若領主はそのまま自らの額を彼の額に合わせた。
2人の瞳はとても近い距離にあって、他のものは一切目に入らない。
耳に煩いほど響く鼓動を全身で感じながら、どちらからともなく、再び唇を合わせた。
「あ、あの…若は設計図を仕上げないと…」
「いや、君と少しでも長く一緒にいたいんだ」
「は、い…」
他の患者の元へと向かわなければならないという彼を屋敷まで送るべく、若領主は彼と共に並んで歩きだしていた。
恥ずかしげに視線を下げている彼をじっと見ていると触れたい気持ちが湧き上がってきて、若領主は彼の手を取ってしっかりと握りしめる。
もう気持ちを抑えなくてもいいのだという安心感で胸はいっぱいだ。
「…次はいつ休みなんだ?」
「え…あっ、休み…明後日です…」
「うん、明後日か。なにか予定は?」
「特に…ありませんけど…」
「よし、じゃあそのままでいて。いいね?」
彼は握られた手にそっと力を込めながら頷いた。
屋敷への道はあまりにも短く、すぐに執務室の隠し扉まで辿り着いてしまう。
若領主は扉の前で立ち止まると、彼の瞳をじっと覗き込み、そのまま口づけた。
突然の口づけに彼は言葉もなくして固まっていて、若領主はそんな彼の姿に後ろ髪を引かれる思いで隠し扉に手をかける。
「あれ、若領主もこちらへいらしたんですか」
「あぁ、彼を送りに来たんだ」
そうそう表情を変えることがない侍従だが、隠し扉の奥から姿を表した彼の姿を見ると、さすがに驚きの表情になった。
俯いた彼は鼻先から何からを真っ赤に染めあげていて、やけに上機嫌な若領主と合わせて考えれば『何か』があったことは疑いようもない。
彼が呟くように「失礼します…」と言って去っていった後で、侍従は「だから申し上げていたのに」と呆れた様子で言った。
「うん?何をだ?何のことだ?」
「…いえ、なんでもございません」
若領主は笑い声を上げると初めての浮き足立つ気持ちを抑えつつ「なぁ、明日のことで少し相談したいことがあるんだ…」と侍従に持ちかけた。
「若領主!これはこれは…」
「突然すまないね、ちょっとそこまで来たから寄ったんだ」
翌日、若領主は侍従と共に酪農地域の第5医院、彼の家を訪ねていた。
「医師殿、次男の彼はいるかな?」
「おりますよ、さきほど配達から帰ってきたんです。…若領主、なかなかご挨拶に伺えませんで申し訳ございません。先日のお怪我はうちの倅を庇ってとのことで…」
「いやいや、ご子息のおかげでもうすっかり良くなったよ。手当もそうだし薬も…本当に腕のいいご子息方だ」
「ありがとうございます」
若領主が彼の父親である『医師殿』と話をしていると、そこへ彼もやってきて「わ、若…!」と驚きの混ざった声を上げた。
彼は視線を若領主と合わせないようにしたいらしく、わざと目線を下げている。
「ちょっとね、君に話があって寄ったんだ。君がよく手当をしてくれたおかげですっかり良くなったから、そのお礼に屋敷へ招待したいんだ。ほら、屋敷には本が山程あるからね」
「え…お、お礼だなんてそんな…」
「本が好きだと言っていたからどうかと思ったんだけど、嫌かな?」
「い、いえ、そうではなく…!その、いいんで…しょう…か…」
「もちろん、私がいいと言っているんだから。君の休みはいつかな?」
もちろん、若領主は彼の休みが明日だということを知っている。
彼には若領主がこうして再び休みの日を尋ねた意味を計りかねているようで、「明日…です」といくらか警戒めいて言った。
若領主はわざとらしくも感じられるように「それならちょうどいい」と笑顔になる。
「あぁ…ただ、今夜からまた雨になりそうだ。明日、雨の中屋敷まで来るのは大変だろうし…医師殿、彼を今夜屋敷に泊めても構わないだろうか?」
「わ、若…!?」
「しかし…ご迷惑ではありませんか?」
「いやいや、そんな。食事も用意できるし、着替えだけ持って来てくれればこちらは大丈夫なんだ。どうだろう、私は医師達の都合についてよく分かっていなくて…」
「あぁ、いえ、所在が分かっていれば大丈夫なんです。…うん、じゃあお言葉に甘えたらどうだ?」
彼は思いがけない父親からの言葉に目を丸くして「い、いいの?」と尋ねた。
すると父親は頷いて答える。
「せっかく若領主が直々にいらしてこう仰ってくださってるんだから。図書塔の本はもう端から端まで何度も読みつくしたんだろう?兄さんの薬草の手入れを手伝いに行ったりして最近はろくに休みもなかったんだし」
「じゃあ…じゃあ僕、本当に行ってもいいの?」
「あぁ、失礼のないようにな」
彼の瞳はキラキラと輝いているが、それは屋敷に泊まれるからなのか、それとも本を読めるからなのかは分からなかった。
夕方になって屋敷にやってきた彼を出迎えた若領主だが、すぐさま侍従に「まだ仕事が終わってないじゃないですか」と早々に執務室に追い立てられてしまう。
侍従は彼に屋敷を案内すると記録室の扉を開け、食事の時間まで好きに本を読んでいて構わないと告げた。
「ご入用でしたら、何なりとお声がけください」
「ありがとうございます。…あ、あの、泊まらせていただけるとのことですけど…その部屋はどちらに?」
「他にも部屋はございますが…別にも用意したほうがよろしいでしょうか」
「それはどういう意味ですか…?」
侍従は「ひとまず、夕食の支度をしてまいります」と恭しく礼をして去っていってしまう。
侍従の言葉の真意が分からず彼はくつろぐにくつろげない心持ちだったが、それも棚という棚に収められた本の背表紙を目にするとどこかへと消え去っていった。
執務室で取った2人での夕食は初めこそ緊張感が漂っていたものの、すぐに楽しいひと時になる。
若領主は彼がすぐそばにいるというこの状況にドギマギとしていて、まずは心を落ち着けようと彼に湯浴みをするよう促すと、先程侍従とかわした会話を1人思い出していた。
(「若領主。彼が先程『自分はどこに寝泊まりするのか』と尋ねてきたのですが、他にも部屋を案内したほうがよろしいですか?」)
月の美しい夜が、窓の外に広がっていた。
「じゃない。恋人や夫婦の『好き』だ」
「こ、恋人や夫婦…の…」
それきり黙ってしまった彼が次になんと言うかを待っていた若領主だが、そのうちしびれを切らして「なんとか…言ってくれないかな?」と困ったように尋ねた。
「何か言ってくれると…嬉しいんだけど…」
すると彼は呆然としたまま口を開く。
「あの…今日、僕はここにお別れを言いに来たんです…ここへも、もう2度と来ないつもりで…」
「…勝手にそんなことを決められては困るよ」
「若領主は夫人を迎えなくてはならないから、こんな…僕の思いが叶うはずもなくて…」
「私は夫人を迎えない、迎えられるわけがない。君のことを苦しいほど想っているのに、どうしてそんなことができるんだ」
「でもこんな…こんなの、僕に都合が良すぎるじゃないですか…」
「それは私の台詞だ、君が本当に私を想ってくれているのならね。私は君に伝えたけど、応えてはくれないのかな?」
彼は少し躊躇う素振りを見せてから、ようやく顔を上げ、「僕…」としゃくりあげながら言う。
「僕…若が好きです」
「うん」
「こんなふうに…触れていたい、そばに居たいんです…」
「うん、私もだ」
「う、嘘だ…こんなこと…夢?」
若領主は夢なのではないかと疑って戸惑う彼の頬に手をあてると、そのまま首を傾けて唇を重ねた。
先日の口元を掠めたものとは違う柔らかなその感覚は、なんとも言い表せない幸福感をもたらす。
どれほど経ったか、ようやく唇を離した若領主はそのまま自らの額を彼の額に合わせた。
2人の瞳はとても近い距離にあって、他のものは一切目に入らない。
耳に煩いほど響く鼓動を全身で感じながら、どちらからともなく、再び唇を合わせた。
「あ、あの…若は設計図を仕上げないと…」
「いや、君と少しでも長く一緒にいたいんだ」
「は、い…」
他の患者の元へと向かわなければならないという彼を屋敷まで送るべく、若領主は彼と共に並んで歩きだしていた。
恥ずかしげに視線を下げている彼をじっと見ていると触れたい気持ちが湧き上がってきて、若領主は彼の手を取ってしっかりと握りしめる。
もう気持ちを抑えなくてもいいのだという安心感で胸はいっぱいだ。
「…次はいつ休みなんだ?」
「え…あっ、休み…明後日です…」
「うん、明後日か。なにか予定は?」
「特に…ありませんけど…」
「よし、じゃあそのままでいて。いいね?」
彼は握られた手にそっと力を込めながら頷いた。
屋敷への道はあまりにも短く、すぐに執務室の隠し扉まで辿り着いてしまう。
若領主は扉の前で立ち止まると、彼の瞳をじっと覗き込み、そのまま口づけた。
突然の口づけに彼は言葉もなくして固まっていて、若領主はそんな彼の姿に後ろ髪を引かれる思いで隠し扉に手をかける。
「あれ、若領主もこちらへいらしたんですか」
「あぁ、彼を送りに来たんだ」
そうそう表情を変えることがない侍従だが、隠し扉の奥から姿を表した彼の姿を見ると、さすがに驚きの表情になった。
俯いた彼は鼻先から何からを真っ赤に染めあげていて、やけに上機嫌な若領主と合わせて考えれば『何か』があったことは疑いようもない。
彼が呟くように「失礼します…」と言って去っていった後で、侍従は「だから申し上げていたのに」と呆れた様子で言った。
「うん?何をだ?何のことだ?」
「…いえ、なんでもございません」
若領主は笑い声を上げると初めての浮き足立つ気持ちを抑えつつ「なぁ、明日のことで少し相談したいことがあるんだ…」と侍従に持ちかけた。
「若領主!これはこれは…」
「突然すまないね、ちょっとそこまで来たから寄ったんだ」
翌日、若領主は侍従と共に酪農地域の第5医院、彼の家を訪ねていた。
「医師殿、次男の彼はいるかな?」
「おりますよ、さきほど配達から帰ってきたんです。…若領主、なかなかご挨拶に伺えませんで申し訳ございません。先日のお怪我はうちの倅を庇ってとのことで…」
「いやいや、ご子息のおかげでもうすっかり良くなったよ。手当もそうだし薬も…本当に腕のいいご子息方だ」
「ありがとうございます」
若領主が彼の父親である『医師殿』と話をしていると、そこへ彼もやってきて「わ、若…!」と驚きの混ざった声を上げた。
彼は視線を若領主と合わせないようにしたいらしく、わざと目線を下げている。
「ちょっとね、君に話があって寄ったんだ。君がよく手当をしてくれたおかげですっかり良くなったから、そのお礼に屋敷へ招待したいんだ。ほら、屋敷には本が山程あるからね」
「え…お、お礼だなんてそんな…」
「本が好きだと言っていたからどうかと思ったんだけど、嫌かな?」
「い、いえ、そうではなく…!その、いいんで…しょう…か…」
「もちろん、私がいいと言っているんだから。君の休みはいつかな?」
もちろん、若領主は彼の休みが明日だということを知っている。
彼には若領主がこうして再び休みの日を尋ねた意味を計りかねているようで、「明日…です」といくらか警戒めいて言った。
若領主はわざとらしくも感じられるように「それならちょうどいい」と笑顔になる。
「あぁ…ただ、今夜からまた雨になりそうだ。明日、雨の中屋敷まで来るのは大変だろうし…医師殿、彼を今夜屋敷に泊めても構わないだろうか?」
「わ、若…!?」
「しかし…ご迷惑ではありませんか?」
「いやいや、そんな。食事も用意できるし、着替えだけ持って来てくれればこちらは大丈夫なんだ。どうだろう、私は医師達の都合についてよく分かっていなくて…」
「あぁ、いえ、所在が分かっていれば大丈夫なんです。…うん、じゃあお言葉に甘えたらどうだ?」
彼は思いがけない父親からの言葉に目を丸くして「い、いいの?」と尋ねた。
すると父親は頷いて答える。
「せっかく若領主が直々にいらしてこう仰ってくださってるんだから。図書塔の本はもう端から端まで何度も読みつくしたんだろう?兄さんの薬草の手入れを手伝いに行ったりして最近はろくに休みもなかったんだし」
「じゃあ…じゃあ僕、本当に行ってもいいの?」
「あぁ、失礼のないようにな」
彼の瞳はキラキラと輝いているが、それは屋敷に泊まれるからなのか、それとも本を読めるからなのかは分からなかった。
夕方になって屋敷にやってきた彼を出迎えた若領主だが、すぐさま侍従に「まだ仕事が終わってないじゃないですか」と早々に執務室に追い立てられてしまう。
侍従は彼に屋敷を案内すると記録室の扉を開け、食事の時間まで好きに本を読んでいて構わないと告げた。
「ご入用でしたら、何なりとお声がけください」
「ありがとうございます。…あ、あの、泊まらせていただけるとのことですけど…その部屋はどちらに?」
「他にも部屋はございますが…別にも用意したほうがよろしいでしょうか」
「それはどういう意味ですか…?」
侍従は「ひとまず、夕食の支度をしてまいります」と恭しく礼をして去っていってしまう。
侍従の言葉の真意が分からず彼はくつろぐにくつろげない心持ちだったが、それも棚という棚に収められた本の背表紙を目にするとどこかへと消え去っていった。
執務室で取った2人での夕食は初めこそ緊張感が漂っていたものの、すぐに楽しいひと時になる。
若領主は彼がすぐそばにいるというこの状況にドギマギとしていて、まずは心を落ち着けようと彼に湯浴みをするよう促すと、先程侍従とかわした会話を1人思い出していた。
(「若領主。彼が先程『自分はどこに寝泊まりするのか』と尋ねてきたのですが、他にも部屋を案内したほうがよろしいですか?」)
月の美しい夜が、窓の外に広がっていた。
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蓬屋のBLに興味をもって下さった方へ…ぜひ他作品の方も併せてご覧下さい。【以下、蓬屋のBL作品紹介】《陸国が舞台の作品》: ・スパダリ攻め×不遇受け『熊の魚(オメガバース編有)』 ・クール(?)攻め×美人受け『彼と姫と(オメガバース編有)』 ・陸国の司書×特別体質受け『図書塔の2人(今後オメガバース編の予定有)』 ・神の側仕え×陸国の神『牧草地の白馬(多数カップル有)』 《現代が舞台の作品》:・元ゲイビ男優×フリーランス税理士『悠久の城(リバあり)』 それぞれの甘々カップル達をよろしくお願いします★
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