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番外編
ショート話「家族」
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「あのさ、韶。その…今度俺の両親が酪農地域に来るんだけど」
「会ってくれないかな、俺の家族に」
番になろうという話が出た後のある冬の日のこと、璇からそう提案された夾は茶を入れようとしていた手を止めた。
「璇さんのご家族に、ですか?」
「うん。兄さんはいつも【柳宿の器】にいるからよく知ってるだろうけど、兄さんの奥さんとかには会ったことないだろ。だからどうかなと…思って」
「俺の両親は農業地域で葡萄酒造りをしてるんだ。ほら、『秋の儀礼の日』に俺が韶に勧めた白の葡萄酒があるだろ?あれも俺の両親が造ったやつなんだ」
「え、そうだったんですか?あの俺の一番好きなやつ…ですよね?」
「そう。それを近況とかと併せて両親に報せたら『今度の集まりに一緒においで』って。やっぱり番になることを考えてるわけだし…さ。俺はまだ韶のお兄さんにも挨拶できてないのに悪いんだけど…」
《 番になる 》
それはつまり、一生涯に渡って生死を共にするという深く重い絆を相手と結んで『家族になる』ということだ。
陸国ではどの家族も基本的に深い絆で繋がっているのだが、それぞれが別の地域で暮らしていると普段気軽に会うことができないということもあって、二十四節気毎に集まって食事をするなどということがよくある。
普段農業地域に住んでいる璇の両親もそうしてことあるごとに酪農地域にいる息子達(璇や璇の兄とその家族)に会いに来るそうなのだが…璇はその場に夾も呼びたいと声をかけたのだった。
家族が集まる場に顔を出してきちんと挨拶するということは非常に重要なことである。
「はい、ぜひ。俺も璇さんのご家族にお会いしたいです」
そうして夾は初めて璇の両親や兄夫婦に会うことになった。
ーーーーー
「こんにちは、初めまして。俺は璇さんの…」
「コウ君よね!?あら~初めまして、どうも~!璇の母です!」
「義姉です~!」
珍しく休みになっている【觜宿の杯】と【柳宿の器】。
だがその店内はちっとも静かにはなっておらず、むしろ賑やかさでいっぱいになっていた。
というのも『初めて顔を合わせる』という緊張して当然の場であるにもかかわらず、璇の母親や義姉がその緊張を吹き飛ばすくらいの明るさと勢いではしゃいでいたからである。
まずは挨拶、そして名前や仕事、葡萄酒のことについてなどを含めた自己紹介を…と何度も繰り返し頭の中で練習していた夾。だがそれらを言い終える前から璇の母親と義姉が揃って熱烈に歓迎してきたので、彼はとても驚いた。
「母さん、義姉さん…あんまりそうやってさぁ…」
「あははっそうよね、驚いちゃうわよね!でもあなたが手紙で報せてくれた時からずっと会うのが楽しみで仕方がなかったのよ、どんな子なんだろうって!だからつい、ね!ごめんなさいねコウ君!」
「ちょっと本当に、もうちょっと落ち着いてくれよ…頼むから…」
璇は実に楽しそうに話している母親が気が気ではないようで、戸惑ったように言いながら ちらりと夾の様子をうかがってくる。
いつもキリッとしたような雰囲気を漂わせている璇がそんなふうにしてタジタジになっている姿というのはとても珍しかったので、夾は(家族といる時の璇さんって…こんな感じなんだな)とそれまでの緊張で張り詰めていた頬を緩ませた。
どことなく笑顔になったときの目元が似ている母親と璇。
母親と弟のやり取りを横で見ていた璇の兄が「まぁまぁ、とにかく今日は皆でゆっくりできるんだからさ、そう急がなくてもいいんじゃない?」といつも通りの穏やかな笑みを浮かべて間に入ってくれたので、面々を包み込む空気はより一層和やかになる。
「ごめんね、家族皆騒がしくて」
「いえ、そんな。なんというか…嬉しいです」
「そう?それなら良かった。璇が君のことを紹介してくれるのを皆ずっと待ってたからね、こうやって集まれたことがとても楽しいんだ。もちろん僕も」
自然体の自分を取り戻すことができた夾はその後あらためて璇の父親も含めた一家全員と挨拶を済ませ、本名をきちんと名乗るなどもしたのだった。
璇の一家はこうして集まった時に料理をするのは璇と璇の兄、そして璇の父親ということに決まっているらしく、挨拶を済ませた彼ら3人は調理場へと引っ込んで何やら和気藹々と料理を始める。
その間、食堂内に残された夾や璇の母親、そして璇の義姉は【觜宿の杯】の中にある洒落た円卓に座って話をしようということになった。
傍らにあるゆりかごで眠っている璇の兄夫婦の子の愛らしい寝顔について語り合っていると、調理場の方から「と、父さんそれはもういいからさ、こっちやっといてくれない?」「危なっかしすぎるってば…これは俺達がやるから任せて」という兄弟の戸惑ったような声が聞こえてきて、璇の母親は「あの人ったら、また手伝おうとして仕事を増やしてるみたいね」と笑う。
「あたしは自分の調理場に夫に入られるのが嫌…というか食事は全部あたし自身が用意したいって思う人だから、あの人には普段はあんまり料理をさせないのよ。だから『こういう時こそは』って張り切って手伝おうとするの。まったくできないってわけじゃないし、下手ってわけでもないんだけど…でも料理を仕事にしてる息子達にとってはきっと ちょっとアレよね」
調理場の方へと愛おしそうな目を向ける璇の母親に璇の義姉は「お義母さんの『調理場に夫を入れたくない』というその気持ち、私もよく分かります」と少し困ったように笑う。
「私も本当は食事を自分で作って夫や子供に振舞いたい方なんです、自分の作ったものを美味しいと言ってもらうのが好きなので。でも料理を仕事にしている人に手料理を出すのってとても緊張するし、たまに隣で調理しているのを見たりすると…どうにもやりづらくて」
「やっぱりそうよね?」
「はい…。ねぇ韶君はどう?あなたは料理とかするの?」
璇の義姉に話を振られた夾は「はい、料理をするのはわりと好きな方ですから」と頷いて応える。
「でも俺は璇さんみたいにパッと作るのはそこまで得意ではないんです。どちらかというとじっくり煮込んだりとか…時間のかかる料理をすることが多いので」
「あら、素敵ね!手間暇をかけた料理はとても良いものよ。璇はどっちかっていうとそうして時間をかけるようなのは苦手な方でしょ?」
「そうみたいですね、『よくそんなに手間がかけられるな』って言われます。でも璇さんは俺の作ったものをすごく美味しいと言って食べてくれるので…俺もやっぱり作りがいがあるというか…その…」
話しているうちになんだか気恥ずかしくなってきて黙り込んでしまう夾。
すると璇の母親と義姉は顔を見合わせて『可愛い~!!』と言わんばかりの笑みを交わし、前のめりになってさらに夾に璇とのことを聞き始めた。
璇との馴れ初めを聞いた璇の義姉は 以前璇が木の実を使った工芸地域で最もよく食べられている焼き菓子の作り方を教えてほしいと聞いてきたことなども明かして会話を盛り上げる。
初めて顔を合わせたのにもかかわらずここまで打ち解けることができているのは璇の母親と義姉が元から明るく元気な人達だからということもあっただろう。だがやはり『夾が生粋の末っ子気質の持ち主である』というのも大きな理由の一つだった。
控えめでありながらも聞き上手、話し上手で会話が弾みやすく、大人びていてしっかりとしているのに端々から隠しきれない愛嬌がにじみ出してくるのだ。
そんな夾のことが可愛くて堪らなくなってしまった璇の母親と義姉はさらに夾に親しく接して「今度美味しいお肉の煮込みのつくり方を教えてあげるわ」「どんな味付けのものが好き?木の実が好きなのよね?」「そうだ、冬着は足りてる?手配して璇に届けさせようか」などと話し込む。
このようにしてもうずっと親しくしていた家族のように接してもらえるとは思っていなかった夾は恐縮しながら「あの…本当にありがとうございます」と小さく頭を下げた。
「こんなにも良くしてもらえるだなんて…俺もなにかお返しできたらいいんですけど…」
生まれ持ったその末っ子属性によって幼い頃から周りの人に色々としてもらうことが多かった夾はいつも胸の内に申し訳なさを抱えていて、璇の家族がこうして温かく迎えてくれたことに対してもなんだか遠慮がちになってしまうのだ。『自分はこんなによくしてもらっているのに、何のお返しもすることができない』と。
すると璇の母親と義姉はそんな夾に「申し訳なく思うことなんかこれっぽちもないのよ、韶君」と微笑んだ。
「あたし達はただ韶君が可愛くて、何かしてあげたいと思わずにはいられないの。そんな風に可愛いだなんて言われたくも思われたくもないと思うんだけど、でも本当にそうなのよ、韶君。なにか困ったことがあれば頼ってほしいし、あたし達はその力になりたいの。母親としてね」
「そうよ。実は私も…勝手なんだけど昔から弟が欲しいと思ってたから共通点も多い韶君が義弟になってくれるんだと思ったらすごく嬉しくて、義姉としてなにかしてあげたくなっちゃうの。しかも私達は同じ工芸地域出身でしょ?申し訳ないだなんて思わずに受け取ってくれたら嬉しいわ」
おせっかいかもしれないけどね、と肩をすくめる璇の義姉に夾は「そんな、おせっかいだなんて…!ありがたく思っています」と気持ちを伝える。
夾のまっすぐな心根は本当に見事なほどにまで2人の心を捉えてしまったようだ。
それからの3人は仲良く談笑し、ありとあらゆることを話題にしながら和やかに過ごした。
「まだ料理は少しかかるからその前にこのお茶でも…ってなんでそんなに盛り上がってるんだ…?」
調理場からお茶の入った茶器を持ってきがてら様子を見に来た璇は、今日が初めてとは思えないほど打ち解けている3人のその姿を見て目を丸くしたのだった。
「会ってくれないかな、俺の家族に」
番になろうという話が出た後のある冬の日のこと、璇からそう提案された夾は茶を入れようとしていた手を止めた。
「璇さんのご家族に、ですか?」
「うん。兄さんはいつも【柳宿の器】にいるからよく知ってるだろうけど、兄さんの奥さんとかには会ったことないだろ。だからどうかなと…思って」
「俺の両親は農業地域で葡萄酒造りをしてるんだ。ほら、『秋の儀礼の日』に俺が韶に勧めた白の葡萄酒があるだろ?あれも俺の両親が造ったやつなんだ」
「え、そうだったんですか?あの俺の一番好きなやつ…ですよね?」
「そう。それを近況とかと併せて両親に報せたら『今度の集まりに一緒においで』って。やっぱり番になることを考えてるわけだし…さ。俺はまだ韶のお兄さんにも挨拶できてないのに悪いんだけど…」
《 番になる 》
それはつまり、一生涯に渡って生死を共にするという深く重い絆を相手と結んで『家族になる』ということだ。
陸国ではどの家族も基本的に深い絆で繋がっているのだが、それぞれが別の地域で暮らしていると普段気軽に会うことができないということもあって、二十四節気毎に集まって食事をするなどということがよくある。
普段農業地域に住んでいる璇の両親もそうしてことあるごとに酪農地域にいる息子達(璇や璇の兄とその家族)に会いに来るそうなのだが…璇はその場に夾も呼びたいと声をかけたのだった。
家族が集まる場に顔を出してきちんと挨拶するということは非常に重要なことである。
「はい、ぜひ。俺も璇さんのご家族にお会いしたいです」
そうして夾は初めて璇の両親や兄夫婦に会うことになった。
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「こんにちは、初めまして。俺は璇さんの…」
「コウ君よね!?あら~初めまして、どうも~!璇の母です!」
「義姉です~!」
珍しく休みになっている【觜宿の杯】と【柳宿の器】。
だがその店内はちっとも静かにはなっておらず、むしろ賑やかさでいっぱいになっていた。
というのも『初めて顔を合わせる』という緊張して当然の場であるにもかかわらず、璇の母親や義姉がその緊張を吹き飛ばすくらいの明るさと勢いではしゃいでいたからである。
まずは挨拶、そして名前や仕事、葡萄酒のことについてなどを含めた自己紹介を…と何度も繰り返し頭の中で練習していた夾。だがそれらを言い終える前から璇の母親と義姉が揃って熱烈に歓迎してきたので、彼はとても驚いた。
「母さん、義姉さん…あんまりそうやってさぁ…」
「あははっそうよね、驚いちゃうわよね!でもあなたが手紙で報せてくれた時からずっと会うのが楽しみで仕方がなかったのよ、どんな子なんだろうって!だからつい、ね!ごめんなさいねコウ君!」
「ちょっと本当に、もうちょっと落ち着いてくれよ…頼むから…」
璇は実に楽しそうに話している母親が気が気ではないようで、戸惑ったように言いながら ちらりと夾の様子をうかがってくる。
いつもキリッとしたような雰囲気を漂わせている璇がそんなふうにしてタジタジになっている姿というのはとても珍しかったので、夾は(家族といる時の璇さんって…こんな感じなんだな)とそれまでの緊張で張り詰めていた頬を緩ませた。
どことなく笑顔になったときの目元が似ている母親と璇。
母親と弟のやり取りを横で見ていた璇の兄が「まぁまぁ、とにかく今日は皆でゆっくりできるんだからさ、そう急がなくてもいいんじゃない?」といつも通りの穏やかな笑みを浮かべて間に入ってくれたので、面々を包み込む空気はより一層和やかになる。
「ごめんね、家族皆騒がしくて」
「いえ、そんな。なんというか…嬉しいです」
「そう?それなら良かった。璇が君のことを紹介してくれるのを皆ずっと待ってたからね、こうやって集まれたことがとても楽しいんだ。もちろん僕も」
自然体の自分を取り戻すことができた夾はその後あらためて璇の父親も含めた一家全員と挨拶を済ませ、本名をきちんと名乗るなどもしたのだった。
璇の一家はこうして集まった時に料理をするのは璇と璇の兄、そして璇の父親ということに決まっているらしく、挨拶を済ませた彼ら3人は調理場へと引っ込んで何やら和気藹々と料理を始める。
その間、食堂内に残された夾や璇の母親、そして璇の義姉は【觜宿の杯】の中にある洒落た円卓に座って話をしようということになった。
傍らにあるゆりかごで眠っている璇の兄夫婦の子の愛らしい寝顔について語り合っていると、調理場の方から「と、父さんそれはもういいからさ、こっちやっといてくれない?」「危なっかしすぎるってば…これは俺達がやるから任せて」という兄弟の戸惑ったような声が聞こえてきて、璇の母親は「あの人ったら、また手伝おうとして仕事を増やしてるみたいね」と笑う。
「あたしは自分の調理場に夫に入られるのが嫌…というか食事は全部あたし自身が用意したいって思う人だから、あの人には普段はあんまり料理をさせないのよ。だから『こういう時こそは』って張り切って手伝おうとするの。まったくできないってわけじゃないし、下手ってわけでもないんだけど…でも料理を仕事にしてる息子達にとってはきっと ちょっとアレよね」
調理場の方へと愛おしそうな目を向ける璇の母親に璇の義姉は「お義母さんの『調理場に夫を入れたくない』というその気持ち、私もよく分かります」と少し困ったように笑う。
「私も本当は食事を自分で作って夫や子供に振舞いたい方なんです、自分の作ったものを美味しいと言ってもらうのが好きなので。でも料理を仕事にしている人に手料理を出すのってとても緊張するし、たまに隣で調理しているのを見たりすると…どうにもやりづらくて」
「やっぱりそうよね?」
「はい…。ねぇ韶君はどう?あなたは料理とかするの?」
璇の義姉に話を振られた夾は「はい、料理をするのはわりと好きな方ですから」と頷いて応える。
「でも俺は璇さんみたいにパッと作るのはそこまで得意ではないんです。どちらかというとじっくり煮込んだりとか…時間のかかる料理をすることが多いので」
「あら、素敵ね!手間暇をかけた料理はとても良いものよ。璇はどっちかっていうとそうして時間をかけるようなのは苦手な方でしょ?」
「そうみたいですね、『よくそんなに手間がかけられるな』って言われます。でも璇さんは俺の作ったものをすごく美味しいと言って食べてくれるので…俺もやっぱり作りがいがあるというか…その…」
話しているうちになんだか気恥ずかしくなってきて黙り込んでしまう夾。
すると璇の母親と義姉は顔を見合わせて『可愛い~!!』と言わんばかりの笑みを交わし、前のめりになってさらに夾に璇とのことを聞き始めた。
璇との馴れ初めを聞いた璇の義姉は 以前璇が木の実を使った工芸地域で最もよく食べられている焼き菓子の作り方を教えてほしいと聞いてきたことなども明かして会話を盛り上げる。
初めて顔を合わせたのにもかかわらずここまで打ち解けることができているのは璇の母親と義姉が元から明るく元気な人達だからということもあっただろう。だがやはり『夾が生粋の末っ子気質の持ち主である』というのも大きな理由の一つだった。
控えめでありながらも聞き上手、話し上手で会話が弾みやすく、大人びていてしっかりとしているのに端々から隠しきれない愛嬌がにじみ出してくるのだ。
そんな夾のことが可愛くて堪らなくなってしまった璇の母親と義姉はさらに夾に親しく接して「今度美味しいお肉の煮込みのつくり方を教えてあげるわ」「どんな味付けのものが好き?木の実が好きなのよね?」「そうだ、冬着は足りてる?手配して璇に届けさせようか」などと話し込む。
このようにしてもうずっと親しくしていた家族のように接してもらえるとは思っていなかった夾は恐縮しながら「あの…本当にありがとうございます」と小さく頭を下げた。
「こんなにも良くしてもらえるだなんて…俺もなにかお返しできたらいいんですけど…」
生まれ持ったその末っ子属性によって幼い頃から周りの人に色々としてもらうことが多かった夾はいつも胸の内に申し訳なさを抱えていて、璇の家族がこうして温かく迎えてくれたことに対してもなんだか遠慮がちになってしまうのだ。『自分はこんなによくしてもらっているのに、何のお返しもすることができない』と。
すると璇の母親と義姉はそんな夾に「申し訳なく思うことなんかこれっぽちもないのよ、韶君」と微笑んだ。
「あたし達はただ韶君が可愛くて、何かしてあげたいと思わずにはいられないの。そんな風に可愛いだなんて言われたくも思われたくもないと思うんだけど、でも本当にそうなのよ、韶君。なにか困ったことがあれば頼ってほしいし、あたし達はその力になりたいの。母親としてね」
「そうよ。実は私も…勝手なんだけど昔から弟が欲しいと思ってたから共通点も多い韶君が義弟になってくれるんだと思ったらすごく嬉しくて、義姉としてなにかしてあげたくなっちゃうの。しかも私達は同じ工芸地域出身でしょ?申し訳ないだなんて思わずに受け取ってくれたら嬉しいわ」
おせっかいかもしれないけどね、と肩をすくめる璇の義姉に夾は「そんな、おせっかいだなんて…!ありがたく思っています」と気持ちを伝える。
夾のまっすぐな心根は本当に見事なほどにまで2人の心を捉えてしまったようだ。
それからの3人は仲良く談笑し、ありとあらゆることを話題にしながら和やかに過ごした。
「まだ料理は少しかかるからその前にこのお茶でも…ってなんでそんなに盛り上がってるんだ…?」
調理場からお茶の入った茶器を持ってきがてら様子を見に来た璇は、今日が初めてとは思えないほど打ち解けている3人のその姿を見て目を丸くしたのだった。
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