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『誕生日』
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誕生日。
それはそれまでの成長や生きてきた年月を祝う、1年に一度の特別な日だ。
陸国ではその当日を家族全員で集まって祝うことが多い。
地域を統括している領主や長老などの誕生日では地域の人々全員に特別な祝い膳が配られるが、一般的にはその日の主役の好物や祝いのための焼き菓子などで食卓をいっぱいにし、内々で祝うのだ。
家族の誕生日というのは誰にとっても嬉しいものであり、どの家でも祝いの場である食事時はとても賑やかなものになる。
中央広場のそばのある一軒の家では、まさにその誕生日を迎えた者がいた。
ーーーーーー
食卓の上に次々と並べられていく料理の数々。
それらを目にした笹はわぁっと歓声を上げる。
「すごい!」
「すごい?」
「うん!だってこんなに沢山あるんだよ、僕の好きなものが。全部すごく美味しそう!」
きらきらと目を輝かせてはしゃぐ笹の姿を微笑ましく思いながら、蔦は用意した料理の最後の一品を食卓の上に置いた。
今日は樫と蔦の長男である笹の、12歳の誕生日だ。
日中はいつものようにそれぞれ仕事場や学び舎で過ごしていたが、やはり今晩はお祝いだということで、一家全員がこの夕食の時間を楽しみに待っていたのである。
すでに食卓の上は笹の好物である蔦の手料理でいっぱいになっていた。
「でも笹、本当によかったの?笹が食べたいって言ったのは全部父ちゃんが作る料理じゃん。もっと美味しいのとか好きなやつとか、特別なのを食堂で作ってもらっても良かったのに」
蔦が手を拭い拭いながら訊ねると、笹は食卓の上の料理から目を離さずに「ううん、いいの!」と嬉しそうに言った。
「だって僕は父ちゃんが作るご飯が一番好きだもん、これもそれもあれも全部…すっごく美味しそうで嬉しいよ」
「そう?ならいいけど…まぁ、どっちにしろ今度の休みの日には酪農地域のおじいちゃんおばあちゃんのところへ泊まりに行って またお祝いしてもらうもんね。おじいちゃん達が手紙で『料理や焼き菓子を沢山用意しておくから』って言ってたよ」
「本当!?わぁ、楽しみだなぁ~おじいちゃん達に会うのも久しぶりだよね」
祖父母である蔦の両親に会えることも楽しみにしている笹。
すると、そのすぐ横で食卓の上を覗こうと何度も背伸びをしていた弟の椋が唐突に「ささ兄ちゃん、こっち来て!」と笹の手を引いて調理場の台の方へと歩き出したのだった。
手を引かれるままついていった先にある台の上には綺麗に装飾が施されたふわふわの焼き菓子があって、椋はそれを指差しながら一生懸命に話す。
「ねぇ兄ちゃん見て~!このおかしね、父ちゃんとぼくとで作ったの!ささ兄ちゃんにって作ったんだよ」
「えっ!これ椋が作ってくれたの!?お兄ちゃんのために?」
「うん!」
「え~っ、ありがとう!すっごく綺麗だし、美味しそうだね!」
「えへへ~」
照れ笑いを浮かべる椋。
手作りだというその菓子がよく見えるようにと笹が抱き上げてやると、椋はさらに熱心に話しだした。
「このかざりの おかしはね、ぼくが形をつくったの。兄ちゃんはお馬さんがすきでしょ?だからほんとは お馬さんをつくろうとしたけど むつかしくて、それでお馬さんのくつ をつくったの」
「わぁ本当だ、これお馬さんの靴だね!すごく良く出来てる!この蹄鉄の形って意外と描いたりするのも難しいのに、笹はこんなに上手に作れるんだね!それもお菓子で!すごいなぁ、こんなに綺麗なお菓子の蹄鉄は見たことがないよ」
「ほんと?」
「うん、本当だよ!すごく良く出来てるから食べるのがもったいなくなっちゃうね」
「えへへっ」
得意げにしながらも嬉しそうに笑う椋を抱きしめた笹は「ありがとう、椋」と微笑む。
「兄ちゃん、とっても嬉しいよ」
「ささ兄ちゃん~!おたんじょうび、おめでとう~!」
「あははっ、ありがとう椋~!兄ちゃん、本当に本当にとっても嬉しいよ!」
キャッキャッと笑い声をあげる兄弟を見て、樫と蔦は顔を見合わせてやれやれというように肩をすくめる。
仲の良い兄弟はその後、蔦に食卓につくように言われるまで『今日はなんの絵本を読もうか』というようなことをそのままずっと楽しそうに話し続けていたのだった。
蔦が早めに仕事を切り上げて用意していた料理は ひき肉を捏ねて軽く焼いた後に煮込んだもの や 芋を蒸して潰して味付けたもの、具材がたっぷりと入った汁物などの普段の食事で出すと笹が特に喜ぶものばかり。
もちろん卵焼きもある。
2人の子供達の食欲はなかなかのもので、蔦が用意したそれらの様々な料理はどれも少しも残ることなく綺麗に平らげられたのだった。
ーーーーー
通っている学び舎で毎日他のアルファの子供達と一日中元気いっぱいに体を動かすなどして過ごしている笹。
きっと今日も誕生日だということで友達たちと大はしゃぎをしていたに違いない。
よく体を動かし、お腹いっぱいに食べ、そして沢山笑った彼は湯浴みを済ませて子供部屋にある寝台に横になると、弟や両親と一緒に少し本を読んだところですぐにウトウトとし始めて、そしてやがて間もなく健やかな寝息を立てたのだった。
椋の方はそれほど活発に動き回る子ではないのだが、しかし今日は幼いながらも兄のためにと一生懸命菓子作りなどをしたためかよほど疲れていたらしく、やはり同様にいつの間にか眠ってしまっている。
兄弟がすっかり寝落ちていることをたしかめた樫と蔦は、それぞれにきちんと掛け具を掛けて寝床を整えてやると、起こしてしまわないようにと気を配りながらそっと部屋を出たのだった。
子供達がいつもよりも早く眠ったことで、早くも家の中にはゆったりとした夫夫の時間が流れだす。
家事仕事も何もかもを終えた2人は夫夫の寝台の上で「大変だっただろ、あんなにたくさんの手間のかかる料理をして」「ううん。仕事を早く切り上げておいたおかげで、全部余裕を持って用意できたから」と互いの一日の労をねぎらいながら細々と話をした。
「しかしあの笹のはしゃぎようはすごかったな。椋に『おめでとう』って言われるのがよほど嬉しかったんだろう」
「椋も椋で相当なお兄ちゃんっ子だからね。お菓子作るときも自分から『やりたい』って言い出してさ、かき混ぜたりするのとかも結構苦労してたけど…なんとかやってたよ」
「あぁ、そりゃあ疲れるわけだ。2人であんなにどの本を読むかって真剣に話して決めてたのに、結局大して読まずにさっさと寝ちゃって」
「そうだね。あんなにわいわい話してたのに」
「寝台に横になったらどっと疲れが来たんだろう」
笹と椋の楽しそうに会話をしていた姿を思い浮かべながらあははっと笑う2人。仲の良い番が話すのはいつだって子供達のことについてなのだ。
だが樫はひとしきり笑った後で急に「しかしまぁ…12歳になったのか、笹も」と少し寂しそうにも感慨深そうにも思える表情を浮かべながら言ったのだった。
「本当に早いもんだよな、子供の成長っていうのは。背もついこの間までまだまだ小さいと思ってたのにいつの間にかすっかり大きくなって」
「うん…ねぇ、生まれたときのあの手の大きさ、覚えてる?」
「もちろん覚えてるよ。こんなくらいしかなかったよな」
「そう、とにかくちっちゃくてさ、足なんかも本当に小さくて…靴下が嘘かと思うくらいの大きさだった」
「そうだったな。履かせるのも着せるのも慎重になってた」
2人はそれぞれ親指と人差し指で丸を作り、生まれたばかりの頃の笹の手足の大きさを表しながら懐かしさを滲ませて話す。
その小さな手足の持ち主が今や元気に走り回り、そして弟の面倒を見ることもできるくらいにまでなっているということが感慨深くてたまらない樫と蔦。
子供の誕生日というものは親にとってはなおさら特別な1日であり、懐古せずにはいられない。
だが樫は蔦の手を取ると、指の一本一本を撫でるようにしながらボソボソとつぶやくように話しだした。
「笹があまりにも小さくて…当時は本当に不安でいっぱいだった。少しでも、一瞬でも目を離したら息が止まっちゃうんじゃないかと思って。それに蔦も笹を産んだ後から全然目を覚まさなくてさ。お義姉さんやお義母さん(蔦の姉や母親)が『私達が見てるから少し休みなさい』って世話をしに来てくれても俺は全然眠ることができなくて、ずっと笹を抱っこしながら蔦のそばにいた。それこそ…そばを離れたらもう二度と目を覚まさないんじゃないかって気がして怖かったんだ。1人で笹を胸に抱きながら、いつ目を覚ますだろうかと考えて…ずっと蔦の寝顔を見つめてた」
当時のことを思い出してわずかに声を震わせた樫に、蔦はそっと寄り添う。
蔦の肩を抱き寄せながら樫はさらに続けた。
「そんな中でも俺がなんとか正気を保っていられたのは…蔦が笹のぐずる声に反応を示したからだ。蔦は身動き1つせず眠り続けてたけど、お腹を空かせた笹がぐずって泣くとその声を聞いて自然と胸が濡れてきてさ。ぐずる笹のためにお乳を出してたんだよ。俺は『蔦にはちゃんと声が聞こえてるんだ』って、すごく元気づけられた。お義姉さんが『なるべくお乳は飲ませてあげた方が蔦と笹のために良いから』って蔦を横向きにさせると、笹はびっくりするくらい良く飲んでさ…抱き上げると明らかにそれまでよりも重くなってて、ちゃんと成長していってるっていうのがよく分かったよ。俺は蔦にも早く笹のことを抱っこしてほしかったし、なんとか笹のことを伝えたくて、それで眠ってる蔦によく話しかけるようにしたんだ」
生まれたばかりの幼子を胸に抱きながら、一向に目を覚まさない番のそばにい続けたその寂しさはいかばかりのものだっただろうか。
本来であれば授乳と睡眠と食事を頻繁に繰り返さなければならない産後の男性オメガ。
にもかかわらず食事を十分に摂ることができなかった蔦は笹へと授乳をするたびにみるみる痩せていくようで、樫はそれこそ蔦がひどく衰弱してしまうのではないかと気が気ではなかったのだった。
蔦は産後深く眠り続けた後、3日目の朝になってようやく目を覚ましたが、彼はその時に見た樫の嬉しさと安堵と心配とがごちゃ混ぜになった表情を今もよく覚えている。
眠っていた時のことはまったく覚えがなく、目覚める前の記憶は出産後に疲れ果てて徐々にすべての感覚が遠のいていくような中で見た樫の瞳だけだった蔦。
懐古する樫同様、当時のことを鮮明に思い出した彼は「…ありがとう、樫」と夫を抱きしめた。
「ありがとう…ずっと俺のそばにいてくれて」
すると樫はさも当然とばかりに「あたりまえだろ。何言ってるんだ」と答える。
あまりにも軽く答えたその樫の様子にふふっと笑みを浮かべながら「そうは言うけど、やっぱり当たり前じゃないよ」とさらに蔦は言った。
「生まれたばかりの子供…それも初めての子で何もかも大変なのにさ、番の片割れは眠ったままで1人きりだったんだから。それでも世話も何もかもよくやってくれて、本当に…」
微笑みを浮かべながらも声を詰まらせる蔦。
樫はそんな蔦を抱き寄せて髪に口づけると「だから、当たり前の事なんだって」と落ち着く穏やかな深い声音で囁いた。
「大切な人をそばで守るためなら、どんなことだって俺には大変でもなんでもないんだ。蔦が目を覚ましてくれたんなら、俺はそれでもう…」
樫のそのあまりにもまっすぐな話しぶりに蔦が思わず「ははっ…樫はほんとに番思いの立派なアルファだな。樫と番になれて良かったよ、こんなに大切にしてもらえる番ってのはそうそういないだろ」と笑うと、樫はすぐさま「……違うぞ、それは」と反論したのだった。
何が違うのかと首を傾げる蔦に、樫はまた大真面目な表情で言う。
「俺は蔦のことを番だから大切にしてるんじゃない。そうじゃなくて…」
「蔦のことが大切だから、番になったんだろ」
夜の天蓋を下ろした寝台で寄り添う番。
蔦は「まったく…どこでそんな台詞を覚えてくるんだか……」とクスクス笑って眉をひそめると、伸び上がって樫の唇に口づけた。
たとえ一緒になってから何年、何十年と時が経ったとしても、そうした言葉を聞くのは(少々気恥ずかしくなるとはいえ)なかなかに良いものだ。
「…笹が12歳になったってことはさ、樫も父親になって12年目ってことなんだよな。おめでとう、樫」
「それは蔦もだろ。父親12年目、おめでとう蔦。俺を2人の父親にしてくれて本当にありがとう」
「…だからそれは俺の台詞でもあるんだってば」
2人にだけ聞こえるくらいの密やかな労いの言葉を交わし、熱のこもった眼差しで互いの瞳を見つめると、次の瞬間には彼らは寝台の上に倒れ込んでどちらが上とも下ともなく転がっていた。
寝台に押さえつけて、押さえつけられてを繰り返すその様子は子供同士の取っ組み合いのようでもあり、付き合いたての恋人同士のようでもある。
子供がいる歳であるにもかかわらずそのような絡み合いをしているということに、どちらからともなくクスクスと笑みをこぼす2人。
だが樫の胸の上でうつ伏せになった蔦が樫の唇を奪いながら太ももやふくらはぎをすりすりと擦りつけるように絡めて体を密着させると、もうそれ以上の言葉は必要なくなっていたのだった。
ーーーーー
彼らの2人の子供達は少し離れた子供部屋の中でぐっすり眠っていて、ちょっとやそっとの物音では目を覚ましはしないだろう。
しかしそうかといってあまり大きな音を出すことが出来ないのが 夫夫生活の常というものだ。
そのため樫も蔦もひっそりと、不用意に大きな物音立ててしまわないように最大限気を遣いながら徐々に触れ合いの密度を濃くしていく。
一つ一つの動きを慎重に、丁寧に、ゆっくりと。
だがそうして気を遣えば気を遣うほど焦れったさも増すもので、蔦はたちまち樫の糸を引くような手つきや舌の動きにたまらなくなって、息を吐こうとした拍子に「っはぁぁっ…」と妙に艶かしい声を響かせてしまう。
わずかな衣擦れの音、互いの体から伝わるじんわりとした たしかな体温、そしてほとんど明かりのない寝台によって感覚が鋭敏に研ぎ澄まされた体へと繰り出される絶妙な愛撫。
ただ情熱をぶつけ合って猛烈に互いを求め合うのももちろん良いが、体の奥底から快感を徐々に引き出していくような、全身にゾクゾクとした感覚が走るような、言うなれば『成熟した夜の営み』であるこうした触れ合い方もたまらなく良い。
執拗に首筋や胸への愛撫を繰り返していた樫はそうして少しずつ下の方へと下っていき、そして蔦の下衣の紐を緩めながら声を潜めて訊ねた。
≪なぁ…痕、つけてもいいか≫
太ももを掴み、蔦の脚を横に開かせながら股の間に口づけを繰り返す樫。
蔦はその刺激に喘ぎ声を漏らしてしまわないよう必死に耐えつつ≪だ、だめ…≫と搾り出すようにして答える。
≪椋達と湯を浴びた時に…見られたら困る…≫
≪見えないようなところだったら?≫
≪み、見えないところって、そんな…≫
蔦がさらに答えようとしたその瞬間、彼は自身の勃起している男根の根元を下衣の上から樫に唇で食まれ、思わず「っあ!!」と声を上げてしまった。
慌てて口元を手でふさぐ蔦に構わず、樫はその辺りから顔を離すことなく唇でなぞるようにしながら≪なぁ、たまには良いだろ?≫と繰り返す。
≪痕、つけさせてくれよ蔦…ここに、ここだけでいいから≫
≪んんんっ…≫
≪はぁ…蔦……≫
どうやら樫はどうしても口づけの痕を残したいと執心しているらしく、蔦がうんというまではそこから離れる気は一切ないようだ。
やがてそんな樫に根負けした蔦は、片手を伸ばしてなんとか樫の頬に触れると≪分かった…もう、分かったから……!≫と口づけの痕をつけることを許した。
≪痕つけてもいいから…はやくもう、それやめてくれ…≫
蔦からの許しを得た樫はすぐに蔦の下衣を脱がせ、もじもじと動く蔦の両足を左右に開いて押さえつけると、彼の足の付け根と股との境界に当たる少し筋張ったところめがけておもむろに唇をつけた。
舌で撫でられた後に、少しずつチリチリとした痛みが走る。
≪……っ≫
しばらく経ち、痛みが強くなってきてからも一向に離れようとしない樫。
蔦が≪い、痛いって!≫と足を動かすと、ようやく樫はそこから唇を離した。
薄暗いためにそこがどうなっているのかは詳細には分からないものの、しかし樫の望み通りはっきりと痕がついたことは確かだ。
樫はその痕がついたところを労わるように、再びそこに顔を伏せて舐め始める。
足の付け根とも股とも言える微妙なそこはとても皮膚が薄く、どんな刺激もくすぐったくてたまらないような場所であり、樫の髪の毛先や吐息が触れるだけでも身を捩って逃げてしまいたくなる蔦は踵で何度も敷き具を擦ってから≪はやく、そんなことばっかりしてないで…!≫と樫を強引に自らの上へと連れ戻したのだった。
口づけを交わしつつ、蔦が素足を樫の腰や足に巻きつけてあからさまに誘うと、さらに夜は深まっていく。
上衣は着たまま、留め紐の結び目を解いて はだけただけだ。
しかし しっかりと結合した下の部分は熱く、時折あからさまな水音さえ響かせている。
《っはあぁ…か、樫…これからもこうやって…俺のこと、だいてよ……》
《蔦、たとえじいさんと呼ばれる歳になったって…俺はおまえをこの寝台から逃がさない》
《あははっ…俺だって逃がすもんか、樫のこと…んっ、ああぁっ…!!》
震える2人の体。
密やかな夫夫の寝台は固く抱き合った樫と蔦によって隙間なく甘い雰囲気に包まれ、それにより彼らの番としての絆もより深く強固なものへと結びつきを強めていったのだった。
それはそれまでの成長や生きてきた年月を祝う、1年に一度の特別な日だ。
陸国ではその当日を家族全員で集まって祝うことが多い。
地域を統括している領主や長老などの誕生日では地域の人々全員に特別な祝い膳が配られるが、一般的にはその日の主役の好物や祝いのための焼き菓子などで食卓をいっぱいにし、内々で祝うのだ。
家族の誕生日というのは誰にとっても嬉しいものであり、どの家でも祝いの場である食事時はとても賑やかなものになる。
中央広場のそばのある一軒の家では、まさにその誕生日を迎えた者がいた。
ーーーーーー
食卓の上に次々と並べられていく料理の数々。
それらを目にした笹はわぁっと歓声を上げる。
「すごい!」
「すごい?」
「うん!だってこんなに沢山あるんだよ、僕の好きなものが。全部すごく美味しそう!」
きらきらと目を輝かせてはしゃぐ笹の姿を微笑ましく思いながら、蔦は用意した料理の最後の一品を食卓の上に置いた。
今日は樫と蔦の長男である笹の、12歳の誕生日だ。
日中はいつものようにそれぞれ仕事場や学び舎で過ごしていたが、やはり今晩はお祝いだということで、一家全員がこの夕食の時間を楽しみに待っていたのである。
すでに食卓の上は笹の好物である蔦の手料理でいっぱいになっていた。
「でも笹、本当によかったの?笹が食べたいって言ったのは全部父ちゃんが作る料理じゃん。もっと美味しいのとか好きなやつとか、特別なのを食堂で作ってもらっても良かったのに」
蔦が手を拭い拭いながら訊ねると、笹は食卓の上の料理から目を離さずに「ううん、いいの!」と嬉しそうに言った。
「だって僕は父ちゃんが作るご飯が一番好きだもん、これもそれもあれも全部…すっごく美味しそうで嬉しいよ」
「そう?ならいいけど…まぁ、どっちにしろ今度の休みの日には酪農地域のおじいちゃんおばあちゃんのところへ泊まりに行って またお祝いしてもらうもんね。おじいちゃん達が手紙で『料理や焼き菓子を沢山用意しておくから』って言ってたよ」
「本当!?わぁ、楽しみだなぁ~おじいちゃん達に会うのも久しぶりだよね」
祖父母である蔦の両親に会えることも楽しみにしている笹。
すると、そのすぐ横で食卓の上を覗こうと何度も背伸びをしていた弟の椋が唐突に「ささ兄ちゃん、こっち来て!」と笹の手を引いて調理場の台の方へと歩き出したのだった。
手を引かれるままついていった先にある台の上には綺麗に装飾が施されたふわふわの焼き菓子があって、椋はそれを指差しながら一生懸命に話す。
「ねぇ兄ちゃん見て~!このおかしね、父ちゃんとぼくとで作ったの!ささ兄ちゃんにって作ったんだよ」
「えっ!これ椋が作ってくれたの!?お兄ちゃんのために?」
「うん!」
「え~っ、ありがとう!すっごく綺麗だし、美味しそうだね!」
「えへへ~」
照れ笑いを浮かべる椋。
手作りだというその菓子がよく見えるようにと笹が抱き上げてやると、椋はさらに熱心に話しだした。
「このかざりの おかしはね、ぼくが形をつくったの。兄ちゃんはお馬さんがすきでしょ?だからほんとは お馬さんをつくろうとしたけど むつかしくて、それでお馬さんのくつ をつくったの」
「わぁ本当だ、これお馬さんの靴だね!すごく良く出来てる!この蹄鉄の形って意外と描いたりするのも難しいのに、笹はこんなに上手に作れるんだね!それもお菓子で!すごいなぁ、こんなに綺麗なお菓子の蹄鉄は見たことがないよ」
「ほんと?」
「うん、本当だよ!すごく良く出来てるから食べるのがもったいなくなっちゃうね」
「えへへっ」
得意げにしながらも嬉しそうに笑う椋を抱きしめた笹は「ありがとう、椋」と微笑む。
「兄ちゃん、とっても嬉しいよ」
「ささ兄ちゃん~!おたんじょうび、おめでとう~!」
「あははっ、ありがとう椋~!兄ちゃん、本当に本当にとっても嬉しいよ!」
キャッキャッと笑い声をあげる兄弟を見て、樫と蔦は顔を見合わせてやれやれというように肩をすくめる。
仲の良い兄弟はその後、蔦に食卓につくように言われるまで『今日はなんの絵本を読もうか』というようなことをそのままずっと楽しそうに話し続けていたのだった。
蔦が早めに仕事を切り上げて用意していた料理は ひき肉を捏ねて軽く焼いた後に煮込んだもの や 芋を蒸して潰して味付けたもの、具材がたっぷりと入った汁物などの普段の食事で出すと笹が特に喜ぶものばかり。
もちろん卵焼きもある。
2人の子供達の食欲はなかなかのもので、蔦が用意したそれらの様々な料理はどれも少しも残ることなく綺麗に平らげられたのだった。
ーーーーー
通っている学び舎で毎日他のアルファの子供達と一日中元気いっぱいに体を動かすなどして過ごしている笹。
きっと今日も誕生日だということで友達たちと大はしゃぎをしていたに違いない。
よく体を動かし、お腹いっぱいに食べ、そして沢山笑った彼は湯浴みを済ませて子供部屋にある寝台に横になると、弟や両親と一緒に少し本を読んだところですぐにウトウトとし始めて、そしてやがて間もなく健やかな寝息を立てたのだった。
椋の方はそれほど活発に動き回る子ではないのだが、しかし今日は幼いながらも兄のためにと一生懸命菓子作りなどをしたためかよほど疲れていたらしく、やはり同様にいつの間にか眠ってしまっている。
兄弟がすっかり寝落ちていることをたしかめた樫と蔦は、それぞれにきちんと掛け具を掛けて寝床を整えてやると、起こしてしまわないようにと気を配りながらそっと部屋を出たのだった。
子供達がいつもよりも早く眠ったことで、早くも家の中にはゆったりとした夫夫の時間が流れだす。
家事仕事も何もかもを終えた2人は夫夫の寝台の上で「大変だっただろ、あんなにたくさんの手間のかかる料理をして」「ううん。仕事を早く切り上げておいたおかげで、全部余裕を持って用意できたから」と互いの一日の労をねぎらいながら細々と話をした。
「しかしあの笹のはしゃぎようはすごかったな。椋に『おめでとう』って言われるのがよほど嬉しかったんだろう」
「椋も椋で相当なお兄ちゃんっ子だからね。お菓子作るときも自分から『やりたい』って言い出してさ、かき混ぜたりするのとかも結構苦労してたけど…なんとかやってたよ」
「あぁ、そりゃあ疲れるわけだ。2人であんなにどの本を読むかって真剣に話して決めてたのに、結局大して読まずにさっさと寝ちゃって」
「そうだね。あんなにわいわい話してたのに」
「寝台に横になったらどっと疲れが来たんだろう」
笹と椋の楽しそうに会話をしていた姿を思い浮かべながらあははっと笑う2人。仲の良い番が話すのはいつだって子供達のことについてなのだ。
だが樫はひとしきり笑った後で急に「しかしまぁ…12歳になったのか、笹も」と少し寂しそうにも感慨深そうにも思える表情を浮かべながら言ったのだった。
「本当に早いもんだよな、子供の成長っていうのは。背もついこの間までまだまだ小さいと思ってたのにいつの間にかすっかり大きくなって」
「うん…ねぇ、生まれたときのあの手の大きさ、覚えてる?」
「もちろん覚えてるよ。こんなくらいしかなかったよな」
「そう、とにかくちっちゃくてさ、足なんかも本当に小さくて…靴下が嘘かと思うくらいの大きさだった」
「そうだったな。履かせるのも着せるのも慎重になってた」
2人はそれぞれ親指と人差し指で丸を作り、生まれたばかりの頃の笹の手足の大きさを表しながら懐かしさを滲ませて話す。
その小さな手足の持ち主が今や元気に走り回り、そして弟の面倒を見ることもできるくらいにまでなっているということが感慨深くてたまらない樫と蔦。
子供の誕生日というものは親にとってはなおさら特別な1日であり、懐古せずにはいられない。
だが樫は蔦の手を取ると、指の一本一本を撫でるようにしながらボソボソとつぶやくように話しだした。
「笹があまりにも小さくて…当時は本当に不安でいっぱいだった。少しでも、一瞬でも目を離したら息が止まっちゃうんじゃないかと思って。それに蔦も笹を産んだ後から全然目を覚まさなくてさ。お義姉さんやお義母さん(蔦の姉や母親)が『私達が見てるから少し休みなさい』って世話をしに来てくれても俺は全然眠ることができなくて、ずっと笹を抱っこしながら蔦のそばにいた。それこそ…そばを離れたらもう二度と目を覚まさないんじゃないかって気がして怖かったんだ。1人で笹を胸に抱きながら、いつ目を覚ますだろうかと考えて…ずっと蔦の寝顔を見つめてた」
当時のことを思い出してわずかに声を震わせた樫に、蔦はそっと寄り添う。
蔦の肩を抱き寄せながら樫はさらに続けた。
「そんな中でも俺がなんとか正気を保っていられたのは…蔦が笹のぐずる声に反応を示したからだ。蔦は身動き1つせず眠り続けてたけど、お腹を空かせた笹がぐずって泣くとその声を聞いて自然と胸が濡れてきてさ。ぐずる笹のためにお乳を出してたんだよ。俺は『蔦にはちゃんと声が聞こえてるんだ』って、すごく元気づけられた。お義姉さんが『なるべくお乳は飲ませてあげた方が蔦と笹のために良いから』って蔦を横向きにさせると、笹はびっくりするくらい良く飲んでさ…抱き上げると明らかにそれまでよりも重くなってて、ちゃんと成長していってるっていうのがよく分かったよ。俺は蔦にも早く笹のことを抱っこしてほしかったし、なんとか笹のことを伝えたくて、それで眠ってる蔦によく話しかけるようにしたんだ」
生まれたばかりの幼子を胸に抱きながら、一向に目を覚まさない番のそばにい続けたその寂しさはいかばかりのものだっただろうか。
本来であれば授乳と睡眠と食事を頻繁に繰り返さなければならない産後の男性オメガ。
にもかかわらず食事を十分に摂ることができなかった蔦は笹へと授乳をするたびにみるみる痩せていくようで、樫はそれこそ蔦がひどく衰弱してしまうのではないかと気が気ではなかったのだった。
蔦は産後深く眠り続けた後、3日目の朝になってようやく目を覚ましたが、彼はその時に見た樫の嬉しさと安堵と心配とがごちゃ混ぜになった表情を今もよく覚えている。
眠っていた時のことはまったく覚えがなく、目覚める前の記憶は出産後に疲れ果てて徐々にすべての感覚が遠のいていくような中で見た樫の瞳だけだった蔦。
懐古する樫同様、当時のことを鮮明に思い出した彼は「…ありがとう、樫」と夫を抱きしめた。
「ありがとう…ずっと俺のそばにいてくれて」
すると樫はさも当然とばかりに「あたりまえだろ。何言ってるんだ」と答える。
あまりにも軽く答えたその樫の様子にふふっと笑みを浮かべながら「そうは言うけど、やっぱり当たり前じゃないよ」とさらに蔦は言った。
「生まれたばかりの子供…それも初めての子で何もかも大変なのにさ、番の片割れは眠ったままで1人きりだったんだから。それでも世話も何もかもよくやってくれて、本当に…」
微笑みを浮かべながらも声を詰まらせる蔦。
樫はそんな蔦を抱き寄せて髪に口づけると「だから、当たり前の事なんだって」と落ち着く穏やかな深い声音で囁いた。
「大切な人をそばで守るためなら、どんなことだって俺には大変でもなんでもないんだ。蔦が目を覚ましてくれたんなら、俺はそれでもう…」
樫のそのあまりにもまっすぐな話しぶりに蔦が思わず「ははっ…樫はほんとに番思いの立派なアルファだな。樫と番になれて良かったよ、こんなに大切にしてもらえる番ってのはそうそういないだろ」と笑うと、樫はすぐさま「……違うぞ、それは」と反論したのだった。
何が違うのかと首を傾げる蔦に、樫はまた大真面目な表情で言う。
「俺は蔦のことを番だから大切にしてるんじゃない。そうじゃなくて…」
「蔦のことが大切だから、番になったんだろ」
夜の天蓋を下ろした寝台で寄り添う番。
蔦は「まったく…どこでそんな台詞を覚えてくるんだか……」とクスクス笑って眉をひそめると、伸び上がって樫の唇に口づけた。
たとえ一緒になってから何年、何十年と時が経ったとしても、そうした言葉を聞くのは(少々気恥ずかしくなるとはいえ)なかなかに良いものだ。
「…笹が12歳になったってことはさ、樫も父親になって12年目ってことなんだよな。おめでとう、樫」
「それは蔦もだろ。父親12年目、おめでとう蔦。俺を2人の父親にしてくれて本当にありがとう」
「…だからそれは俺の台詞でもあるんだってば」
2人にだけ聞こえるくらいの密やかな労いの言葉を交わし、熱のこもった眼差しで互いの瞳を見つめると、次の瞬間には彼らは寝台の上に倒れ込んでどちらが上とも下ともなく転がっていた。
寝台に押さえつけて、押さえつけられてを繰り返すその様子は子供同士の取っ組み合いのようでもあり、付き合いたての恋人同士のようでもある。
子供がいる歳であるにもかかわらずそのような絡み合いをしているということに、どちらからともなくクスクスと笑みをこぼす2人。
だが樫の胸の上でうつ伏せになった蔦が樫の唇を奪いながら太ももやふくらはぎをすりすりと擦りつけるように絡めて体を密着させると、もうそれ以上の言葉は必要なくなっていたのだった。
ーーーーー
彼らの2人の子供達は少し離れた子供部屋の中でぐっすり眠っていて、ちょっとやそっとの物音では目を覚ましはしないだろう。
しかしそうかといってあまり大きな音を出すことが出来ないのが 夫夫生活の常というものだ。
そのため樫も蔦もひっそりと、不用意に大きな物音立ててしまわないように最大限気を遣いながら徐々に触れ合いの密度を濃くしていく。
一つ一つの動きを慎重に、丁寧に、ゆっくりと。
だがそうして気を遣えば気を遣うほど焦れったさも増すもので、蔦はたちまち樫の糸を引くような手つきや舌の動きにたまらなくなって、息を吐こうとした拍子に「っはぁぁっ…」と妙に艶かしい声を響かせてしまう。
わずかな衣擦れの音、互いの体から伝わるじんわりとした たしかな体温、そしてほとんど明かりのない寝台によって感覚が鋭敏に研ぎ澄まされた体へと繰り出される絶妙な愛撫。
ただ情熱をぶつけ合って猛烈に互いを求め合うのももちろん良いが、体の奥底から快感を徐々に引き出していくような、全身にゾクゾクとした感覚が走るような、言うなれば『成熟した夜の営み』であるこうした触れ合い方もたまらなく良い。
執拗に首筋や胸への愛撫を繰り返していた樫はそうして少しずつ下の方へと下っていき、そして蔦の下衣の紐を緩めながら声を潜めて訊ねた。
≪なぁ…痕、つけてもいいか≫
太ももを掴み、蔦の脚を横に開かせながら股の間に口づけを繰り返す樫。
蔦はその刺激に喘ぎ声を漏らしてしまわないよう必死に耐えつつ≪だ、だめ…≫と搾り出すようにして答える。
≪椋達と湯を浴びた時に…見られたら困る…≫
≪見えないようなところだったら?≫
≪み、見えないところって、そんな…≫
蔦がさらに答えようとしたその瞬間、彼は自身の勃起している男根の根元を下衣の上から樫に唇で食まれ、思わず「っあ!!」と声を上げてしまった。
慌てて口元を手でふさぐ蔦に構わず、樫はその辺りから顔を離すことなく唇でなぞるようにしながら≪なぁ、たまには良いだろ?≫と繰り返す。
≪痕、つけさせてくれよ蔦…ここに、ここだけでいいから≫
≪んんんっ…≫
≪はぁ…蔦……≫
どうやら樫はどうしても口づけの痕を残したいと執心しているらしく、蔦がうんというまではそこから離れる気は一切ないようだ。
やがてそんな樫に根負けした蔦は、片手を伸ばしてなんとか樫の頬に触れると≪分かった…もう、分かったから……!≫と口づけの痕をつけることを許した。
≪痕つけてもいいから…はやくもう、それやめてくれ…≫
蔦からの許しを得た樫はすぐに蔦の下衣を脱がせ、もじもじと動く蔦の両足を左右に開いて押さえつけると、彼の足の付け根と股との境界に当たる少し筋張ったところめがけておもむろに唇をつけた。
舌で撫でられた後に、少しずつチリチリとした痛みが走る。
≪……っ≫
しばらく経ち、痛みが強くなってきてからも一向に離れようとしない樫。
蔦が≪い、痛いって!≫と足を動かすと、ようやく樫はそこから唇を離した。
薄暗いためにそこがどうなっているのかは詳細には分からないものの、しかし樫の望み通りはっきりと痕がついたことは確かだ。
樫はその痕がついたところを労わるように、再びそこに顔を伏せて舐め始める。
足の付け根とも股とも言える微妙なそこはとても皮膚が薄く、どんな刺激もくすぐったくてたまらないような場所であり、樫の髪の毛先や吐息が触れるだけでも身を捩って逃げてしまいたくなる蔦は踵で何度も敷き具を擦ってから≪はやく、そんなことばっかりしてないで…!≫と樫を強引に自らの上へと連れ戻したのだった。
口づけを交わしつつ、蔦が素足を樫の腰や足に巻きつけてあからさまに誘うと、さらに夜は深まっていく。
上衣は着たまま、留め紐の結び目を解いて はだけただけだ。
しかし しっかりと結合した下の部分は熱く、時折あからさまな水音さえ響かせている。
《っはあぁ…か、樫…これからもこうやって…俺のこと、だいてよ……》
《蔦、たとえじいさんと呼ばれる歳になったって…俺はおまえをこの寝台から逃がさない》
《あははっ…俺だって逃がすもんか、樫のこと…んっ、ああぁっ…!!》
震える2人の体。
密やかな夫夫の寝台は固く抱き合った樫と蔦によって隙間なく甘い雰囲気に包まれ、それにより彼らの番としての絆もより深く強固なものへと結びつきを強めていったのだった。
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