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第4章 戦いに向けて
27話
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パトレシア視点
まだ早朝の王宮の中庭で、私とララは木刀を構えて対峙していた。優しい朝日が2人を照らし、冷たい風が頬を撫でる。
「パトレシア様、全力で私に向かってきて下さい」
「分かったわ、行くわよ!」
殺し屋のアモンと戦って感じたのは圧倒的な力の差だった。次に会った時は本当に殺されるかもしれない……
「はあっ!」
私は掛け声と共に地面を蹴ると、一気に距離を詰めて木刀を振り下ろした。とにかく今やるべき事は剣の腕を磨くことね。
「そうです。その調子です。もっと素早く急所を狙って下さい!」
ララは私の攻撃を防ぎながら的確に指示を出す。
「いいですよ。相手に休む暇を与えないで下さい!」
ララの指導はとても分かりやすくて実践的だった。流石もと殺し屋ね……敵だと怖いけど、近衛兵になってくれて本当に心強いわ。
「次は防御です。剣筋をよく見て防いで下さい」
ララの攻撃は、殺し屋のアモンとよく似ていた。木刀なのにまるで本物の剣のような殺気を感じる。
「そこです!」
ララの鋭い突きが私の頬を掠める。さらに連続で攻撃をしてきた。これは防ぎきれない……一度下がる? でもすぐに詰められるわ……逃げているだけじゃアモンには勝てない!
「やああっ!」
私は自分を奮い立たせると、一歩前に踏み出して反撃に出た。一か八かの一撃はララの持っていた木刀を弾き飛ばした。
「やられました……お見事です!」
カラン、カラン、っと木刀が転がる音が響く。私は剣をしまうと、額に滲んだ汗を拭いた。
「ありがとう。ララの指導が分かりやすかったおかげよ」
「パトレシア様、次は攻撃の最中にフェイントを入れるのはどうでしょうか?」
「それいいわね。やってみるわ!」
少し休憩をしながら2人で今の手合わせの反省をしていると、誰かが拍手をしながら現れた。
「さらに強くなりましたね、パトレシアお姉様」
「あら、ウィリアム! いらっしゃい」
マルクスの弟であり第二王子のウィリアムが目を輝かせて私たちの元に駆け寄る。
「ねぇ、ウィリアムもララと手合わせをしてみたら?」
「そうですね、実はそのつもりで来ました。お手合わせしてもらえますか?」
ウィリアムは木刀を構えると、真剣な表情でララと対峙した。
「分かりました。いつでもどうぞ」
ララも木刀を構えると臨戦体制に入る。これは見ものね。
「はっ!」
ウィリアムは掛け声を出しながらララに木刀を振り下ろした。カーンっと甲高い音が中庭に響き渡る。
「まだまだ!」
ウィリアムの猛攻は休むことなく続くが、ララは器用に受け流していた。
「そこです!」
ララの鋭い突きがウィリアムの腕に当たる。それでも猛攻は止まらずにジリジリとララが追い詰められていく。
「嘘……確かに手応えはあったのに……」
「うぐっ……ぐぅ……こんなの痛くない!」
ウィリアムは顔をしかめて痛みを堪えると、追撃を続けた。
「………っ‼︎」
流石にララも苦しそうに防戦一方になっている。もうここまでかしら?
「トドメだ!」
ウィリアムの薙ぎ払いがララの首元を狙う。すかさずララも剣を振り上げて反撃しようとしたが……
「………えっ? いない⁉︎」
ララが攻撃の瞬間にしゃがんだ事で、ウィリアムの薙ぎ払いは空を擦り、ブンっと風を切る音が聞こえる。まさかあのモーションから回避をするなんて……今のがフェイント? 騙されたわ。
「やぁあ!」
そして、渾身の一撃がウィリアムの剣を弾き飛ばした。
「そこまでよ!」
私は2人の間に割って入ると、戦いを止めた。
「大丈夫ですか? ウィリアム様?」
「これくらい平気です。ララさんでしたよね? 参りました……」
ウィリアムは軽く土埃を払うと、右手を差し出してララと握手を交わした。
「2人とも凄い戦いだったわよ」
どちらも本気の一騎打ちは見ていても迫力があった。私も負けていられないわね。
「ねぇ、ララ、さっきのフェイントはどうやるの? 教えてよ」
「はい、もちろんよろしいですよ」
その後もララ先生による様々なテクニックを教わり、気がつくと昼近くになっていた。
「ふぅ~ 流石に疲れたわね」
私は剣をしまうと、中庭にある椅子に腰を下ろした。最近寒くなって
きたけど、これだけ動くと暑い。昼食の前に汗を流そうかしら?
「ねぇ、ララ、一緒に湯浴みに行きましょう。このままだと風邪を引いてしまうわ」
「ご一緒させてもらってもよろしいのですか?」
「もちろんよ。ウィリアムも一緒にくる?」
私は冗談ぽい口調で尋ねてみた。クレア妃だった頃はよく背中を洗ってあげたんだけど……
「なっ、何を言ってるんですか! 遠慮します!」
ウィリアムは顔を真っ赤に染めて首を激しく横に振った。昔は喜んでついて来てくれたのに……
「そっか~ でもクレア妃とは一緒に入ったでしょ?」
「それはまだ僕が小さかった時の話で……ってどうしてその事を知ってるんですか⁉︎」
「ふふっ、秘密よ」
ウィリアムは頬をぷくーっと膨らませて私を睨む。本当に可愛い弟ね。
「パトレシア様、意地悪はよくないですよ」
「ごめんなさい。つい弟が可愛くて……ララは先に向かっていて」
私はララが離れていくのを確認すると、ウィリアムの耳元で囁いた。
「ねぇ、今の手合わせはララの実力を測るためでしょ?」
ウィリアムは驚いた表情で目を見開くと、こっくりと頷いた。
「バレていましたか……実はパトレシアお姉様を守るだけの力があるかテストをしていました」
「そうだったのね。それで結果はどうだった?」
「合格です。ですが……ララは殺し屋なんですよね?」
「えっ、どうして知ってるの?」
「近衛兵は一番近くでお姉様を守る役目なんですよ。身元を調べるのは当然の事です」
「そうだったわね……安心して、ララはもう殺し屋ではないわ」
「でも……もし何かあったら、お兄様は立ち直れない……」
ウィリアムはシュッと俯いて弱々しく呟いた。
「大丈夫よ。私はマルクスを置いて死んだりしないわ。約束する」
私は自分の小指とウィリアムの小指を絡ませて指切りをした。
「それじゃあ、ララが待っているからもう行くね」
私はウィリアムと別れて浴室に向かった。昔はあんなに小さかったのに、もうすっかり頼もしくなったわね。
まだ早朝の王宮の中庭で、私とララは木刀を構えて対峙していた。優しい朝日が2人を照らし、冷たい風が頬を撫でる。
「パトレシア様、全力で私に向かってきて下さい」
「分かったわ、行くわよ!」
殺し屋のアモンと戦って感じたのは圧倒的な力の差だった。次に会った時は本当に殺されるかもしれない……
「はあっ!」
私は掛け声と共に地面を蹴ると、一気に距離を詰めて木刀を振り下ろした。とにかく今やるべき事は剣の腕を磨くことね。
「そうです。その調子です。もっと素早く急所を狙って下さい!」
ララは私の攻撃を防ぎながら的確に指示を出す。
「いいですよ。相手に休む暇を与えないで下さい!」
ララの指導はとても分かりやすくて実践的だった。流石もと殺し屋ね……敵だと怖いけど、近衛兵になってくれて本当に心強いわ。
「次は防御です。剣筋をよく見て防いで下さい」
ララの攻撃は、殺し屋のアモンとよく似ていた。木刀なのにまるで本物の剣のような殺気を感じる。
「そこです!」
ララの鋭い突きが私の頬を掠める。さらに連続で攻撃をしてきた。これは防ぎきれない……一度下がる? でもすぐに詰められるわ……逃げているだけじゃアモンには勝てない!
「やああっ!」
私は自分を奮い立たせると、一歩前に踏み出して反撃に出た。一か八かの一撃はララの持っていた木刀を弾き飛ばした。
「やられました……お見事です!」
カラン、カラン、っと木刀が転がる音が響く。私は剣をしまうと、額に滲んだ汗を拭いた。
「ありがとう。ララの指導が分かりやすかったおかげよ」
「パトレシア様、次は攻撃の最中にフェイントを入れるのはどうでしょうか?」
「それいいわね。やってみるわ!」
少し休憩をしながら2人で今の手合わせの反省をしていると、誰かが拍手をしながら現れた。
「さらに強くなりましたね、パトレシアお姉様」
「あら、ウィリアム! いらっしゃい」
マルクスの弟であり第二王子のウィリアムが目を輝かせて私たちの元に駆け寄る。
「ねぇ、ウィリアムもララと手合わせをしてみたら?」
「そうですね、実はそのつもりで来ました。お手合わせしてもらえますか?」
ウィリアムは木刀を構えると、真剣な表情でララと対峙した。
「分かりました。いつでもどうぞ」
ララも木刀を構えると臨戦体制に入る。これは見ものね。
「はっ!」
ウィリアムは掛け声を出しながらララに木刀を振り下ろした。カーンっと甲高い音が中庭に響き渡る。
「まだまだ!」
ウィリアムの猛攻は休むことなく続くが、ララは器用に受け流していた。
「そこです!」
ララの鋭い突きがウィリアムの腕に当たる。それでも猛攻は止まらずにジリジリとララが追い詰められていく。
「嘘……確かに手応えはあったのに……」
「うぐっ……ぐぅ……こんなの痛くない!」
ウィリアムは顔をしかめて痛みを堪えると、追撃を続けた。
「………っ‼︎」
流石にララも苦しそうに防戦一方になっている。もうここまでかしら?
「トドメだ!」
ウィリアムの薙ぎ払いがララの首元を狙う。すかさずララも剣を振り上げて反撃しようとしたが……
「………えっ? いない⁉︎」
ララが攻撃の瞬間にしゃがんだ事で、ウィリアムの薙ぎ払いは空を擦り、ブンっと風を切る音が聞こえる。まさかあのモーションから回避をするなんて……今のがフェイント? 騙されたわ。
「やぁあ!」
そして、渾身の一撃がウィリアムの剣を弾き飛ばした。
「そこまでよ!」
私は2人の間に割って入ると、戦いを止めた。
「大丈夫ですか? ウィリアム様?」
「これくらい平気です。ララさんでしたよね? 参りました……」
ウィリアムは軽く土埃を払うと、右手を差し出してララと握手を交わした。
「2人とも凄い戦いだったわよ」
どちらも本気の一騎打ちは見ていても迫力があった。私も負けていられないわね。
「ねぇ、ララ、さっきのフェイントはどうやるの? 教えてよ」
「はい、もちろんよろしいですよ」
その後もララ先生による様々なテクニックを教わり、気がつくと昼近くになっていた。
「ふぅ~ 流石に疲れたわね」
私は剣をしまうと、中庭にある椅子に腰を下ろした。最近寒くなって
きたけど、これだけ動くと暑い。昼食の前に汗を流そうかしら?
「ねぇ、ララ、一緒に湯浴みに行きましょう。このままだと風邪を引いてしまうわ」
「ご一緒させてもらってもよろしいのですか?」
「もちろんよ。ウィリアムも一緒にくる?」
私は冗談ぽい口調で尋ねてみた。クレア妃だった頃はよく背中を洗ってあげたんだけど……
「なっ、何を言ってるんですか! 遠慮します!」
ウィリアムは顔を真っ赤に染めて首を激しく横に振った。昔は喜んでついて来てくれたのに……
「そっか~ でもクレア妃とは一緒に入ったでしょ?」
「それはまだ僕が小さかった時の話で……ってどうしてその事を知ってるんですか⁉︎」
「ふふっ、秘密よ」
ウィリアムは頬をぷくーっと膨らませて私を睨む。本当に可愛い弟ね。
「パトレシア様、意地悪はよくないですよ」
「ごめんなさい。つい弟が可愛くて……ララは先に向かっていて」
私はララが離れていくのを確認すると、ウィリアムの耳元で囁いた。
「ねぇ、今の手合わせはララの実力を測るためでしょ?」
ウィリアムは驚いた表情で目を見開くと、こっくりと頷いた。
「バレていましたか……実はパトレシアお姉様を守るだけの力があるかテストをしていました」
「そうだったのね。それで結果はどうだった?」
「合格です。ですが……ララは殺し屋なんですよね?」
「えっ、どうして知ってるの?」
「近衛兵は一番近くでお姉様を守る役目なんですよ。身元を調べるのは当然の事です」
「そうだったわね……安心して、ララはもう殺し屋ではないわ」
「でも……もし何かあったら、お兄様は立ち直れない……」
ウィリアムはシュッと俯いて弱々しく呟いた。
「大丈夫よ。私はマルクスを置いて死んだりしないわ。約束する」
私は自分の小指とウィリアムの小指を絡ませて指切りをした。
「それじゃあ、ララが待っているからもう行くね」
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