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第3章 建国祭と殺し屋
19話
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「すみません、遅くなりました!」
「パトレシア様! もう始まりますよ! すぐに準備をして下さい」
中央ステージの控え室に向かうと、大商人のイアンがソワソワしながら私の到着を待っていた。
「何かトラブルでもあったのですか?」
「えぇ……まぁ、少し……でも大丈夫です」
私は直ぐに着替えると、呼吸を整えて気持ちを落ち着かせた。ステージの方から観客の歓声と拍手が聞こえる。ちらっと舞台裏から覗いてみると、まだ10歳くらいの小さな子が堂々と演じていた。
「君……お名前は?」
「えっと……パトレシアです」
「そうか、君、帰るとこはあるのかい?」
「いいえ……ありません……」
「そうか……ならうちの村に来なさい」
この舞台は生まれ変わった私がマルクスと再会を果たすという。嘘みたいな本当の話をベースにしてある。まずは子役の子が村の人に拾われて成長していく。
「パトレシアちゃんの作ったお薬はよく効くよ。ありがとね」
「ふふっ、私皆んなのためにもっと勉強するね!」
子供の純粋な笑顔に観客も自然と笑みが溢れる。そういえば私も皆んなの役に立つために必死に勉強したわね……
「マルクス王子が貴方の薬を飲んで病気が治りました。是非、お礼を言いたいので王宮までお越しください」
場面が切り替わり、少し成長したパトレシアがいつも通りお薬を売っている。そこになんとティレンド副将軍が現れた。
「キャァーかっこいい!」
「ティレンド様! こっちを見て!」
会場からは黄色い声援が上がり、女性たちが目を輝かせる。容姿が良くて貴族のような雰囲気があるティレンド副将軍は狙い通り女性客の心を掴んだ。
正直出演してくれるか不安だったけど、本人も意外と乗り気で演じてくれた。
「では、王宮に向かいましょう」
ここでまた場面が反転して、この後道中で盗賊に襲われて戦う事になる。
「パトレシア様、出番ですよ」
「はい、行ってきます!」
私は返事をしてステージに一歩を踏み出した。スポットライトに当てられ眩しい…… 全員の視線が集まるのを感じる。大丈夫、落ち着いて、練習通りやればうまく行くはず!
「おい、馬車を止めろ!」
盗賊役の男たちが怒鳴り声をあげて馬車を止める。私は言われた通りにすると、ゆっくりと馬車から降りて剣を抜いた。
「怪我をしたくなければ今すぐ立ち去りなさい」
「おいおい、嬢ちゃん俺たちとやるって言うのか? 面白い、遊んでやるよ!」
盗賊役の男たちは剣を抜くと襲いかかってきた。でも全て演技だから危険はない。そう思っていたけど……
「死ね!」
盗賊役の1人が私に向かって剣を振り下ろしてきた。甲高い金属音が響く。予想外に強い攻撃に思わず吹き飛ばされてしまった。手も痺れて痛い……練習の時はこんなのなかったのに……
「どうした? 口の割には大した事ないな!」
「っ……あっ! 貴方はさっきのくじ屋の……」
不健康そうな顔の男は、私を睨むと畳み掛けるように連続攻撃してきた。
「つ、強い……」
男の繰り出す不規則な攻撃は見極めるのが難しい。足取りもフラフラしているせいで余計に動きが読めない……客席からは悲鳴と歓声の混じった声が聞こえてくる。
私はバックステップで距離を開けると、剣を床に突き刺して声を張り上げた。
「私の名前はパトレシア。この国の王妃です。貴方は何者ですか?」
観客の視線が謎の男に向けられる。男は面倒くさそうにため息をつくと、芝居がかった口調で答えた。
「俺の名前はアモン。殺し屋さ。お前の命をもらいにきた」
自己紹介を終えた男は私に剣を向けると、一気に距離を詰めてきた。剣捌きはますますスピードを上げていき、客席のボルテージも上がっていく。
「殺し屋のアモン……くじ屋の時も私を殺そうとしたでしょ?」
剣と剣がぶつかり合って火花が散る。私がアモンにだけ聞こえるように尋ねると、男はニヤリと笑みを浮かべて頷いた。
「当初の予定だとアンタはあそこで死ぬはずだったんだけどなぁ……それにしてもどこで剣を学んだんだ? 女にしてはやるじゃねーか」
「貴方には関係ありません!」
「そうか……つれない女だな……」
男は剣を振り上げると、大きく一歩を踏み出した。ゾワゾワと背中に悪寒が走って、第六感が死の危険を知らせる。避けるのは無理……受け止める自信もない……だったら!
私は一か八かにかけてその場にしゃがんでみた。すると、男は眩しそうに目を閉じた。
「っ、前が見えん!」
しゃがんだ事で背後から私を照らしていたスポットライトが男の顔に直撃する。よし、うまく行ったわ!
「はっあああ!!」
私は掛け声に合わせて剣を突き刺した。相手は目が眩んでいて攻撃が見えない。でも、アモンは剣の鞘を盾にすると、私の一撃を受け止めてしまった。
「嘘でしょ……」
男は目を擦ると、私を睨みつける。でも口元はなぜか笑っていた。
「今のはよかったぜ、でも、もう時間みたいだな……」
男は軽く咳き込むと膝をついた。その手は赤く染まっている。えっ吐血? どう言うこと?
「ったく、持病持ちにはもう少し労われよな……」
男は私にだけ聞こえるように愚痴をこぼすと、剣をしまって舞台裏に消えていった。
* * *
「パトレシア様かっこいい!」
「パトレシア様強い!」
トラブルはあったものの、無事に舞台は終わり、私たちは観客に深くお辞儀をした。
まるで本気の(本人は命懸けの)剣戟は全員の心を掴んで魅了したらしい。会場からは惜しみない拍手が送られる。
「パトレシア、お疲れ様、凄い迫力だったよ!」
ステージを降りてさっきの殺し屋が近くにいないか探していると、マルクスが私に労いの言葉をかけてくれた。
「ありがとう。ねぇ、さっき私が戦っていた敵役の人って……どこに行ったか分かる?」
「う~ん……見ていないな~」
観客やマルクスは気づいていないけど……私が戦っていたのは殺し屋。くじの中に毒蛇を仕込んだり、舞台に参加して直接殺そうとしてきた。次は一体どんな手を使ってくるの?
「どうしたんだいパトレシア? 浮かない顔をして?」
「なんでもないわ。ただ、少し疲れちゃっただけで……自分の部屋で休んでもいいかしら?」
命懸けの戦いが終わった事でどっと疲れた……腕も剣を振り過ぎたせいで腕が痛いし足も重たい……
「もちろんだよ。無理は良くないからすぐに戻ろう!」
マルクスは心配そうな表情で私の顔を覗き込むと、王宮までエスコートしてくれた。正直今は1人になるのが怖いからとても心強い。
皆んなは楽しそうにお祭り騒ぎをしているけど、その中にあの男がいると思うと、ゾッとする。
「パトレシア……一体何をそんなに怯えているんだい?」
「えっ?」
マルクスに言われるまで気づかなかったけど、ガタガタと手が震えて、足も小刻みに震えていた。
「ねぇ、まさかだけど……君が舞台で戦っていたのは敵役じゃなくて本物の……」
「待って、誰かが聞いたらパニックになるわ。王宮に急ぎましょう」
私はマルクスが言おうとした事を止めると、王宮に向かった。流石にここには来れないでしょ。
「ごめんね、せっかくのお祭りだから、マルクスは遊びに行って来てもいいんだよ」
「君がいないお祭りなんて楽しくないよ。隣で見守っているから、ゆっくり休んで。その後に話を聞かせてもらおうかな?」
マルクスはベットの横に椅子を持ってくると、私の手を握りしめてくれた。恐怖心が減って心地よい安心感が私を包み込む。
「ありがとうマルクス……おやすみなさい……」
私はベットに身を任せると、深い眠りについた。
「パトレシア様! もう始まりますよ! すぐに準備をして下さい」
中央ステージの控え室に向かうと、大商人のイアンがソワソワしながら私の到着を待っていた。
「何かトラブルでもあったのですか?」
「えぇ……まぁ、少し……でも大丈夫です」
私は直ぐに着替えると、呼吸を整えて気持ちを落ち着かせた。ステージの方から観客の歓声と拍手が聞こえる。ちらっと舞台裏から覗いてみると、まだ10歳くらいの小さな子が堂々と演じていた。
「君……お名前は?」
「えっと……パトレシアです」
「そうか、君、帰るとこはあるのかい?」
「いいえ……ありません……」
「そうか……ならうちの村に来なさい」
この舞台は生まれ変わった私がマルクスと再会を果たすという。嘘みたいな本当の話をベースにしてある。まずは子役の子が村の人に拾われて成長していく。
「パトレシアちゃんの作ったお薬はよく効くよ。ありがとね」
「ふふっ、私皆んなのためにもっと勉強するね!」
子供の純粋な笑顔に観客も自然と笑みが溢れる。そういえば私も皆んなの役に立つために必死に勉強したわね……
「マルクス王子が貴方の薬を飲んで病気が治りました。是非、お礼を言いたいので王宮までお越しください」
場面が切り替わり、少し成長したパトレシアがいつも通りお薬を売っている。そこになんとティレンド副将軍が現れた。
「キャァーかっこいい!」
「ティレンド様! こっちを見て!」
会場からは黄色い声援が上がり、女性たちが目を輝かせる。容姿が良くて貴族のような雰囲気があるティレンド副将軍は狙い通り女性客の心を掴んだ。
正直出演してくれるか不安だったけど、本人も意外と乗り気で演じてくれた。
「では、王宮に向かいましょう」
ここでまた場面が反転して、この後道中で盗賊に襲われて戦う事になる。
「パトレシア様、出番ですよ」
「はい、行ってきます!」
私は返事をしてステージに一歩を踏み出した。スポットライトに当てられ眩しい…… 全員の視線が集まるのを感じる。大丈夫、落ち着いて、練習通りやればうまく行くはず!
「おい、馬車を止めろ!」
盗賊役の男たちが怒鳴り声をあげて馬車を止める。私は言われた通りにすると、ゆっくりと馬車から降りて剣を抜いた。
「怪我をしたくなければ今すぐ立ち去りなさい」
「おいおい、嬢ちゃん俺たちとやるって言うのか? 面白い、遊んでやるよ!」
盗賊役の男たちは剣を抜くと襲いかかってきた。でも全て演技だから危険はない。そう思っていたけど……
「死ね!」
盗賊役の1人が私に向かって剣を振り下ろしてきた。甲高い金属音が響く。予想外に強い攻撃に思わず吹き飛ばされてしまった。手も痺れて痛い……練習の時はこんなのなかったのに……
「どうした? 口の割には大した事ないな!」
「っ……あっ! 貴方はさっきのくじ屋の……」
不健康そうな顔の男は、私を睨むと畳み掛けるように連続攻撃してきた。
「つ、強い……」
男の繰り出す不規則な攻撃は見極めるのが難しい。足取りもフラフラしているせいで余計に動きが読めない……客席からは悲鳴と歓声の混じった声が聞こえてくる。
私はバックステップで距離を開けると、剣を床に突き刺して声を張り上げた。
「私の名前はパトレシア。この国の王妃です。貴方は何者ですか?」
観客の視線が謎の男に向けられる。男は面倒くさそうにため息をつくと、芝居がかった口調で答えた。
「俺の名前はアモン。殺し屋さ。お前の命をもらいにきた」
自己紹介を終えた男は私に剣を向けると、一気に距離を詰めてきた。剣捌きはますますスピードを上げていき、客席のボルテージも上がっていく。
「殺し屋のアモン……くじ屋の時も私を殺そうとしたでしょ?」
剣と剣がぶつかり合って火花が散る。私がアモンにだけ聞こえるように尋ねると、男はニヤリと笑みを浮かべて頷いた。
「当初の予定だとアンタはあそこで死ぬはずだったんだけどなぁ……それにしてもどこで剣を学んだんだ? 女にしてはやるじゃねーか」
「貴方には関係ありません!」
「そうか……つれない女だな……」
男は剣を振り上げると、大きく一歩を踏み出した。ゾワゾワと背中に悪寒が走って、第六感が死の危険を知らせる。避けるのは無理……受け止める自信もない……だったら!
私は一か八かにかけてその場にしゃがんでみた。すると、男は眩しそうに目を閉じた。
「っ、前が見えん!」
しゃがんだ事で背後から私を照らしていたスポットライトが男の顔に直撃する。よし、うまく行ったわ!
「はっあああ!!」
私は掛け声に合わせて剣を突き刺した。相手は目が眩んでいて攻撃が見えない。でも、アモンは剣の鞘を盾にすると、私の一撃を受け止めてしまった。
「嘘でしょ……」
男は目を擦ると、私を睨みつける。でも口元はなぜか笑っていた。
「今のはよかったぜ、でも、もう時間みたいだな……」
男は軽く咳き込むと膝をついた。その手は赤く染まっている。えっ吐血? どう言うこと?
「ったく、持病持ちにはもう少し労われよな……」
男は私にだけ聞こえるように愚痴をこぼすと、剣をしまって舞台裏に消えていった。
* * *
「パトレシア様かっこいい!」
「パトレシア様強い!」
トラブルはあったものの、無事に舞台は終わり、私たちは観客に深くお辞儀をした。
まるで本気の(本人は命懸けの)剣戟は全員の心を掴んで魅了したらしい。会場からは惜しみない拍手が送られる。
「パトレシア、お疲れ様、凄い迫力だったよ!」
ステージを降りてさっきの殺し屋が近くにいないか探していると、マルクスが私に労いの言葉をかけてくれた。
「ありがとう。ねぇ、さっき私が戦っていた敵役の人って……どこに行ったか分かる?」
「う~ん……見ていないな~」
観客やマルクスは気づいていないけど……私が戦っていたのは殺し屋。くじの中に毒蛇を仕込んだり、舞台に参加して直接殺そうとしてきた。次は一体どんな手を使ってくるの?
「どうしたんだいパトレシア? 浮かない顔をして?」
「なんでもないわ。ただ、少し疲れちゃっただけで……自分の部屋で休んでもいいかしら?」
命懸けの戦いが終わった事でどっと疲れた……腕も剣を振り過ぎたせいで腕が痛いし足も重たい……
「もちろんだよ。無理は良くないからすぐに戻ろう!」
マルクスは心配そうな表情で私の顔を覗き込むと、王宮までエスコートしてくれた。正直今は1人になるのが怖いからとても心強い。
皆んなは楽しそうにお祭り騒ぎをしているけど、その中にあの男がいると思うと、ゾッとする。
「パトレシア……一体何をそんなに怯えているんだい?」
「えっ?」
マルクスに言われるまで気づかなかったけど、ガタガタと手が震えて、足も小刻みに震えていた。
「ねぇ、まさかだけど……君が舞台で戦っていたのは敵役じゃなくて本物の……」
「待って、誰かが聞いたらパニックになるわ。王宮に急ぎましょう」
私はマルクスが言おうとした事を止めると、王宮に向かった。流石にここには来れないでしょ。
「ごめんね、せっかくのお祭りだから、マルクスは遊びに行って来てもいいんだよ」
「君がいないお祭りなんて楽しくないよ。隣で見守っているから、ゆっくり休んで。その後に話を聞かせてもらおうかな?」
マルクスはベットの横に椅子を持ってくると、私の手を握りしめてくれた。恐怖心が減って心地よい安心感が私を包み込む。
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