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13話 第二王子のクリフトに溺愛される
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第二王子、クリフト視点
「おはようロレッタ。昨日は大変だったね」
「えっ、クリフト様!? おはようございます。すみませんまだ起きたばかりでこんな格好で……」
「いや、構わない」
ロレッタは頬を赤らめると、布団で顔を隠した。一体何を恥ずかしがるのだろうか? ビョンっと跳ねた寝癖と、とろ~んとした寝ぼけた瞳がとても愛くるしい。許されるのならいつまでも見ていたい。
「兄の処刑が終わるまでは王宮で過ごしてほしい」
膝をついて手を繋ぐと、ロレッタの耳が赤く染まっていく。兄には臆する事なく堂々と話す姿はかっこいいが、こんな風に恥じらう姿は可愛らしい。
「クリフト様、今日の業務が山ほど残っております。早く戻って来て下さい!」
せっかくロレッタと2人きりでいい感じだったのに、護衛に見つかってしまった……
「分かった、分かった今行く」
仕方なくロレッタの元を離れて自分の部屋に戻ると、机に報告書の山が出来ていた。これは丸一日かかるな……いや、待てよ? 早く終わったらロレッタに会えるのでは?
「よし、今日は半日で全てを終わらせるぞ!」
ロレッタに会うために僕は取り憑かれたように仕事に励んだ。周りで見ていた召使達も異常なまでの仕事の速さに目を丸くする。
「これで最後だな?」
山ほどあった報告書もこれで最後。宛先はハマタ村からだった。なになに……そうか……あのバーバラが真面目に働いているのか……国外追放の取り消しを要求……これはロレッタに相談してみよう。
「今日のクリフト様はあの国王陛下を彷彿させるような仕事さばきでした。一体どうされたのですか?」
「そんなの、ロレッタに会うために決まっているじゃないか」
この時間なら一緒にお昼を誘うのがいいだろう。今日はいい天気だし中庭で昼食を取るとしよう!
早速僕は書類をまとめると、ロレッタが待っている部屋に向かった。
「ロレッタ、入るよ」
ノックをしてみたが返事がない。中を覗くとロレッタはいなかった。何処に行ったのだろう? もしや天気がいいから外にいるのでは?
中庭に向かうと予想通りロレッタがいた。金色の長い髪が風に揺れてなびく。乱れない様に軽く頭に手を当てる仕草は絵画のような美しさを秘めていた。
「ロレッタ、こんな所に……」
声をかけようとしたが、ふと足が止まった。それもそのはず、なんとロレッタは知らない男と楽しそうに会話をしていた。
「あれ、クリフト様? お仕事はよろしいのですか?」
「あぁ……もう終わらせてきたよ。それよりも……そこの隣の男性は何処のどなたですか? 何をしてるんですか? なっなにを話していたんですか?」
つい焦ってしまい大量の質問をしてしまった。まさかロレッタの恋人だったりして……だとしたらこの男性は僕のライバルになるのか⁉︎
「何か勘違いされている様ですが、俺はロレッタ姉さんの忠実な子分にすぎません」
「子分?」
明らかに不良の様な見た目のこいつがロレッタの子分? よく分からないが少なくとも恋人ではないようでホッとした。
「それでは姉さん、俺は戻ります。また何かあれば何でも言って下さい」
「うん、報告書ありがとねユーゴ。とても助かったわ」
ユーゴと言う名の男は最敬礼をすると、街の方に向かっていった。これでロレッタと2人きり。ようやく邪魔者はいなくなった。
「ロレッタ、今日はいい天気だから一緒に食事をとろう」
「えっ、私でよろしいのですか? 他にも沢山綺麗な人や地位が上の人がいるのに……」
「僕はロレッタと一緒に食事がしたいんだ。他の令嬢の事はいいんだ」
僕は中庭に設置してあるテーブルまでロレッタをエスコートした。この日の昼食は今までで一番美味しかった。これからも食事をする時はロレッタを誘うとしよう。
「この野菜美味しいですね! 味もいいし立派に育っていますね」
「確かそれはハタマ村で取れたものだな。あの痩せ干せた土地でこれほどの野菜を取れるとは大したものだ」
「ハタナ村……追放されたバーバラが住んでいる村ですよね? この野菜を育てたのはバーバラですか?」
「報告書で読む限りはそうらしい。村の人たちも彼女をとても評価している。もしロレッタが構わないのであれば王国に戻そうと思っている。ロレッタはどうしたい?」
「ぜひ、王国に戻してあげて下さい!」
「そうか、やはり優しいな……」
あれほどまで罵倒されたにもかかわらず、許してあげるとは……ロレッタの寛大な心に思わず感心してしまう。
「では、一筆書いておくとしよう」
僕はロレッタを客室まで送ると、ハマタ村に一通の手紙を書いた。
「おはようロレッタ。昨日は大変だったね」
「えっ、クリフト様!? おはようございます。すみませんまだ起きたばかりでこんな格好で……」
「いや、構わない」
ロレッタは頬を赤らめると、布団で顔を隠した。一体何を恥ずかしがるのだろうか? ビョンっと跳ねた寝癖と、とろ~んとした寝ぼけた瞳がとても愛くるしい。許されるのならいつまでも見ていたい。
「兄の処刑が終わるまでは王宮で過ごしてほしい」
膝をついて手を繋ぐと、ロレッタの耳が赤く染まっていく。兄には臆する事なく堂々と話す姿はかっこいいが、こんな風に恥じらう姿は可愛らしい。
「クリフト様、今日の業務が山ほど残っております。早く戻って来て下さい!」
せっかくロレッタと2人きりでいい感じだったのに、護衛に見つかってしまった……
「分かった、分かった今行く」
仕方なくロレッタの元を離れて自分の部屋に戻ると、机に報告書の山が出来ていた。これは丸一日かかるな……いや、待てよ? 早く終わったらロレッタに会えるのでは?
「よし、今日は半日で全てを終わらせるぞ!」
ロレッタに会うために僕は取り憑かれたように仕事に励んだ。周りで見ていた召使達も異常なまでの仕事の速さに目を丸くする。
「これで最後だな?」
山ほどあった報告書もこれで最後。宛先はハマタ村からだった。なになに……そうか……あのバーバラが真面目に働いているのか……国外追放の取り消しを要求……これはロレッタに相談してみよう。
「今日のクリフト様はあの国王陛下を彷彿させるような仕事さばきでした。一体どうされたのですか?」
「そんなの、ロレッタに会うために決まっているじゃないか」
この時間なら一緒にお昼を誘うのがいいだろう。今日はいい天気だし中庭で昼食を取るとしよう!
早速僕は書類をまとめると、ロレッタが待っている部屋に向かった。
「ロレッタ、入るよ」
ノックをしてみたが返事がない。中を覗くとロレッタはいなかった。何処に行ったのだろう? もしや天気がいいから外にいるのでは?
中庭に向かうと予想通りロレッタがいた。金色の長い髪が風に揺れてなびく。乱れない様に軽く頭に手を当てる仕草は絵画のような美しさを秘めていた。
「ロレッタ、こんな所に……」
声をかけようとしたが、ふと足が止まった。それもそのはず、なんとロレッタは知らない男と楽しそうに会話をしていた。
「あれ、クリフト様? お仕事はよろしいのですか?」
「あぁ……もう終わらせてきたよ。それよりも……そこの隣の男性は何処のどなたですか? 何をしてるんですか? なっなにを話していたんですか?」
つい焦ってしまい大量の質問をしてしまった。まさかロレッタの恋人だったりして……だとしたらこの男性は僕のライバルになるのか⁉︎
「何か勘違いされている様ですが、俺はロレッタ姉さんの忠実な子分にすぎません」
「子分?」
明らかに不良の様な見た目のこいつがロレッタの子分? よく分からないが少なくとも恋人ではないようでホッとした。
「それでは姉さん、俺は戻ります。また何かあれば何でも言って下さい」
「うん、報告書ありがとねユーゴ。とても助かったわ」
ユーゴと言う名の男は最敬礼をすると、街の方に向かっていった。これでロレッタと2人きり。ようやく邪魔者はいなくなった。
「ロレッタ、今日はいい天気だから一緒に食事をとろう」
「えっ、私でよろしいのですか? 他にも沢山綺麗な人や地位が上の人がいるのに……」
「僕はロレッタと一緒に食事がしたいんだ。他の令嬢の事はいいんだ」
僕は中庭に設置してあるテーブルまでロレッタをエスコートした。この日の昼食は今までで一番美味しかった。これからも食事をする時はロレッタを誘うとしよう。
「この野菜美味しいですね! 味もいいし立派に育っていますね」
「確かそれはハタマ村で取れたものだな。あの痩せ干せた土地でこれほどの野菜を取れるとは大したものだ」
「ハタナ村……追放されたバーバラが住んでいる村ですよね? この野菜を育てたのはバーバラですか?」
「報告書で読む限りはそうらしい。村の人たちも彼女をとても評価している。もしロレッタが構わないのであれば王国に戻そうと思っている。ロレッタはどうしたい?」
「ぜひ、王国に戻してあげて下さい!」
「そうか、やはり優しいな……」
あれほどまで罵倒されたにもかかわらず、許してあげるとは……ロレッタの寛大な心に思わず感心してしまう。
「では、一筆書いておくとしよう」
僕はロレッタを客室まで送ると、ハマタ村に一通の手紙を書いた。
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