上 下
9 / 49

7話 第一王子を失脚させるために準備を進める

しおりを挟む
ロレッタ視点

「おはようございますロレッタ。もう大丈夫なのですか?」

 1週間ぶりに学校に向かっているとカトリーヌが心配そうに尋ねてきた。こうして話すのも久しぶりだなぁ~

「うん、平気平気、ばっちりだよ!」

「そうですか、よかった……あの、噂できいたのですが……」

 カトリーヌはキョロキョロと周りを見渡すと。私に顔を近づけた。

「第二王子のクリフト様に看病してもらったのは本当ですか?」

「えっと……うん、まぁねぇ」

 トイレに行く時と着替える時以外は基本的にクリフト様が私の看病をしてくれた。それに魔力補給という名の頭撫で撫でまでしてもらった。はぁ~ 幸せだったなぁ~

「ロレッタ、顔が赤いけど大丈夫ですか? やはりまだ熱があるんじゃ……」

「そっそうかな? 気のせいじゃないかな?」

「もしかして第二王子様の事が好きなのですか?」

 カトリーヌはジトーとした目で私を見ると、とんでもない事を尋ねて来た。えっどうしてバレたの? これが女の勘ってやつ?

「どっどうして分かったの!?」

「ふふっ、やはりそうなのですね。でもきっとクリフト王子も同じだと思いますよ」

「えっ? 本当に?」

「だって……王子が看病を自らするなんて考えられません。よほど特別な相手でもない限りお手伝いさんに任せるのが普通ですよ」

「なっなるほどね……じゃあ逆にカトリーヌの方はどうなの? 誰か好きな人はいるの?」

 今度は私が質問をしてみた。これっていわゆる恋バナというやつかな? うわぁ~ 私が恋バナしてる! 女番長だったけどちゃんと女子してるじゃん!

「わっ私ですか!? そっそうですね……いることはいますが……」

「えっ、誰だれ? 教えて誰にも言わないからさ!」

「本当に誰にも言わないでね!」

「うん言わない!」

 カトリーヌは周りを見渡して誰もいない事を確認すると、小さな声で教えてくれた。

「第一王子のアラン様だよ」

「えっ第一王子!?」

「ロレッタ声が大きい」

 カトリーヌが慌てて私の口に手を当てる。第一王子。それってつまりクリフト様のお兄さんって事だよね? 凄くない!?

「えっ、そっ、そうだったの? 凄いね!」

「うっうん……それでね、1ヶ月後にある学校の創立記念日に来られるみたいなの。そこで告白してくれるみたいで……」

「えっ、何それ最高じゃない!」

 ロマンチックなシュチエーションに興奮気味な私とは対照的に、何故かカトリーヌはうかない顔をしていた。

「でも、あまり良い噂は聞かないの。浮気者とか婚約破棄を以前されたとか言われていてね……」

「婚約破棄……」

 そのキーワードが私の頭に引掛かった。婚約破棄といえばラノベで流行ったやつだよね? まさかこの世界でも起きたの?

「でも噂だからね、本当かどうか分からないからね」

 カトリーヌは無理やり微笑むと話を切り上げた。どうにも怪しいな……嫌な予感がする。少し調べてみようかな? 

 密かに第一王子について探りを入れる事を決意していると、校門の前で子分のユーゴを先頭に、下っ端たちが整列していた。

「「「「「おはようございます姉さん!」」」」」

 子分たちは私を見ると声を合わせて挨拶をして頭を下げた。何だか主人を待つ犬みたいで可愛いわね。

「姉さん、もうお体はよろしいのですか?」

「うん、バッチリだよ。そうだちょうどよかった。頼みがあるんだけど聞いてくれるかしら?」

「何なりとお申し付け下さい」

「じゃあ、第一王子の噂について調べてきて」

「「「「「分かりました!」」」」」

 子分たちは元気よく返事をすると早速調査に向かった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。……これは一体どういうことですか!?

四季
恋愛
朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。

パーティ追放されたので、のんびりと薬屋さんを始めました~私のお店に王子様が来店してくれます~

マルローネ
恋愛
色んな回復アイテムを生み出せるエメラダは、冒険者パーティ内で生命線として活動をしていた。しかし…… 「新しい支援役が出来たから、お前は不要だ。消えろ」 パーティのリーダーから一方的に追放されてしまった。新しい支援役の女性はどうやら、リーダーの恋人の模様。支援役は何人居ても困らないはず、とエメラダは言ったが、以前にリーダーからの告白を断っていたという理由を明かされ、嫌がらせとして追放されてしまう。 仕方がないので、エメラダは冒険者を引退し、薬屋として自分の能力を活かすことにした。これが大繁盛し、王子様の耳にも届くことになる。そして、王子様の支援を受けられるようになり、国一番の薬屋としての道を歩むのだった。 ところで、エメラダを追放したパーティは新しく入った支援役の能力不足もあり、どんどん衰退していくことになる。

傷物令嬢シャルロットは辺境伯様の人質となってスローライフ

悠木真帆
恋愛
侯爵令嬢シャルロット・ラドフォルンは幼いとき王子を庇って右上半身に大やけどを負う。 残ったやけどの痕はシャルロットに暗い影を落とす。 そんなシャルロットにも他国の貴族との婚約が決まり幸せとなるはずだった。 だがーー 月あかりに照らされた婚約者との初めての夜。 やけどの痕を目にした婚約者は顔色を変えて、そのままベッドの上でシャルロットに婚約破棄を申し渡した。 それ以来、屋敷に閉じこもる生活を送っていたシャルロットに父から敵国の人質となることを命じられる。

冷酷非情の雷帝に嫁ぎます~妹の身代わりとして婚約者を押し付けられましたが、実は優しい男でした~

平山和人
恋愛
伯爵令嬢のフィーナは落ちこぼれと蔑まれながらも、希望だった魔法学校で奨学生として入学することができた。 ある日、妹のノエルが雷帝と恐れられるライトニング侯爵と婚約することになった。 ライトニング侯爵と結ばれたくないノエルは父に頼み、身代わりとしてフィーナを差し出すことにする。 保身第一な父、ワガママな妹と縁を切りたかったフィーナはこれを了承し、婚約者のもとへと嫁ぐ。 周りから恐れられているライトニング侯爵をフィーナは怖がらず、普通に妻として接する。 そんなフィーナの献身に始めは心を閉ざしていたライトニング侯爵は心を開いていく。 そしていつの間にか二人はラブラブになり、子宝にも恵まれ、ますます幸せになるのだった。

【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。

扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋 伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。 それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。 途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。 その真意が、テレジアにはわからなくて……。 *hotランキング 最高68位ありがとうございます♡ ▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス

とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件

紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵令嬢リリアーヌは、10歳で母が他界し、その後義母と義妹に虐げられ、 屋敷ではメイド仕事をして過ごす日々。 そんな中で、このままでは一生虐げられたままだと思い、一念発起。 母の遺言を受け、自分で自分を幸せにするために行動を起こすことに。 そんな中、偶然訳ありの男性を拾ってしまう。 しかし、その男性がリリアーヌの未来を作る救世主でーーーー。 メイド仕事の傍らで隠れて淑女教育を完璧に終了させ、語学、経営、経済を学び、 財産を築くために屋敷のメイド姿で見聞きした貴族社会のことを小説に書いて出版し、それが大ヒット御礼! 学んだことを生かし、商会を設立。 孤児院から人材を引き取り育成もスタート。 出版部門、観劇部門、版権部門、商品部門など次々と商いを展開。 そこに隣国の王子も参戦してきて?! 本作品は虐げられた環境の中でも懸命に前を向いて頑張る とある侯爵令嬢が幸せを掴むまでの溺愛×サクセスストーリーです♡ *誤字脱字多数あるかと思います。 *初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ *ゆるふわ設定です

踏み台令嬢はへこたれない

三屋城衣智子
恋愛
「婚約破棄してくれ!」  公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。  春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。  そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?  これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。 「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」  ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。  なろうでも投稿しています。

断罪されてムカついたので、その場の勢いで騎士様にプロポーズかましたら、逃げれんようなった…

甘寧
恋愛
主人公リーゼは、婚約者であるロドルフ殿下に婚約破棄を告げられた。その傍らには、アリアナと言う子爵令嬢が勝ち誇った様にほくそ笑んでいた。 身に覚えのない罪を着せられ断罪され、頭に来たリーゼはロドルフの叔父にあたる騎士団長のウィルフレッドとその場の勢いだけで婚約してしまう。 だが、それはウィルフレッドもその場の勢いだと分かってのこと。すぐにでも婚約は撤回するつもりでいたのに、ウィルフレッドはそれを許してくれなくて…!? 利用した人物は、ドSで自分勝手で最低な団長様だったと後悔するリーゼだったが、傍から見れば過保護で執着心の強い団長様と言う印象。 周りは生暖かい目で二人を応援しているが、どうにも面白くないと思う者もいて…

処理中です...