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第4章 地底火山のダンジョン
20話
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「さてと、どうしよう? いつも通りでいいよね?」
キッチンに向かった葵が、いつも通りトーストにバターを塗って焼き、サラダとコーヒーを準備していると、セリナが目を擦りながら起きてきた。
「あっ、セリナちゃん、おはよう」
「おはようございます」
セリナがテーブルに着くと「いただきます」と挨拶をしてパンにかぶり付いた。そして恒例の動画チェックを始めた。
「ねえ、凄いよ、なんと登録者数が30万人を突破したんだよ!」
「30万人⁉︎ そんなに大勢の方に見られているのですね!」
ここ最近の再生数は順調で、更新する度に、最高記録を更新している。スパチャや広告収入も右肩上がりでだいぶお金に余裕が出てきた。
もちろんその事も嬉しいが、何より葵はセリナと一緒にダンジョン配信ができることに喜びを感じていた。
「ちなみに魔王チャンネルはどうですか?」
「ちょっと待ってね……うわ、負けた……33万人だって」
「そうですか……やはり魔王は強いですね」
「本気で世界征服するつもりだね……」
魔王はこの世界を征服するために影響力を求めている。そのために動画配信をして人気者になろうとしている。セリナは勇者として魔王の野望を阻止しないといけない。
だからこそ、葵と共に動画配信をして、魔王よりも人気になる必要があった。
「あっ、また魔王たちが配信をしているよ!」
あなたのおすすめに魔王の生配信動画が上がってきた。どうやらすでにダンジョン内にいるらしい
『やぁ、諸君ども、魔王のバルケリオスだ。今日はこの地底火山のダンジョンとやらを攻略していく』
動画越しに魔王が邪悪な笑みを浮かべながら視聴者に向かって手を振る。魔王という圧倒的な強さで魔物を倒す動画はものすごい人気となっていた。
〈魔王様、今日もやっちゃって下さい!〉
〈これぞ最強! 魔王様こそが頂点だ!〉
〈魔王様、今日もかっこいいです!〉
〈今日も、無双劇が見られるぞ!〉
〈魔王様、私を忠実なる僕にして下さい〉
〈もうこの人1人いたら魔物を絶滅させれるんじゃね(笑〉
〈なんか最近、魔王と勇者の配信しか見れないよ〉
〈やっぱり魔王は凄いな……でもセリナちゃんも凄かったよね〉
〈スライムちゃんも忘れないでね!〉
〈てゆか、またコラボしてほしな〉
「魔王と勇者は2人揃って欲しい!〉
コメント欄にはチラホラと葵たちの事も書かれていた。魔王もその事に気づいたのか、ポンっと手を叩いて頷いた。
「セリナ、葵、この配信を見ているか? もし見ていたら今からコラボをしよう! 場所は地底火山だ。待っているぞ!」
〈それ最高!〉
〈2人とも、早くきて~!〉
〈またコラボが見られるのか⁉︎〉
〈これは見逃せないな!〉
〈またわちゃわちゃが見られるのか?〉
〈魔王と勇者って意外と仲良いな(笑〉
〈あれ? 敵同士じゃなかったの? いつの間にか仲良しだな〉
魔王の提案にコメント欄が盛り上がりを見せる。これは配信者として行かないといけない。葵とセリナは手早く朝食を済ませて身支度を整えると、車を飛ばして地底火山があるダンジョンに向かった。
* * *
「あっ、セリナちゃんと葵ちゃんだ!」
「えっ、本当だ! 本当に来てくれたんだ!」
「やった! コラボだ!」
現場に着くと大勢のファンに出迎えられた。ダンジョン配信をしていると、本人を一目見ようとする人が一定数いる。それが最近人気になったことで増えた気がする。
「みんな、応援ありがとう。セリナちゃん、今日も頑張ろうね」
「はい!」
葵はファンの皆に感謝の気持ちを伝えると、セリナと顔を見合わせて笑顔で頷いた。そして手を繋いでダンジョンのゲートに手を伸ばした。
視聴者は葵とセリナの妙に距離の近い関係に妄想を膨らませてドギマギする。皆が見てる前でも自然と手を繋ぐ2人なら、カメラが止まったら何か特別なことがあるんじゃないか? そんな予感が視聴者の脳裏をよぎる。
「あれ? セリナちゃん、髪に埃がついているよ」
葵はセリナの頭を優しく撫でると、髪についたゴミをとってあげた。セリナは少し頬を赤らめると、ニコッと微笑みを返した。
〈あれ? セリナちゃん、照れてる?〉
〈あの手の繋ぎ方はただの友達じゃないよね!〉
〈2人の関係ってもしかして……!〉
葵とセリナは視聴者の反応を知ってか知らずか、さらにお互いの顔を近づけると、まるで密談をするかのように囁いた。
「今日はどんな配信なるかな?」
「きっと葵さんと一緒なら楽しい配信になります!」
その一言がまた読者の心を揺さぶる。セリナの信頼に満ちた声、そして2人の親密さが画面越しに伝わってくる。視聴者たちは特別な瞬間を目撃している錯覚に陥り、チャット欄がさらに盛り上がる。
〈もうキスしちゃえよ〉
〈早く付き合っちゃえ!〉
〈いやもう恋人同士でしょ?〉
〈はぁ~ 尊い……〉
〈最高このコンビ〉
〈百合展開あざす!〉
そんなコメントが溢れる中、葵とセリナは魔王が待ち構えているダンジョンに足を踏み入れた。視聴者もその背中を見送りながらこれからの展開に胸を膨らませていた。
キッチンに向かった葵が、いつも通りトーストにバターを塗って焼き、サラダとコーヒーを準備していると、セリナが目を擦りながら起きてきた。
「あっ、セリナちゃん、おはよう」
「おはようございます」
セリナがテーブルに着くと「いただきます」と挨拶をしてパンにかぶり付いた。そして恒例の動画チェックを始めた。
「ねえ、凄いよ、なんと登録者数が30万人を突破したんだよ!」
「30万人⁉︎ そんなに大勢の方に見られているのですね!」
ここ最近の再生数は順調で、更新する度に、最高記録を更新している。スパチャや広告収入も右肩上がりでだいぶお金に余裕が出てきた。
もちろんその事も嬉しいが、何より葵はセリナと一緒にダンジョン配信ができることに喜びを感じていた。
「ちなみに魔王チャンネルはどうですか?」
「ちょっと待ってね……うわ、負けた……33万人だって」
「そうですか……やはり魔王は強いですね」
「本気で世界征服するつもりだね……」
魔王はこの世界を征服するために影響力を求めている。そのために動画配信をして人気者になろうとしている。セリナは勇者として魔王の野望を阻止しないといけない。
だからこそ、葵と共に動画配信をして、魔王よりも人気になる必要があった。
「あっ、また魔王たちが配信をしているよ!」
あなたのおすすめに魔王の生配信動画が上がってきた。どうやらすでにダンジョン内にいるらしい
『やぁ、諸君ども、魔王のバルケリオスだ。今日はこの地底火山のダンジョンとやらを攻略していく』
動画越しに魔王が邪悪な笑みを浮かべながら視聴者に向かって手を振る。魔王という圧倒的な強さで魔物を倒す動画はものすごい人気となっていた。
〈魔王様、今日もやっちゃって下さい!〉
〈これぞ最強! 魔王様こそが頂点だ!〉
〈魔王様、今日もかっこいいです!〉
〈今日も、無双劇が見られるぞ!〉
〈魔王様、私を忠実なる僕にして下さい〉
〈もうこの人1人いたら魔物を絶滅させれるんじゃね(笑〉
〈なんか最近、魔王と勇者の配信しか見れないよ〉
〈やっぱり魔王は凄いな……でもセリナちゃんも凄かったよね〉
〈スライムちゃんも忘れないでね!〉
〈てゆか、またコラボしてほしな〉
「魔王と勇者は2人揃って欲しい!〉
コメント欄にはチラホラと葵たちの事も書かれていた。魔王もその事に気づいたのか、ポンっと手を叩いて頷いた。
「セリナ、葵、この配信を見ているか? もし見ていたら今からコラボをしよう! 場所は地底火山だ。待っているぞ!」
〈それ最高!〉
〈2人とも、早くきて~!〉
〈またコラボが見られるのか⁉︎〉
〈これは見逃せないな!〉
〈またわちゃわちゃが見られるのか?〉
〈魔王と勇者って意外と仲良いな(笑〉
〈あれ? 敵同士じゃなかったの? いつの間にか仲良しだな〉
魔王の提案にコメント欄が盛り上がりを見せる。これは配信者として行かないといけない。葵とセリナは手早く朝食を済ませて身支度を整えると、車を飛ばして地底火山があるダンジョンに向かった。
* * *
「あっ、セリナちゃんと葵ちゃんだ!」
「えっ、本当だ! 本当に来てくれたんだ!」
「やった! コラボだ!」
現場に着くと大勢のファンに出迎えられた。ダンジョン配信をしていると、本人を一目見ようとする人が一定数いる。それが最近人気になったことで増えた気がする。
「みんな、応援ありがとう。セリナちゃん、今日も頑張ろうね」
「はい!」
葵はファンの皆に感謝の気持ちを伝えると、セリナと顔を見合わせて笑顔で頷いた。そして手を繋いでダンジョンのゲートに手を伸ばした。
視聴者は葵とセリナの妙に距離の近い関係に妄想を膨らませてドギマギする。皆が見てる前でも自然と手を繋ぐ2人なら、カメラが止まったら何か特別なことがあるんじゃないか? そんな予感が視聴者の脳裏をよぎる。
「あれ? セリナちゃん、髪に埃がついているよ」
葵はセリナの頭を優しく撫でると、髪についたゴミをとってあげた。セリナは少し頬を赤らめると、ニコッと微笑みを返した。
〈あれ? セリナちゃん、照れてる?〉
〈あの手の繋ぎ方はただの友達じゃないよね!〉
〈2人の関係ってもしかして……!〉
葵とセリナは視聴者の反応を知ってか知らずか、さらにお互いの顔を近づけると、まるで密談をするかのように囁いた。
「今日はどんな配信なるかな?」
「きっと葵さんと一緒なら楽しい配信になります!」
その一言がまた読者の心を揺さぶる。セリナの信頼に満ちた声、そして2人の親密さが画面越しに伝わってくる。視聴者たちは特別な瞬間を目撃している錯覚に陥り、チャット欄がさらに盛り上がる。
〈もうキスしちゃえよ〉
〈早く付き合っちゃえ!〉
〈いやもう恋人同士でしょ?〉
〈はぁ~ 尊い……〉
〈最高このコンビ〉
〈百合展開あざす!〉
そんなコメントが溢れる中、葵とセリナは魔王が待ち構えているダンジョンに足を踏み入れた。視聴者もその背中を見送りながらこれからの展開に胸を膨らませていた。
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