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第3章 館のダンジョン
18話
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「全員まとめて私が相手だよ!」
葵の瞳には強い決意が宿っていた。まず最初のゾンビに向かって槍を突き出すと、光の刃が胸を貫いた。ゾンビはうめき声をあげながら崩れ落ちて光の中で消滅する。
「さぁ、次!」
葵はすぐ隣のゾンビに目を向けた。素早く槍を横にふると、刃がゾンビの首を切り裂いて、そのまま地面に倒れた。
「これでどうだ!」
葵はその場で回転しながら槍を薙ぎ払い、3体のゾンビを一度に攻撃した。ゾンビたちを瞬時に切り裂き、灰と化して消えていく。
「葵さん頑張ってください!」
セリナはいつの間にか観客席の方に移動し、安全な場所から葵にエールを送った。視聴者も固唾を飲みながら応援のコメントを一斉に送る。
〈葵ちゃんめちゃくちゃ強い!〉
〈葵ちゃん凄すぎ!〉
〈すごい、もう槍を使いこなしている!〉
〈自撮り棒もすごかったけどこっちも凄い!〉
〈葵ちゃんかっこいい!〉
〈いけー葵ちゃん!〉
〈てゆうか、いつの間にセリナちゃん観客席に⁉︎〉
〈忘れてかけてたけど、葵ちゃんも強かったなw〉
ゾンビの群れは途切れる事なく押し寄せてきたが、葵は一歩も引かず、槍を自在に操り続けた。縦横無尽に突いて、切って、振り回して、光の刃で次々とゾンビたちを葬っていく。
「葵さん、後ろです!」
一体のゾンビが葵に飛び掛かろうとしたが、素早く槍を逆手に持ち替え、左脇を通して後方を攻撃した。槍はゾンビの腹部を貫いて閃光と共に爆発した。
「これで終わりかな?」
闘技場は静寂に包まれ、葵は息を整えながらセリナの方を振り返った。2人で勝利を喜びあっていると、ギシギシと音を立てながら鉄の柵が登っていく。そして巨大なゾンビが出てきた。
「これは大き過ぎる……」
葵は一歩後ずさると、槍を構えながら見上げた。
〈まじかよ、まだいたのかよ!〉
〈これは流石に不味くないか?〉
〈今までのは所詮雑魚的だったの?〉
〈嘘でしょ? ここから本番なの?〉
〈流石にこれはきついでしょ!〉
〈ランベルトさんやり過ぎじゃない?〉
「でも、負けないよ!」
葵は地面を強く蹴ると、巨大なゾンビに立ち向かった。しかし普通のゾンビとは違い、この巨大な敵は耐久力が格段に高く、葵の攻撃をものともせずに反撃してきた。
「えっ、ちょっ、きゃぁ‼︎」
ゾンビの巨大な拳を受けて、葵は後ろの観客席まで飛ばされてしまった。地面に倒れ込んみ、苦痛に顔を歪めながらも、なんとか槍を杖代わりに立ち上がろうとする。
「はぁ……はぁ……はぁ……こ、こんなの痛くない!」
強がった口調とは裏腹に、葵の体は悲鳴を上げていた。視界がぼやけ、息をするたびに肺が焼けるように痛い……
「まだまだ、これからだよ!」
葵はもう一度、巨大なゾンビに向き直った。ゾンビは再び拳を振り上げて襲いかかってきたが。葵は紙一重でかわし、槍を突き出して攻撃を試みた。それでも巨大なゾンビの耐久力には限界が見えなかった。
「だめだ……力が足りない……」
葵が歯を食いしばって呟いていると、セリナが駆け寄ってきた。
「葵さん、その槍を貸してください!」
「えっ、でもセリナちゃんは魔力が……」
葵は言葉を詰まらせたが、決意に満ちたセリナの目を見て黙った。そして言われた通りに槍を差し出した。
「ありがとうございます」
セリナは葵から槍を受け取ると、深呼吸して集中力を高め、巨大なゾンビに狙いを定めた。
「ホーリー・ランス!」
光の属性を帯びた槍がさらに輝きを増し、聖なる光の柱が標的に向かって伸びていく。その光はゾンビの体を貫き、強烈な光の爆発が起きた。そして巨大なゾンビは崩れ落ちるように倒れて消滅する。
「すごい……また、セリナちゃんに助けられちゃったね」
葵は感心したような、少し悔しそうな表情を浮かべながら、灰になって消滅していくゾンビを見つめる。
「いいえ、これは私1人の力ではありません。葵さんが頑張ってくれたおかげで、魔力が回復して今の攻撃を放てたんです!」
セリナは照れくさそうに微笑みながら葵に銀の槍を返した。葵もつられるように笑みを浮かべながら勝利を2人で喜びあった。
「よくやったなセリナ、そして葵」
葵とセリナが勝利を喜びあっていると、魔王と部下のランベルトが現れた。
「今回の勝負はお前たちの勝ちとする」
魔王は威厳のある声で宣言して、拍手を葵たちに送る。コメント欄の方でも2人を賞賛する視聴者の声で溢れていた。
【1000円】〈2人ともお疲れ様~〉
【2000円】〈今回も面白かったよ〉
【3000円】〈やっぱりセリナと葵のコンビは最強だね!〉
【1500円】〈今回も神回だった! 最&高だった!〉
【2000円】〈魔王様の企画力もさすがです!〉
【1200円】〈お疲れ様、今回は葵ちゃんの新しい相棒が大活躍だね〉
【1500円】〈あっという間だったな~ もう終わりか~〉
【2000円】〈おめでとう! 今日も2人とも息ぴったりだったね♪〉
「やっぱりセリナちゃんと一緒だと最強だね」
「はい! 葵さんとならどんな敵が来ても怖くありません!」
葵とセリナは顔を見合わせると、互いに褒め称えながら微笑んだ。
「では、今日の動画は以上です! また次回も見にきてね~」
葵とセリナはドローンに向かって手を振ると、視聴者にお別れの挨拶をして動画を止めた。
「バルケリオス様、私は後片付けがあるので、皆様は先にお帰り下さい」
「そうか、では頼んだぞ」
魔王は後片付けを任せると、マントを翻して闇の中に消えていった。葵とセリナもコクリと頷くと、闘技場を後にした。
葵の瞳には強い決意が宿っていた。まず最初のゾンビに向かって槍を突き出すと、光の刃が胸を貫いた。ゾンビはうめき声をあげながら崩れ落ちて光の中で消滅する。
「さぁ、次!」
葵はすぐ隣のゾンビに目を向けた。素早く槍を横にふると、刃がゾンビの首を切り裂いて、そのまま地面に倒れた。
「これでどうだ!」
葵はその場で回転しながら槍を薙ぎ払い、3体のゾンビを一度に攻撃した。ゾンビたちを瞬時に切り裂き、灰と化して消えていく。
「葵さん頑張ってください!」
セリナはいつの間にか観客席の方に移動し、安全な場所から葵にエールを送った。視聴者も固唾を飲みながら応援のコメントを一斉に送る。
〈葵ちゃんめちゃくちゃ強い!〉
〈葵ちゃん凄すぎ!〉
〈すごい、もう槍を使いこなしている!〉
〈自撮り棒もすごかったけどこっちも凄い!〉
〈葵ちゃんかっこいい!〉
〈いけー葵ちゃん!〉
〈てゆうか、いつの間にセリナちゃん観客席に⁉︎〉
〈忘れてかけてたけど、葵ちゃんも強かったなw〉
ゾンビの群れは途切れる事なく押し寄せてきたが、葵は一歩も引かず、槍を自在に操り続けた。縦横無尽に突いて、切って、振り回して、光の刃で次々とゾンビたちを葬っていく。
「葵さん、後ろです!」
一体のゾンビが葵に飛び掛かろうとしたが、素早く槍を逆手に持ち替え、左脇を通して後方を攻撃した。槍はゾンビの腹部を貫いて閃光と共に爆発した。
「これで終わりかな?」
闘技場は静寂に包まれ、葵は息を整えながらセリナの方を振り返った。2人で勝利を喜びあっていると、ギシギシと音を立てながら鉄の柵が登っていく。そして巨大なゾンビが出てきた。
「これは大き過ぎる……」
葵は一歩後ずさると、槍を構えながら見上げた。
〈まじかよ、まだいたのかよ!〉
〈これは流石に不味くないか?〉
〈今までのは所詮雑魚的だったの?〉
〈嘘でしょ? ここから本番なの?〉
〈流石にこれはきついでしょ!〉
〈ランベルトさんやり過ぎじゃない?〉
「でも、負けないよ!」
葵は地面を強く蹴ると、巨大なゾンビに立ち向かった。しかし普通のゾンビとは違い、この巨大な敵は耐久力が格段に高く、葵の攻撃をものともせずに反撃してきた。
「えっ、ちょっ、きゃぁ‼︎」
ゾンビの巨大な拳を受けて、葵は後ろの観客席まで飛ばされてしまった。地面に倒れ込んみ、苦痛に顔を歪めながらも、なんとか槍を杖代わりに立ち上がろうとする。
「はぁ……はぁ……はぁ……こ、こんなの痛くない!」
強がった口調とは裏腹に、葵の体は悲鳴を上げていた。視界がぼやけ、息をするたびに肺が焼けるように痛い……
「まだまだ、これからだよ!」
葵はもう一度、巨大なゾンビに向き直った。ゾンビは再び拳を振り上げて襲いかかってきたが。葵は紙一重でかわし、槍を突き出して攻撃を試みた。それでも巨大なゾンビの耐久力には限界が見えなかった。
「だめだ……力が足りない……」
葵が歯を食いしばって呟いていると、セリナが駆け寄ってきた。
「葵さん、その槍を貸してください!」
「えっ、でもセリナちゃんは魔力が……」
葵は言葉を詰まらせたが、決意に満ちたセリナの目を見て黙った。そして言われた通りに槍を差し出した。
「ありがとうございます」
セリナは葵から槍を受け取ると、深呼吸して集中力を高め、巨大なゾンビに狙いを定めた。
「ホーリー・ランス!」
光の属性を帯びた槍がさらに輝きを増し、聖なる光の柱が標的に向かって伸びていく。その光はゾンビの体を貫き、強烈な光の爆発が起きた。そして巨大なゾンビは崩れ落ちるように倒れて消滅する。
「すごい……また、セリナちゃんに助けられちゃったね」
葵は感心したような、少し悔しそうな表情を浮かべながら、灰になって消滅していくゾンビを見つめる。
「いいえ、これは私1人の力ではありません。葵さんが頑張ってくれたおかげで、魔力が回復して今の攻撃を放てたんです!」
セリナは照れくさそうに微笑みながら葵に銀の槍を返した。葵もつられるように笑みを浮かべながら勝利を2人で喜びあった。
「よくやったなセリナ、そして葵」
葵とセリナが勝利を喜びあっていると、魔王と部下のランベルトが現れた。
「今回の勝負はお前たちの勝ちとする」
魔王は威厳のある声で宣言して、拍手を葵たちに送る。コメント欄の方でも2人を賞賛する視聴者の声で溢れていた。
【1000円】〈2人ともお疲れ様~〉
【2000円】〈今回も面白かったよ〉
【3000円】〈やっぱりセリナと葵のコンビは最強だね!〉
【1500円】〈今回も神回だった! 最&高だった!〉
【2000円】〈魔王様の企画力もさすがです!〉
【1200円】〈お疲れ様、今回は葵ちゃんの新しい相棒が大活躍だね〉
【1500円】〈あっという間だったな~ もう終わりか~〉
【2000円】〈おめでとう! 今日も2人とも息ぴったりだったね♪〉
「やっぱりセリナちゃんと一緒だと最強だね」
「はい! 葵さんとならどんな敵が来ても怖くありません!」
葵とセリナは顔を見合わせると、互いに褒め称えながら微笑んだ。
「では、今日の動画は以上です! また次回も見にきてね~」
葵とセリナはドローンに向かって手を振ると、視聴者にお別れの挨拶をして動画を止めた。
「バルケリオス様、私は後片付けがあるので、皆様は先にお帰り下さい」
「そうか、では頼んだぞ」
魔王は後片付けを任せると、マントを翻して闇の中に消えていった。葵とセリナもコクリと頷くと、闘技場を後にした。
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