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第2章 海のダンジョン
11話
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「次はスイカ割りで勝負だ!」
魔王が指を鳴らすと、またしても地面からスライムが現れた。今度は頭にスイカを乗せている。
「ルールは簡単、目隠しをして相方の指示を受けながら移動して叩く。以上だ。まずは見本を見せてやろう」
魔王は目隠しをすると、軽く肩を回して木の棒を素振りした。
「ランベルト、任せたぞ」
「お任せ下さい」
魔王は本物の剣を握るように構えると、ランベルトの指示に従って移動した。
「もう少し前です。そのまま右に向かって……」
スイカを頭に抱えたスライムは体を震わせながら怯えていた。少しだけ可哀想に見える。
「そこです!」
ランベルトがトドメの宣言をすると同時に、葵はスライムの『目?』を見つめながら叫んだ。
「逃げてスライムちゃん!」
スライムは葵の言葉を理解したのか、ぴょんっと跳ねて木の棒をかわした。危ない、危ない。あのままだとまた粉砕してしまうところだった……
「おい、なぜ邪魔をする!」
ランベルトは怒りに燃える目で睨んだが、葵は冷静な表情を崩さなかった。
「えっ、いや、だってルールでは相手チームが指示を出したらダメって言っていないでしょ?」
〈確かに言っていないな〉
〈そういえばそうだったな(笑〉
〈お互いに屁理屈の言い合いになってないか(笑〉
〈まぁ、面白ければいいか〉
〈スイカ割りとかもう何年もしてないな~〉
〈まぁ、ルール違反ではないか?〉
ランベルトは納得していない様子だが、魔王は豪快に笑いながら彼の肩に手を置いた。
「まぁ、まぁ、いいではないか。普通に終わったら動画がつまらないからな」
「しかし、バルケリオス様……」
「次はお前達の番だ。さぁ、やってみろ!」
セリナは魔王から木の棒を受け取ると、軽く息を整えて構えた。
「セリナちゃん、スライムちゃんには被害が出ない様に出来ないかな?」
「任せて下さい、力加減をしますね」
セリナは葵の思いを汲み取ると、スイカに向かって軽く木の棒を振り下ろした。あと数センチで当たりそうだったが、すかさず魔王が指示を出した。
「スライムたち、とにかく逃げろ!」
スライムはとろとろの体を揺らしながら頷くと、一目散に逃げて行った。
「あっ、逃げた! セリナちゃん、ストップ! もう少し右。今度は左、あっ、後ろに回り込まれたよ!」
セリナは見えない敵に困惑しながらも、葵の指示を聞きながら標的を追いかけた。
「クックック、どうした? その程度か?」
魔王は余裕の笑みを浮かべながら喉をならす。葵が指示を出してもスライムの逃げ足が早いせいで間に合わない……
「ねえ、セリナちゃん。これを使って!」
葵は相棒の自撮り棒をセリナに手渡した。収縮自在の自撮り棒ならいけるかもしれない!
「セリナちゃん、5メートル先の2時の方向にいるよ!」
「分かりました。任せて下さい!」
走っていても追いつけない。でもこれなら走る必要がない。自撮り棒は如意棒のように伸びると、スライムの頭上に乗ったスイカを見事叩き割った。
〈すげぇー!!〉
〈2人とも息ぴったりだね!〉
〈ナイス連携!〉
〈スライムも無事でよかった~〉
〈俺の知ってるスイカ割りじゃないな(笑〉
〈スイカ割りとは一体(哲学〉
「やった~ 私たちの勝ちだよ!」
「やりましたね葵さん!」
私たちはハイタッチをするとお互いに褒めあった。スイカは綺麗に4頭分に別れ、スライムちゃんも無事だった。
「ねぇ、せっかくだからみんなで食べよ」
「えっ、魔王と一緒にですか?」
セリナは少し嫌そうにしていたけど、スイカを頬張るとたちまち笑顔が戻った。
「これ美味しいです! 甘くてジューシーでいくらでも食べれそうです!」
「うん、やっぱり夏といえばこれだよね!」
葵もかぶりつくと、器用にタネだけ飛ばした。セリナも見様見真似でやってみるが、うまく飛ばずに、ポロポロと地面に落ちる。
「ふむ、これはなかなか上手いな」
「バルケリオス様、どうやらこの塩をつけるとより甘くなるそうです」
魔王とランベルトも美味しそうに食べながら感想を言い合う。以前は敵だったけど、この瞬間だけは平和な時間が過ぎていく。ふと視線を感じて葵が顔をあげると、スライムちゃんも食べたそうな目で見ていた。
「えっと……食べる?」
葵がスイカを小さく切って渡すと、スライムは体を使ってムシャムシャと食べ始めた。プルプルの体をフルフルさせながら食べているのが可愛らしい。
「では、腹ごしらえも済んだことだし、最後の勝負といこうか! あの孤島に向かって泳いで、最初に到着した者が勝利だ。今回は魔力やその他、妨害行為は禁止とする!」
魔王は軽く準備運動をすると、ゴーグルをかけた。
「私、泳ぐの結構得意なんだよね。負けないよ!」
葵もゴーグルをかけると、軽く腕を伸ばして位置についた。
「セリナちゃん、絶対に勝とうね!」
「はっ、はい、そうですね……」
全員が定位置についてスタートの合図を待つ中、セリナはどこか浮かない顔をしながら孤島を見つめていた。
魔王が指を鳴らすと、またしても地面からスライムが現れた。今度は頭にスイカを乗せている。
「ルールは簡単、目隠しをして相方の指示を受けながら移動して叩く。以上だ。まずは見本を見せてやろう」
魔王は目隠しをすると、軽く肩を回して木の棒を素振りした。
「ランベルト、任せたぞ」
「お任せ下さい」
魔王は本物の剣を握るように構えると、ランベルトの指示に従って移動した。
「もう少し前です。そのまま右に向かって……」
スイカを頭に抱えたスライムは体を震わせながら怯えていた。少しだけ可哀想に見える。
「そこです!」
ランベルトがトドメの宣言をすると同時に、葵はスライムの『目?』を見つめながら叫んだ。
「逃げてスライムちゃん!」
スライムは葵の言葉を理解したのか、ぴょんっと跳ねて木の棒をかわした。危ない、危ない。あのままだとまた粉砕してしまうところだった……
「おい、なぜ邪魔をする!」
ランベルトは怒りに燃える目で睨んだが、葵は冷静な表情を崩さなかった。
「えっ、いや、だってルールでは相手チームが指示を出したらダメって言っていないでしょ?」
〈確かに言っていないな〉
〈そういえばそうだったな(笑〉
〈お互いに屁理屈の言い合いになってないか(笑〉
〈まぁ、面白ければいいか〉
〈スイカ割りとかもう何年もしてないな~〉
〈まぁ、ルール違反ではないか?〉
ランベルトは納得していない様子だが、魔王は豪快に笑いながら彼の肩に手を置いた。
「まぁ、まぁ、いいではないか。普通に終わったら動画がつまらないからな」
「しかし、バルケリオス様……」
「次はお前達の番だ。さぁ、やってみろ!」
セリナは魔王から木の棒を受け取ると、軽く息を整えて構えた。
「セリナちゃん、スライムちゃんには被害が出ない様に出来ないかな?」
「任せて下さい、力加減をしますね」
セリナは葵の思いを汲み取ると、スイカに向かって軽く木の棒を振り下ろした。あと数センチで当たりそうだったが、すかさず魔王が指示を出した。
「スライムたち、とにかく逃げろ!」
スライムはとろとろの体を揺らしながら頷くと、一目散に逃げて行った。
「あっ、逃げた! セリナちゃん、ストップ! もう少し右。今度は左、あっ、後ろに回り込まれたよ!」
セリナは見えない敵に困惑しながらも、葵の指示を聞きながら標的を追いかけた。
「クックック、どうした? その程度か?」
魔王は余裕の笑みを浮かべながら喉をならす。葵が指示を出してもスライムの逃げ足が早いせいで間に合わない……
「ねえ、セリナちゃん。これを使って!」
葵は相棒の自撮り棒をセリナに手渡した。収縮自在の自撮り棒ならいけるかもしれない!
「セリナちゃん、5メートル先の2時の方向にいるよ!」
「分かりました。任せて下さい!」
走っていても追いつけない。でもこれなら走る必要がない。自撮り棒は如意棒のように伸びると、スライムの頭上に乗ったスイカを見事叩き割った。
〈すげぇー!!〉
〈2人とも息ぴったりだね!〉
〈ナイス連携!〉
〈スライムも無事でよかった~〉
〈俺の知ってるスイカ割りじゃないな(笑〉
〈スイカ割りとは一体(哲学〉
「やった~ 私たちの勝ちだよ!」
「やりましたね葵さん!」
私たちはハイタッチをするとお互いに褒めあった。スイカは綺麗に4頭分に別れ、スライムちゃんも無事だった。
「ねぇ、せっかくだからみんなで食べよ」
「えっ、魔王と一緒にですか?」
セリナは少し嫌そうにしていたけど、スイカを頬張るとたちまち笑顔が戻った。
「これ美味しいです! 甘くてジューシーでいくらでも食べれそうです!」
「うん、やっぱり夏といえばこれだよね!」
葵もかぶりつくと、器用にタネだけ飛ばした。セリナも見様見真似でやってみるが、うまく飛ばずに、ポロポロと地面に落ちる。
「ふむ、これはなかなか上手いな」
「バルケリオス様、どうやらこの塩をつけるとより甘くなるそうです」
魔王とランベルトも美味しそうに食べながら感想を言い合う。以前は敵だったけど、この瞬間だけは平和な時間が過ぎていく。ふと視線を感じて葵が顔をあげると、スライムちゃんも食べたそうな目で見ていた。
「えっと……食べる?」
葵がスイカを小さく切って渡すと、スライムは体を使ってムシャムシャと食べ始めた。プルプルの体をフルフルさせながら食べているのが可愛らしい。
「では、腹ごしらえも済んだことだし、最後の勝負といこうか! あの孤島に向かって泳いで、最初に到着した者が勝利だ。今回は魔力やその他、妨害行為は禁止とする!」
魔王は軽く準備運動をすると、ゴーグルをかけた。
「私、泳ぐの結構得意なんだよね。負けないよ!」
葵もゴーグルをかけると、軽く腕を伸ばして位置についた。
「セリナちゃん、絶対に勝とうね!」
「はっ、はい、そうですね……」
全員が定位置についてスタートの合図を待つ中、セリナはどこか浮かない顔をしながら孤島を見つめていた。
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