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第2章 海のダンジョン
10話
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「「せっ世界征服⁉︎」」
葵とセリナの声が重なり、驚愕の表情を浮かべた。二人の心中には不安と恐怖がじわじわと広がっていったが、それでも何とか冷静さを保とうと努めていた。
〈世界征服をするの⁉︎〉
〈やっぱり魔王は世界征服好きだな(笑〉
〈えっ、まじで、でもまじでやりそうだな〉
〈それって本気で言ってるの⁉︎〉
〈どうやって世界征服するつもり?〉
〈ヤバい展開になってきたぞ〉
〈まさかの展開にビビる〉
〈そんな壮大な計画、成功するの?〉
「一体どうやって世界征服するつもり? まさか民を虐殺するの?」
セリナは今にも魔王に襲いかかりそうな勢いで尋ねた。彼女の瞳は鋭く光り、拳は固く握りしめられていた。葵はセリナの肩に手を置き、彼女を落ち着かせようとしたが、その手も震えていた。
「虐殺? その必要はない。どうやらこの世界を征服をするには影響力がいるらしい。そこでダンジョン配信を利用して世界で一番有名になってみせる! さぁ、今から我と勝負しろ!」
魔王は高らかに笑うと、砂浜に作られたコートに葵たちを案内した。
「これってまさか? ビーチバレーで勝負をするの?」
葵の疑問に魔王は「いかにも!」と答えてボールを投げた。
「ルールは簡単、ボールを落としたら負け、相手のコートにボールを落としたら1点。3回以内に返す。ただし連続で触れたらアウト。分かったか?」
葵とセリナは顔を目を丸くすると、ガクッと肩を落とした。命懸けの戦いを覚悟していたのに、その勝負がビーチバレーで肩透かしを食らった感じだ。
〈なんだよ、勝負ってビーチバレーかよ(笑〉
〈ちょっと笑っちゃった、緊張して損した〉
〈魔王ってもっと怖いかと思ったけど……ノリがいいね!〉
〈ビーチバレーとか、魔王かわいすぎ〉
〈なんかほのぼのしてて和むわ〉
〈これは予想外すぎw〉
〈ビーチバレーで勝負する魔王、面白い〉
〈魔王の世界征服計画、思ったより平和かも〉
「さぁ、行くぞ!」
魔王はコートの外に移動すると、天高くボールを投げてジャンピングサーブを放った。その威力は絶大で流星のような速さで迫ってくる。
「セリナちゃん!」
「はい!」
セリナはすかさずボールの正面に入ると、レシーブの構えをした。直撃するとセリナの体は大きく後ろに飛ばされたが、ボールの勢いは完全に殺されて、ふわりと高く上がった。
「ナイスレシーブ! トスをあげるよ!」
葵はボールの落下地点に移動すると、打ちやすいように高めに上げた。セリナは助走をつけると高く舞い上がるように飛んで強烈な一撃を放った。
「ぐふぅ……いい威力だ!。 我に上げろ!」
魔王も喰らいつくようにボールをあげると、部下のランベルトにトスをあげるように命じた。
「魔王様! お願いします」
魔王は羽を広げると、上空に舞い上がり、上から叩きつけるようにスパイクを放った。
「ちょっと、羽を使うのは反則でしょ?」
葵は指を刺して講義をするが、魔王は知らぬ顔で鼻で笑った。
「これは体の一部だ。ルール違反ではない!」
強烈な一撃はコートの中央に落ちて魔王たちに一点が入った。その後も、取っては取り返してを続け、いよいよ次の一点を取ったほうが勝ちになるまでもつれ込んだ。
〈どっちも頑張れ~!〉
〈すごくいい試合!〉
〈葵ちゃん頑張れ! 魔王に負けるな!〉
〈これどっちが勝つんだ⁉︎〉
〈いいぞ、いけ!!!!〉
〈葵ちゃん、全力で応援してるよ! 負けるなー!〉
〈魔王との戦い白熱してるね! どっちが勝つか目が離せない!〉
〈すごい試合! 両者ともに素晴らしい!〉
〈見てるこっちもドキドキが止まらない! 頑張れ~!〉
コメント欄が大量の応援で溢れかえって、視聴者も固唾を飲んで戦いの行方を見守っている。
「セリナちゃん、やっちゃって!」
セリナのスパイクがコート上のラインギリギリに向かっていく。あの場所なら誰も取れない。勝利を確信した葵だったが、魔王は冷静だった。
「お前たち、ボールを落とすな!」
魔王が命令すると、砂浜からスライムが現れた。そしてセリナの放ったスパイクに真正面からぶつかると、高く上げた。でもスライムの体は細かく粉砕される。
「ちょっと、ルール違反じゃないの? あとスライムが可哀想だよ!」
「別に魔法を使ったらダメだと言っていないだろ? あと、スライムは分裂してもまた元に戻る」
魔王は屁理屈を述べると、最大級の魔力を右手に集中させてスパイクを放った。今度は巨大な隕石でも降り注いできたような驚異的な威力とスピードを秘めていた。
「葵さん、ここは任せて下さい!」
「えっ、大丈夫?」
セリナは自信に満ちた表情で頷くと、両手を組んで祈るように呪文を唱えた。
「ホーリー・プロテクト!」
セリナの体が輝いて、蛍の様な光が正面に集まる。その光は頑丈なシールドとなって魔王の放ったスパイクを受け止めた。
〈セリナちゃん凄い!〉
〈もはやなんでもありだな(笑〉
〈超次元バレーでも見てるのかな?〉
〈俺たちの知ってるバレーじゃない〉
〈異次元バレー、面白すぎる(笑)〉
〈こんな試合、見たことない!〉
〈プロも驚くレベルだね!〉
魔王の強烈なスパイクは、セリナのシールドによって防がれて高く舞い上がる。
「葵さん、上げて下さい!」
「任せて!」
セリナは高く飛び立つと、光のオーラを手にまとわせて相手コートに叩きつけた。地面が揺れ、光の波が四方に広がり土煙が舞う。ボールは魔王とランベルトのちょうど真ん中に落ちていた。
「くそ、我の負けだ」
「無念です……」
激しい激闘が続いたが、無事に葵とセリナは勝利を収めることができた。
葵とセリナの声が重なり、驚愕の表情を浮かべた。二人の心中には不安と恐怖がじわじわと広がっていったが、それでも何とか冷静さを保とうと努めていた。
〈世界征服をするの⁉︎〉
〈やっぱり魔王は世界征服好きだな(笑〉
〈えっ、まじで、でもまじでやりそうだな〉
〈それって本気で言ってるの⁉︎〉
〈どうやって世界征服するつもり?〉
〈ヤバい展開になってきたぞ〉
〈まさかの展開にビビる〉
〈そんな壮大な計画、成功するの?〉
「一体どうやって世界征服するつもり? まさか民を虐殺するの?」
セリナは今にも魔王に襲いかかりそうな勢いで尋ねた。彼女の瞳は鋭く光り、拳は固く握りしめられていた。葵はセリナの肩に手を置き、彼女を落ち着かせようとしたが、その手も震えていた。
「虐殺? その必要はない。どうやらこの世界を征服をするには影響力がいるらしい。そこでダンジョン配信を利用して世界で一番有名になってみせる! さぁ、今から我と勝負しろ!」
魔王は高らかに笑うと、砂浜に作られたコートに葵たちを案内した。
「これってまさか? ビーチバレーで勝負をするの?」
葵の疑問に魔王は「いかにも!」と答えてボールを投げた。
「ルールは簡単、ボールを落としたら負け、相手のコートにボールを落としたら1点。3回以内に返す。ただし連続で触れたらアウト。分かったか?」
葵とセリナは顔を目を丸くすると、ガクッと肩を落とした。命懸けの戦いを覚悟していたのに、その勝負がビーチバレーで肩透かしを食らった感じだ。
〈なんだよ、勝負ってビーチバレーかよ(笑〉
〈ちょっと笑っちゃった、緊張して損した〉
〈魔王ってもっと怖いかと思ったけど……ノリがいいね!〉
〈ビーチバレーとか、魔王かわいすぎ〉
〈なんかほのぼのしてて和むわ〉
〈これは予想外すぎw〉
〈ビーチバレーで勝負する魔王、面白い〉
〈魔王の世界征服計画、思ったより平和かも〉
「さぁ、行くぞ!」
魔王はコートの外に移動すると、天高くボールを投げてジャンピングサーブを放った。その威力は絶大で流星のような速さで迫ってくる。
「セリナちゃん!」
「はい!」
セリナはすかさずボールの正面に入ると、レシーブの構えをした。直撃するとセリナの体は大きく後ろに飛ばされたが、ボールの勢いは完全に殺されて、ふわりと高く上がった。
「ナイスレシーブ! トスをあげるよ!」
葵はボールの落下地点に移動すると、打ちやすいように高めに上げた。セリナは助走をつけると高く舞い上がるように飛んで強烈な一撃を放った。
「ぐふぅ……いい威力だ!。 我に上げろ!」
魔王も喰らいつくようにボールをあげると、部下のランベルトにトスをあげるように命じた。
「魔王様! お願いします」
魔王は羽を広げると、上空に舞い上がり、上から叩きつけるようにスパイクを放った。
「ちょっと、羽を使うのは反則でしょ?」
葵は指を刺して講義をするが、魔王は知らぬ顔で鼻で笑った。
「これは体の一部だ。ルール違反ではない!」
強烈な一撃はコートの中央に落ちて魔王たちに一点が入った。その後も、取っては取り返してを続け、いよいよ次の一点を取ったほうが勝ちになるまでもつれ込んだ。
〈どっちも頑張れ~!〉
〈すごくいい試合!〉
〈葵ちゃん頑張れ! 魔王に負けるな!〉
〈これどっちが勝つんだ⁉︎〉
〈いいぞ、いけ!!!!〉
〈葵ちゃん、全力で応援してるよ! 負けるなー!〉
〈魔王との戦い白熱してるね! どっちが勝つか目が離せない!〉
〈すごい試合! 両者ともに素晴らしい!〉
〈見てるこっちもドキドキが止まらない! 頑張れ~!〉
コメント欄が大量の応援で溢れかえって、視聴者も固唾を飲んで戦いの行方を見守っている。
「セリナちゃん、やっちゃって!」
セリナのスパイクがコート上のラインギリギリに向かっていく。あの場所なら誰も取れない。勝利を確信した葵だったが、魔王は冷静だった。
「お前たち、ボールを落とすな!」
魔王が命令すると、砂浜からスライムが現れた。そしてセリナの放ったスパイクに真正面からぶつかると、高く上げた。でもスライムの体は細かく粉砕される。
「ちょっと、ルール違反じゃないの? あとスライムが可哀想だよ!」
「別に魔法を使ったらダメだと言っていないだろ? あと、スライムは分裂してもまた元に戻る」
魔王は屁理屈を述べると、最大級の魔力を右手に集中させてスパイクを放った。今度は巨大な隕石でも降り注いできたような驚異的な威力とスピードを秘めていた。
「葵さん、ここは任せて下さい!」
「えっ、大丈夫?」
セリナは自信に満ちた表情で頷くと、両手を組んで祈るように呪文を唱えた。
「ホーリー・プロテクト!」
セリナの体が輝いて、蛍の様な光が正面に集まる。その光は頑丈なシールドとなって魔王の放ったスパイクを受け止めた。
〈セリナちゃん凄い!〉
〈もはやなんでもありだな(笑〉
〈超次元バレーでも見てるのかな?〉
〈俺たちの知ってるバレーじゃない〉
〈異次元バレー、面白すぎる(笑)〉
〈こんな試合、見たことない!〉
〈プロも驚くレベルだね!〉
魔王の強烈なスパイクは、セリナのシールドによって防がれて高く舞い上がる。
「葵さん、上げて下さい!」
「任せて!」
セリナは高く飛び立つと、光のオーラを手にまとわせて相手コートに叩きつけた。地面が揺れ、光の波が四方に広がり土煙が舞う。ボールは魔王とランベルトのちょうど真ん中に落ちていた。
「くそ、我の負けだ」
「無念です……」
激しい激闘が続いたが、無事に葵とセリナは勝利を収めることができた。
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