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第2章 お付き合い編
19 魔法師団王都部隊隊長 ディラン
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リアム様とお付き合いをはじめて、あと少しで三ヶ月を迎える頃、王都にある魔法雑貨屋『天使のはしご』に、酷く疲れた様子の男性がやって来ました。
「心身をリラックスさせ、疲れがとれるような物はありませんか?」
背中まである薄い青色の長い髪を一つにゆるくまとめ、一見女性に見えるような中性的なお顔立ちの男性です。
目の下にうっすらとクマを作り、端正なお顔にもったいないことをしています。
「香油のように、間接的な効果をお求めですか? それとも内服用の方がよろしいですか?」
「すぐに効くものがいいです。私はディランと申します。任務中ですから、また、魔法師団に戻らねばならないので」
そう言われてよく見ると、魔法師団王都部隊の制服を着ていますね。
リアム様と同じ、隊長の勲章を着けています。魔法師団王都部隊の隊長で、言わばリアム様の両輪となるお方でしたか。
それにしても、リアム様は毎日『天使のはしご』に顔を出すのに、ディラン様はとてもお忙しいようです。
私は幸せですが、リアム様のお仕事は大丈夫なのでしょうか?
「魔法師団の隊長さんでしたか。とてもお忙しいのですね……。騎士団とは状況が異なるのでしょうか?」
「任務というより、人間関係でしょうか……。あちらは筋肉バ――……、揉め事は腕力で解決して、上下関係もハッキリしていますが、こちらは狡猾なタイプも多く、統率を取るのが大変なのです……」
王都部隊の隊長まで登りつめても、心労は絶えないのですね。
ですが、即効性がある物でうちで扱えるのは、どこにでもあるようなポーションだけです。
それ以上の効能を求めるとなると、専門店に行った方がいいかもしれません。
「うちには通常のポーションしかありません。お手数をお掛けしますが、専門店に行かれた方がいいかもしれません」
「通常のポーションでいいのです。先輩でもあるリアムさんの彼女に、ご挨拶がてら来たものですから」
ひゃっ! 彼女に挨拶だなんて、俄然気合いが入りますね! 粗相があってはなりません!
せめてポーションの他に、オマケでなにかリラックス効果がある物をお付けしないと――
「セルマ、いるか?」
「リアム様」
「リアムさん。いくら彼女に会いたいからって、サボるのはよくないですよ?」
来店していたディラン様を見て、リアム様が目を丸くしています。
「なぜ、お前がここにいる? お前こそサボって、セルマの所に茶をしばきに来たな?」
「リアムさんがゾッコンだって噂の、彼女さんにご挨拶をしに来ただけですよ」
どれ程噂になっているのでしょうか……。あら、私ったらお茶もお出ししませんで……。
イソイソと準備をし、リアム様とディラン様と私の三人で、お茶することになりました。
「ディラン様は、本当にお客さんとして来ていただいたのですよ」
「最近、副隊長の動きがキナ臭くて、任務以外に手を煩わせることが多いのです……。さっぱり疲れが取れなくて……」
「魔法師団の副隊長ゾイか……。困った奴だな。あまりにも酷ければ、処分を考えるしかあるまい」
リアム様の表情からも、ゾイさんという方は相当な厄介者だということが伝わってきます。
「ゾイは能力が高いですからね。そしてずる賢い男です」
「だが、捨て置くには難しい程、最近特にキナ臭いんだろう? このまま放っておくのか?」
「そこが頭の痛いところなのですよ……。もっとハッキリしでかしてくれないと、処分も難しくて……」
事態はなかなかに、深刻なのかもしれません……。
重くなる空気を一気に変える、明るい声が『天使のはしご』に響きました。
「こんにちはー、セルマー。美味しいお菓子をもらったから、一緒に食べよー」
「カレンさん!」
あれ? 勢いよく入って来た、カレンさんの動きが固まりました。なんだか頬が紅潮してきましたね。
こ、これは……。まさか!
恋です! カレンさんの目が、ディラン様に釘付けです!!
「あ、セルマの彼氏のリアム様、初めまして。セルマの友達をしています、カレンです」
「はじめまして、カレン殿。セルマより、よくよく話は聞いていた。よろしく頼む」
「そ、それで……。あのぅ、そちらの方は?」
そうでした。カレンさんの好みは、背が高く細身で知的な人! ディランさんは、ドストライクなのです!
お顔は断然学校の先生より、ディラン様の方がお美しいとは思いますが。
「はじめまして、カレンさん。ディランと申します」
「ディラン様、はじめまして……。あ、そうだ! みなさん! 明日からの迎陽祭、セルマと見に行く約束をしていたんですけど、リアム様とディラン様もご一緒しませんか?」
カレンさんの行動力は素晴らしいですね。
今日辺りでも会いに行って、カレンさんに迎陽祭の話をしようとは思っていましたが、まだ約束はしていませんでしたよ?
私をだしに使って、四人でお出掛けするつもりですね?
「そうだったのか? 二日目なら、丸一日休みだ」
「私は、二日目の夜は非番です」
「セルマは、夜お店を閉めるから大丈夫でしょう?」
学生のカレンさんも、夜は空いているのですよね。
時間があれば、夜光るお祭り名物の飾り物でも売ろうと思っていましたが……。
ここは流れに乗って、一肌も二肌も脱ぎましょう!
「はい。私は夜ならいつでも空いています」
「……おい……。俺と会う時間は、忘れずとってくれよ?」
「アッハハハハ。みんな大丈夫そうですね! じゃあ迎陽祭の二日目の夜『天使のはしご』に集合して、四人でお祭りに行きましょう!」
恋するカレンさん。この勢いなら、告白もすぐにできそうな勢いです。
前回、告白へ一歩踏み出せなかったのは、学校生活を円滑に続けるべく、野生の勘で踏み止まっていたのでは……。
――迎陽祭二日目の夜がやって来ました――
太陽を待ち望む人々が賑やかにすることで、ひょっこり太陽が現れるかもしれないという、日本の神話に似たところがあるお祭りです。
一番盛り上がる二日目の夜、王都の街はたくさんの人でごった返しています。
「セルマ、はぐれないよう気をつけろ。ほら、手を貸せ」
「いいなぁー。セルマにはリアム様がいてー」
「ハハハ。カレンさんは、私について来てください」
ディラン様とカレンさん。お似合いかもしれませんね。
カレンさんは、真っ直ぐな赤い髪に、女性としては高めの身長。猫のように愛らしい瞳の、可愛らしい魔女さんです。
涼しげな印象のディラン様と、対になる感じがします。とってもいい雰囲気です。
日本のお祭りも異世界のお祭りも、人々が浮かれてはしゃぐ姿に変わりありません。
今日はカレンさんも私も、お酒は控え目にしています。
好きな人の前でベロンベロンになりたくない乙女の恥じらいの方が、お祭りで飲みたい気持ちに勝りました。
屋台の串焼きお肉や、カップに注がれた各種のお酒、冷たい氷菓子などを買って、異世界版もぐら叩きに四人で大はしゃぎし、祭りの夜を堪能しています。
ソコソコお高いのですが大奮発し、『あなたがパトロン』で四人を描いた物をそれぞれにお渡ししました。
「いい記念になる。大切にする」
「セルマー! ありがとー!」
「セルマさん、ありがとうございます」
ゴタゴタと商品に囲まれ、運動不足にはなりますが、こんなにも喜んでいただけると、雑貨屋冥利に尽きますね。
私たち四人が描かれた絵を見てホワホワほんわかしていると、叫び声が聞こえてきました――
「キャアアアー」
「みんな逃げろー! 魔物が暴れているぞー!」
「魔法師団でテイムした魔物が逃げ出したらしい!」
「ディラン」
「はい。行きましょう」
「セルマはカレン殿と店に戻っていろ」
確かにリアム様の言うとおり、カレンさんの安全を考え避難するべきかもしれません。
でも、こんな時こそ、私の力をお役に立てたいのです……。
「いえ、私も魔女のはしくれです! お役に立てる魔法くらい使えます!」
「リアム様! 私も先日お話したとおりです! 一緒に行きます!」
カレンさんの言葉に後押しされ、私も気持ちを伝えました。
リアム様は一瞬困ったような顔をしましたが、ここで問答を続けている場合ではないと判断したのか、私とカレンさんがついて行くことに反対する言葉はありませんでした。
さすがリアム様、判断が早いです。
私たちは一斉に、騒ぎの中心へと駆け出しました――
「なぜ、私のバイコーンが……。しかも、正気を失っている……」
「薬物を盛られたな。謀られたんだろう。最悪の場合、殺るしかないぞ?」
「はい……」
暴れているバイコーンさんは、ディランさんに懐いた子のようです……。なんでこんなことに……。しかも、謀られたなんて……。
生きているモノに対して、許すまじ行為ですよ!
リアム様とディラン様、カレンさんがバイコーンと対峙します。
祭りの混雑で、騎士団も魔法師団もなかなか現場に辿り着けないようです。
「カレン殿、強化魔法が使えるならかけてくれ!」
「はい!」
「リアムさん! やはり、できる限り取り押さえたいのです! 御協力をお願いします!」
リアム様はディラン様のお願いどおり、剣も魔法も使わず、素手でバイコーンさんを取り押さえようとしています。
ディラン様は街に被害がおよばないよう、結界を張りながら、土壁を出現させ、バイコーンさんの進路を絶って行きます。
カレンさんは、補助魔法を駆使し、お二人をサポートしているようです。
私は私にできることをしましょう。手を合わせて願います――
『三人が怪我をしませんように。バイコーンさんも無事で取り押さえられますように。そして、謀をした人がいるのなら、きちんと判明し捕まりますように――』
ところが――
「きゃああぁぁー!」
「カレン殿!」
「カレンさん!」
カレンさんが黒装束の何者かに取り押さえられ、喉元に刃物を向けられています。
「余計な動きはするなよ? 全員ここで大人しく見ていろ」
こ、これは! 万事休すです!!
「心身をリラックスさせ、疲れがとれるような物はありませんか?」
背中まである薄い青色の長い髪を一つにゆるくまとめ、一見女性に見えるような中性的なお顔立ちの男性です。
目の下にうっすらとクマを作り、端正なお顔にもったいないことをしています。
「香油のように、間接的な効果をお求めですか? それとも内服用の方がよろしいですか?」
「すぐに効くものがいいです。私はディランと申します。任務中ですから、また、魔法師団に戻らねばならないので」
そう言われてよく見ると、魔法師団王都部隊の制服を着ていますね。
リアム様と同じ、隊長の勲章を着けています。魔法師団王都部隊の隊長で、言わばリアム様の両輪となるお方でしたか。
それにしても、リアム様は毎日『天使のはしご』に顔を出すのに、ディラン様はとてもお忙しいようです。
私は幸せですが、リアム様のお仕事は大丈夫なのでしょうか?
「魔法師団の隊長さんでしたか。とてもお忙しいのですね……。騎士団とは状況が異なるのでしょうか?」
「任務というより、人間関係でしょうか……。あちらは筋肉バ――……、揉め事は腕力で解決して、上下関係もハッキリしていますが、こちらは狡猾なタイプも多く、統率を取るのが大変なのです……」
王都部隊の隊長まで登りつめても、心労は絶えないのですね。
ですが、即効性がある物でうちで扱えるのは、どこにでもあるようなポーションだけです。
それ以上の効能を求めるとなると、専門店に行った方がいいかもしれません。
「うちには通常のポーションしかありません。お手数をお掛けしますが、専門店に行かれた方がいいかもしれません」
「通常のポーションでいいのです。先輩でもあるリアムさんの彼女に、ご挨拶がてら来たものですから」
ひゃっ! 彼女に挨拶だなんて、俄然気合いが入りますね! 粗相があってはなりません!
せめてポーションの他に、オマケでなにかリラックス効果がある物をお付けしないと――
「セルマ、いるか?」
「リアム様」
「リアムさん。いくら彼女に会いたいからって、サボるのはよくないですよ?」
来店していたディラン様を見て、リアム様が目を丸くしています。
「なぜ、お前がここにいる? お前こそサボって、セルマの所に茶をしばきに来たな?」
「リアムさんがゾッコンだって噂の、彼女さんにご挨拶をしに来ただけですよ」
どれ程噂になっているのでしょうか……。あら、私ったらお茶もお出ししませんで……。
イソイソと準備をし、リアム様とディラン様と私の三人で、お茶することになりました。
「ディラン様は、本当にお客さんとして来ていただいたのですよ」
「最近、副隊長の動きがキナ臭くて、任務以外に手を煩わせることが多いのです……。さっぱり疲れが取れなくて……」
「魔法師団の副隊長ゾイか……。困った奴だな。あまりにも酷ければ、処分を考えるしかあるまい」
リアム様の表情からも、ゾイさんという方は相当な厄介者だということが伝わってきます。
「ゾイは能力が高いですからね。そしてずる賢い男です」
「だが、捨て置くには難しい程、最近特にキナ臭いんだろう? このまま放っておくのか?」
「そこが頭の痛いところなのですよ……。もっとハッキリしでかしてくれないと、処分も難しくて……」
事態はなかなかに、深刻なのかもしれません……。
重くなる空気を一気に変える、明るい声が『天使のはしご』に響きました。
「こんにちはー、セルマー。美味しいお菓子をもらったから、一緒に食べよー」
「カレンさん!」
あれ? 勢いよく入って来た、カレンさんの動きが固まりました。なんだか頬が紅潮してきましたね。
こ、これは……。まさか!
恋です! カレンさんの目が、ディラン様に釘付けです!!
「あ、セルマの彼氏のリアム様、初めまして。セルマの友達をしています、カレンです」
「はじめまして、カレン殿。セルマより、よくよく話は聞いていた。よろしく頼む」
「そ、それで……。あのぅ、そちらの方は?」
そうでした。カレンさんの好みは、背が高く細身で知的な人! ディランさんは、ドストライクなのです!
お顔は断然学校の先生より、ディラン様の方がお美しいとは思いますが。
「はじめまして、カレンさん。ディランと申します」
「ディラン様、はじめまして……。あ、そうだ! みなさん! 明日からの迎陽祭、セルマと見に行く約束をしていたんですけど、リアム様とディラン様もご一緒しませんか?」
カレンさんの行動力は素晴らしいですね。
今日辺りでも会いに行って、カレンさんに迎陽祭の話をしようとは思っていましたが、まだ約束はしていませんでしたよ?
私をだしに使って、四人でお出掛けするつもりですね?
「そうだったのか? 二日目なら、丸一日休みだ」
「私は、二日目の夜は非番です」
「セルマは、夜お店を閉めるから大丈夫でしょう?」
学生のカレンさんも、夜は空いているのですよね。
時間があれば、夜光るお祭り名物の飾り物でも売ろうと思っていましたが……。
ここは流れに乗って、一肌も二肌も脱ぎましょう!
「はい。私は夜ならいつでも空いています」
「……おい……。俺と会う時間は、忘れずとってくれよ?」
「アッハハハハ。みんな大丈夫そうですね! じゃあ迎陽祭の二日目の夜『天使のはしご』に集合して、四人でお祭りに行きましょう!」
恋するカレンさん。この勢いなら、告白もすぐにできそうな勢いです。
前回、告白へ一歩踏み出せなかったのは、学校生活を円滑に続けるべく、野生の勘で踏み止まっていたのでは……。
――迎陽祭二日目の夜がやって来ました――
太陽を待ち望む人々が賑やかにすることで、ひょっこり太陽が現れるかもしれないという、日本の神話に似たところがあるお祭りです。
一番盛り上がる二日目の夜、王都の街はたくさんの人でごった返しています。
「セルマ、はぐれないよう気をつけろ。ほら、手を貸せ」
「いいなぁー。セルマにはリアム様がいてー」
「ハハハ。カレンさんは、私について来てください」
ディラン様とカレンさん。お似合いかもしれませんね。
カレンさんは、真っ直ぐな赤い髪に、女性としては高めの身長。猫のように愛らしい瞳の、可愛らしい魔女さんです。
涼しげな印象のディラン様と、対になる感じがします。とってもいい雰囲気です。
日本のお祭りも異世界のお祭りも、人々が浮かれてはしゃぐ姿に変わりありません。
今日はカレンさんも私も、お酒は控え目にしています。
好きな人の前でベロンベロンになりたくない乙女の恥じらいの方が、お祭りで飲みたい気持ちに勝りました。
屋台の串焼きお肉や、カップに注がれた各種のお酒、冷たい氷菓子などを買って、異世界版もぐら叩きに四人で大はしゃぎし、祭りの夜を堪能しています。
ソコソコお高いのですが大奮発し、『あなたがパトロン』で四人を描いた物をそれぞれにお渡ししました。
「いい記念になる。大切にする」
「セルマー! ありがとー!」
「セルマさん、ありがとうございます」
ゴタゴタと商品に囲まれ、運動不足にはなりますが、こんなにも喜んでいただけると、雑貨屋冥利に尽きますね。
私たち四人が描かれた絵を見てホワホワほんわかしていると、叫び声が聞こえてきました――
「キャアアアー」
「みんな逃げろー! 魔物が暴れているぞー!」
「魔法師団でテイムした魔物が逃げ出したらしい!」
「ディラン」
「はい。行きましょう」
「セルマはカレン殿と店に戻っていろ」
確かにリアム様の言うとおり、カレンさんの安全を考え避難するべきかもしれません。
でも、こんな時こそ、私の力をお役に立てたいのです……。
「いえ、私も魔女のはしくれです! お役に立てる魔法くらい使えます!」
「リアム様! 私も先日お話したとおりです! 一緒に行きます!」
カレンさんの言葉に後押しされ、私も気持ちを伝えました。
リアム様は一瞬困ったような顔をしましたが、ここで問答を続けている場合ではないと判断したのか、私とカレンさんがついて行くことに反対する言葉はありませんでした。
さすがリアム様、判断が早いです。
私たちは一斉に、騒ぎの中心へと駆け出しました――
「なぜ、私のバイコーンが……。しかも、正気を失っている……」
「薬物を盛られたな。謀られたんだろう。最悪の場合、殺るしかないぞ?」
「はい……」
暴れているバイコーンさんは、ディランさんに懐いた子のようです……。なんでこんなことに……。しかも、謀られたなんて……。
生きているモノに対して、許すまじ行為ですよ!
リアム様とディラン様、カレンさんがバイコーンと対峙します。
祭りの混雑で、騎士団も魔法師団もなかなか現場に辿り着けないようです。
「カレン殿、強化魔法が使えるならかけてくれ!」
「はい!」
「リアムさん! やはり、できる限り取り押さえたいのです! 御協力をお願いします!」
リアム様はディラン様のお願いどおり、剣も魔法も使わず、素手でバイコーンさんを取り押さえようとしています。
ディラン様は街に被害がおよばないよう、結界を張りながら、土壁を出現させ、バイコーンさんの進路を絶って行きます。
カレンさんは、補助魔法を駆使し、お二人をサポートしているようです。
私は私にできることをしましょう。手を合わせて願います――
『三人が怪我をしませんように。バイコーンさんも無事で取り押さえられますように。そして、謀をした人がいるのなら、きちんと判明し捕まりますように――』
ところが――
「きゃああぁぁー!」
「カレン殿!」
「カレンさん!」
カレンさんが黒装束の何者かに取り押さえられ、喉元に刃物を向けられています。
「余計な動きはするなよ? 全員ここで大人しく見ていろ」
こ、これは! 万事休すです!!
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