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第2章 お付き合い編
17 お義母さんとジルの嫁姑抗争
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一年の内で、最も日中が長くなる頃――
王都にある魔法雑貨屋『天使のはしご』の店内では、只今、嫁姑バトルが繰り広げられています。
「こんなペタペタしたハタキもどきを使って、掃除した気になるなんて……。古い布を雑巾にして、きちんと手で拭き掃除をするのが一番綺麗になるのに……」
「効率よく掃除することも大切なんですよ。今の人は昔の人と違って、とっても忙しいんです。雑巾なんて作っていられません。お洋服はリメイクしたり、リサイクルに出せばいいじゃないですか?」
絶賛、掃除の仕方で揉めています……。
魔物の体液を使用したハタキもどき『吸着クリーン』は、本体に柄がついており、吸着部分は使い捨てで衛生的、チリやホコリをよく吸着してくれる便利な品です。上に溜まったホコリから床掃除まで、これ一本でお掃除できます。
しかし、手でゴシゴシ拭き掃除を推奨する方からしてみれば、サラっと撫でているようにしか見えないのかもしれませんね。
「それに、あまりにも汚れが落ちやすい強い洗剤なんて使うと、体に悪いのよ?」
「今はどんどん新しくいい物が出てきて、汚れに強く、体に優しい物がたくさんあるんです。昔と一緒にしないでください!」
「まあ! なんて可愛げのない嫁なのかしら! 家族が体を悪くしたら、ジルさんの責任ですよ?」
お義母さんは、血管が浮き出るくらいご立腹です。
お嫁さんのジルさんも、ツンとして脇を見ています。引く気はなさそうですね。
「バスタオルだって毎日洗うべき物なのに、ジルさんったら何日洗わない気なのかしら……」
「普段は毎日替えてます! 仕事も繁忙期で、今は忙しいから我慢しているだけなんです!」
とうとう、『バスタオルは何日間使えるか問題』まで絡んで来ました。
このままお店の中でケンカを続けられては、私の心臓がもちそうにありません。
ヒートアップした気持ちを落ち着けていただこうと、とりあえず冷たいお茶をお出ししました。
「あら? ありがとう。どこかの誰かさんと違って、気が利く娘さんね」
「はい? なにか言いました?」
なにがどうして、ここまで拗れてしまうのでしょう。
順番として、お義母さんが老いるのは間違いなく、必ずご家族の協力が必要になるはずですし、お嫁さんもお子さんがいれば、面倒を見てもらう機会だって出てくるでしょう。
なにより、息子さんと旦那さんという共通で大切な人がいるはずなのに……。
ん? それが問題を余計に拗らせる要因でしょうか?
ただ、このお二人の場合、そこまで大きな問題が勃発しているわけではなさそうです。
本当に小さい価値観のズレが、積み重なっているだけのようですね。
よしっ! 達磨で一儲けしましたからね! お客さんを笑顔にするのが商売人です!
私はゴソゴソと、とある商品を取り出してきました。
「あの、もしよろしければ、お客様の声を聞かせていただきたいのですが? こちらの花はアレンジメントすると、お送りする相手に少しだけ自分の想いを伝えられる仕様になっています。作ってみませんか?」
前世の世界も、いつどこで情報が流出するか分からない怖い所でしたが、魔法のある世界も怖いですね。
魔法で心を覗き見られているのでは? と、思ってしまいそうになります。
ですが、もちろん商品化されている物はきちんと配慮されていますし、いい部分しか伝わらないようになっています。ちゃんと商品として合格しているから、世に流通しているのです。
この商品を仕入れるようになったきっかけは、魔女のカレンさんがきっかけです。
告白のサポートアイテムに需要があると見込んだ私は、告白に役立ちそうな物がないか探し、この魔法雑貨を仕入れるようにしてみました。
そういえば、今度あるお祭りに、カレンさんをお誘いしてみましょう。
「へえー。旦那に贈ろう!」
「私もたまには主人に……」
「すみません。あくまでもモニターですから、こちらでお二人に作ってもらって、お互いに渡し合ってほしいのです。もちろん、その後は差し上げますので」
お義母さんとジルさんは、ちょっとだけ気まずそうに目を合わせましたが、お花の魅力には抗えないようです。
「……ま、お花は綺麗だし」
「家にお花を飾りたいだけですからね」
こうして、お義母さんとお嫁さんのジルさんは、フラワーアレンジメントをすることになりました――
作業すること一時間弱。キットになっているので、とても作りやすそうです。完成したものを、早速お互いに渡し合います。
「はい、お義母さん。どうぞ」
「なかなか綺麗にできているじゃない。ジルさんもどうぞ」
その時、花がかすかに揺れ出し、まるでお二人が喋り出したかのように、声が聞こえてきました――
『ジルさんって、若いのに骨があるわね。私が嫁に来た時のような思いを、この娘にはさせたくないわ。姑には『はい』か『いいえ』しか言えなかったものね……。できる限り自由にさせてあげたいわ』
『お義母さん、手際がいいよなー。ずっと家を一人で切り盛りしてきてすごい! 本当は仕事しないで、お義母さんみたいに家のことをしていたいなー。でも、家計を支えるために、私も稼がないと!』
「ジルさん……」
「お義母さん……」
血の繋がった親子でさえ、分かり合えない時があります。愛をもって結婚した夫婦でさえ衝突します。
第三者を介して家族になったお姑さんとお嫁さんが、ギクシャクするのも当然ですよね。
だからこそ、他人であることを忘れず、お互いを尊重しなくてはなりませんし、理解しようと努力することも必要なのですね。
「このお花、ありがたくいただいて行くわ」
「もちろんです。とても参考になりました」
「いいお店ね! また来ましょうね、お義母さん!」
晴れやかな顔で、お二人が『天使のはしご』を出ていきます。
「夕飯はお義母さんが作ってくださいね。私、明日の仕事の書類を確認したいので」
「図々しい嫁ね、甘えられるのも今のうちよ?」
きっと、これからもああして小競り合いを続けながら、かけがえのない家族になってゆくのでしょう。
「セルマ、カイ殿といっしょに来たぞ」
「ニャ」
「リアム様、カイさん。今、お店をクローズにしますね」
約束していたとおり、お二人の都合がついた今日、リアム様とカイさんに、私の力のことを話します。
三人で食卓を囲み、夕食をとって一息ついてから、私は話を切り出しました。
「私は、神様らしき方に、前世で死んだ二十歳になるまで前世の記憶を封じられ、セルマとしての二十歳の誕生日に、前世と神様の記憶を思い出しました――」
前世では飛び降り自殺した人の下敷きとなり、巻き込まれて死んだこと。
真っ白な空間にいると神様らしき人の声が頭の中で聞こえたこと。
本当は私が巻き込まれて死ぬ予定はなく、新しい生を授けられたこと。
巻き込んだお詫びとして希望を尋ねられ、一つだけ願いを叶えてもらったことを話しました。
疑うようなこともなく、リアム様もカイさんも真剣に聞いてくれています。
「私は、『苦しんだり、悲しんだり、困ったりしている人の、力になれるような能力がほしい。次の生では、事件に巻き込まれる前に、相手の方を助けたいと思います』と答えました。そうしましたら、『ただし、あくまでも他人のために使う力で、自分には使えないから気をつけて』と、お返事をいただきました」
少しの間沈黙が流れ、カイさんが口火を切りました。
『その力で俺と話せたし、俺が困っている時に助けることができたと?』
「カイさんがもし困っているのなら、話すことができたらいいのに――そう思った時から、カイさんと話せるようになっていました。正直、私の力がどのように作用するかは、未だによく分かっていません」
『そうか……。あんたから醸し出される空気がな、他の人間とはちがったんだ――』
リアム様にもカイさんの話す内容が伝わるように、要約しながらカイさんと話します。
「私の出す空気が、他の人と違うとは?」
『どっちかってーと、精霊とか妖精とかに近いな。さすがにゴーストの類とは質が違う。だから俺も、あんたに惹かれたんだ』
「ゴーストではなく、精霊とか妖精の空気に近いと……。それが気になって、私について来たのですか」
パタンと尻尾を上下に揺らし、カイさんが肯定の意を表します。
「確かに俺も、チョロチョロした娘がいるなと、とにかく気になった……。あの頃は、何故かセルマと任務の最中によく出くわしたな……。次第にセルマのことが、頭から離れなくなって行って……、また会いたいと思うようになった。気になって気になって、自らここに足を運ぶようになったな……」
『色んな意味でごちそうさん。ただ、好みの女と出会っただけだろ?』
「カイさん……」
出会いの時をウットリ思い返すリアム様に、呆れるカイさん……。恥ずか死しそうです……。
「しかし、この話はここだけにしておこう。セルマも俺とカイ殿を漢と見込んで、信頼して話したんだろうからな」
『隊長。俺はメスだぞ? 人間のモノサシで勝手に測るな』
「あ……、私も今知ったのですが……。カイさんはメスとのことです……」
カイさんを完全にオス猫だと思い込んでいました……。ご本人がそれ程気にされていないのが救いです。
「し、失礼した……。あっ、えーとだな。とにかく、俺はセルマに危険なことに首を突っ込んでほしくはない。セルマが前世から事件に巻き込まれ易いのは分かった。だが、なにか行動に移すときは、俺かカイ殿がいる時にしてくれ」
「はい。きちんと神様のこともお話しできたので、これからは隠し事をせず、ちゃんと頼らせていただきますね」
「ニャ」
「ああ、そうしてくれ」
私に心強い味方が増えました。野良猫の親分カイさん(♀)と騎士団王都部隊隊長リアム様です!
……。あれ……? なんだか大きな事件に巻き込まれる前兆のような気がするのは、気のせいでしょうか……。
王都にある魔法雑貨屋『天使のはしご』の店内では、只今、嫁姑バトルが繰り広げられています。
「こんなペタペタしたハタキもどきを使って、掃除した気になるなんて……。古い布を雑巾にして、きちんと手で拭き掃除をするのが一番綺麗になるのに……」
「効率よく掃除することも大切なんですよ。今の人は昔の人と違って、とっても忙しいんです。雑巾なんて作っていられません。お洋服はリメイクしたり、リサイクルに出せばいいじゃないですか?」
絶賛、掃除の仕方で揉めています……。
魔物の体液を使用したハタキもどき『吸着クリーン』は、本体に柄がついており、吸着部分は使い捨てで衛生的、チリやホコリをよく吸着してくれる便利な品です。上に溜まったホコリから床掃除まで、これ一本でお掃除できます。
しかし、手でゴシゴシ拭き掃除を推奨する方からしてみれば、サラっと撫でているようにしか見えないのかもしれませんね。
「それに、あまりにも汚れが落ちやすい強い洗剤なんて使うと、体に悪いのよ?」
「今はどんどん新しくいい物が出てきて、汚れに強く、体に優しい物がたくさんあるんです。昔と一緒にしないでください!」
「まあ! なんて可愛げのない嫁なのかしら! 家族が体を悪くしたら、ジルさんの責任ですよ?」
お義母さんは、血管が浮き出るくらいご立腹です。
お嫁さんのジルさんも、ツンとして脇を見ています。引く気はなさそうですね。
「バスタオルだって毎日洗うべき物なのに、ジルさんったら何日洗わない気なのかしら……」
「普段は毎日替えてます! 仕事も繁忙期で、今は忙しいから我慢しているだけなんです!」
とうとう、『バスタオルは何日間使えるか問題』まで絡んで来ました。
このままお店の中でケンカを続けられては、私の心臓がもちそうにありません。
ヒートアップした気持ちを落ち着けていただこうと、とりあえず冷たいお茶をお出ししました。
「あら? ありがとう。どこかの誰かさんと違って、気が利く娘さんね」
「はい? なにか言いました?」
なにがどうして、ここまで拗れてしまうのでしょう。
順番として、お義母さんが老いるのは間違いなく、必ずご家族の協力が必要になるはずですし、お嫁さんもお子さんがいれば、面倒を見てもらう機会だって出てくるでしょう。
なにより、息子さんと旦那さんという共通で大切な人がいるはずなのに……。
ん? それが問題を余計に拗らせる要因でしょうか?
ただ、このお二人の場合、そこまで大きな問題が勃発しているわけではなさそうです。
本当に小さい価値観のズレが、積み重なっているだけのようですね。
よしっ! 達磨で一儲けしましたからね! お客さんを笑顔にするのが商売人です!
私はゴソゴソと、とある商品を取り出してきました。
「あの、もしよろしければ、お客様の声を聞かせていただきたいのですが? こちらの花はアレンジメントすると、お送りする相手に少しだけ自分の想いを伝えられる仕様になっています。作ってみませんか?」
前世の世界も、いつどこで情報が流出するか分からない怖い所でしたが、魔法のある世界も怖いですね。
魔法で心を覗き見られているのでは? と、思ってしまいそうになります。
ですが、もちろん商品化されている物はきちんと配慮されていますし、いい部分しか伝わらないようになっています。ちゃんと商品として合格しているから、世に流通しているのです。
この商品を仕入れるようになったきっかけは、魔女のカレンさんがきっかけです。
告白のサポートアイテムに需要があると見込んだ私は、告白に役立ちそうな物がないか探し、この魔法雑貨を仕入れるようにしてみました。
そういえば、今度あるお祭りに、カレンさんをお誘いしてみましょう。
「へえー。旦那に贈ろう!」
「私もたまには主人に……」
「すみません。あくまでもモニターですから、こちらでお二人に作ってもらって、お互いに渡し合ってほしいのです。もちろん、その後は差し上げますので」
お義母さんとジルさんは、ちょっとだけ気まずそうに目を合わせましたが、お花の魅力には抗えないようです。
「……ま、お花は綺麗だし」
「家にお花を飾りたいだけですからね」
こうして、お義母さんとお嫁さんのジルさんは、フラワーアレンジメントをすることになりました――
作業すること一時間弱。キットになっているので、とても作りやすそうです。完成したものを、早速お互いに渡し合います。
「はい、お義母さん。どうぞ」
「なかなか綺麗にできているじゃない。ジルさんもどうぞ」
その時、花がかすかに揺れ出し、まるでお二人が喋り出したかのように、声が聞こえてきました――
『ジルさんって、若いのに骨があるわね。私が嫁に来た時のような思いを、この娘にはさせたくないわ。姑には『はい』か『いいえ』しか言えなかったものね……。できる限り自由にさせてあげたいわ』
『お義母さん、手際がいいよなー。ずっと家を一人で切り盛りしてきてすごい! 本当は仕事しないで、お義母さんみたいに家のことをしていたいなー。でも、家計を支えるために、私も稼がないと!』
「ジルさん……」
「お義母さん……」
血の繋がった親子でさえ、分かり合えない時があります。愛をもって結婚した夫婦でさえ衝突します。
第三者を介して家族になったお姑さんとお嫁さんが、ギクシャクするのも当然ですよね。
だからこそ、他人であることを忘れず、お互いを尊重しなくてはなりませんし、理解しようと努力することも必要なのですね。
「このお花、ありがたくいただいて行くわ」
「もちろんです。とても参考になりました」
「いいお店ね! また来ましょうね、お義母さん!」
晴れやかな顔で、お二人が『天使のはしご』を出ていきます。
「夕飯はお義母さんが作ってくださいね。私、明日の仕事の書類を確認したいので」
「図々しい嫁ね、甘えられるのも今のうちよ?」
きっと、これからもああして小競り合いを続けながら、かけがえのない家族になってゆくのでしょう。
「セルマ、カイ殿といっしょに来たぞ」
「ニャ」
「リアム様、カイさん。今、お店をクローズにしますね」
約束していたとおり、お二人の都合がついた今日、リアム様とカイさんに、私の力のことを話します。
三人で食卓を囲み、夕食をとって一息ついてから、私は話を切り出しました。
「私は、神様らしき方に、前世で死んだ二十歳になるまで前世の記憶を封じられ、セルマとしての二十歳の誕生日に、前世と神様の記憶を思い出しました――」
前世では飛び降り自殺した人の下敷きとなり、巻き込まれて死んだこと。
真っ白な空間にいると神様らしき人の声が頭の中で聞こえたこと。
本当は私が巻き込まれて死ぬ予定はなく、新しい生を授けられたこと。
巻き込んだお詫びとして希望を尋ねられ、一つだけ願いを叶えてもらったことを話しました。
疑うようなこともなく、リアム様もカイさんも真剣に聞いてくれています。
「私は、『苦しんだり、悲しんだり、困ったりしている人の、力になれるような能力がほしい。次の生では、事件に巻き込まれる前に、相手の方を助けたいと思います』と答えました。そうしましたら、『ただし、あくまでも他人のために使う力で、自分には使えないから気をつけて』と、お返事をいただきました」
少しの間沈黙が流れ、カイさんが口火を切りました。
『その力で俺と話せたし、俺が困っている時に助けることができたと?』
「カイさんがもし困っているのなら、話すことができたらいいのに――そう思った時から、カイさんと話せるようになっていました。正直、私の力がどのように作用するかは、未だによく分かっていません」
『そうか……。あんたから醸し出される空気がな、他の人間とはちがったんだ――』
リアム様にもカイさんの話す内容が伝わるように、要約しながらカイさんと話します。
「私の出す空気が、他の人と違うとは?」
『どっちかってーと、精霊とか妖精とかに近いな。さすがにゴーストの類とは質が違う。だから俺も、あんたに惹かれたんだ』
「ゴーストではなく、精霊とか妖精の空気に近いと……。それが気になって、私について来たのですか」
パタンと尻尾を上下に揺らし、カイさんが肯定の意を表します。
「確かに俺も、チョロチョロした娘がいるなと、とにかく気になった……。あの頃は、何故かセルマと任務の最中によく出くわしたな……。次第にセルマのことが、頭から離れなくなって行って……、また会いたいと思うようになった。気になって気になって、自らここに足を運ぶようになったな……」
『色んな意味でごちそうさん。ただ、好みの女と出会っただけだろ?』
「カイさん……」
出会いの時をウットリ思い返すリアム様に、呆れるカイさん……。恥ずか死しそうです……。
「しかし、この話はここだけにしておこう。セルマも俺とカイ殿を漢と見込んで、信頼して話したんだろうからな」
『隊長。俺はメスだぞ? 人間のモノサシで勝手に測るな』
「あ……、私も今知ったのですが……。カイさんはメスとのことです……」
カイさんを完全にオス猫だと思い込んでいました……。ご本人がそれ程気にされていないのが救いです。
「し、失礼した……。あっ、えーとだな。とにかく、俺はセルマに危険なことに首を突っ込んでほしくはない。セルマが前世から事件に巻き込まれ易いのは分かった。だが、なにか行動に移すときは、俺かカイ殿がいる時にしてくれ」
「はい。きちんと神様のこともお話しできたので、これからは隠し事をせず、ちゃんと頼らせていただきますね」
「ニャ」
「ああ、そうしてくれ」
私に心強い味方が増えました。野良猫の親分カイさん(♀)と騎士団王都部隊隊長リアム様です!
……。あれ……? なんだか大きな事件に巻き込まれる前兆のような気がするのは、気のせいでしょうか……。
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