10 / 30
第1章 恋人未満編
10 巻き込まれ雑貨屋 セルマ
しおりを挟む
通り風が魔法雑貨屋『天使のはしご』に吹き込み、店内に流れていた淡く切ない空気を街の雑踏へと運んでいきました。
「セルマ?」
隊長さんに呼ばれお茶をトレイに乗せた私が戻ると、いつもどおりに戻った隊長さんが唐突にたずねてきました。
「先日、朝店に来たんだか……。友人と盛り上がっているようだから帰った……」
「お声をかけていただいてもよかったのですよ?」
隊長さんはわざと話題を変えたのですね。ここは一つ乗りましょう。
「セルマは経験豊富なのか?」
「はい?」
ですから、ほんのり赤くなって恥ずかしがるくらいなら聞かないでほしいです。こちらまで恥ずかしくなるのですよ?
そこまで無理して話題を変えずともよかったのですが……。
せっかく、気持ちが落ち着くまでお待ちしましたのに……。
でも、またまた、なんのことを言われているのかサッパリ分かりません。
そんなに恥ずかしがる『経験豊富』とは、男女関係についてでしょうか?
「その……。丁度、俺がここに来た時、友人に『これでも私は経験豊富です』と言っていたから……」
あ! カレンさんと飲み明かしていた時のことですね。
女二人が酔っぱらった痴態を、隊長さんは目撃してしまったのですか……。
でも、お店で朝までドンチャンしていた私も悪かったですね。
「そりゃあそうですよ。二つの人生合わせて、四十年の経験値がありますので」
「そうか、そういうことか……。なら、単刀直入に聞こう。セルマ、俺と付き合わないか?」
「はえ?」
前世で死んでしまった時以来の、私自身に起きた大事件です。
しかも、こんなに心拍数が上がる事件に初めて遭いました。
飛び降り自殺に巻き込まれた時は、わけも分からずそのまま死んでしまいましたから……。
「亡くなった俺の部下――ダンの婚約者だった女性が言っていたとおり俺は伯爵家の生まれだが、兄が継いでいるから家に縛られず自由に騎士をしている」
「はい」
「三十五のオッサンにこんなことを言われて嫌かもしれないが、俺を男として見てはくれないか?」
「ええと……」
お客さんに対して、特別な感情は抱かないようにしています。
隊長さんは、事件の現場でよく会う人情味ある騎士様という認識でした。
唐突に男性として見てとか言われましても……。
「セルマはいくつになる? 年齢的に俺は無理か?」
「いいえ。私は二十歳ですが、三十五歳が無理とかそんなことはありません」
なぜなら、私は合計年齢が四十です。年上の方にまったく抵抗はありません。
今の私のストライクゾーンは広いのです。どんな暴投でもキャッチできそうな気がします。
「俺の容姿は好みではないか?」
「いいえ。むしろ好みのタイプです」
隊長さんの容姿が好みでないという人は、その方独自の黄金比があるのでしょう。
いるなら会って、お話を聞いてみたいものです。隊長さんは、非の打ち所のない美貌の持ち主ですよ?
「内面は嫌いか?」
「いいえ。素晴らしいお方だと思います」
まだ、そこまでよく隊長さんのことを知りませんが、街の人を助け、仕事に真摯に取り組み、部下からも慕われる姿を見てきました。
頼りになる最高の隊長さんですよね。
「では、伯爵家の生まれが嫌か?」
「いいえ。身分を笠に着ることもありませんし」
隊長さんは佇まいも品がよく平民ではないと思っていましたが、街の人にも丁寧に接してまったく偉ぶりません。
世の貴族がみんな隊長さんのような方だったら、平民は『お貴族様』なんて揶揄しませんね。
「ならいいだろう? やはり、俺と付き合ってみないか?」
「はえ?」
「はえ? じゃない。いい加減にしろ」
いい加減にしろって!? そ、そんなことを言うのなら、こちらもたっぷり聞かせてもらいますよ?
「隊長さんは――」
「隊長さんではない。リアムだ」
「!!」
……出鼻をくじかれてしまいました……。
折れた心に鞭を打ち、キッと隊長さんに向き直って私は聞きたいことを聞いていきます。
「リアム様は、年下でもよろしいのですか?」
「ああ。年齢は関係ないな」
まあ、男性は年下オッケーの方は多いですしね。これくらいは想定の範囲内ですよ。
「私はこのような容姿ですが、好みなのですか?」
「ああ。最高に好みのタイプだ」
最高にって……。背の低い童顔が好きだと……。そして年下スキーですか……。リアム様はロリスキー伯爵御令息だったのですね……。
「性格は四十年こうでしたし、今後もきっと変わりませんよ?」
「ああ。いつも一定で動じず、いい性格だな」
死んだ時の記憶があると、そうそう驚くことがないだけです。
でも、酒盛り真っ最中の姿を見られていたのなら、今後取り繕う必要もなさそうですね。
「平民ですが、よろしいのですか?」
「ああ。この歳になると『人間で性別が女性なら誰でもいいから、とにかく早く結婚しろ』としか言われない」
私側の問題としても、家の歴史や、最低限の貴族のマナーを教えていただけましたら、なんとか大丈夫でしょう。
お兄様がいて、そこまで生家に縛られていないとおっしゃっていましたし……。
……。あれ? 問題ないですね。
お互い好ましく感じていて、お付き合いをすることに障害もないです。
ですが、私が人間で性別が女だから言っているのかもしれ――
「ああ。あとな――」
「あと……?」
「純粋にセルマのことが好きだと思っている」
碧色の、鋭く綺麗な瞳にとらわれていました。
琥珀色の総髪、形のいいお顔には柳眉とスラリと通った鼻、誠実な言葉しかつむがないのに色気ある唇。
なにより、その強く輝く瞳に熱を宿してしまったら……。
その美しいお顔から、年齢を重ねた魅力がこれでもかと惜しみなく醸し出されています。
長身痩躯に見えますが、さすが騎士団の王都部隊を取り仕切る方。鍛えられた体躯にスラリと長い足がスタイルのよさを際立たせて――
ううっ。無理です。ここまで意識してしまうと、もうお客さんの一人とは思えません……。
私は自分の心に素直に従い、白旗をあげました。
「私も、リアム様を好ましく感じています。改めて、これからもどうぞよろしくお願いいたします」
「ありがとう、セルマ。大事にする」
凄艶な微笑みを向けられ私の四十年の経験値はまったく歯が立たず、完全にリアム様に心を奪われてしまいました。
リアム様が『これから何かに首を突っ込む時は、必ず俺も一緒に行くから』と言っていましたが、呆けていた私は聞き流していました――
王都の魔法雑貨屋『天使のはしご』に、ヒット商品が生まれました。その名を『ダルマ』と言います。
十年叶わなかった願いを叶え、長年ご縁に恵まれなかった恋人もたちまち得られるらしいと噂になり、私の内職が追いつかず常に予約待ちの状態です。
その噂の出所が有名な騎士団の王都部隊隊長リアム様で、ご本人の実話だと広まっているみたいなのです。
そのうち、祈願成就・恋愛運上昇の他に、商売繁盛と金運上昇の御利益も加わりそうなのは、まだ私の胸にとどめておきましょう。
せっかく異世界に転生できたのに、過労死をしたくはありませんから。
リアム様の願いを叶え両目が入った達磨は、『天使のはしご』のカウンターにもう一つ両目の入った達磨と、仲良く隣り合って鎮座しています。
それぞれ何の願いを叶えたのかは、お客様のご想像にお任せしましょう。
その方が、皆さんの楽しみは増えますからね。
「いらっしゃいませ」
今日も魔法雑貨屋『天使のはしご』に、わけありっぽいお客さんがやって来ました――
「セルマ?」
隊長さんに呼ばれお茶をトレイに乗せた私が戻ると、いつもどおりに戻った隊長さんが唐突にたずねてきました。
「先日、朝店に来たんだか……。友人と盛り上がっているようだから帰った……」
「お声をかけていただいてもよかったのですよ?」
隊長さんはわざと話題を変えたのですね。ここは一つ乗りましょう。
「セルマは経験豊富なのか?」
「はい?」
ですから、ほんのり赤くなって恥ずかしがるくらいなら聞かないでほしいです。こちらまで恥ずかしくなるのですよ?
そこまで無理して話題を変えずともよかったのですが……。
せっかく、気持ちが落ち着くまでお待ちしましたのに……。
でも、またまた、なんのことを言われているのかサッパリ分かりません。
そんなに恥ずかしがる『経験豊富』とは、男女関係についてでしょうか?
「その……。丁度、俺がここに来た時、友人に『これでも私は経験豊富です』と言っていたから……」
あ! カレンさんと飲み明かしていた時のことですね。
女二人が酔っぱらった痴態を、隊長さんは目撃してしまったのですか……。
でも、お店で朝までドンチャンしていた私も悪かったですね。
「そりゃあそうですよ。二つの人生合わせて、四十年の経験値がありますので」
「そうか、そういうことか……。なら、単刀直入に聞こう。セルマ、俺と付き合わないか?」
「はえ?」
前世で死んでしまった時以来の、私自身に起きた大事件です。
しかも、こんなに心拍数が上がる事件に初めて遭いました。
飛び降り自殺に巻き込まれた時は、わけも分からずそのまま死んでしまいましたから……。
「亡くなった俺の部下――ダンの婚約者だった女性が言っていたとおり俺は伯爵家の生まれだが、兄が継いでいるから家に縛られず自由に騎士をしている」
「はい」
「三十五のオッサンにこんなことを言われて嫌かもしれないが、俺を男として見てはくれないか?」
「ええと……」
お客さんに対して、特別な感情は抱かないようにしています。
隊長さんは、事件の現場でよく会う人情味ある騎士様という認識でした。
唐突に男性として見てとか言われましても……。
「セルマはいくつになる? 年齢的に俺は無理か?」
「いいえ。私は二十歳ですが、三十五歳が無理とかそんなことはありません」
なぜなら、私は合計年齢が四十です。年上の方にまったく抵抗はありません。
今の私のストライクゾーンは広いのです。どんな暴投でもキャッチできそうな気がします。
「俺の容姿は好みではないか?」
「いいえ。むしろ好みのタイプです」
隊長さんの容姿が好みでないという人は、その方独自の黄金比があるのでしょう。
いるなら会って、お話を聞いてみたいものです。隊長さんは、非の打ち所のない美貌の持ち主ですよ?
「内面は嫌いか?」
「いいえ。素晴らしいお方だと思います」
まだ、そこまでよく隊長さんのことを知りませんが、街の人を助け、仕事に真摯に取り組み、部下からも慕われる姿を見てきました。
頼りになる最高の隊長さんですよね。
「では、伯爵家の生まれが嫌か?」
「いいえ。身分を笠に着ることもありませんし」
隊長さんは佇まいも品がよく平民ではないと思っていましたが、街の人にも丁寧に接してまったく偉ぶりません。
世の貴族がみんな隊長さんのような方だったら、平民は『お貴族様』なんて揶揄しませんね。
「ならいいだろう? やはり、俺と付き合ってみないか?」
「はえ?」
「はえ? じゃない。いい加減にしろ」
いい加減にしろって!? そ、そんなことを言うのなら、こちらもたっぷり聞かせてもらいますよ?
「隊長さんは――」
「隊長さんではない。リアムだ」
「!!」
……出鼻をくじかれてしまいました……。
折れた心に鞭を打ち、キッと隊長さんに向き直って私は聞きたいことを聞いていきます。
「リアム様は、年下でもよろしいのですか?」
「ああ。年齢は関係ないな」
まあ、男性は年下オッケーの方は多いですしね。これくらいは想定の範囲内ですよ。
「私はこのような容姿ですが、好みなのですか?」
「ああ。最高に好みのタイプだ」
最高にって……。背の低い童顔が好きだと……。そして年下スキーですか……。リアム様はロリスキー伯爵御令息だったのですね……。
「性格は四十年こうでしたし、今後もきっと変わりませんよ?」
「ああ。いつも一定で動じず、いい性格だな」
死んだ時の記憶があると、そうそう驚くことがないだけです。
でも、酒盛り真っ最中の姿を見られていたのなら、今後取り繕う必要もなさそうですね。
「平民ですが、よろしいのですか?」
「ああ。この歳になると『人間で性別が女性なら誰でもいいから、とにかく早く結婚しろ』としか言われない」
私側の問題としても、家の歴史や、最低限の貴族のマナーを教えていただけましたら、なんとか大丈夫でしょう。
お兄様がいて、そこまで生家に縛られていないとおっしゃっていましたし……。
……。あれ? 問題ないですね。
お互い好ましく感じていて、お付き合いをすることに障害もないです。
ですが、私が人間で性別が女だから言っているのかもしれ――
「ああ。あとな――」
「あと……?」
「純粋にセルマのことが好きだと思っている」
碧色の、鋭く綺麗な瞳にとらわれていました。
琥珀色の総髪、形のいいお顔には柳眉とスラリと通った鼻、誠実な言葉しかつむがないのに色気ある唇。
なにより、その強く輝く瞳に熱を宿してしまったら……。
その美しいお顔から、年齢を重ねた魅力がこれでもかと惜しみなく醸し出されています。
長身痩躯に見えますが、さすが騎士団の王都部隊を取り仕切る方。鍛えられた体躯にスラリと長い足がスタイルのよさを際立たせて――
ううっ。無理です。ここまで意識してしまうと、もうお客さんの一人とは思えません……。
私は自分の心に素直に従い、白旗をあげました。
「私も、リアム様を好ましく感じています。改めて、これからもどうぞよろしくお願いいたします」
「ありがとう、セルマ。大事にする」
凄艶な微笑みを向けられ私の四十年の経験値はまったく歯が立たず、完全にリアム様に心を奪われてしまいました。
リアム様が『これから何かに首を突っ込む時は、必ず俺も一緒に行くから』と言っていましたが、呆けていた私は聞き流していました――
王都の魔法雑貨屋『天使のはしご』に、ヒット商品が生まれました。その名を『ダルマ』と言います。
十年叶わなかった願いを叶え、長年ご縁に恵まれなかった恋人もたちまち得られるらしいと噂になり、私の内職が追いつかず常に予約待ちの状態です。
その噂の出所が有名な騎士団の王都部隊隊長リアム様で、ご本人の実話だと広まっているみたいなのです。
そのうち、祈願成就・恋愛運上昇の他に、商売繁盛と金運上昇の御利益も加わりそうなのは、まだ私の胸にとどめておきましょう。
せっかく異世界に転生できたのに、過労死をしたくはありませんから。
リアム様の願いを叶え両目が入った達磨は、『天使のはしご』のカウンターにもう一つ両目の入った達磨と、仲良く隣り合って鎮座しています。
それぞれ何の願いを叶えたのかは、お客様のご想像にお任せしましょう。
その方が、皆さんの楽しみは増えますからね。
「いらっしゃいませ」
今日も魔法雑貨屋『天使のはしご』に、わけありっぽいお客さんがやって来ました――
20
お気に入りに追加
368
あなたにおすすめの小説

求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
待鳥園子
恋愛
グレンジャー伯爵令嬢ウェンディは父が友人に裏切られ、社交界デビューを目前にして無一文になってしまった。
父は異国へと一人出稼ぎに行ってしまい、行く宛てのない姉を心配する弟を安心させるために、以前邸で働いていた竜騎士を頼ることに。
彼が働くアレイスター竜騎士団は『恋愛禁止』という厳格な規則があり、そのため若い女性は働いていない。しかし、ウェンディは竜力を持つ貴族の血を引く女性にしかなれないという『子竜守』として特別に採用されることになり……。
子竜守として働くことになった没落貴族令嬢が、不器用だけどとても優しい団長と恋愛禁止な竜騎士団で働くために秘密の契約結婚をすることなってしまう、ほのぼの子竜育てありな可愛い恋物語。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
女嫌いな騎士団長が味わう、苦くて甘い恋の上書き
待鳥園子
恋愛
「では、言い出したお前が犠牲になれ」
「嫌ですぅ!」
惚れ薬の効果上書きで、女嫌いな騎士団長が一時的に好きになる対象になる事になったローラ。
薬の効果が切れるまで一ヶ月だし、すぐだろうと思っていたけれど、久しぶりに会ったルドルフ団長の様子がどうやらおかしいようで!?
※来栖もよりーぬ先生に「30ぐらいの女性苦手なヒーロー」と誕生日プレゼントリクエストされたので書きました。

婚約破棄された地味姫令嬢は獣人騎士団のブラッシング係に任命される
安眠にどね
恋愛
社交界で『地味姫』と嘲笑されている主人公、オルテシア・ケルンベルマは、ある日婚約破棄をされたことによって前世の記憶を取り戻す。
婚約破棄をされた直後、王城内で一匹の虎に出会う。婚約破棄と前世の記憶と取り戻すという二つのショックで呆然としていたオルテシアは、虎の求めるままブラッシングをしていた。その虎は、実は獣人が獣の姿になった状態だったのだ。虎の獣人であるアルディ・ザルミールに気に入られて、オルテシアは獣人が多く所属する第二騎士団のブラッシング係として働くことになり――!?
【第16回恋愛小説大賞 奨励賞受賞。ありがとうございました!】

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。

【完結】公爵令嬢に転生したので両親の決めた相手と結婚して幸せになります!
永倉伊織
恋愛
ヘンリー・フォルティエス公爵の二女として生まれたフィオナ(14歳)は、両親が決めた相手
ルーファウス・ブルーム公爵と結婚する事になった。
だがしかし
フィオナには『昭和・平成・令和』の3つの時代を生きた日本人だった前世の記憶があった。
貴族の両親に逆らっても良い事が無いと悟ったフィオナは、前世の記憶を駆使してルーファウスとの幸せな結婚生活を模索する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる