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20 よそよそしい新人
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「おはようございます、ユリアン様」
「おはよう。モニカ、ココ」
ユリアン様は今朝も早起きをし、優雅にコーヒーを飲みながら本を読んでいる。
(いつもと全く変わらない)
私は気づいてしまった。自分の想いに蓋をすると思ってしまったということは、ユリアン様に惹かれる想いを完全に自覚しているということに。
自分とは異なり憧れだった華やかな容姿を持つユリアン様に、短い期間の中で凝縮された特濃の優しい毎日を与えられ、恋愛経験値ゼロの私がコロリと好きになっても仕方ないと思う。
ユリアン様は誰よりも素敵な男性だった。
「昨日ココが獲ったお魚を焼きましょうか?」
「じゃあ、お願いするね」
世の中の婚約者の関係性ってなんだろう。結婚とは一緒に生きる事と何が違うのだろう。
私の頭の中は、破裂しそうなほど考え事で堂々巡りしている。
(公爵家のため、適したどなたかに嫁いでも構わないと思っていたし、無理とわかってからは、官僚として生きて行こうと思っていたのに……)
順風満帆な関係の、セオ兄様とエレナさんが羨ましいと思った。
鼻の奥がツンとしてくる。それを誤魔化すように、私は少し上の空で朝食の準備に取り掛かった。
「熱!!」
「大丈夫かい!? 早く冷やさないと!」
私の手首を握り、ユリアン様が魔法で冷たいお水を出して冷やしてくれる。
「だっ、大丈夫です!」
私の手首を掴まえる長い指と、一気に詰められた距離にユリアン様を強く感じ、思わず身体を反らしてしまった。
「モニカ……」
「元気ですかーお二人さーん、ココー」
私とユリアン様が固まって動けないでいると、朝から熱量が多い大声が聞こえた。
「あれ? なんかあったのか?」
「なにもありません」
ふう~ん。と、レン係長は腕組みをしながら、手首を掴まれて固まる私とユリアン様を交互に見やる。
「ま、まさかユリアン様……清高なご令嬢に手荒な真似を……」
「誤解だよ」
「違いますっ!」
私も令嬢教育を受け、みだりに感情を出さない芸当を身に付けていたはずなのに、声高に反論してしまった。
ユリアン様本人にもレン係長にも、私の変化してしまった気持ちを知られてはいけない。
ユリアン様にはこの帝国とジェラルド様を守ってゆくという大義がある。私は足枷とならず、官僚として一緒に事を成すためにも、恋心は不用なのだ。
(クラウスティン家の令嬢教育は完璧なのよ。官僚としてユリアン様のお側で生きるなら、この森の中で過ごした日々は良い思い出にしよう)
「私が火傷したところを、ユリアン様がすぐに冷やしてくれたのです」
「ま、モニカがそう言うなら大丈夫か。さて、お二人さん、そろそろ帝都にお戻りになられても良いですよ」
「そう、準備は整ったんだね」
「ま、少なくともボルダン伯爵家は大丈夫でしょうね。戻る頃にはガチガチに身動きが取れなくなっているはずですよ」
初めて抱く恋心に翻弄されながらも、ボルダン伯爵家の完全包囲網が出来たから安全だと、私とユリアン様は帝都に戻って来た。
「あら、お帰りなさい」
「大変だったなー」
「戻りが遅くなりすみません。ご心配をお掛けしました」
ノーラさんとマサとは、本当に久しぶりだ。
「そんなの気にするな!」
「そうよ、モニカが無事で本当に良かったわ」
わいのわいのと二人に囲まれて、帰って来られたなとホッとする。
「あの、これからの勤務についてなんですけれど……」
「まあな。試用期間ももうすぐで終わるからな。いつまでもずっと、ユリアン様の執務室勤務ってわけにもいかんか」
「モニカの言うことも一理あるしね」
「でも、あの方が納得するかしら?」
私は係の皆に相談していた。
本格的に第二皇子係の仕事を覚えたい事。ユリアン様からは充分御褒美期間をいただいた事。
私を学生時代から見てきてくれて、素性や経緯を知っている皆さんだから素直に話せた。
「ユリアン様のお力になるためにも、本来の任務を学びたいのです。ご存知の通り、練習すればお役に立てる魔法も扱えるはずです」
「分かった、私からユリアン様に話してみよう」
「係長、よろしくお願いいたします」
早速レン係長がユリアン様の執務室に行ってくれた。
ユリアン様を避けるのではない。当たり前の勤務をするだけ。ユリアン様には充分慣れたし、ユリアン様の言う御褒美も、もうたくさんいただいたから。そう自分に言い訳をする。
「取り敢えず事務作業からやってみる? これ予算要求案だけれど、財務部に持って行って文句を言われたら交渉するの。内容を教えてあげるから作ってみようか?」
「はい」
私はノーラさんから、書類の作成や事業内容とそれに伴う予算額の積算を教えられた。
「ふうっ。あっと言う間に時間が過ぎましたね」
「さすが学園首席よ。バッチリね。あとは世の中の物価を覚えたら、これは完璧だわ」
「ありがとうございます」
「さ、今日は財務部にこれを出したら定時だし、そのまま帰っちゃいなよ」
「はい。お疲れ様でした」
私は財務部に書類を提出し、今日の仕事を終えた。安堵した瞬間、深いため息が出ていた。
(今日は、ユリアン様と一度も顔を合わせなかったな)
「モニカさん」
「サラさん」
「なかなか会えないから、心配してた」
「研修でずっと同じ部屋にいたり、出張だったりして、しばらく城内を回れなかったの」
「そっか。モニカさん今日は寮で夕食?」
「寮の食堂のおばさんにご不幸があって、外で食べなきゃいけないの」
「じゃあ一緒に食べに行こうか?」
実家から城へ通うサラさんは、社会人になってから時間が不規則になり、特に家で夕飯を食べる習慣がないらしい。久しぶりに会えたし、一緒に街に出ることにした。
「モニカさんの職場はどう?」
「良い人ばかりで、すごく恵まれてるなって思ってる。こんなに充実した毎日は初めてかも」
「ずいぶんと可愛いペットもいるみたいだし、楽しそうね」
ココはサラさんからお肉を貰って上機嫌だ。膝の上に座って、甘えたようにもう一つとおねだりしている。
「そうね。本当に良い係よ」
「その割には、ずいぶんと大きなため息をついていたね」
サラさんの洞察力は学生の頃から鋭かったから、あれ程大きなため息がばれないはずなかった。
「仕事の事っていうか、ちょっと不甲斐なさ過ぎる自分が嫌いになりそうなの」
「そっか。何だかモニカさん、以前のご令嬢時代に戻ったみたいな顔してると思った」
「以前の私に戻った?」
「そう。皆が嫌な思いをしないように、どこにも波風立てないようにしてるって感じ」
「そうかもしれない」
「勿論、私だって、常に一定で全てに平等に接するモニカ嬢は好きだよ。でも、貴女の事を好きになった人は、そうして欲しくないと思う。ありのままに生きてほしいって願うと思う。皆で笑えば良いじゃない? 皆で幸せになれば良いじゃない? 誰かが我慢して得られた幸せなんて、私は御免だけどね」
「サラさん……。なんかサラさんもキャラ変わった? 熱く語るなんて初めてね」
「今の上司や先輩の影響かも」
サラさんと食事した帰り道。私は自分の事ではなくユリアン様の事を考えていた。
(ありのまま生きて欲しい。皆で笑って幸せに。誰かが我慢して得られた幸せは御免か)
ユリアン様がジェラルド様や帝国のために生きるって、なんだか悲しい。ユリアン様ご自身の幸せって何だろうか……。
(でも、問題が大き過ぎるよ……)
サラさんと話して簡単には解決しないけれど、くすぶっていたモノの答えが遠くに見えた気がした――
「おはよう。モニカ、ココ」
ユリアン様は今朝も早起きをし、優雅にコーヒーを飲みながら本を読んでいる。
(いつもと全く変わらない)
私は気づいてしまった。自分の想いに蓋をすると思ってしまったということは、ユリアン様に惹かれる想いを完全に自覚しているということに。
自分とは異なり憧れだった華やかな容姿を持つユリアン様に、短い期間の中で凝縮された特濃の優しい毎日を与えられ、恋愛経験値ゼロの私がコロリと好きになっても仕方ないと思う。
ユリアン様は誰よりも素敵な男性だった。
「昨日ココが獲ったお魚を焼きましょうか?」
「じゃあ、お願いするね」
世の中の婚約者の関係性ってなんだろう。結婚とは一緒に生きる事と何が違うのだろう。
私の頭の中は、破裂しそうなほど考え事で堂々巡りしている。
(公爵家のため、適したどなたかに嫁いでも構わないと思っていたし、無理とわかってからは、官僚として生きて行こうと思っていたのに……)
順風満帆な関係の、セオ兄様とエレナさんが羨ましいと思った。
鼻の奥がツンとしてくる。それを誤魔化すように、私は少し上の空で朝食の準備に取り掛かった。
「熱!!」
「大丈夫かい!? 早く冷やさないと!」
私の手首を握り、ユリアン様が魔法で冷たいお水を出して冷やしてくれる。
「だっ、大丈夫です!」
私の手首を掴まえる長い指と、一気に詰められた距離にユリアン様を強く感じ、思わず身体を反らしてしまった。
「モニカ……」
「元気ですかーお二人さーん、ココー」
私とユリアン様が固まって動けないでいると、朝から熱量が多い大声が聞こえた。
「あれ? なんかあったのか?」
「なにもありません」
ふう~ん。と、レン係長は腕組みをしながら、手首を掴まれて固まる私とユリアン様を交互に見やる。
「ま、まさかユリアン様……清高なご令嬢に手荒な真似を……」
「誤解だよ」
「違いますっ!」
私も令嬢教育を受け、みだりに感情を出さない芸当を身に付けていたはずなのに、声高に反論してしまった。
ユリアン様本人にもレン係長にも、私の変化してしまった気持ちを知られてはいけない。
ユリアン様にはこの帝国とジェラルド様を守ってゆくという大義がある。私は足枷とならず、官僚として一緒に事を成すためにも、恋心は不用なのだ。
(クラウスティン家の令嬢教育は完璧なのよ。官僚としてユリアン様のお側で生きるなら、この森の中で過ごした日々は良い思い出にしよう)
「私が火傷したところを、ユリアン様がすぐに冷やしてくれたのです」
「ま、モニカがそう言うなら大丈夫か。さて、お二人さん、そろそろ帝都にお戻りになられても良いですよ」
「そう、準備は整ったんだね」
「ま、少なくともボルダン伯爵家は大丈夫でしょうね。戻る頃にはガチガチに身動きが取れなくなっているはずですよ」
初めて抱く恋心に翻弄されながらも、ボルダン伯爵家の完全包囲網が出来たから安全だと、私とユリアン様は帝都に戻って来た。
「あら、お帰りなさい」
「大変だったなー」
「戻りが遅くなりすみません。ご心配をお掛けしました」
ノーラさんとマサとは、本当に久しぶりだ。
「そんなの気にするな!」
「そうよ、モニカが無事で本当に良かったわ」
わいのわいのと二人に囲まれて、帰って来られたなとホッとする。
「あの、これからの勤務についてなんですけれど……」
「まあな。試用期間ももうすぐで終わるからな。いつまでもずっと、ユリアン様の執務室勤務ってわけにもいかんか」
「モニカの言うことも一理あるしね」
「でも、あの方が納得するかしら?」
私は係の皆に相談していた。
本格的に第二皇子係の仕事を覚えたい事。ユリアン様からは充分御褒美期間をいただいた事。
私を学生時代から見てきてくれて、素性や経緯を知っている皆さんだから素直に話せた。
「ユリアン様のお力になるためにも、本来の任務を学びたいのです。ご存知の通り、練習すればお役に立てる魔法も扱えるはずです」
「分かった、私からユリアン様に話してみよう」
「係長、よろしくお願いいたします」
早速レン係長がユリアン様の執務室に行ってくれた。
ユリアン様を避けるのではない。当たり前の勤務をするだけ。ユリアン様には充分慣れたし、ユリアン様の言う御褒美も、もうたくさんいただいたから。そう自分に言い訳をする。
「取り敢えず事務作業からやってみる? これ予算要求案だけれど、財務部に持って行って文句を言われたら交渉するの。内容を教えてあげるから作ってみようか?」
「はい」
私はノーラさんから、書類の作成や事業内容とそれに伴う予算額の積算を教えられた。
「ふうっ。あっと言う間に時間が過ぎましたね」
「さすが学園首席よ。バッチリね。あとは世の中の物価を覚えたら、これは完璧だわ」
「ありがとうございます」
「さ、今日は財務部にこれを出したら定時だし、そのまま帰っちゃいなよ」
「はい。お疲れ様でした」
私は財務部に書類を提出し、今日の仕事を終えた。安堵した瞬間、深いため息が出ていた。
(今日は、ユリアン様と一度も顔を合わせなかったな)
「モニカさん」
「サラさん」
「なかなか会えないから、心配してた」
「研修でずっと同じ部屋にいたり、出張だったりして、しばらく城内を回れなかったの」
「そっか。モニカさん今日は寮で夕食?」
「寮の食堂のおばさんにご不幸があって、外で食べなきゃいけないの」
「じゃあ一緒に食べに行こうか?」
実家から城へ通うサラさんは、社会人になってから時間が不規則になり、特に家で夕飯を食べる習慣がないらしい。久しぶりに会えたし、一緒に街に出ることにした。
「モニカさんの職場はどう?」
「良い人ばかりで、すごく恵まれてるなって思ってる。こんなに充実した毎日は初めてかも」
「ずいぶんと可愛いペットもいるみたいだし、楽しそうね」
ココはサラさんからお肉を貰って上機嫌だ。膝の上に座って、甘えたようにもう一つとおねだりしている。
「そうね。本当に良い係よ」
「その割には、ずいぶんと大きなため息をついていたね」
サラさんの洞察力は学生の頃から鋭かったから、あれ程大きなため息がばれないはずなかった。
「仕事の事っていうか、ちょっと不甲斐なさ過ぎる自分が嫌いになりそうなの」
「そっか。何だかモニカさん、以前のご令嬢時代に戻ったみたいな顔してると思った」
「以前の私に戻った?」
「そう。皆が嫌な思いをしないように、どこにも波風立てないようにしてるって感じ」
「そうかもしれない」
「勿論、私だって、常に一定で全てに平等に接するモニカ嬢は好きだよ。でも、貴女の事を好きになった人は、そうして欲しくないと思う。ありのままに生きてほしいって願うと思う。皆で笑えば良いじゃない? 皆で幸せになれば良いじゃない? 誰かが我慢して得られた幸せなんて、私は御免だけどね」
「サラさん……。なんかサラさんもキャラ変わった? 熱く語るなんて初めてね」
「今の上司や先輩の影響かも」
サラさんと食事した帰り道。私は自分の事ではなくユリアン様の事を考えていた。
(ありのまま生きて欲しい。皆で笑って幸せに。誰かが我慢して得られた幸せは御免か)
ユリアン様がジェラルド様や帝国のために生きるって、なんだか悲しい。ユリアン様ご自身の幸せって何だろうか……。
(でも、問題が大き過ぎるよ……)
サラさんと話して簡単には解決しないけれど、くすぶっていたモノの答えが遠くに見えた気がした――
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