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7 犬猿の二人 前
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「おい、お前たち――」
電気の通わない、隠の夜が更けるは早い。
五百枝は青年たちに声を掛けただけなのだが、暗がりの中一色触発でいがみ合っていた若者たちは、必要以上に尖った反応を返してしまう。
「は? なんだよオッサン」
「わっ! オジサン、驚かさないでください」
ヤンチャに見える志津摩と呼ばれた青年が、苛立ちそのままで五百枝に突っ掛かり、生真面目そうなもう一人の青年織部まで、五百枝をオジサンと称していた。
「……」
『ヤりまするか、五百枝様?』
美しすぎる五百枝を軽々オッサン扱いできる若さに由良は怯む。それと、主人に心酔している膨れ上がった三毛猫が怖い。
(あなおそろしや)
だが、当の五百枝は少し口角を上げ、不敵な笑みを浮かべるだけだった。
「――申の守と戌の守だな? 少しばかり用がある」
『大人の余裕でございまするな。小僧ども、寛大な五百枝様に感謝するがよい』
主が流したので、生成も追随したようだ。
(そ、そうよね。自分に自信があれば、他人の言葉なんて気にならないよね。それになんだかんだ、五百枝は優しいし)
由良は色男の余裕を垣間見た。申の守と戌の守にオバサンと呼ばれても流せる力を貰えた気がする。
しかし――
「? ごちゃごちゃ何言ってんだ? 今、取り込み中だってくらいわかんだろ。後にしてくれよオッサン」
「待てよ志津摩。オジサンはきっと、何か事情があって声を掛けてきたんだ。ですよね、オジサン? 友が失礼しました」
志津摩の態度もいただけないが、悪意なくオジサンと連呼する織部もなかなか質が悪い。
「ハッ。出た出た、織部のイイコちゃん」
「なんだと!」
織部が志津摩を諫めたが、それが面白くないと志津摩はケチをつける。
こうなると、二人の足もとにいた猿と犬の精霊も牙を剥いて、いがみ合いの再開だ。
「自分の旅銀どころか、友への祝いまで盗られる奴に馬鹿にされるいわれはない! あなたの宿代を立て替えたお陰で、私まですっからかんだ!」
「俺は頼んでねぇ。お前が勝手にお節介をしてきたんだろ!」
「お前……」
いよいよ五百枝のこめかみに青筋が立っていた。
(やばっ。五百枝が限界みたい。ここは私がなんとか治めないと!)
未だ由良には気づかぬほどヒートアップする犬猿の二人を宥めようと、気合いを入れた彼女が一歩を踏み出す。
その時、檜皮の大きな声が辺りに響いた。
『由良、危ない!』
いきなり由良の足首に張りついた檜皮が、檜皮色した皮のアンクレットに変化する。
足が軽やかに弾み、反転しながら大きく真横に跳んで華麗な着地を決めていた。
「ヒイッ!」
その直後、先ほどまで由良が立っていた場所に、禍々しい生き物の鋭い爪が振り下ろされる。
間一髪で斬撃から逃れていた。初めて目にしたそいつは、動物をごちゃ混ぜにした様な見た目でおぞましく、全身の肌が粟立った。
「グルルルル」
虚しく空を切った爪を地面に突き立て、不気味な化け物が悔しげに呻く。
「こ、これって妖怪?」
『そうだよ。しかも、けっこう強めだね~』
由良は腰が抜けそうになっていたが、グラグラしつつも踏ん張っていた。
「鵺だ!」
「どうしてこんな所に?」
「大丈夫か由良!」
危険に気づいた男たちとその精霊らが、一斉に鵺と由良を取り囲む。
「う、うん。檜皮の力でなんとか無事みたい」
しかし、なぜか鵺は由良にだけ狙いを定めていた。
「うわっと」
『あれれ。ずいぶん粘着質だね』
五百枝たちには目もくれず、由良だけを襲い続ける。
「なんであの女だけ狙う? 恨みでも買ったのか? これじゃあ矢を放てねぇ」
「私も間に入って防ぐ隙がない。あの人、何か鵺を怒らせるようなことでもしたのかな?」
初対面だが由良を助けようと、鵺との間合いをはかる志津摩と織部だが、間髪いれずに由良へ接近してしまうため、なかなか手を出せずにいた。
「身に覚えは全くないのよッと」
由良は妖怪の攻撃を、檜皮の援護でなんとか切り抜けている。
『由良。僕たち鼠の回避能力を授けているけれど、まだ干支守になったばかりでよく馴染めてないんだ。今は考えるのを止めて、逃げることに集中しよっか』
「うん!」
何度も何度も執拗に切り裂こうとしてくる爪から逃れるが上半身が追いつかず、由良はちょっぴり無様な格好で踊らされていた。
「チッ」
五百枝は自分に鵺の注意をひきつけようと試みていたが、鵺の標的は一向に変わらない。
(あいつの身体は現し世にある。ここにあるのは、あくまでもニニギが作った人形か)
鵺と由良が目まぐるしい攻防を繰り広げていたとしても、五百枝は鵺だけに狙いを定め、仕留める腕も自信もあった。
しかし、万が一にでも由良を傷つけてしまわないかと思うと、生成に命じることができずにいた。
(上物が傷を負って魂が飛び出たら、あいつはどうなる? 今の俺に魂を留める力はない。剥き出しの魂を攻撃されたら一貫の終わりだ)
鼠の精霊檜皮からは、今ニニギの力を感じない。
(だが、あいつならきっと、鵺だけでなく俺の太刀からも由良を守りきれるはずだ。それでも――)
『五百枝様……』
自分を手にしようとしない主を、生成が珍しく不安げな瞳で見ている。
生成の動揺を感じても、五百枝は鵺とその先にいる由良の方へ刃を向けられずにいた。
そんな中、しだいに由良はどう回避するべきか、檜皮がどう導こうとしてくれているのかが読めるようになり、襲いかかる鵺を上手くかわしていた。
『良い調子だよ。でも、このままじゃ埒が明かないよね。――よし、墨にお願いしてみよっか。和美さんと墨を思い浮かべて。由良を娘のように感じていたから、きっと助けてくれるよ』
「やってみる」
考えている暇はない。素直に先ほど会った丑の守とその精霊を思い浮かべる。
一瞬の隙を見逃さず、とうとう鵺の爪が由良の中心を捉えようとした時、腕にはめていた和美のヘアゴムが黒光りし、由良の身体を包む。
『絶対大丈夫。このままガッツリ受け止めちゃって』
「えっ!?」
檜皮が回避をしなくなり、とうとう鵺が由良の身体を捉えた。
「キャアアア! あ、あれ?」
地面に押さえ込まれてしまったが、切り裂かれたり押し潰されずに済んでいた。
墨の艶やかな毛並みの様に輝く胸当てが、力強く由良を護っているのだ。
鵺と由良の激しい攻防が止み、入り乱れていた動線が点となる。
ここぞとばかりに、五百枝が生成に指示を出した。
「生成、来い!」
『畏まりました五百枝様』
五百枝の手の平にスウッと生成は溶け込み、輝く白がねの太刀となる。
志津摩と織部の判断も早かった。
「琥珀!」
「山吹!」
猿の精霊は弓となって申の守の手に収まり、鵺の頭や四肢を狙って志津摩が矢を放つ。盾となった犬の精霊を携えた織部は、由良と鵺の間へと入り追撃を防いでいた。
「これなら思う存分ヤれるな」
五百枝が低い声で呟いた。織部に阻まれ由良へ近寄れない鵺は、気がふれたように吠えている。
「消えろ」
迷いない太刀筋で、五百枝が刀を振り抜いた。
「うっわあー」
「えげつねぇ」
「ちょっとオジサン、私が居るのに危ないですって!」
志津摩の矢に射貫かれ動きが鈍った鵺は、叫ぶ間もなく五百枝に一刀両断にされ、禍々しい空気とともに霧散していた――
電気の通わない、隠の夜が更けるは早い。
五百枝は青年たちに声を掛けただけなのだが、暗がりの中一色触発でいがみ合っていた若者たちは、必要以上に尖った反応を返してしまう。
「は? なんだよオッサン」
「わっ! オジサン、驚かさないでください」
ヤンチャに見える志津摩と呼ばれた青年が、苛立ちそのままで五百枝に突っ掛かり、生真面目そうなもう一人の青年織部まで、五百枝をオジサンと称していた。
「……」
『ヤりまするか、五百枝様?』
美しすぎる五百枝を軽々オッサン扱いできる若さに由良は怯む。それと、主人に心酔している膨れ上がった三毛猫が怖い。
(あなおそろしや)
だが、当の五百枝は少し口角を上げ、不敵な笑みを浮かべるだけだった。
「――申の守と戌の守だな? 少しばかり用がある」
『大人の余裕でございまするな。小僧ども、寛大な五百枝様に感謝するがよい』
主が流したので、生成も追随したようだ。
(そ、そうよね。自分に自信があれば、他人の言葉なんて気にならないよね。それになんだかんだ、五百枝は優しいし)
由良は色男の余裕を垣間見た。申の守と戌の守にオバサンと呼ばれても流せる力を貰えた気がする。
しかし――
「? ごちゃごちゃ何言ってんだ? 今、取り込み中だってくらいわかんだろ。後にしてくれよオッサン」
「待てよ志津摩。オジサンはきっと、何か事情があって声を掛けてきたんだ。ですよね、オジサン? 友が失礼しました」
志津摩の態度もいただけないが、悪意なくオジサンと連呼する織部もなかなか質が悪い。
「ハッ。出た出た、織部のイイコちゃん」
「なんだと!」
織部が志津摩を諫めたが、それが面白くないと志津摩はケチをつける。
こうなると、二人の足もとにいた猿と犬の精霊も牙を剥いて、いがみ合いの再開だ。
「自分の旅銀どころか、友への祝いまで盗られる奴に馬鹿にされるいわれはない! あなたの宿代を立て替えたお陰で、私まですっからかんだ!」
「俺は頼んでねぇ。お前が勝手にお節介をしてきたんだろ!」
「お前……」
いよいよ五百枝のこめかみに青筋が立っていた。
(やばっ。五百枝が限界みたい。ここは私がなんとか治めないと!)
未だ由良には気づかぬほどヒートアップする犬猿の二人を宥めようと、気合いを入れた彼女が一歩を踏み出す。
その時、檜皮の大きな声が辺りに響いた。
『由良、危ない!』
いきなり由良の足首に張りついた檜皮が、檜皮色した皮のアンクレットに変化する。
足が軽やかに弾み、反転しながら大きく真横に跳んで華麗な着地を決めていた。
「ヒイッ!」
その直後、先ほどまで由良が立っていた場所に、禍々しい生き物の鋭い爪が振り下ろされる。
間一髪で斬撃から逃れていた。初めて目にしたそいつは、動物をごちゃ混ぜにした様な見た目でおぞましく、全身の肌が粟立った。
「グルルルル」
虚しく空を切った爪を地面に突き立て、不気味な化け物が悔しげに呻く。
「こ、これって妖怪?」
『そうだよ。しかも、けっこう強めだね~』
由良は腰が抜けそうになっていたが、グラグラしつつも踏ん張っていた。
「鵺だ!」
「どうしてこんな所に?」
「大丈夫か由良!」
危険に気づいた男たちとその精霊らが、一斉に鵺と由良を取り囲む。
「う、うん。檜皮の力でなんとか無事みたい」
しかし、なぜか鵺は由良にだけ狙いを定めていた。
「うわっと」
『あれれ。ずいぶん粘着質だね』
五百枝たちには目もくれず、由良だけを襲い続ける。
「なんであの女だけ狙う? 恨みでも買ったのか? これじゃあ矢を放てねぇ」
「私も間に入って防ぐ隙がない。あの人、何か鵺を怒らせるようなことでもしたのかな?」
初対面だが由良を助けようと、鵺との間合いをはかる志津摩と織部だが、間髪いれずに由良へ接近してしまうため、なかなか手を出せずにいた。
「身に覚えは全くないのよッと」
由良は妖怪の攻撃を、檜皮の援護でなんとか切り抜けている。
『由良。僕たち鼠の回避能力を授けているけれど、まだ干支守になったばかりでよく馴染めてないんだ。今は考えるのを止めて、逃げることに集中しよっか』
「うん!」
何度も何度も執拗に切り裂こうとしてくる爪から逃れるが上半身が追いつかず、由良はちょっぴり無様な格好で踊らされていた。
「チッ」
五百枝は自分に鵺の注意をひきつけようと試みていたが、鵺の標的は一向に変わらない。
(あいつの身体は現し世にある。ここにあるのは、あくまでもニニギが作った人形か)
鵺と由良が目まぐるしい攻防を繰り広げていたとしても、五百枝は鵺だけに狙いを定め、仕留める腕も自信もあった。
しかし、万が一にでも由良を傷つけてしまわないかと思うと、生成に命じることができずにいた。
(上物が傷を負って魂が飛び出たら、あいつはどうなる? 今の俺に魂を留める力はない。剥き出しの魂を攻撃されたら一貫の終わりだ)
鼠の精霊檜皮からは、今ニニギの力を感じない。
(だが、あいつならきっと、鵺だけでなく俺の太刀からも由良を守りきれるはずだ。それでも――)
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生成の動揺を感じても、五百枝は鵺とその先にいる由良の方へ刃を向けられずにいた。
そんな中、しだいに由良はどう回避するべきか、檜皮がどう導こうとしてくれているのかが読めるようになり、襲いかかる鵺を上手くかわしていた。
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「やってみる」
考えている暇はない。素直に先ほど会った丑の守とその精霊を思い浮かべる。
一瞬の隙を見逃さず、とうとう鵺の爪が由良の中心を捉えようとした時、腕にはめていた和美のヘアゴムが黒光りし、由良の身体を包む。
『絶対大丈夫。このままガッツリ受け止めちゃって』
「えっ!?」
檜皮が回避をしなくなり、とうとう鵺が由良の身体を捉えた。
「キャアアア! あ、あれ?」
地面に押さえ込まれてしまったが、切り裂かれたり押し潰されずに済んでいた。
墨の艶やかな毛並みの様に輝く胸当てが、力強く由良を護っているのだ。
鵺と由良の激しい攻防が止み、入り乱れていた動線が点となる。
ここぞとばかりに、五百枝が生成に指示を出した。
「生成、来い!」
『畏まりました五百枝様』
五百枝の手の平にスウッと生成は溶け込み、輝く白がねの太刀となる。
志津摩と織部の判断も早かった。
「琥珀!」
「山吹!」
猿の精霊は弓となって申の守の手に収まり、鵺の頭や四肢を狙って志津摩が矢を放つ。盾となった犬の精霊を携えた織部は、由良と鵺の間へと入り追撃を防いでいた。
「これなら思う存分ヤれるな」
五百枝が低い声で呟いた。織部に阻まれ由良へ近寄れない鵺は、気がふれたように吠えている。
「消えろ」
迷いない太刀筋で、五百枝が刀を振り抜いた。
「うっわあー」
「えげつねぇ」
「ちょっとオジサン、私が居るのに危ないですって!」
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