58 / 122
三流調剤師と一期一会
58
しおりを挟む
会話は途切れ、私は吸い寄せられるように歓声がした方に視線を向けた。
そこは一昨日、キーランやラグナル、ウォーレスが剣を合わせた広場だった。
ランサムに仕える騎士や兵士らしき男性や、侍女や下働きの女性が、何かを囲むように並んで立っている。
かなりの距離があるのに、時折、わっと上がる声が風に乗って聞こえてくる。
「キーランとラグナルか。随分盛り上がってんな」
あんなに観客がいるなら俺も参加しとくんだった。とウォーレスは冗談めかして言う。
立ち並ぶ見物人の隙間から、キーランとラグナルが剣を交えているのが見え、私たちの足は自然とそちらに向いた。
到着する前に終わってしまったらしい。一際大きな歓声が聞こえたと思ったら、騎士や兵士がその場を離れだした。
女性もそのほとんどが仕事を思い出したらしく、足早に去っていく。しかし幾人かが残った。
そのうちの一人が、キーランと話をしているラグナルに近づいた。手には白い布。ラグナルに一言、二言声をかけると、女性は手にした布で彼の額を拭った。
ここまではなんてことはない光景だった。なにせラグナルのあの美貌である。モテないはずがない。
問題は直後にとったラグナルの行動だ。
女性が額に触れるや否や、彼はそれを振り払ったのだ。
おそらくその力には容赦がなかったのだろう。女性はバランスを崩し、尻もちをついた。
「下賎な人間が。俺に触るな!」
そう吐き捨てるように告げたラグナルの声は、私たちにもはっきり届いた。
「……うわぁ」
「……おいおい」
思わず漏れた声に、ウォーレスのそれが重なる。
私は足を止めて、ウォーレスと顔を見合わせた。
「人間は下賎だそうで……」
「イーリスさんが脂ぎったエロ親父に自分を例えた意味が、分かったような気がするよ」
ダークエルフは、エルフに輪をかけて人間が嫌いだ。分かっていた。分かっていたけど、こうやって目の当たりすると……ドン引きである。
急に手を伸ばした彼女に落ち度がなかったとは言えない。知らない相手にいきなり汗を拭われたら、私だって拒否する。
しかし思い切り振り払ったうえ、尻餅をついて彼を見上げる女性を冷たい眼差しで見下ろし、さらに今の一言だ。
「ダークエルフってのは、本来ああいうものなのかね」
ウォーレスはしみじみとそう呟いた。
キーランが女性を助け起こすと、彼女は小さく一礼して、足早にその場を去った。
次いでキーランはラグナルに向き直り、何かを語りかける。今の行為について説教をしているのだろう。
それが気に入らないのか、ラグナルの視線はわかり易く逸れ……私とぶつかった。
「イーリス」
声は届かなかったが、彼の唇は確かに私の名を呼んだ。
途端に、ぐりんと音がしそうな勢いでラグナルの首が反対側に回される。
「イーリスさんに見られたら、まずいことをしたって自覚はあるらしいな」
「見られなかったらいいってのも、どうかと」
そんな会話をしていると、こちらに気づいたキーランがちょいちょいと手招きする。
「我らがリーダーに呼ばれちまったな。行くか……」
ウォーレスの声はあきらかに気乗りしないようだった。
近づいてもラグナルはそっぽを向いたままだ。
「俺が話をするより、イーリスが傍にいるほうが効果的らしい」
キーランはそう言うとウォーレスを伴い去ってしまう。
――どうしろと。
ラグナルは依然として、こちらを見ようともしない。
かける言葉も見つからず、私たちは二人でぽつんと佇んでいた。
「イーリスが……」
ややしてラグナルは、顔を背けたままぽつぽつと小さな声で話し始めた。
「人間に乱暴な態度をとらないように約束しろって言うなら、する」
不承不承というか、苦いものを飲み込むような、そんな言い方だ。
「約束はもう増やさないって言ったでしょ」
人間という立場に立って言えば、人間に優しいダークエルフがいればいいなと思う。けど私はラグナルに対して責任は負えないし、負うつもりもない。なによりイービル山脈に帰ってしまえば、人間はいない。
隣に立つラグナルを見上げると、いつの間にか彼は私を睨むように見下ろしていた。
「俺は増えても構わないと言っている」
「私は増やす気はないって言ってるの」
「どうしてだよ」
「どうしてって……」
私は言葉に困って視線を泳がせた。
金平石は残り、三つ。
別れの時は近づいている。
なのに今更、約束など増やせない。そもそもダークエルフの習性を知っていたら一つも交わさなかった。
「イービル山脈とやらには帰らないぞ」
うっと変な呻き声が漏れた。私が約束を増やしたくないわけを彼は薄々感じているのかもしれない。
「そんな場所、知らないって言っただろ」
「それは、今は記憶がないからで……。記憶が戻れば……」
「俺は、本当は記憶なんて戻らなくていいと思ってる。たとえ過去を思い出しても、帰ったりしないからな」
しどろもどろに言い募る私の言葉を遮るように、ラグナルは強い口調でそう言った。
おかしい。
キーランはラグナルに反省を促すために二人きりにしたはずなのに、なぜこんな痴話喧嘩みたいな会話を繰り広げるはめになってしまったのか。
「記憶とかイービル山脈の話はいったん置いとこう。約束はしないけど、私の意見としては、止めて欲しい時は、まず言葉で伝えるべきだと思う」
私は強引に会話の転換を試みた。
それがまずかったらしい。ラグナルの手が二の腕を掴んだと思ったら、強引に正面を向かされていた。
恐る恐る視線を上げると、陽の光の下でも真っ黒な瞳が射抜く。
「はぐらかすなよ。イーリスは俺に帰って欲しい? 俺のことが……嫌いなのか?」
「嫌い……じゃない」
森の中で出会ってから、いろんなラグナルを見てきた。
可愛いラグナルも泣き虫なラグナルもやんちゃなラグナルも。
気分は姉や親戚のおばちゃんだったのだ。ちょっと前までは。
険しかったラグナルの表情が緩む。
しかし彼は再度、表情を引き締めると、口を開いた。
「俺は、イーリスが……」
ちょっと待って! その先は聞きたくない。私はとっさに彼の口を防ごうと手を伸ばす。
「あのー、下働きの娘が、お客様に失礼を働いてしまったって泣きながら報告にきたんですが……」
しかし、その手がラグナルに触れる寸前、横から声がかかった。
「申し訳ありません。まだ城にあがったばかりの娘で。あんまりラグナルさんが格好良くて、舞い上がっちゃったらしくて」
伸ばしかけた手をそのままに隣を見ると、トリスタンが眉を下げて立っていた。
二人分の視線を受け、彼はたじろいだ様子で視線を下げた。そして、私の腕を掴むラグナルの手を見て、困ったように頬をかいた。
「もしかして僕、お邪魔でしたか?」
そこは一昨日、キーランやラグナル、ウォーレスが剣を合わせた広場だった。
ランサムに仕える騎士や兵士らしき男性や、侍女や下働きの女性が、何かを囲むように並んで立っている。
かなりの距離があるのに、時折、わっと上がる声が風に乗って聞こえてくる。
「キーランとラグナルか。随分盛り上がってんな」
あんなに観客がいるなら俺も参加しとくんだった。とウォーレスは冗談めかして言う。
立ち並ぶ見物人の隙間から、キーランとラグナルが剣を交えているのが見え、私たちの足は自然とそちらに向いた。
到着する前に終わってしまったらしい。一際大きな歓声が聞こえたと思ったら、騎士や兵士がその場を離れだした。
女性もそのほとんどが仕事を思い出したらしく、足早に去っていく。しかし幾人かが残った。
そのうちの一人が、キーランと話をしているラグナルに近づいた。手には白い布。ラグナルに一言、二言声をかけると、女性は手にした布で彼の額を拭った。
ここまではなんてことはない光景だった。なにせラグナルのあの美貌である。モテないはずがない。
問題は直後にとったラグナルの行動だ。
女性が額に触れるや否や、彼はそれを振り払ったのだ。
おそらくその力には容赦がなかったのだろう。女性はバランスを崩し、尻もちをついた。
「下賎な人間が。俺に触るな!」
そう吐き捨てるように告げたラグナルの声は、私たちにもはっきり届いた。
「……うわぁ」
「……おいおい」
思わず漏れた声に、ウォーレスのそれが重なる。
私は足を止めて、ウォーレスと顔を見合わせた。
「人間は下賎だそうで……」
「イーリスさんが脂ぎったエロ親父に自分を例えた意味が、分かったような気がするよ」
ダークエルフは、エルフに輪をかけて人間が嫌いだ。分かっていた。分かっていたけど、こうやって目の当たりすると……ドン引きである。
急に手を伸ばした彼女に落ち度がなかったとは言えない。知らない相手にいきなり汗を拭われたら、私だって拒否する。
しかし思い切り振り払ったうえ、尻餅をついて彼を見上げる女性を冷たい眼差しで見下ろし、さらに今の一言だ。
「ダークエルフってのは、本来ああいうものなのかね」
ウォーレスはしみじみとそう呟いた。
キーランが女性を助け起こすと、彼女は小さく一礼して、足早にその場を去った。
次いでキーランはラグナルに向き直り、何かを語りかける。今の行為について説教をしているのだろう。
それが気に入らないのか、ラグナルの視線はわかり易く逸れ……私とぶつかった。
「イーリス」
声は届かなかったが、彼の唇は確かに私の名を呼んだ。
途端に、ぐりんと音がしそうな勢いでラグナルの首が反対側に回される。
「イーリスさんに見られたら、まずいことをしたって自覚はあるらしいな」
「見られなかったらいいってのも、どうかと」
そんな会話をしていると、こちらに気づいたキーランがちょいちょいと手招きする。
「我らがリーダーに呼ばれちまったな。行くか……」
ウォーレスの声はあきらかに気乗りしないようだった。
近づいてもラグナルはそっぽを向いたままだ。
「俺が話をするより、イーリスが傍にいるほうが効果的らしい」
キーランはそう言うとウォーレスを伴い去ってしまう。
――どうしろと。
ラグナルは依然として、こちらを見ようともしない。
かける言葉も見つからず、私たちは二人でぽつんと佇んでいた。
「イーリスが……」
ややしてラグナルは、顔を背けたままぽつぽつと小さな声で話し始めた。
「人間に乱暴な態度をとらないように約束しろって言うなら、する」
不承不承というか、苦いものを飲み込むような、そんな言い方だ。
「約束はもう増やさないって言ったでしょ」
人間という立場に立って言えば、人間に優しいダークエルフがいればいいなと思う。けど私はラグナルに対して責任は負えないし、負うつもりもない。なによりイービル山脈に帰ってしまえば、人間はいない。
隣に立つラグナルを見上げると、いつの間にか彼は私を睨むように見下ろしていた。
「俺は増えても構わないと言っている」
「私は増やす気はないって言ってるの」
「どうしてだよ」
「どうしてって……」
私は言葉に困って視線を泳がせた。
金平石は残り、三つ。
別れの時は近づいている。
なのに今更、約束など増やせない。そもそもダークエルフの習性を知っていたら一つも交わさなかった。
「イービル山脈とやらには帰らないぞ」
うっと変な呻き声が漏れた。私が約束を増やしたくないわけを彼は薄々感じているのかもしれない。
「そんな場所、知らないって言っただろ」
「それは、今は記憶がないからで……。記憶が戻れば……」
「俺は、本当は記憶なんて戻らなくていいと思ってる。たとえ過去を思い出しても、帰ったりしないからな」
しどろもどろに言い募る私の言葉を遮るように、ラグナルは強い口調でそう言った。
おかしい。
キーランはラグナルに反省を促すために二人きりにしたはずなのに、なぜこんな痴話喧嘩みたいな会話を繰り広げるはめになってしまったのか。
「記憶とかイービル山脈の話はいったん置いとこう。約束はしないけど、私の意見としては、止めて欲しい時は、まず言葉で伝えるべきだと思う」
私は強引に会話の転換を試みた。
それがまずかったらしい。ラグナルの手が二の腕を掴んだと思ったら、強引に正面を向かされていた。
恐る恐る視線を上げると、陽の光の下でも真っ黒な瞳が射抜く。
「はぐらかすなよ。イーリスは俺に帰って欲しい? 俺のことが……嫌いなのか?」
「嫌い……じゃない」
森の中で出会ってから、いろんなラグナルを見てきた。
可愛いラグナルも泣き虫なラグナルもやんちゃなラグナルも。
気分は姉や親戚のおばちゃんだったのだ。ちょっと前までは。
険しかったラグナルの表情が緩む。
しかし彼は再度、表情を引き締めると、口を開いた。
「俺は、イーリスが……」
ちょっと待って! その先は聞きたくない。私はとっさに彼の口を防ごうと手を伸ばす。
「あのー、下働きの娘が、お客様に失礼を働いてしまったって泣きながら報告にきたんですが……」
しかし、その手がラグナルに触れる寸前、横から声がかかった。
「申し訳ありません。まだ城にあがったばかりの娘で。あんまりラグナルさんが格好良くて、舞い上がっちゃったらしくて」
伸ばしかけた手をそのままに隣を見ると、トリスタンが眉を下げて立っていた。
二人分の視線を受け、彼はたじろいだ様子で視線を下げた。そして、私の腕を掴むラグナルの手を見て、困ったように頬をかいた。
「もしかして僕、お邪魔でしたか?」
0
お気に入りに追加
715
あなたにおすすめの小説
選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
最愛は三か月で終わりました
杉本凪咲
恋愛
春の穏やかな風が吹き始めたある日、私の婚約者が決まった。
相手は人気者の公爵子息で、身分違いの縁談に私は驚きが隠せない。
しかし婚約して三か月後、婚約破棄を告げる手紙が突然送られてくる。
【完結】要らないと言っていたのに今更好きだったなんて言うんですか?
星野真弓
恋愛
十五歳で第一王子のフロイデンと婚約した公爵令嬢のイルメラは、彼のためなら何でもするつもりで生活して来た。
だが三年が経った今では冷たい態度ばかり取るフロイデンに対する恋心はほとんど冷めてしまっていた。
そんなある日、フロイデンが「イルメラなんて要らない」と男友達と話しているところを目撃してしまい、彼女の中に残っていた恋心は消え失せ、とっとと別れることに決める。
しかし、どういうわけかフロイデンは慌てた様子で引き留め始めて――
帰らなければ良かった
jun
恋愛
ファルコン騎士団のシシリー・フォードが帰宅すると、婚約者で同じファルコン騎士団の副隊長のブライアン・ハワードが、ベッドで寝ていた…女と裸で。
傷付いたシシリーと傷付けたブライアン…
何故ブライアンは溺愛していたシシリーを裏切ったのか。
*性被害、レイプなどの言葉が出てきます。
気になる方はお避け下さい。
・8/1 長編に変更しました。
・8/16 本編完結しました。
旦那様の不倫相手は幼馴染
ちゃむふー
恋愛
私の旦那様は素晴らしい方です。
政略結婚ではございますが、
結婚してから1年間、私にとても優しくしてくださいました。
結婚してすぐに高熱を出してしまい、数ヶ月は床に伏せってしまっていた私ですが、元気になったので、心配してくださった旦那様にお礼の品を自分で選びたく、城下町にお忍びで買い物へ出かけた所見てしまったのです。
旦那様と、旦那様の幼馴染のカレン様が腕を組んで歩いている所を、、、。
そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し
【完結】後妻に入ったら、夫のむすめが……でした
仲村 嘉高
恋愛
「むすめの世話をして欲しい」
夫からの求婚の言葉は、愛の言葉では無かったけれど、幼い娘を大切にする誠実な人だと思い、受け入れる事にした。
結婚前の顔合わせを「疲れて出かけたくないと言われた」や「今日はベッドから起きられないようだ」と、何度も反故にされた。
それでも、本当に申し訳なさそうに謝るので、「体が弱いならしょうがないわよ」と許してしまった。
結婚式は、お互いの親戚のみ。
なぜならお互い再婚だから。
そして、結婚式が終わり、新居へ……?
一緒に馬車に乗ったその方は誰ですか?
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる