22 / 50
ホテル下53番街
しおりを挟む
ボクはしっていました。
ボクが死んじゃっているってコト。
みんなはしりません。
なんでだろう。
ボクはみんながわかりません。
ただ、ニコニコしてます。
うれしいのかな?
上には大きなホテルがあって、みんなはそこをホテルだって言ってるけど、あそこはボクたちを見張っているワルイ大人たちがいます。
大人たちのボスはしはいにんって呼ばれてるげど、ボクはしはいしゃだってわかっています。
しはいしゃは、ボク達を大人にしてくれると約束してくれました。
なりたい自分にさせてくれる約束を交わします。
そこに善悪の区別などは一切無く、まるで個々の宿命であるかの様な支配者の意識は悪魔そのものではないでしょうか。
私には判断がつきません。
人間の善悪についてなど、たった7年の生涯で判るはずがない。
この特区は入り口はあれど出口はなく、そんな世界で苦しむだけの毎日を送らねばならない。
これがなりたかった大人の姿なのか。
自分でも判らない。
ならばいっそ、私は私でなく、ボクのまんまでよかったっておもっています。
それは、ある夕方の、みんなでごはんを食べたあとのことでした。
たくさんのキレイな絵がかざってあるところには、びっくりするくらいの丸い大きなテーブルがあって、しはいしゃとボクと、みうちゃんとかいくんは、いつも座っているばしょにいました。
おなかいっぱいになって、だけど、まっ白なお皿にはチョコレートがあって、みんなでよろこんでいるとしはいしゃが言いました。
「君たちはこの街でたくさん良いことをしたね。だからご褒美をあげるよ」
って。
ボクたちはわるいことはしてないけど、よいことってなんだろ?
みうちゃんとかいくんとボクはキョトンとしました。しはいしゃは笑いながらしゃべってます。
「チョコレートさ。これを食べるとね、みんなが将来なりたかったオトナになれるんだよ。そして、ちょっとでも楽しい気分になれたら、また戻れるからね」
ボクはしってました。
みんなはボクをバカだっていってたけど、ボクはバカなんかじゃなくて、ふつうなんだってこと。
もどれるってのは、きっと生れかわるんだってこと。みうちゃんも、かいくんも、もうしんでじゃってるのをしらないから美味しそうにチョコレートをたべました。
おくちのまわりがまっくろで、おもしろかったです。
みうちゃんは、おいしそうにチョコレートをたべてました。もしゃもしゃと。
そして、こてんって、ねむっちゃったんです。
でもボクは、ゆめをみているみうちゃんのなかみが見えました。
どうしてかはわからないけど見えました。
すっごくひろいところで、みうちゃんはおねえさんたちのまんなかで、歌をうたいながらおどっていました、
みうちゃんもキレイなおねえさんになっていました。とてもキレイなおねえさんでした。
お客さんがたくさんいて、そのまんなかに、みうちゃんのおとうさんとおかあさんがいました。
ボクはおかしいなっておもいました。
だってみうちゃんは、おとうさんにたたかれてしんじゃったんだもん。
だって、おかあさんはそれを見ていただけなんだもん。
ボクにはわかりませんでした。
オトナはキライです。
だってこわいから。
かいくんはチョコレートがだいすきみたいです。
だからお皿の上のチョコレートを、かまずにずっとなめていました。
けれど、みうちゃんみたいにしばらくすると、こてんってねむってしまいました。
かいくんはカッコいユニフォームを着ていて、バットをかまえてました。
ビューンってとんでくるボールがバットに当たると、白い玉はお空にきえていまいました。
みんなはよろこんで、かいくんをおうえんしてくれています。
テレビをみながらはくしゅしているオトナは、かいくんのおかあさんでした。
またボクはふしぎになりました。
だってかいくんは、お熱をだしたときにおかあさんがなんにもしてくれなかったからしんじゃったんだもん。
わんわんないても、おかあさんはしらんぷりしてただけだったのに、なんかへんなのっておもいました。やっぱりオトナはキライです。
だって、わかんないもん。
ボクが死んじゃっているってコト。
みんなはしりません。
なんでだろう。
ボクはみんながわかりません。
ただ、ニコニコしてます。
うれしいのかな?
上には大きなホテルがあって、みんなはそこをホテルだって言ってるけど、あそこはボクたちを見張っているワルイ大人たちがいます。
大人たちのボスはしはいにんって呼ばれてるげど、ボクはしはいしゃだってわかっています。
しはいしゃは、ボク達を大人にしてくれると約束してくれました。
なりたい自分にさせてくれる約束を交わします。
そこに善悪の区別などは一切無く、まるで個々の宿命であるかの様な支配者の意識は悪魔そのものではないでしょうか。
私には判断がつきません。
人間の善悪についてなど、たった7年の生涯で判るはずがない。
この特区は入り口はあれど出口はなく、そんな世界で苦しむだけの毎日を送らねばならない。
これがなりたかった大人の姿なのか。
自分でも判らない。
ならばいっそ、私は私でなく、ボクのまんまでよかったっておもっています。
それは、ある夕方の、みんなでごはんを食べたあとのことでした。
たくさんのキレイな絵がかざってあるところには、びっくりするくらいの丸い大きなテーブルがあって、しはいしゃとボクと、みうちゃんとかいくんは、いつも座っているばしょにいました。
おなかいっぱいになって、だけど、まっ白なお皿にはチョコレートがあって、みんなでよろこんでいるとしはいしゃが言いました。
「君たちはこの街でたくさん良いことをしたね。だからご褒美をあげるよ」
って。
ボクたちはわるいことはしてないけど、よいことってなんだろ?
みうちゃんとかいくんとボクはキョトンとしました。しはいしゃは笑いながらしゃべってます。
「チョコレートさ。これを食べるとね、みんなが将来なりたかったオトナになれるんだよ。そして、ちょっとでも楽しい気分になれたら、また戻れるからね」
ボクはしってました。
みんなはボクをバカだっていってたけど、ボクはバカなんかじゃなくて、ふつうなんだってこと。
もどれるってのは、きっと生れかわるんだってこと。みうちゃんも、かいくんも、もうしんでじゃってるのをしらないから美味しそうにチョコレートをたべました。
おくちのまわりがまっくろで、おもしろかったです。
みうちゃんは、おいしそうにチョコレートをたべてました。もしゃもしゃと。
そして、こてんって、ねむっちゃったんです。
でもボクは、ゆめをみているみうちゃんのなかみが見えました。
どうしてかはわからないけど見えました。
すっごくひろいところで、みうちゃんはおねえさんたちのまんなかで、歌をうたいながらおどっていました、
みうちゃんもキレイなおねえさんになっていました。とてもキレイなおねえさんでした。
お客さんがたくさんいて、そのまんなかに、みうちゃんのおとうさんとおかあさんがいました。
ボクはおかしいなっておもいました。
だってみうちゃんは、おとうさんにたたかれてしんじゃったんだもん。
だって、おかあさんはそれを見ていただけなんだもん。
ボクにはわかりませんでした。
オトナはキライです。
だってこわいから。
かいくんはチョコレートがだいすきみたいです。
だからお皿の上のチョコレートを、かまずにずっとなめていました。
けれど、みうちゃんみたいにしばらくすると、こてんってねむってしまいました。
かいくんはカッコいユニフォームを着ていて、バットをかまえてました。
ビューンってとんでくるボールがバットに当たると、白い玉はお空にきえていまいました。
みんなはよろこんで、かいくんをおうえんしてくれています。
テレビをみながらはくしゅしているオトナは、かいくんのおかあさんでした。
またボクはふしぎになりました。
だってかいくんは、お熱をだしたときにおかあさんがなんにもしてくれなかったからしんじゃったんだもん。
わんわんないても、おかあさんはしらんぷりしてただけだったのに、なんかへんなのっておもいました。やっぱりオトナはキライです。
だって、わかんないもん。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/mystery.png?id=41ccf9169edbe4e853c8)
聖女の如く、永遠に囚われて
white love it
ミステリー
旧貴族、秦野家の令嬢だった幸子は、すでに百歳という年齢だったが、その外見は若き日に絶世の美女と謳われた頃と、少しも変わっていなかった。
彼女はその不老の美しさから、地元の人間達から今も魔女として恐れられながら、同時に敬われてもいた。
ある日、彼女の世話をする少年、遠山和人のもとに、同級生の島津良子が来る。
良子の実家で、不可解な事件が起こり、その真相を幸子に探ってほしいとのことだった。
実は幸子はその不老の美しさのみならず、もう一つの点で地元の人々から恐れられ、敬われていた。
━━彼女はまぎれもなく、名探偵だった。
登場人物
遠山和人…中学三年生。ミステリー小説が好き。
遠山ゆき…中学一年生。和人の妹。
島津良子…中学三年生。和人の同級生。痩せぎみの美少女。
工藤健… 中学三年生。和人の友人にして、作家志望。
伊藤一正…フリーのプログラマー。ある事件の犯人と疑われている。
島津守… 良子の父親。
島津佐奈…良子の母親。
島津孝之…良子の祖父。守の父親。
島津香菜…良子の祖母。守の母親。
進藤凛… 家を改装した喫茶店の女店主。
桂恵… 整形外科医。伊藤一正の同級生。
秦野幸子…絶世の美女にして名探偵。百歳だが、ほとんど老化しておらず、今も若い頃の美しさを保っている。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
パラダイス・ロスト
真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。
※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。
授業
高木解緒 (たかぎ ときお)
ミステリー
2020年に投稿した折、すべて投稿して完結したつもりでおりましたが、最終章とその前の章を投稿し忘れていたことに2024年10月になってやっと気が付きました。覗いてくださった皆様、誠に申し訳ありませんでした。
中学校に入学したその日〝私〟は最高の先生に出会った――、はずだった。学校を舞台に綴る小編ミステリ。
※ この物語はAmazonKDPで販売している作品を投稿用に改稿したものです。
※ この作品はセンシティブなテーマを扱っています。これは作品の主題が実社会における問題に即しているためです。作品内の事象は全て実際の人物、組織、国家等になんら関りはなく、また断じて非法行為、反倫理、人権侵害を推奨するものではありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる