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入院中の風邪
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蛍光灯の灯りさえも頭痛の要因になっている気がして、早く消灯の21時になってほしかった。
白田さんと会った日の夜に病院に戻った私は、見事に風邪をひき、38度5分の熱にうなされた。
昼夜逆転し、翌日は寝ぼけ眼でお昼ご飯を食べた。時折カーテンを開けて、外の景色を眺めた。そこにはただいつもの風景で、中庭と空があるだけだった。
月曜日はよく晴れていた。週に1度くらいの中庭に出れる日だったみたいで、皆がキャッチボールやバトミントンで思い思いに遊んでいる姿が眩しかった。
私は1人取り残されたような気持ちになった。
熱にうなされながら、私は白田さんのことを考えた。
私のことを愛しているのならば、きちんと避妊をしてくれるはずだ。その根拠は、信頼は、一体何処からやってくるのだろう。
いやいや、愛し合っている男女ならば寧ろ避妊する必要なんて始めからないじゃないかと言う人もいるだろう。だけど、私達は命が芽生える可能性がある行為に、責任を持たなければいけない。そうしなければならないと、教えられたのは一体いつの時代からなんだろう。
本当に彼のことが好きならば、子供が出来たって受け入れられるはずだ。だけど、子供という言葉を命に置き換えてみると、その覚悟の重さに今の私はとても耐えきれない。
合意のない生殖行動ほど冷めてゆくものはない。あの日ベットの上で道具になった私はただ、愛のあるセックスがしたかった。
それはいつの日か、こうきさんとの講習で感じた違和感にとても似ていた。まだ本当の覚悟などなかった時の自分。だから、道具になったと感じたのだ。
彼は放課後クラブで出会ったお客さんだ。私達の間に合意など最初からなかったのかもしれない。
そう考えると虚しくて虚しくて仕方なかった。
私は痛む頭で白田さんのことを考え続けた。
白田さんと会った日の夜に病院に戻った私は、見事に風邪をひき、38度5分の熱にうなされた。
昼夜逆転し、翌日は寝ぼけ眼でお昼ご飯を食べた。時折カーテンを開けて、外の景色を眺めた。そこにはただいつもの風景で、中庭と空があるだけだった。
月曜日はよく晴れていた。週に1度くらいの中庭に出れる日だったみたいで、皆がキャッチボールやバトミントンで思い思いに遊んでいる姿が眩しかった。
私は1人取り残されたような気持ちになった。
熱にうなされながら、私は白田さんのことを考えた。
私のことを愛しているのならば、きちんと避妊をしてくれるはずだ。その根拠は、信頼は、一体何処からやってくるのだろう。
いやいや、愛し合っている男女ならば寧ろ避妊する必要なんて始めからないじゃないかと言う人もいるだろう。だけど、私達は命が芽生える可能性がある行為に、責任を持たなければいけない。そうしなければならないと、教えられたのは一体いつの時代からなんだろう。
本当に彼のことが好きならば、子供が出来たって受け入れられるはずだ。だけど、子供という言葉を命に置き換えてみると、その覚悟の重さに今の私はとても耐えきれない。
合意のない生殖行動ほど冷めてゆくものはない。あの日ベットの上で道具になった私はただ、愛のあるセックスがしたかった。
それはいつの日か、こうきさんとの講習で感じた違和感にとても似ていた。まだ本当の覚悟などなかった時の自分。だから、道具になったと感じたのだ。
彼は放課後クラブで出会ったお客さんだ。私達の間に合意など最初からなかったのかもしれない。
そう考えると虚しくて虚しくて仕方なかった。
私は痛む頭で白田さんのことを考え続けた。
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