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療育センター
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6月11日、火曜日の9時10分。私は、息子と療育センターにいた。
療育センターというのは、障害のある子供にそれぞれに合った治療と教育をする機関のことだ。しかし、定義は法律などで定められていないため、明確な定義はなく、指し示す施設も様々らしい。
この8月で2歳を迎える息子は、2月に行われた1歳半検診で言葉が出ないことで引っかかり、発達のテストを受けていた。
その発達のテストでも、認知や言葉の項目が引っかかり、療育センターに通うことを勧められた。
療育センターに通うといっても、いきなり通うことは出来ないらしく、まずは見学してからではないと通うことは出来ないらしい。
今日は、その見学に私は仕事の休みをもらってやって来たのだ。
私は初めて来た場所だったので、緊張していた。息子が走り回らないか、ちゃんと先生の言うことを聞けるんだろうかという心配もあった。
幸い優しい先生達で、息子も楽しそうに先生のやることを真似したりしている。
夫のお義母さんや、職場のパートさんからは男の子は喋り出すのが遅いから気にすることないよと言われたけれど、言葉だけでなく、指差しが少ないことや発達のテストで認知の項目の点数が低いことを私は気にしていた。
夫もまだ息子が喋らないことは気にしているようだが、1歳半検診の時に喋っている子なんてまだいなかったよと私が告げると、少し安心したような感じだった。息子が喋らないことは気にしているが、療育に通うまでの配慮は本当に必要なのかというのが夫の考えだった。
息子は相変わらず、先生のやることを真似している。
次は椅子に座って、手遊びをしている。先生の「椅子を持ってきて」の指示を聞き、きちんと椅子に座れたので少し安心した。
見学の子供は息子だけで、他に一緒に療育を受けている子供達は、この療育センターに通っている子達みたいだ。椅子に座っている子もいれば、泣き出してしまっている子もいた。
手遊びが終わると、次は平均台やトンネルや滑り台がある部屋に移動した。息子はトンネルを潜ったり、滑り台を滑ったりしていた。
「よく遊ぶ子ですね。兄弟いる?」女性の先生に聞かれた。
「いえ、一人っ子です」
「そうなんですね。よく遊ぶのは良いことですね」
私は、息子が笑いながら楽しそうに遊ぶ姿を見て、また少し安心した。
息子は滑り台の坂の下の方から上ろうとしていた。私が他の子供にぶつからないか心配していると、女性の先生は言った。
「怪我しなかったら、大丈夫よ」
療育のプログラムが終わり、皆が帰る時間になった。
「お母さん、ちょっとこちらへ来てもらっていいですか?」
私は先ほど話をした女性の先生に呼ばれた。
「はい」
廊下に呼ばれ、女性の先生と話をした。
「息子さんなんですけどね。まだ2歳になる前だと言葉が出ない子も沢山います。それだけでは、まだ療育に通うまでは必要ないかと……」
「……そうですか」
息子は廊下に置かれた滑り台で遊んでいる。若い女性の先生が付いてくれていた。
「他に発達外来などに行かれる予定はありますか?」
「中央病院の発達外来に、2歳になる8月頃行く予定です」
その発達外来の予約は、1歳半検診に引っかかった時に発達支援センターの方に勧められて、既に予約していた。
「分かりました。また何かありましたら、こちらへも連絡下さい」
「分かりました」
「では、失礼します」
私は、先ほど少し安心したはずなのに、一抹の不安を抱え、息子を保育所に送り届けた。
療育センターというのは、障害のある子供にそれぞれに合った治療と教育をする機関のことだ。しかし、定義は法律などで定められていないため、明確な定義はなく、指し示す施設も様々らしい。
この8月で2歳を迎える息子は、2月に行われた1歳半検診で言葉が出ないことで引っかかり、発達のテストを受けていた。
その発達のテストでも、認知や言葉の項目が引っかかり、療育センターに通うことを勧められた。
療育センターに通うといっても、いきなり通うことは出来ないらしく、まずは見学してからではないと通うことは出来ないらしい。
今日は、その見学に私は仕事の休みをもらってやって来たのだ。
私は初めて来た場所だったので、緊張していた。息子が走り回らないか、ちゃんと先生の言うことを聞けるんだろうかという心配もあった。
幸い優しい先生達で、息子も楽しそうに先生のやることを真似したりしている。
夫のお義母さんや、職場のパートさんからは男の子は喋り出すのが遅いから気にすることないよと言われたけれど、言葉だけでなく、指差しが少ないことや発達のテストで認知の項目の点数が低いことを私は気にしていた。
夫もまだ息子が喋らないことは気にしているようだが、1歳半検診の時に喋っている子なんてまだいなかったよと私が告げると、少し安心したような感じだった。息子が喋らないことは気にしているが、療育に通うまでの配慮は本当に必要なのかというのが夫の考えだった。
息子は相変わらず、先生のやることを真似している。
次は椅子に座って、手遊びをしている。先生の「椅子を持ってきて」の指示を聞き、きちんと椅子に座れたので少し安心した。
見学の子供は息子だけで、他に一緒に療育を受けている子供達は、この療育センターに通っている子達みたいだ。椅子に座っている子もいれば、泣き出してしまっている子もいた。
手遊びが終わると、次は平均台やトンネルや滑り台がある部屋に移動した。息子はトンネルを潜ったり、滑り台を滑ったりしていた。
「よく遊ぶ子ですね。兄弟いる?」女性の先生に聞かれた。
「いえ、一人っ子です」
「そうなんですね。よく遊ぶのは良いことですね」
私は、息子が笑いながら楽しそうに遊ぶ姿を見て、また少し安心した。
息子は滑り台の坂の下の方から上ろうとしていた。私が他の子供にぶつからないか心配していると、女性の先生は言った。
「怪我しなかったら、大丈夫よ」
療育のプログラムが終わり、皆が帰る時間になった。
「お母さん、ちょっとこちらへ来てもらっていいですか?」
私は先ほど話をした女性の先生に呼ばれた。
「はい」
廊下に呼ばれ、女性の先生と話をした。
「息子さんなんですけどね。まだ2歳になる前だと言葉が出ない子も沢山います。それだけでは、まだ療育に通うまでは必要ないかと……」
「……そうですか」
息子は廊下に置かれた滑り台で遊んでいる。若い女性の先生が付いてくれていた。
「他に発達外来などに行かれる予定はありますか?」
「中央病院の発達外来に、2歳になる8月頃行く予定です」
その発達外来の予約は、1歳半検診に引っかかった時に発達支援センターの方に勧められて、既に予約していた。
「分かりました。また何かありましたら、こちらへも連絡下さい」
「分かりました」
「では、失礼します」
私は、先ほど少し安心したはずなのに、一抹の不安を抱え、息子を保育所に送り届けた。
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