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第八夜 変性女子
終章 乙女の本懐
しおりを挟む正午過ぎ、お嬢様たちがお帰りになりました。
高等学校の入学式と小学校の始業式では終わる時間に差はあったものの、アリスお嬢様がお気を遣われてマイル様を待っていらっしゃったとのことです。
信一郎様は大学に用事ができたとかで、まだお帰りにはなりません。
3人のお嬢様をお出迎え、居間に昼食の準備が整っていることをお伝えします。
アリスお嬢様と茜様は先を争うも連れ立って居間へ向かわれますが、マイル様は慌てず急がず悠然とした御様子で御自分の部屋へと向かわれます。
ちゃんと着替えてくるようです。
すれ違いざま、マイル様は私の顔をマジマジと凝視されました。
「葵殿、どこか浮かれておられるようだが……良いことでもあったのですか?」
驚きました。流石は『白山神通坊』様の御息女です。
私のポーカーフェイスが見透かされました。
隠し立てすることでもございません。
詳びらかにすれば大人の情事になりますので仔細は明かせませんが、それでもこの胸に溢れんばかりの喜びを打ち明けることは許されるはずです。
私は思わず相好を崩し、年相応の女性らしい笑みで答えてしまいました。
「はい──乙女の本懐を遂げましたので」
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