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第15章 想世のルーグ・ルー

第359話:MはマザーのM、MはミルクのM、Mは……

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「嫌な予感はしたんだ……そして、嫌な予感は当たるんだ」

 ツバサは長いため息をついた。

 怒りはとっくの昔に通り越して、呆れるのにも疲れ果てて、ミロに女として抱かれる現実にも少しは向き合える余裕さえでてきた昨今さっこん

 大概たいがいのことは諦念ていねんすることで受け入れられるようになってきた。

 女神の肉体にも順応してきたので、ゆとりも生まれてきたのだろう。

 ミロに女として愛されることさえも……。

 決して甘美すぎる女性の快感に屈したわけではない。女性の肉体で経験を重ねることで適応できた、という成果にしておこう。

「それでも……この格好に屈辱を覚えるのは何故だッ!」

 ツバサは歯を食い縛る。

 双眸そうぼうを固く閉ざして、まぶたに力を込めるあまり眉間を中心に亀裂が走ったみたいな表情で、噛み締めた牙を剥く魔獣のような形相で堪えた。

 湧き上がる怒りと恥ずかしさを堪えているのだ。

 今日は土曜日の夜――場所はツバサの寝室。

 この部屋も衣装部屋クローゼットルームに負けず劣らず広い。部屋の中央には、子供たちがトランポリンできる大きさのキングサイズなベッドが据え置かれていた。

 ツバサはベッドに足を組んで腰掛けている。

 不機嫌を露わにした表情で唇を噛み、爆乳を支えるように胸の下に両腕を回して組むと、足先はイライラするまま貧乏ゆすりみたいに揺らした。

 目の前にはミロがいる。

 チューブトップのブラに、下着と間違えそうなショートパンツ。

 露出度高めな軽装はミロにしてみれば普段着なのだが、そんなラフな格好の彼女がツバサの前に這いつくばって床にぬかずいていた。

 どう見ても土下座である。

 先述した通り――火木土はミロがツバサと子作りに励める日。

 今夜のツバサはミロの貸し切りだった。

 この時ばかりはミロもツバサを独占できるので大喜びだ。

 ふたりっきりなので多少の羽目を外してやることもできた。ミロの要望にもなるべく応えてやるようにしている。変なコスプレさせられても、わけのわからないプレイを求められても、できるだけいとうことなく相手をしてやった。

 ちょっとした悪ふざけにも寛容かんようになれた。

 こんな時、ツバサはミロを溺愛する自分に気付かされる。

 アホの子ほど可愛いというが、ツバサにとってのミロがまさにそれだ。誰の目もない2人だけの空間ならば、どんなワガママでも叶えてやってしまう。

 それでも――不文律ふぶんりつというものはある。

 触れてはならない領域、越えてはならない一線はあるものだ。

 たとえ家族であろうとも……。

「……これ・・は俺に対する最高の嫌がらせだろッッッ!?」

 とうとう我慢できずにツバサは吠えた。

 昼間、ホクトにお手伝いを頼んでミロが作った衣装。

 それは布面積こそ少ないものの、いわゆる女性用水着のビキニだった。長手袋ロンググローブやニーハイソックスにチョーカーとやたら付属品が多い。

 女性用の水着なら何度も着ている。

 攻めたデザインのビキニくらい抵抗感も薄くなっていた。

 ツバサのかんに触ったのは――生地の模様だ。

 その柄を一目見るだけでツバサはブチ切れそうになったし、その生地から作られたビキニを今夜こうして着せられるのも怒りが湧き立つが、二人きりの夜はミロを思いっきり甘やかしているという約束もしていた。

 我ながらミロには駄々甘なツバサだった。

 仕方なく、嫌々で渋々ながらも身に着けてやったのだが……。

牛柄ビキニ・・・・・って……確信犯だよなこれぇっ!?」

 デザイン的には、エロスを突き詰めたビキニに過ぎない。

 ツバサの拡大した乳輪をギリギリ隠せるラインを見極めた布地しかないブラは、頼りなくも細い紐で結ばれている。サイズもちょっと小さめに作られているのか、ブラや紐が張り詰めた乳房の肉に食い込んでいる。

 ショーツも股間の陰りをなんとか覆い隠せるほどの布しかなく、こちらも腰回りやお尻には紐がかかるばかり。紐パンと呼ばれるたぐいのものだ。

 紐がむっちりした肉に食い込んでくる。

 おかげで豊満なバストやヒップをこれでもかと際立たせていた。

 そして、付属品となっている長手袋ロンググローブとニーハイソックス。

 これらの布地すべて――白黒まだら模様なのだ。

 たくさん牛乳を出す乳牛として有名なホルスタイン種の柄である。牛の耳と角がついたヘアバンドまで頭に装着させられたら、これはもう神々の乳母ハトホル揶揄やゆされているとしか思えない。

 いや、この場合――牝牛の女神ハトホルか。

 首に付けられたチョーカーには、大きな金色の鈴が揺れる。

 牧場で飼われている牛につけられるカウベルというやつだ。ツバサがグラマラスな身体を揺らせば、カランカランと長閑のどかな音色を響かせた。

 ショーツの背部に回された紐の交差する部分からは、牛の尻尾をかたどった飾りが揺れている。お尻の穴に直結されないで良かった、と安心をする。

 完全にホルスタインのコスプレだ。

 いっそ乳牛の着ぐるみの方がマシである。

 ツバサの怒りを買うとわかっていたのか、ミロはさっきから土下座のままプルプル震えている。やっぱり確信犯だったに違いない。

 ツバサは憤るままに叫ぶ。

牝牛の女神ハトホルがホルスタイン種なわけないだろうが!」
「怒るとこそこなのッ!?」
「ハトホルは古代エジプトの女神だぞ! ホルスタイン種どころか、まだ品種改良される前の原始的な牛しかおらんわ!」
「ツバサさん! フミカちゃんみたいになってるよ!?」

 思わず博物学なことを叫んでしまった。

 本当は、もっと感情に任せて怒りたかった。

『俺がハトホルミルク出っぱなしの乳牛みたいな胸になったことがコンプレックスだと知りながら、こんな嫌がらせみたいなもん着せやがって!』

 こんな感じで怒鳴り散らすための台詞も用意していたのだが、血の上った頭では思うように言語化できなかったのだ。

 照れ隠しなのか、ついフミカみたいな言い回しになってしまった。

「ツバサさんが怒るのはわかってたけど……今しかないの!」

 今がしゅんなの! とミロは必死で訴えてくる。

 ツバサの怒りを真正面から浴びても怯まず、ミロは土下座でひれ伏したまま「お願いします!」と連呼する。どうしてもこれを着てほしいようだ。

 ミロは早口で言い訳を捲し立てる。

「本当はちょっと前……できればお正月中にやっておきたかったんだけど、旬というにはもう遅いくらいなんだけど……まだ間に合う! 最悪、丑年ことし中にやっておけば間に合うの! 今やっとかないといけないの!」

 今でしょ! とミロは必死に言い募る。

「なんだ? わけがわからないぞ……どうして丑年ことし中なんだ?」

 ――また第四の壁・・・・とかいうやつか?

 ミロの他にジンやクロコ、それにセイメイなどもそうだが、第四の壁とやらを気にしており、そちらを気遣う行動を取ることがある。

 メタ発言という単語も使うが、正直よくわからない。

「お願いツバサさん! どうしても丑年ことし中にやっておきたいの……」

 懇願こんがんする声はいつになく乙女チックだった。

 叱られて脅えているのか、半分泣きも入っている。

 ツバサが激怒することも織り込み済みだが、ミロとしても引き下がるつもりはなかったらしく、土下座でのお願いとなったようだ。

 可愛いミロにここまでされたら、駄々甘だだあまのツバサは拒みにくい。

 この格好で情事に臨むのか……正直うんざりする。

 しかし、ミロのワガママも叶えてやらねばという義務感が疼く。

 変に意地を張って拒んだりしたら、不機嫌になったミロが不良になってしまうのではないかとオカン心が不安を覚える。そんな想いを補強すべく、理性はそれなりの筋立てが成り立つ理由までこじつけてきた。

 ミロがへそを曲げたら――過大能力オーバードゥーイングを使わなくなる恐れがある。

 彼女の「意のままに世界を創り直す」過大能力は、四神同盟にとって切り札とも言うべき最終兵器だ。しかし、それを使いこなすのは彼女の意思ひとつ。

 ご機嫌を取っておくべきか? と打算的に考えてしまう。

 ……いや、これらは言い訳にすぎない。



 要するに――ツバサがミロを愛しているのだ。



 元男であるツバサは表面上、恥辱ちじょくを味わわされるような行為には男らしい素振りで嫌悪感を示すも、本心では「ミロが愛してくれるなら……」と女性的な受け身で全面的に彼女のお願いを受け入れていた。

 世間体を守るように男心は恥ずかしさを主張して激怒するが、内心では「ミロが求めてくれるならオールOK!」と認めているのだ。

 羽鳥はとりツバサという男心――神々の乳母ハトホルという女心。

 2つの精神が取っ組み合いのケンカをするように葛藤かっとうしているが、最近はこれさえも自分自身を納得させるフリ・・に過ぎなかった。

 理性では「ふざけんな!」と怒り、男心が健在だと誇示する。

 反面、心の奥底では神々の乳母ハトホルという女心が「娘であり息子であるミロが愛してくれるなら喜んで!」と、女として愛されることを求めている。

 これが最近は――本心に近い。

 態度でこそ男らしく激怒や拒否を剥き出しにする。

 ミロをビビらせるくらい怒った後、譲歩じょうほするように「仕方ない……今回だけだぞ」と大目に見てやり、彼女のお願いを聞いてやる。

 俺はまだ男なんだ――その体面を保つための儀式だ。

 なけなしの男心を保つための、意地っぱりな見栄に過ぎない。

 ツバサはこの自己分析を封じ込めていた。

   ~~~~~~~~~~~~

 もう一度、ツバサは長いため息をついた。

 魂が抜け落ちそうなくらい、延々えんえんと息を吐き出した。

 ツバサは苦虫をボウル一杯噛み潰したような苦汁のつらとなり、牛の角と耳が付けられたヘアバンドを無視して、頭をガリガリと掻いた。

 そして、忌々しさを塗り込めて答える。

「…………今晩だけだからな」

 目尻に涙を溜めたミロの顔は、会心の笑みとともに持ち上げられた。

「本当!? いいの? ありがとうツバサさん!」

「ああ、但し、いつも通り……」

「わかってるわかってる! ここでやったことは2人だけの秘密! 仲間や家族の誰にも言わない! ツバサさんとアタシしか知らない秘密!」

 ふたりっきりの秘密――約束!

 ミロは子供っぽく安請け合いをした。

 ツバサが言おうとして先回りされた条件、これも毎度のことだ。こちらも儀式めいているが、少なくともミロは遵守していた。

 うっかり夜の情事についてベラベラ喋ることはあるが、変態チックなプレイ内容やシチュエーションについてまでは言及しない。

 今夜のホルスタインみたいなコスプレに限らず、もっと公にしにくいようなプレイをさせられている。コスチュームプレイに限定しても、これより酷い格好はざらにあった。今更といえば今更なのだが、それでも守るべきものはあるはずだ。

 世間体せけんていとか面子めんつとか外面そとづらとか、まあ色々だ。

 秘密だぞ、と厳命したものはミロも口を滑らせることはなかった。

 アホなりに約束を守っているつもり……なのかも知れない。

「じゃあ、準備するから待っててね!」

 言うなりミロは立ち上がり、寝室の一角で何かを作り始めた。

 またぞろ特殊なプレイをさせられるのか……と内心ドギマギするが、ここは大人の余裕を見せるためにも平常心を保つことにした。

 このホルスタイン柄のビキニにしてもそうだ。

 どうせ本番ともなれば興奮の末に、上も下もはだけて全裸で愛し合うことになるのだから恥ずかしさも一時の辛抱である。

 楽観視するツバサを見透かすように、ミロはこんなことを言ってきた。

「あ、今日は面白い前戯ぜんぎをいっぱいやるから」

 ツバサさんも覚悟しといてねー♪ と不吉なことを仰る。

 道具箱から数本のポールを取り出し、ガチャガチャ組み立てている。脇には酪農家の牛舎に転がっていそうなミルク缶が控えている。

 嫌な予感が緊急警報を鳴らして再来中だった。

 何をするつもりだ? ミロに問い質そうとツバサは口を開いた。

 その瞬間――身体に異変が起きる。

 いつも以上に乳房への膨満感ぼうまんかんを覚えたのだ。

 ハトホルミルクのせいで終始「乳房が張る」という、授乳期のお母さんと同じような感覚に見舞われるが、それがいきなり悪化してきた。

 張りすぎて痛い、反射的に視界を下げる。

 俯瞰ふかんで見る乳房の山は、かつてないほど肥大化していた。

 最初から食い込んでいたビキニのブラは、はち切れそうな乳房を押し潰しそうになっている。ビキニの紐がギュウギュウに食い込んでいた。

 急激にハトホルミルクが増えている?

 乳腺に溜め込まれたミルクは限界点に達しているのか、白黒まだらなビキニに微かだがミルクの染みが浮かんできた。

 異変はホルスタインのような乳房に留まらない。

 身体の芯が熱くなったかと思えば、お腹の奥が重くなるほどの疼きに思わず腰を浮かせてしまう。それに刺激されて股間の女性的な部分まで震え、愛してもらうために備えようと湿り気のあるものを滲ませていた。

 何もせずとも心拍数が上がり、性的な昂揚こうようによって熱に浮かされる。

 興奮のあまり呼吸まで乱れてしまう。

 女性化して敏感になった部分がしとどに濡れ始め、そこを辛うじて覆い隠しているホルスタイン柄の生地に恥ずかしい染みを浮かばせていた。隠すように手を添えて湿り気を感じると、更なる羞恥心がこみ上げてきた。

 性的な快感まで刺激されている。

 まるで――発情期を迎えた牝牛の気分だ。

「アタシの作ったビキニがただのビキニだと思う?」

 何かを組み立てるミロは、その手を休めずほくそ笑んだ。

「なんでもできちゃう過大能力オーバードゥーイングで、それを着た人に強制力を働かせるに決まってるじゃなーい。その牛柄ビキニを着けちゃうと、メスのホルスタインと同じ状態になれるように仕込んであるんだー♪」

 それも発情期の、とミロはネタバレする。

 肉体的に牛へと変身することはないが、メスの乳牛らしく乳房が張り詰めて母乳を出したくなり、雄と交尾したくて堪らなくなる……らしい。

 現にツバサのMカップは限界寸前だった。

 痛いくらい張り詰めると、恥や外聞に構っていられない。

 どうせ見ているのはミロしかいない。ハトホルミルクを搾って楽になろうと、両手を乳房に押し当てるのだが……。

「……ッく!? 揉めない? なんで……っああ……んっ!」

 喘ぎ声のような苦悶くもんの呻きを漏らす。

 苦しみのあまり身動みじろぎしても、カウベルが虚しく鳴るだけだ。

 ありあまる肉塊みたいな爆乳に手を添えて、溜まりに溜まったハトホルミルクを搾ろうとするのだが、指や手がピクリとも動かない。

 他のことなら自由自在なのに、いざ乳を搾ろうとすると止まるのだ。

「牛さんが自分でお乳搾りできるわけないよね」

 賢いツバサさんならわかるでしょ? とミロに小馬鹿にされる。

「誰が牛さんだ……ッ?」

 張り詰める乳房の痛みと、アホに牛さん呼ばわりされたことに怒りの涙を潤ませたツバサが振り向けば、ミロは前戯の準備とやらを終えていた。

 ミロの衣装がコスプレになっている。

 チューブトップにショートパンツは変わらないが、その上に革製のウェスタン風なベストを羽織り、脚にはやはり革製のブーツまで履いていた。頭にはテンガロンハットなんて西部劇でよく見掛けるものを被っている。

「カウボーイならぬ……カウガールか?」

 ツバサは痛む乳房を押さえ、苦しそうに悪態をついた。

「イエス、オフコース! これからツバサさんっていう飼い牛のお世話をするからね! まずは格好から入らないとと思って用意したんだー♪」

「誰が飼い牛、だ……んっ、痛てて……ッ!」

 怒鳴り声でツッコもうとした途端、肺に圧迫されて胸が痛む。

 破裂しそうなくらいなのに、ハトホルミルクはビキニを湿らせる程度にしか漏れようとせず、際限なく乳房を膨らませる一方だった。

 Mカップを越え、Nカップに到達しそうなサイズになっていた。

 救いの手を差し伸べるようにミロは手招きする。

「おっぱいがミルクではち切れそうなホルスタインの牛さんは、カウガールに面倒見てもらうしかないよね。ほら、お乳を搾られたくて堪らないんでしょ? 飼われている牛さんは搾乳されたくて仕方ないんだもんね」

 おいでおいで、とミロは手を招く。

 そこには先ほどまで組み立てられていたものが完成していた。

 恐らく――搾乳補助台とでも名付けるのだろう。

 2本のポールが支柱となり、横に細長い小さなテーブルを支えていた。テーブルには柔らかそうなクッションが敷かれていた。

 補助台の下には、2つのミルク缶が並んでいる。

 ご丁寧に漏斗型の円盤がセットされており、搾乳時にミルクが飛び散ってもその円盤が受け止め、ミルク缶へ流れ落ちるように対策が施されていた。

 面白い前戯――説明されずとも大体の内容はわかった。

「そういう趣向か……牛柄ビキニどころじゃないな」

 牝牛の女神ハトホルとなったツバサへの完全な当て付けだった。

 額に蜘蛛の巣のような血管の筋を浮かび上がらせたツバサは、怒りに任せて牛柄ビキニを剥ぎ取ろうとしたが、それさえもできない。

 仕掛けられた強制力のため、意思に反して手が動かなくなる。

 どうにかしようと藻掻もがいている間にも、溜まり続けるハトホルミルクで胸が風船のように膨らんでいくのを止められない。

 搾られるしか……乳牛のように搾乳されるしかないのか!?

 これまでミロにおっぱいをもてあそばれたことは数知れずだが、意外なことにこのような乳牛プレイは初めての経験である。

 いや、授乳や搾乳は数え切れないほどやってるのだが……。

 羞恥心は煮えくり返っているが、それよりも乳房の張り方が尋常ではない。そろそろビキニを引き千切りそうな膨張率だ。

「……ぅ! つ、付き合ってやればいいんだろ!」

 投げやりに叫んだツバサは、痛む乳房を支えて立ち上がる。

 カランカラン、とカウベルが鳴った。

 両手で庇うように抑えてやると、できるだけ刺激しないように内股で女々しく歩いていく。補助台についた頃には息が千々ちぢに乱れていた。

 両腕をテーブルに乗せて、クッションに身を任せる。

 補助台はツバサが前屈みになる高さに調整されており、上半身を預けると重々しい乳房がダプンダプンと揺れながらぶら下がる。

「くっ……むっ……ッ!」

 張り詰めた痛みも手伝い、肩を抜かれる重量感にいきんでしまう。

 垂れ下がろうとも伸びることなく、球体を保ったままの爆乳は揺れ動き、その度にビキニの紐がキリキリと軋んでいた。

 重すぎる乳房は自由に揺れ、その下には2つのミルク缶が置かれている。

 この姿勢だと、お尻も突き出すポーズになってしまう。

 紐パンのせいで被覆率などゼロに等しい、肉厚でまん丸となった安産型を越える超安産型の巨大なお尻を、物欲しそうに突き出している。

 欲しがるもの・・言及げんきゅうするまでもあるまい。

 恥ずかしさに身体が震え、尻の肉までフルフルと揺らいでいた。

 ミロは満足げに頷いている。

「うん、体型もそうだけどアタシの作ったホルスタイン柄ビキニがいい仕事してるねやっぱり! ツバサさん、どこからどう見ても立派な牛さんだよ!」

「だ、誰が牛さんだ……ひぃん!?」

 ペチン、とミロにほんの軽く尻を平手で叩かれた。

 たったそれだけで、全身の女性的な肉が打ち震えてしまう。

 爆乳はビキニを引き千切りそうなくらいドムンドムンと暴れ、紅葉みたいな手形のついた巨尻は肉の波を波打たせている。

 股間からは温かい液体があふれ、ショーツをしとどに濡らしていた。

 いや、柔らかい太ももの内側までツツゥー……としたたっている。

 それくらい――感じてしまったらしい。

 普段なら痛みも感じないはずなのに、今の一撃は恐ろしいほどツバサの性感帯を刺激してきた。もしかしなくても感度まで上がっているようだ。

 これも牛柄ビキニの影響なのかも知れない。

 そんなことにも気が回らないほど、乳房が張り詰めて重くなってきた。

「早く、搾って……い、痛いんだ……頼む」

 戦いで受ける激痛とは明らかに異なる、母親のみが感じる乳房の鈍痛どんつうに耐えきれなくなってきたツバサは、涙目で哀願あいがんするようにミロへと訴えた。

 ミロは立てた人差し指を「チチチ」と振る。

「おっぱいが張って苦しいのはわかるよ。でも、そんな男の子みたいな不貞不貞ふてぶてしい頼み方をする牛さんはいないよねぇ……」

 ツバサさん? とミロは頼み方をやり直すように仄めかす。

 この時点で――攻守は完全に逆転してしまった。

 ツバサはミロに逆らえない、哀れな牝牛に堕とされていた。ミロのご期待に応えることができなければ、延々と乳房が張り詰める苦痛に悩まされる。

 腹は立つが、ここはしおらしくするしかない。

 ツバサはギリッと音が鳴るまで奥歯を噛んだ後、できるだけ女の子らしい声色を作って、切なくも上品な声を絞り出した。

「おっぱいが張って苦しい……の。お願いですから、搾ってください……」

「はいダメー。赤点でーす」

 ミロは両手を持ち上げると、頭の上で「×」ペケを形作った。

「もうちょっとTSキャラっぽい恥じらいが欲しいかな? それと、ツバサさんがこーんないやらしくてエッチなおっぱいの牝牛な女神様になっちゃったこともアクセントに入れて、不本意だけど女の子になったこともアピールしていこう」

「なんで演技指導みたいになってん……痛たたッ!」

 ツッコミで大声を出そうとすれば、またしても乳房が痛みで痺れる。

 ミロにしてみればプレイは始まっているのだ。

 乳牛プレイでハトホルミルクを搾乳する前に、ツバサが男から女に変わったことを自らの口で言わせて強調させる。そうすることで羞恥心しゅうちしんを自己増殖させるように倍加ばいかさせたいのだろう。

 ツバサが女になってしまったことを意識させて、女性化した肉体で感じまくるのを恥じらう……そんな痴態ちたいを見たいらしい。

 是非もない――やらなければ乳房が爆ぜてしまう。

 喉の奥で小さく咳払いをすると、喉を整えて女性的な声音にする。

 そして、顔を燃えるように熱くさせて訴えた。

「……ツ、ツバサはオカン系男子と笑われていましたが、本当に……スイカみたいに大きなおっぱいと、デカすぎて持て余す大きなお尻をした、オカン系女神になってしまい……なって、しまいました。牝牛の女神ハトホルの名に相応しい、大きすぎる爆乳からは……ハトホルミルクというお乳がいっぱい出て……止まりません。今もはち切れそうになってます。だから……だから……だから……ッ!」

 ……ツバサのミルクでいっぱいなおっぱいを搾ってください。

 瞳が乙女チックに潤むが、男として情けなくて泣き出しそうだからだ。

 怒りと恥ずかしさと情けなさと憤りで、頭の中がどうにかなりそうだった。我ながらよく暴走して殺戮の女神セクメトにならなかったものだと感心する。

 今現在、神々の乳母ハトホルが優位だからだろう。

 張り詰めた乳房は彼女由来のハトホルミルクでいっぱいだし、ミロに悪戯感覚で弄ばれることに、どことなく被虐的ひぎゃくてきで後ろめたい喜びを感じていた。

 そのミロは――天真爛漫てんしんらんまんな微笑みで答える。

「はぁい、よくできました♪」

 ミロは嬉しそうに顔の脇で両手を合わせるとしゃがんだ。
 
「ツバサさんは今からアタシのカワイイ牛さんだよ。ささ、パンパンに張っておっぱい大変でしょう? たっぷり搾ってあげるからね~♪」

 しゃがんだミロはビキニに手をかける。

 てっきり外してくれるのかと思いきや――さにあらず。

 ブラの布部分、三角形の頂点に当たる部分に指をかける。すると、そこに隠されていた小さなボタンを外した。どうも授乳ブラみたいな構造になっているらしく、布の部分をペラリと剥がされた。

 どちらかといえばオープンブラに近いのか?

 露わになった乳首や乳輪は、パンパンに腫れ上がっている。

 この体勢だとツバサからは見えないが、神族の五感でわかってしまう。

 もう大きい硬貨でも隠すのが難しい面積となった乳輪は、こんもりと小山のように盛り上がっていた。その突端に埋もれていた乳首も大粒の豆みたいに膨れ、乳房に溜めきれなくなったハトホルミルクを漏らしている。

 ブラが剥がれただけで、ボタボタッとミルク缶に滴る音がした。

 それを目の当たりにしたミロが驚いている。

「うわっ、すごいことになってる……ごめんね、ツバサさん」

 こんなになって辛いでしょ、とミロはほんのちょっと乳輪を摘まんだ。

「……ううんっ!」

 瞬間、ツバサは激痛にも似た快感に震えた。

 カウベルも鳴り響く。

 膨らんだ乳輪から乳首が飛び出すと、水圧をMAXマックスにした噴射機のようにミルクの飛沫しぶきを噴き出した。ミルク缶が甲高い音を鳴らす。

 噴き出したのは、ミロに摘ままれた右の乳房だけではない。

 何もされてない左の乳房も脈打ったかと思えば、乳首が飛び出して壊れた蛇口のようにハトホルミルクを滴らせた。そこから止まらなくなる。

 股間からも粘るものが漏れる感覚があった。

 ちょっと乳輪を摘ままれただけで……軽い絶頂を迎えてしまった。

 ビクンビクン、と淡い身震いする。

 ミロはそれを見逃さず、一度立ち上がってペチンペチンと巨尻の肉を太鼓のように叩きながら、ショーツの股間に指を這わせてきた。

「ツバサさん、ちょっとイッちゃった?」

 それだけで寒気より濃い衝撃が、尾てい骨から背筋を駆け上る。

「もしかしなくても……おっぱい搾られただけで?」

 ムチムチに太くなった太腿を擦り合わせてしまう。

 太腿ふとももは左右ともにトロリとした粘液を伝わせ、艶やかな肌を濡らしていた。股間のビキニの吸水率を超えるくらい愛液が滴っているのだ。

 しょうがないにゃあ、とミロはにんまり笑う。

「我慢に我慢を重ねたおっぱいをちょーっと搾られただけで、女の子の快感でイッちゃうなんて……しかも、ノータッチのおっぱいまでお漏らししてるし」

 締まりのないおっぱいになっちゃったねー、と耳元で囁かれた。

 這い上がる悪寒にゾクゾクする。

 酷いことを言われているのに、女性化した性感帯を刺激されているようで戸惑う。ミロの言葉に快感を覚えているのか?

 酷い言葉で責められているというのに……。

「そんなにおっぱいがいいの? じゃあ、ご希望通り搾ってあげるね」

 たっぷりと――ミロは再びしゃがみ込んだ。

 そしてツバサのれ上がった乳房、こんもりした乳輪ごと乳首を掴むと力加減をしながら優しく搾った。それだけで先ほどの軽い絶頂がぶり返す。

 まるで牛の乳首を搾るような手付きで――。

「あっ! ん……んぅ、は……うぅん……ミロ、待っ……くっ!?」

 乳房の快感に襲われて唇を噛んでしまう。

 右の乳房を数回搾られれば、大量のハトホルミルクを強力なスプレーのように噴き出して、ミルク缶をドラムのように叩き鳴らす。左の乳房を搾られれば、同様に乳首のあちこちからシャワーよろしくミルクを飛び出させる。

 交互に搾られる――ホルスタイン級の爆乳。

 その度に軽度の絶頂を感じて、ツバサは幾度となく身悶える。

「うっ、くあぁ……んふぅ! ダメ、これ以上……おかしく……なっ!」

「えー? まだ序の口にも行ってないよー? モグモグ……」

「やぁ!? ああ、ミロ……す、吸っちゃ……んんっ!」

 ツバサの胸の下に顔を潜り込ませたミロは、その小さな唇で大きな乳首に吸い付くと、赤ん坊みたいにチュウチュウとハトホルミルクを吸い上げた。

 こちらも左右平等――不公平なくだ。

 我が子への授乳に、ツバサの内なる神々の乳母ハトホルが歓喜する。

「はあっ……ぅんっ! はぁ、うぅ……くぅぅぅ!」

 それがより強い快感を呼び起こし、快感に打ち震える痙攣をバイブレーションのように激しくさせた。ツバサは搾乳補助台のクッションに噛みついて耐える。

 震える身体に合わせて、カウベルも激しく鈴の音を打ち響かせた。
 
 ひとしきり堪能したミロは、乳首から唇を外した。

「……ぷはぁ。牛柄ビキニの効果でおっぱいが破裂しそうなほど溜め込んだせいかな? いつもよりねっとりしてて濃厚で美味しいよ」

 ハトホルミルク♪ といってミロはまた乳首に吸い付く。

 冬眠前のリスみたいに頬が膨れるまでミルクを口に含んだミロは、立ち上がるとツバサに顔を近づけ、口移しでミルクを飲ませてきた。

「んんぐぅ!? ……んっ、んっ、んぅ……んぅむぅ!?」

 嫌がっても無理やり流し込んでくる。

 口内に溜め込んでいたミルクを、ミロはすべてツバサに飲ませた。

 ――吐息とともに離れた2人の唇。

 ミルク色に染まった唾液が糸となって繋がっている。

「……っはぁ、じ、自分の乳を……飲んじゃっ……飲まされ……はぁ」

 どことなく変態的な行為では……とツバサは当惑する。

 ミロは我が事のようにミルクを自慢してきた。

「……ぷっはぁ! どうツバサさん? 日頃アタシたち子供に飲ませるばっかりで、自分ではほとんど飲もうとしないハトホルミルクのお味は?」

 不味まずくはない――むしろ美味おいしい。

 万能薬エリクサーにも勝る超常的な回復効果があるだけではなく、味も良いというのは聞いていたが……どうしても自らが飲む気にはなれなかった。

「これが……神々の乳母おれの……母乳」

 ますます熱に浮かされる頭はおかしくなりそうだ。

 ぼんやりしている間にも、ミロによる手搾りの搾乳は続けられる。

 数リットルは収まるミルク缶がすぐに満タンとなった。

 ミロは手際よくミルク缶を交換して、乳牛を遙かに凌駕りょうがする搾乳量を誇るツバサの爆乳から、せっせとハトホルミルクを搾っていく。

 これだけ搾られれば、さすがに慣れるというものだ。

「あぅ、ふぅ……ああ、はぁ……す、少し楽に……なぅ!」

 ハトホルミルクで張り詰めた乳房も大分楽になり、相変わらず搾乳の気持ちよさに嬌声を弾ませてしまうが、まだ耐えられるレベルになってきた。

 ツバサは厳しい修行にて心身を鍛えてきた。

 快感への耐性は修行とまったく違うものだが、それでも幾度となく体験させられたおかげで我慢できるようになってきた。

「あのねツバサさん、フミちゃんから聞いたんだけどさ」

 ミロは搾乳の手を休めず話し掛けてくる。

「アタシ、ずっと勘違いしてたんだ。ホルスタインの牛さんってめすならみんなお乳が出るもんだと思ってたんだけど、そこはやっぱり人間なんかと同じで、子供を産んだお母さんじゃないとおっぱい出ないんだってね」

 当たり前だ、といつものように相槌を打つ余裕さえない。

「んんっ、はぁ、あた……り……んんっ、ま……え…………んひぃ!」

 返事をしたつもりが、すべて喘ぎ声になっていた。

 破裂しそうな痛みこそ引いてくれたが、乳房の張りはまだ衰えを知らず、ミロの手搾りでハトホルミルクがドボドボこぼれ落ちる。

 既に2つのミルク缶を満杯にしたが、3つめと4つめも時間の問題だ。

「このおっぱい……ねえ、ツバサさんはどっちなのかな~?」

「どっ……ち? って……んくぅあああっ!?」

 今までよりも強めに乳輪ごと乳首を鷲掴みにされた。

 胸の先端から脳髄の奥にまで駆け上ってくる快感に、ツバサは身を仰け反らせそうになった。すんでのところで搾乳補助台にしがみつく。

「や、あ……手、緩め……強、んんっ!? ふぁ……ダメェ!」

 ミロは握力を強めて乳を搾る。

 ツバサは悶えながら喘ぐのが精々だった。

 右の乳房からミルクを搾り出すミロが訊いてくる。

「ホルスタインの牛さんよろしく、もうお腹にアタシの・・・・赤ちゃんがいる本当のお母さんになっちゃったから、こんなたくさんお乳が出ちゃうのか……」

 それとも、と左の乳房を搾りながら重ねて問い掛けてくる。

神々の乳母ハトホルっていうミルクタンクな女神様になっちゃったから、乳牛顔負けのお乳が出せるようになっちゃったのかな~?」

 まあ――どっちでもいいか。

 ミロはツバサの乳首を左右それぞれ、無造作に掴んで扱くように搾る。

「ツバサさんのおっぱいが美味しいって事実には変わりないからね」

 適当なやり方でもハトホルミルクは溢れてきた。

「あ、あはぁ……やめ、そんな乱暴に搾っちゃ……ヤァ!?」

 さっきから小さな女の子みたいな悲鳴しか上げられないツバサは、ミルクに負けじと涙を止め処なく零して、喘ぐ口からはだらしなく涎を垂らしていた。

 止め処なくてだらしないのは乳房か……。

「せっかくMカップなんてワールドカップなサイズに育ったお祝いだからね。記念にこのミルクでパンパンなおっぱいを徹底的に愛してあげる♪」

「記、念……お祝いって……徹底的……んくぁ!?」

 ミロは乳房の側面を撫でた。

 手を使った乳搾りで彼女の手はハトホルミルクに塗れており、それを塗りたくるように乳房を撫で回してきたのだ。

 細い指で揉みほぐし、指の腹で押して、掌で持ち上げる。

「んっ、ふっ、くぅ……あぁ……んっ!」

 敏感すぎる乳首や乳輪ほど劇的に感じないが、このくらいの触り方でもツバサの性感帯は刺激され、腰を振ってしまうほどの反応を見せていた。

 乳首や乳輪だけではない、乳房の肉もツバサにとっては性感帯なのだ。

「ツバサさん――スペンス乳腺・・・・・・って知ってる?」

 ミロはテンガロンハットを脱ぎながら質問してきた。

 作業の邪魔になってきたであろう帽子を脱ぎ捨てたミロは、ミルクに濡れた五指ごしをワキワキと準備運動のように入念にほぐす。

 そして、両手をフル活用させてツバサの爆乳を愛撫する。

「……ひぶっ!? あ、あ……かはぁ! なっ……な、な……なッ!?」

 何これ!? という驚きの声さえ上げられない。

 ミロは乳房の付け根にじっくり四本の指先を押し込んできたかと思えば、親指で乳房の奥に隠されたツボを突くように指圧する。

 次の瞬間、未知の快感が沸き起こってツバサの理性を打ち崩す。

 目の前に星が飛び散るような衝撃に腰が砕けかける。

 危ういところで足腰は踏ん張れたが、乳房に感じた想像を絶する快感に、ただでさえゆるんでいた股間は失禁したようにとろみのある汁を吹いた。

 これは確か……潮を吹く……という現象だ。

 足下に漏らした液体で水溜まりをつくりながら、快楽でふやけた意識はそんなことを思い出す。今のは軽めに達したどころではない。

 明らかな絶頂がやってきた――乳房を指圧されただけで!

 最も感じる乳首や乳輪をいじられたならともかく、脂肪と乳腺しかない乳房の肉を揉みほぐされただけで、あっさり性感の極みに達するなんて……。

 Gスポットを直撃された快感に勝るとも劣らない。

「ミ、ミロ……今のは……ひゃうっ!? 待って……んんあっ!?」

 乳房の肉を指圧するように、ミロは五指を突き込んでくる。

 とてつもなく弾力のある餅をこねるようにだ。

 その度に絶頂に等しい快感が乳房から生じ、ツバサは暴れ牛のように悶え苦しみながら喘ぎ声で叫ばざるを得なかった。

 ミロは乳首はおろか乳輪にも触れていない。

 ただ、乳房の肉をこね回されているだけだというのに……。

 元より感度はいいが、この気持ち良さは異常だった。

 乳房の中に編み目のように走っている乳腺も刺激されているのか、乳首を搾られたわけでもないのにハトホルミルクがシャワーのように噴出していた。

 ……ん? 乳腺?

 そういえばミロが“何とか乳腺”と言ってなかったか?

 種明かしするようにミロが明るい声で言う。

「おっぱいの気持ちいいところって、どうしても乳首や乳輪しかないって思い込みがちだけど……クロコさんが言うには他にもあるんだって」

「あんの変態ッ! エロッ! 駄ん……メイドぉ!?」

 怒りに押し出されたのか、途切れ途切れになるもツバサはクロコへの罵詈雑言ばりぞうごんは吐き出せた。ミロにいらん入れ知恵をつけやがって!

「開発しなきゃいけないって手間はあるけど、これまでアタシとツバサさんは何度も何度もむつみ合ってきたもんね~? おっぱいの全部が性感帯になるように揉んで触って育ててあげてたんだけど……」

 気付かなかった? とミロは悪気ゼロでいてくる。

 ミロに抱かれる時のツバサは、猛毒のような女性の快感に心身ともに冒されているため、正常な判断をするべき理性が著しく減退げんたいしている。

 弱体化デバフを喰らっているようなものだ。

 まさか毎回のように乳房を揉まれることで、おっぱい特有の強力な性感帯を開発されているとは夢にも思わなかった。

 手塩にかけて育てた甲斐があったよ~♪ とミロは喜ぶ。

 まるで収穫期を迎えたスイカ農家みたいな笑顔だ。

「これでツバサさんのおっぱいは、ハトホルミルクをたくさん出すミルクタンクってだけじゃなく、おっぱい全部が最高に気持ちいい快感の塊!」

 ――乳房のGスポットともいうべきこの性感帯。 

「それをスペンス乳腺っていうんだって」

 クロコさんが教えてくれたの、とミロは諸悪の根源を暴露した。

 ……後日ホクトさんに頼んで懲らしめてもらおう。

 搾乳のみで絶頂することはあった。

 肥大化した乳首や乳輪の感度は、男の頃とは比較にならないものだ。

 だがしかし、乳房という脂肪の塊を愛撫されただけで女性的な、それも気が遠くなるほど強烈な絶頂を味わったのはこれが初体験だった。

 しかも、スペンス乳腺への刺激はまだ継続中である。

 一度目ほどの衝撃こそないものの、脳内をミルク色に真っ白へと染め上げる快感は健在だった。おまけに乳搾りをされているわけではないのに、ミロに力強く乳腺を指圧される度、快感の度合いを示すようにハトホルミルクが溢れ出す。

 快感に打ち震えるも眉をしかめたツバサは苦悶に呻く。

「ああっ、ふぁ、んん、はぁ、やだ、こんな……もうぅ……ッ!」

 本当の乳牛みたいにお乳を垂れ流してばかりだ。

 とうの昔にミルク缶は3つめと4つめを満杯にしており、5つめと6つめも半分ほど溜まっている。これも程なく満杯となるだろう。

 人間のお母さんどころか、本物の乳牛を上回る搾乳量だった。

 乳搾りの快感だけで感じすぎているため、股間から漏れ出した愛液はビキニのショーツをびしょびしょにした挙げ句、両足をもずぶ濡れにしていた。

 床に大きな水溜まりを作っている。

 ……お漏らしをしたとしてもここまで酷くはなるまい。

「フフッ……牝牛のツバサさんは可愛いなぁ」

「あぅ、やぁ、おっぱい……そんなにしたら……ううっ……」

 ミロはスペンス乳腺とやらを刺激する手を休めると、ツバサの大きすぎる乳房を2つとも愛おしそうに抱き寄せ、ミルクまみれの肌に頬ずりする。

「いつもは凜々しくてカッコ良くて、みんなのリーダーやってるツバサさん……どんな強敵が立ち向かってきたって、どんな怪物が襲ってきたって、みーんな一発でやっつけてくれるツバサさん……そんなツバサさんがさ」

「……ひぐっ! あああっ! やめっ、んんくぅ!」

 スペンス乳腺をしっかり愛撫して、そこに溜まったハトホルミルクを誘導するような手付きで肌を滑らせ、乳輪を扱くように掴む。

 そうして乳搾りをされると、今まで以上にミルクが溢れでてきた。

「アタシの前では女の子の快感に溺れて、おっぱいミルクを搾ってあげる度にあられもない声で泣き叫んじゃう牛さんなんだもの」

 そのギャップが素敵♪ とミロは乳房への頬ずりをやめない。

 うっとりした瞳で囁かれる。

「女々しくていやらしくてエロくてドスケベで……とってもエッチな女の子のツバサさんを知ってるのはアタシだけ……アタシだけのツバサさんなんだから」

 ミロだけのもの……。

 トロンとした瞳でツバサは意識も定まらないが、その言葉を嬉しそうに口の中で何度も呟いていた。愛する人に求められる喜びを噛み締めていた。

 牛のように反芻はんすうしている気分だ。

「ツバサさんったら、よっぽど気持ち良かったんだね」

 ミロの言葉に我を取り戻すが、彼女も一段落したのか落ち着いていた。タプタプとぶら下がる爆乳を触っているだけだ。

「アタシ、もう何にもしていないのに……さっきからハトホルミルクあふれてダダ漏れになってるよ。ミルク缶も7缶目と8缶目に突入してるし」

 本当に牝牛めすうしの女神なんだね、と悪気のない声で褒め称える。

 ツバサは搾乳補助台にしがみついたまま首を振る。

 ガランガラン、とカウベルは割れ鐘のような音色を響かせた。

「い、いやぁ……違……牝牛なんかじゃ……ない……うううぅ……ッ!」

 涙や涎をまき散らして否定した。

 ミロは立ち上がると、両腕を広げるように伸ばす。

 左手は乳房に添えられたままだが、右手は股間へ這わせていく。

「Mカップ記念だからって、ずっとおっぱいばかりお世話してきたけど……こっちの方もいいんじゃない? ほら、大洪水って感じで濡れてるし」

「あ……ッ! んッゥ……ああぅくっ! ダメぇ……ッ!?」

 乳房を掴まれると同時に、ずぶ濡れのショーツ越しに浮かんでいる秘所ひしょの割れ目へミロの指が差し込まれた瞬間、記憶が飛んでしまった。

 ただでさえ乳房の快感で何度も絶頂したのだ。

 津波のように押し寄せる快感の連続に、秘所からやってくる女性の本命ともいうべき快楽がこみ上げてきたら、朦朧もうろうとした意識など一撃で消し飛ぶ。

 意識どころか四肢を支える力さえ失う。

 膝から崩れたツバサは、補助台からも転げ落ちて床に倒れ込んだ。

   ~~~~~~~~~~~~

 数秒か――それとも数分か。

 直感的なものだが、それほど意識を失っていないはずだ。

 前後の記憶から床に倒れていると思ったが、顔を埋めているのは柔らかいベッドだった。デカすぎる爆乳のせいで変な突っ伏し方になっていた。

 両膝は立てており、重い巨尻を突き上げている。

 ああ、これは……気絶している間にミロに運ばれたな。

 乳牛プレイの前戯ぜんぎは終わり、いよいよ本番へ突入ということだ。

 微かな衣擦れの音がする。

 ツバサの後ろにミロの気配を感じ取れた。

 オープン状態だったブラは剥ぎ取られ、ハトホルミルクに追いつけ追い越せと溢れていた愛液にひたされたビキニも同様だった。

 それでも――長手袋とニーハイソックスは外されていない。

 牛の耳と角が生えたヘアバンドも同様だ。

 これが脱げない限り、呪いのような強制力のおかげでツバサは無力な雌のホルスタインのままだ。女性の快楽漬けで抗う力も残っていない。

 無防備に尻をさらけ出している時点でもう……。

「……ツバサさん、起きてるよね?」

 ひたり、とミロの小さな手がツバサの大きな尻を触ってくる。

 ペチペチと子供みたいな触り方をしてきたかと思えば、手練てれん手管てくだを極めた色男みたいな優しい手付きで愛撫してくる。ピクン、と身体が反応してしまう。

「うん、起きてるね。気を失ったツバサさんを抱いても……」

 つまらないからね、と加虐的かぎゃくてきな舌舐めずりが聞こえた。

 また衣擦れの音がする。

 ミロがベッドの上で動いている音だけではない。服を脱いでいる音、ミロが履いていたショートパンツをズリ下ろしている音だ。

 この体勢からだとツバサからは見えづらい。

 それでも、ミロの股間からたくましい男の子・・・が生えているのはわかる。

 本人は未だに「万能の過大能力オーバードゥーイングで一時的に生やした男根」と思い込んでいるが、その本質はまったく異なる。彼女は完璧な両性具有者アンドロギュヌスだった。

 ミサキと同じ――完成された内在異性具現化者アニマ・アニムス

 だから、相反する男女の性を思いのままに行き来できるのだ。

 巨尻に手を乗せたミロは、突き上げられたツバサの下半身に顔を近づけてくる。濡れそぼった秘所に彼女の吐息を感じることができた。

「すっかり女の子のカタチになっちゃったツバサさんのアソコ・・・……壊された蜂の巣みたいに蜜がドロドロ流れてくるよ」

 まだちょっとしか触ってないのにね、と再確認するように言う。

 ミロの人差し指が蜜を掬うように秘所の表面を撫でて、硬く突起した小さな感覚器官をピンと弾く。そこは男性器の名残ともいうべき場所だった。

「アタシを愛してくれた男の子・・・も、こんなに可愛く・・・なっちゃって……ほら♪」

 軽く指で突かれただけでも、身体の芯を揺さぶるような快感が爆ぜる。

「あっ! んっ、はぁ……はぁ……」

 息を吹き返すようにツバサは声を荒らげた。

 こちらが何か言う前に、ミロは次のアクションを起こしてくる。

「ミ、ロ待……少し、いいか……ら休ま……ふぐっ!?」

 つぷっ、とミロの人差し指がツバサの中へと突き込まれる。愛液でグショグショのそこはすんなり受け入れ、反射的にミロの指をくわえ込む。

 股間の割れ目から燃えるような快感が生まれ、お腹の内側を熱くさせた。

「いい……っ! はっ、くぅ、んん……」

 ゆっくり引き抜いたミロは、中指を加えて2本で差し入れする。

 ぬぷっ、ぬぷっ……と気持ちいい音が続いた。

「初めての頃は小指も入るかどうかってくらいキツキツだったのに……良い感じでほぐれてきたみたいだね。今じゃアタシの・・・・にピッタリサイズだし」

 指を引き抜いたミロは、両手でツバサの巨尻を捕まえる。

 ミロの男として顕現けんげんした部分は硬くそそり立っており、それを愛液で濡れそぼった秘所の奥、ツバサが女であることを象徴する裂け目に押し当てた。

「前置きはもういっぱいやったし……いいよね?」

 一応、ミロはツバサに了解を求めてくる。

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 ここまで女としての快楽で骨抜きにされた今、ツバサの男心は神々の乳母ハトホルによって完封されている。そして、更なる女の幸せを求めて已まない。

 ツバサは突っ伏した顔を上げ、膝だけではなく肘も立てる。

 重たい乳房をぶらさげた牝牛のように四つん這いとなり、若い雄に種付けされるのを待ち兼ねるような甘い声で答えてしまう。

「いいよ……来て……」

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 それでもミロがツバサの声を聞き漏らすわけがなく、「うん!」と元気いっぱいに返事すると、躊躇ちゅうちょなくツバサの芯まで突っ込んできた。

 赤ちゃんの部屋の入り口、そこを初撃しょげきで叩かれる。

「…………ッッッ!」

 喘ぎ声を出せないくらい息が詰まってしまった。

 いくら潤滑油となる愛液が潤沢じゅんたくだったとはいえ、ミロの大きく、太く、長い、男の子が力尽くで最深部まで届いたのだから驚愕する。

 もう女神化して1年になるが、この・・感覚・・にはまだ慣れない。

 身体の芯を――硬く熱いもので貫かれる感覚。

 それを快楽として堪能する、女性的快感に困惑するばかりだ。だが、男と比較するのも烏滸おこがましいほど感じてしまうのも事実。

 自意識を保てなくなる快感なんて、男では絶対に味わえない。

「ご、ごめんツバサさん! ヌルヌルだったから、つい滑っちゃって……」

 真面目に謝るミロの声が遠くに聞こえる。

 ミロ自身、今の挿入は加減を間違えて突っ込んだらしい。

 息が詰まるほどの衝撃こそあったものの、しっかり受け止めた挙げ句、ミロのものをくわえ込んで離さない。ツバサも女性的な受け身が板についてきていた。

 男心はちっとも嬉しくないが……。

 初手こそ一気だったが、そこから先はスローペースだった。

 ゆっくりしたストロークで焦らすように、時間をかけてツバサの内側を堪能するように差し入れする。打ち付けるミロの細い腰が当たる度、女性的な柔らかい脂肪が打ち震え、胸やお尻が大きくバウンドする。

 もっと――気持ちよくなりたい。

 女体は無意識に腰を振り、ミロに巨尻を打ち付けている。

「はっあ、ふっ、んんっ……ああっ! いっ、くぅ……いいっ、んんっ!」

 艶っぽい嬌声で呻いているのが、ツバサおのれだと信じたくない。

 だが、紛れもなく自分の喉から漏れる喘ぎ声の数々。

「やめ、そん、な……奥、かき混ぜられたら……はぁん! ああっ……」

 こうなると、愛し合う男女の至って普通な営みだ。

 しかし、2人の関係やこれまでの経緯を鑑みればおかしいことばかり。

 男だったツバサが己の母親を思い出させる豊満な女体となり、妹のように可愛がってきたミロの男らしいもので犯されているのだ。

 納得が行かない。理解できない。困惑して当惑して混乱する。

 なのに――倒錯とうさくした喜びに狂いそうだ。

 ミロに愛されることが嬉しいのは間違いない。

 女として抱かれることに男心はずっと反感を覚えていたはずなのに、最近はこうして毎日のように受け入れてしまっている。

 最初に怒る態度を取るのも保身みたいなものになっていた。

 本当に女に……女神になろうとしているのか?

 知らず知らず、ツバサ・ハトホルに順応してきているのか?

 それが良いのか悪いのか、男の頃の感覚がまだ残っている頭で女の快感に狂わされているツバサの頭では解き明かすことができなかった。

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 ここまで言えば――わかるでしょう?

 ツバサは愕然とした。

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 だが、今回ばかりは徹底抗戦させてもらう。

 ツバサは息も絶え絶えだが、犯されたまま声を荒らげる。

「今はダメ……今はマズいッッッ! ンン、ふぅ……はぁ、バッドデッドえんずとの戦いを控えた今……赤ちゃんはだめ、お腹に、負担が……はあぁっ!」

 ツバサは自他共に認める最高戦力の1人。

 最悪にしてバッド・絶死をもたらデッド・す終焉エンズとの戦争では、最前線に立つ。

 もしも身重の身体になればろくに戦うことはできないし、無理を押して戦えば胎内たいないに負担をかけ、せっかくの子宝を流す可能性さえある。



「ミロとの赤ちゃん……流産なんて…………やだぁぁっ!」



 ツバサは涙ながらに喉を振り絞って、渾身の本音を吐き出した。

 ピタリ、と一瞬だがミロの腰の動きが止まる。

 すぐに動きを再開するミロだったが大人しくなった。ツバサの背中に抱きついてくるとピッタリ密着させて、謝意しゃいを帯びた声を伝えてくる。

「うん、そだね……今は・・時期が良くないよね」

 もう強制力も効果もなくしたよ、とミロは付け加えた。

 ほっと胸を撫で下ろすツバサに、ミロは思い掛けない一言を突きつける。

「赤ちゃんを第一に考えるツバサさんは――立派なお母さんだね」

「お母さ……だ、誰がお母さんだ……あふぅ……ん」

 決め台詞で反論するつもりが封じられた。

 ミロが背中から回してきた両手で乳房のスペンス乳腺を突かれ、ベッドの上にハトホルミルクをまき散らしながら嬌声を上げて乱れてしまう。

 弾むように揉まれる爆乳は、母乳をシャワーのように噴いている。

「むあぁ……んんっ、もぅ……おっぱい、やめぇ……もうぅ!」

 ツバサは牝牛の気持ちで鳴いてしまった。

 こんな時でも――カウベルは長閑のどかな音を奏でている。

「いいんだよ、ツバサさんはそれで……」

 優しい声でツバサの気持ちを尊重するように続ける。

「女の子扱いされたら、お母さん扱いされたら、女神扱いされたら……真っ向から怒鳴り返して『俺は男だ!』と言い張る……それがツバサさんだから」

 ――男の気持ちを持ったままでいいの。

「男の子の心のまま……女の子になった身体で感じる」

 それが――最高に気持ちいいんでしょう?

 核心を突かれたように、ツバサの背筋にゾクリとした怖気おぞけが走った。

 見抜かれた・・・・・、と心の何処どこかで声がする

 こちらの怖気を察したかのように言の葉は紡がれる。

「強くてカッコいい男の子だったのに、女々しくてセックスシンボルみたいにおっぱいやお尻の大きい女の子にされちゃって……表面上は嫌がっている振りをしているけれど、本当は女の子の身体と気持ち良さにハマッちゃって……」

 男なのにいやらしい女になったという背徳感はいとくかん――。

 女になった肉体をミロに玩具にされる屈辱感くつじょくかん――。

「そんな後ろめたさで喜んでるツバサさんは……………………マゾだよ」

「ちが、う……俺はマゾなんかじゃ……ふああっ!?」

 ミロの攻めがいきなり過激になった。

 狭いけど柔軟性に富んだ筒の中、そこは粘質の液体に満たされている。

 その内部を灼熱の硬くて太い肉棒が激しくピストンしている。柔らかい肉の筒は涙を流してそれを喜び、きつく締め付けて離そうとしなかった。

 じゅぷじゅぷ、と耳障りな水音が鳴り止まない。

 貫かれる喜びを知った女の局部そこは、揉みしだかれてお乳を搾られる受け身の喜びを知った乳房に負けず劣らず愛液を垂れ流している。

「ほぉら、痛いくらい激しくされると喜んじゃってるじゃん♪」

「ああぁ、んんんっ! 違……あああっ! ひぃ、んんっああああ……ッ!」

 違う――その一言を発することさえ許されない。

 いや、ツバサ自らが口にすることを無意識に拒んでいるのか……?

「MはミルクのM、MはマザーのM、MはマゾのM……」

 リズミカルに細い腰を打ち付けながら、ミロは呪文を唱えるようにツバサを囃し立てる言葉を口ずさむ。Mカップになったことも揶揄されている。

 伸ばされた腕が乳房を掴み、まだ溢れるミルクを搾り出す。

 真っ白なミルクの飛沫でシーツを汚す度、男だった頃の絶頂を思い出すも、巨大な乳房からこみ上げる、女にして母なる者の至福に酔い痴れてしまう。

 ミルクとマザー、2つのMな快感にツバサは打ち震えた。

「ツバサさんは……3つのMでとっても気持ちいい」

 ミロの言葉にマゾヒスティックな快感へと目覚めさせられる。

 もう――否定することができない。

 こうしてミロに女として犯されることが男として屈辱的だと感じながらも、女の喜びに屈している。彼女の発する言葉に辱められていると自覚して、情けなさに涙しながらも後ろ暗い快感が湧き上がるのを止められないのだ。

 女に馴染んでいくのが嫌なのに、最高に気持ちいい瞬間を楽しんでいる。

「ううっ……おおおお、ああああ……んんあああああああっ!!」

 自己嫌悪するツバサはシーツを噛んで嗚咽おえつした。

 それでも、女性化した身体はミロの男らしい部分を締め上げていく。

 乳房を搾られたお返しとばかりに――。

 ビクッビクッ、とツバサの内にあるミロの一部も振動する。

「あ、そんな絞まったらアタシも……いく、ツバサさん、一緒に……ッ!!」

 ツバサの胎内たいないへと温かいものが注がれる。

 赤ちゃんの部屋へ届くように……そこへ宿るようにと想いを込めて。

 随分と長い時間、ミロに愛されていた気がする。

 だが――まだこれが一発目・・・なのだ。

 ミロは一度きりで満足することはない。

 これから夜を通して、それこそ夜が明けるまで愛されるのだ。

 男心は夜明けを待ち望み――女心は長い夜を願う。

 相反する2つの心を抱えていると、これまでツバサは悩んできたが、ミロに指摘されたことでほんの少し思い知らされた気がする。

 マゾという点は受け入れがたい。

 しかし、どちらの心もツバサのものであることは認めるしかない。



 男と女の2つの心で――ミロを愛することができる。



 これだけは事実として認め、彼女の想いに報いてやりたいと思った。

 こんなツバサをミロが愛してくれるのだから……。 


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