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第14章 LV999 STAMPEDE
第337話:変身して変化する変幻なる肉体強化?
しおりを挟む「ゴム○ムだ! ゴ○ゴムの実のゴム人間な海賊王だ!」
「エ○ァンゲリオンっす! エ○ァ3号機で第13使徒っすよ!」
「どこまでも伸びる腕……怪○くんですわね! ○物ランドの王子様!」
異口異音とはまさにこのこと――。
ランマルの伸びる腕を見て、ミロとカズトラが子供っぽくマンガやアニメの似たようなキャラを上げるのはわかっていた。が、まさか瀟洒なホクトまでものが夢見る乙女のような好反応になるとは予想外である。
今度は3人、ジト眼でじっくり睨み合う。
「ゴムゴムの海賊王でしょー、ジェットなピストルでブレットでしょー?」
「エ○ァっすよー、どのシリーズでも使徒に乗っとられる3号機っすよー」
ミロとカズトラはまたポカポカ殴り合う。
今度はホクトまで混ざっていた。
仁王立ちになる彼女の分厚い胸板(一応、女性のはずなので乳房だと思うのだが……?)に、問題児2人が駄々っ子パンチをしている。
「いいえ、あれは怪○太郎さまの必殺技に間違いありませんわ。藤子・○・不二雄先生と藤子不二雄○の両先生の作品を愛読する私にはわかります」
漢女の意外な趣味が判明した。
二人の藤子先生の愛読者とは、人は見かけによらないものだ。
ホクトまで意固地になって譲らない。
子供たちの身の丈に合わせ、ふざけているようだ。
「はいはい、ケンカしない! どれもまったく同じ攻撃手段だから」
また保父さんみたいな役回りを振られてしまった。
仲裁に入るとミロやカズトラが「ニヤ二ヤ」するのを見るに、わざとやらせているのかも知れない。どうもからかわれているみたいだ。
やれやれ、と嘆息しながら付き合ってやる。
「しかし遠当てかと思いきや、別ベクトルで現実離れしていたとはな……手足が伸びるなんて、それこそファンタジーの中でしか許されない攻撃だ。具体例は君たちが列挙してくれたが……」
すると、セイメイたちも話に加わってきた。
「おれが知ってるところだとダル○ムとかベラ○ーマンかな」
「どちらもゲームのキャラだね。格闘ゲームには割かしいた気がするな。使用キャラ全員が“伸びる腕”を装備して戦うゲームもあったくらいだ」
「わしが知っちょうのはアク○リオンちゅうロボットの必殺技じゃな。他にも戦隊もののロボなんかにも何体かおったはずぜよ」
「無限パンチ系統か、ガ○ダムにも同じ技を使える機体がいたはずだね。いわゆる宇宙世紀に含まない世界観で描かれた外伝扱いのガン○ムだが」
「妖怪の河童も腕が伸びるんスよね。ただし……」
「あれは腕の骨が胴体の中で繋がっているから、片腕を伸ばせばもう片方の腕が縮む設定だな。妖怪には身体のあちこちが伸びるものがたくさんいるね」
例を述べた者1人1人に受け答えをする。
流暢に返すレオナルドに、不可思議な視線が向けられた。
セイメイは呆れたような笑みを口の端に浮かべているが、ホクトやダインは眼をまん丸にして感心しているようだ。ミロとカズトラは、さっきまでの侮った態度が一転、こちらに尊敬の眼差しを向けていた。
「レオさん、お姉ちゃんもベタ褒めだったけど……マジで博識ッスね」
代表して、フミカが敬意を払ってくれた。
この程度のことで褒められると──正直むず痒い。
みんなが話してくれたことから、知識として取り入れた範囲内(それもどちらかと言えば無駄知識)で覚えていることを返しただけなので、そんな敬われるような態度をされると戸惑ってしまう。
「獅子のお兄ちゃん物知りだね、なんでも知ってんじゃない?」
ミロは意味深長な笑みで尋ねてくる。
いや、これはレオナルドの無駄知識を試しているのだ。
だからドヤ顔で決めてやる。
「何でもは知らないよ──知っていることだけさ」
ウケた──ミロはお腹を抱えて爆笑だ。
ホクトやフミカも噴き出しそうになるのを堪えて顔を背けているので、この台詞の出典について知っているらしい。
それこそツバサ君のが似合うのだが……。
笑い転げるミロを静かにさせ、レオはフミカに尋ねる。
「ランマル君については戦闘データを分析しているのだろう? あれは変身系技能ではないんじゃないかな。恐らく、俺の予測が正しければ……」
「正しいッスよ──あれ、過大能力ッス」
やはりな、とレオナルドはメインスクリーンに振り返る。
無駄話に話を咲かせたつもりだったが、ほんの短い時間だったらしい。セイコはランマルの拳を掴んだままだ。
どちらも不敵な笑みを浮かべ、互いに相手の出方を窺っていた。
約15mは伸びている──ランマルの腕。
スクリーン上に細かいウィンドウがいくつか現れ、フミカが即興ながらも分析で判明したことを表示してくれた。それらを流し読みする。
「肉体を伸長させているわけではないんだな」
「ええ、筋肉、骨格、神経……というか肉体を構成する細胞を神族のものから別の生物のものに変えて伸ばしてるみたいッス。でも、神族としての特性は残したままなんで、別物になっても元の強さを維持できてるッスね」
「その生物を神族化させたようなものか……部分変化しても全体のバランスを損なうことなく、他の部位を別種の生物のものに変えられると……」
「あの、ちょっといいっすか?」
フミカと同じ舎弟口調で口を挟んできたのはカズトラだった。
ランマルの変化について考察を重ねているレオナルドとフミカに、どうしても気になることがあると言いたげに挙手した。
探究心旺盛なのは良いことだ、レオナルドは質問に応じる。
「どうしたのかな、カズトラ君?」
「あの、レオの兄貴は一目見てアレを過大能力と決めつけたじゃないっすか。それって理由なり根拠なりがあったってことっすよね?」
どこで見分けたんすか? とカズトラは不思議そうに首を傾げる。
なかなかの着眼点。しかし、ランマルがあれだけ連続で見せてくれたのに、そこを見分けられないところが半人前という証拠だ。
「変身の速さ――じゃない?」
メインモニターを見つめるミロがボソッと呟いた。
やっぱりこの娘には天性のものがある。
ボケーッと眺めていたように見えて、重要なポイントは抑えていたのだ。
「その通り、彼の変身は速い。速すぎるんだ」
技能ではありえない速度だった。
「どんなに変身系技能が熟達しても、変身完了まで0.01秒はかかる。変装などを主目的として使うなら十分な速さだが、もしも戦闘中に使う輩がいたら愚か者めと叱りつけるだろうな。どう考えても使い物にならん」
LV999まで鍛えた達人たち──。
刹那よりも短い時間を更に縮め、音速など序の口で光速の動きを目指す彼らが競う領域では、まったく通用しない遅さだと断言できる。
「然るに彼は──0.00001秒で変化している」
変身までの所要時間がこれならば、戦闘方法として組み込んでも十分に使い道があるだろう。本気になれば、もっと短縮できるはずだ。
遠当ての連打──あれはデモンストレーション。
見極められるか? 受け止められるか? いなせるか?
この攻撃にセイコがどのような反応を示すかの、まさに小手調べだったのだ。当のセイコもわかっており、敢えて受けたのである。
「あれ、ツバサちゃんの過大能力に近いんじゃねえ?」
メインスクリーンを指差して声を上げたのはセイメイだった。
寝そべったまま、手酌で瓢箪の神酒を嘗めている。
「ツバサ君の過大能力というと……大自然の根源になれる【偉大なる大自然の太母】ではなく、もう一つの肉体強化系か」
過大能力――【万能にして全能なる玉体】。
肉体強化系の最終到達地点ともいうべき過大能力だ。
運動神経や身体能力に反射速度は元より、美貌や肉体美といった肉体にまつわるあらゆるものが万能にして全能なることを約束される。
――それだけに留まらない。
神族や魔族は不老不死、肉体に関しても多種族より恵まれている。いつでも最高のコンディションを保てるようになっていた。
ツバサの過大能力は――その最高を超えるもの。
最高を上回り、限界を突破して、極限さえも超えていく強化。
しかもこれ、常時発動型という恐ろしさだ。
いついかなる時でも超絶的なパフォーマンスを発揮できる上、本人が意識すればその強化を倍増させることも可能。更に技能による強化や、仲間からの支援強化を重ね掛けすることもできる。
「もう強化だらけでわけわかんねぇな」
セイメイは笑って済ますが、恐るべき過大能力だ。
レオナルドは眼鏡の位置を直して語り出す。
「ウチのミサキ君も【完璧に完成された完全なる肉体】という似た過大能力を持っているが、ツバサ君と比較したら廉価版と評するしかないな」
そうそう、とセイメイもわかったように相槌を打つ。
「ミサキちゃんの過大能力は“肉体を万全に強化する”止まりだけど、ツバサちゃんの過大能力はその一歩先を行ってるからな」
ツバサの場合、肉体強化が留まるところを知らない。
強化された肉体へ意識的に働きかけることで変化させられるのだ。
特に髪は柔軟に形を変えられるし、ひたすら長くすることもできれば切り離すのも容易なので使い勝手がいいらしい。
具体的には伸ばした髪を触手のように操って対象を掴んだり捕らえたり、硬質化させて無数の武器や防御壁などの盾にすることができる。
操るのは髪に限った話ではない。
爪や牙を伸ばして武器化することや、皮膚や筋肉を硬質化させて防御力を上げることもできるが、彼の流儀は合気なので縁がない。
これらはヴィジュアル的な変化もあるのでお気に召さないようだ。
『……一度やってみたら、ミロやマリナに怖がられてな』
以来、そういう変身はしてないそうだ。
こうした肉体操作は、奇想天外な使い方もできるという。
『どこかのホラー映画みたいに切断した手を遠隔操作したり、分離させた肉体の一部を増殖させて分身を創ったり、どこかの海賊王みたいに手や足を巨人化させたり……やろうと思えば大概のことはできるが、俺の趣味じゃないな』
想像力は過大能力を強くする――。
ツバサ君とそんな話題で盛り上がった時、肉体強化による変化がどれくらいまで及ぶのか? 教えてもらった内容を思い返した。
慎重派な彼のこと、まだ秘密を隠していそうだが……。
「おっぱいとかお尻をもっと大きくすることだってできるのにねー」
絶対やってくんないの、とミロは残念そうに呟いた。
レオナルドは眉を八の字にして苦言を呈する。
「そりゃ未だに女体化したことを認めたがらないツバサ君なら、絶対にやらないだろうな。胸やお尻を小さくスマートにするならともかく……」
「爆乳巨尻を小さくするなんてとんでもない!」
アタシは認めません! とミロは力強く宣言した。
「それだけは許しません! ってアタシの過大能力で封じてんだから!」
「そんなことで互いの過大能力を食い合いさせてるのか!?」
ツバサ君が男に戻れない理由はこれでは? とレオナルドは訝しんだ。
コホン、と咳払いで話題を切り替えた。
肉体強化の能力、それを先鋭化させた秘技について言及する。
「殺戮の女神への変身は、この肉体強化を最大限に活かしたものだ。この際、筋肉量を莫大に増強しつつ圧縮させ、神経速度を何千倍にも上げているという。まあその分、変身から戻ると反動で疲れるらしいが……」
――肉体強化という名の変身。
「あのランマルという方の変身は、ツバサ様に似ているのですね」
ホクトからの問い掛けにレオナルドは頷いた。
「同質と言えませんが、同系統といって差し支えないでしょう」
肉体強化を極めた先にある──変身能力。
ただし、汎用性に関してはランマルに軍配が上がりそうだ。
だったらさぁ、とミロが大きな声を上げる。
応援する眼差しは、メインスクリーンに映るセイコに向けられていた。
「セイコのオッチャンが相手すんのはベストマッチかもね」
「ああ、そういえば彼の過大能力も……」
異相での修行には、レオナルドも講師役で招かれていた。
その際、セイコを初めとした穂村組の修行にも付き合っている。
彼の過大能力も肉体強化に特化したもの。
そして、独自の変化を起こせる融通性を備えていた。
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「……目にも止まらぬ速さで腕を伸び縮みさせての連打か」
15mは伸びているランマルの腕。
その先端ともいえる拳を掴んだセイコは、ニヤニヤと楽しそうに笑いながら鋭い観察眼を抜かりなく働かせていた。
「ゴム人間なキャラって何人もいるが、そいつらみてぇに身体が伸び伸びしてるわけじゃねえな。伸びてる腕が人間じゃねえもんになってやがる」
腕の伸びた部分は、半透明のゲル状になっていた。
伸縮自在だがゴムというよりは餅のようだし、弾力に富んだグミの質感に似ている気もするし、粘土みたいでもあるしスライムにも見える。
「それと──この拳もな」
セイコは太い指に力を込めた。
握り潰すつもりで握力をかけるが、ランマルは涼しい顔だ。
それもそのはず、ランマルの拳は鋼の甲殻で覆われていた。
怪獣の手みたいなそれは硬度と靱性は鍛えられたアダマント鋼よりも優れているのか、どんなに握りしめてもビクともしない。
セイコが手を離すと、ランマルの腕は一気に縮んだ。
ゴムが伸縮するように、胴体へと戻っていく。
バチン! と小気味いい音をさせてランマルの腕は元通りになった。
三体式の構えを崩さぬまま、ランマルは話し掛けてくる。
「トータル108発、結構本気で打ったのに……ノーダメとは参った」
やるねデッカい人、とランマルはセイコを褒めた。
その頬には一筋の冷や汗が流れている。
ところがどっこい、セイコは呆れたように言い返す。
「あれで本気はねぇだろ。カナミちゃんのビンタのがよっぽど効くぜ? その程度じゃあLV999と名乗るのも恥ずかしいってもんだ」
もっと底力を見せろや、とセイコは挑発的に手招きした。
ヘラヘラしていたランマルに真剣味が差す。
いくらアホでも「遊びじゃ済まされない」相手だとを理解したのか、発する気迫にも重みが増してきた。三体式を支える両足が地面を深く噛んだ。
「悪かった、デッカい人。正直ナメてたかも知んない」
こっからが――オイラの本気だ。
右腕しか伸ばしていなかったランマルが、全身を動かした。
踏みしめた右足を押し出し、前に出していた左足が浮き上がる。腹付近に控えていた右手は拳へと握り直され、前方へ打ち出す準備を整えた。
構えていた左手は照準となってセイコを捉えている。
左足が半歩踏み出し、左手が引き戻されると、その反動を乗せるように右の拳を突き出す。そして、軸足となった左足もこれを追う。
どちらの足も震脚を忘れない。
──交差する左右の拳。
突き出した右拳はねじ込まれており、実戦ならば相手の中段突きを下へと落としつつ、相手の腹部にある急所“水月”に拳を打つ。
大地を蹴った足から力を螺旋状に汲み上げ、左腕を引き戻す力やその際に回した腰からも螺旋の力を上乗せさせていき、腰や体幹の回転力も追随させ、肩から腕へとねじり込み……全身の勁を拳に集約させる。
形意拳の根幹たる“五行拳”のひとつ――崩拳。
かつてこの崩拳を得意とした形意拳の達人は、どんな強敵でも半歩進んで崩拳を打つだけで倒したため「半歩崩拳」と畏敬の念で呼ばれたという。
ランマルのそれは――半歩を超えて届く超遠距離崩拳。
踏みしめた地面にクレーターを描くほど練り込まれた勁力。それは神族の力で何倍にも膨れ上がり、超速と重圧が織り交ぜられていた。
初速度も比べものにならない。
音速を打ち破り、光速に追いつかんばかりだ。
ランマルから放たれた崩拳は、さっきまでの遠当てのように15m先のセイコ目掛けて伸びていくが、その破壊力は桁違いにランクアップされている。
ランマル渾身の一撃を――セイコは捌いた。
わずかに身体を半身にして躱しながら、直進してきた遠距離崩拳を構えていた左腕で払いのける。連動するように右腕の構えを下げた。
次の瞬間、セイコの両腕が小規模な爆発を起こす。
ドドン! と強烈な二度の爆発がランマルにお見舞いされた。
三体式が乱れるほどの衝撃に、長いおさげも荒ぶる。
「ゲホッ! オ、オイラの……モノマネッ!?」
セイコが放ったのは、遠距離崩拳を捌いてからのダブルパンチによるカウンターだった。こちらも間合いや距離感をまったく無視している。
そう、セイコの両腕も伸びていた。
発射速度もさることながら、引きの速さも尋常ではない。あらゆる面でランマルを数段上回っており、当の本人も「負けた!」と顔に書いてある。
あまりの速度に、本物の“遠当て”と見間違えたくらいだ。
「自分が元祖みたいな口振りはいただけねぇなぁ~ッ!」
この手の技は使い手いっぱいだぜ! と言ってセイコは動き出す。
もはや瞬きする間に終わる速度の応酬だ。
伸びたままのランマルの腕に右腕を添えたセイコは、滑るように進む。伸びた腕をレールにして伝って距離を詰めていった。
伸ばした腕を元に戻す間もない。
それほどの瞬足で間合いに入ってきたセイコに、ランマルは残った左腕や両足でカウンターを決めるなり防御しようと足掻くつもりだった。
させてもらえなかったが――。
何かをする前に、ボーリング球のようなセイコの拳が唸る。
カウンターも防御も意味をなさない、面のような制圧力が宿った剛拳にすべてを封じられ、ひたすらフルボッコされるのみ。
絶妙のコンビネーションを発揮した両腕は、ランマルに一撃必殺のパンチを何度も打ち込む。音的にはズドドドドン! と何連発も決まった。
夫婦手――空手の技法のひとつ。
主に古流空手で使われる呼び方で、左右の手を巧みに連動させることで攻防一体を成すことも激しい連続攻撃を繰り出すこともできるという。
セイコの場合、片手で夫婦手以上の働きをしている。
両腕を合わせたら夫婦何組かわからないほどだ、
一撃爆殺の威力がある連打を打ち込まれた方は堪ったものじゃない。
ランマルの五体は木っ端微塵になる……はずだった。
しかし、ランマルは拳を打ち込まれる度に身体を風船のように膨らませていき、身体が爆ぜないよう工夫していた。
原型がなくなるまで膨らんだランマル。
フワリと空中へ浮き上がり、肉でできた入道雲みたいになった。
その巨大すぎる肉塊は、凄まじい駆動音を轟かせながら絶え間なく蠢動を繰り返している。その有り様を見たセイコはすぐに理解した。
「なるほどなぁ~……そうやっておれのパンチを呑もうってハラか」
悪くねぇ小細工だ、とセイコは認めていた。
セイコの攻撃はすべて“内に置く打撃”を使っている。
(※第301話参照)
本来ならばそれを数十発も食らったランマルは、体内で何百発もの高性能爆弾を起動させられたように爆発四散するはずなのだが、その爆発的なエネルギーを身体を膨張させることで吸収しているのだ。
恐らく体内は重量のある粘性の高いゲル状になって激しく渦巻いており、衝撃を運動エネルギーに変換しようと試みているのだろう。
変身能力を巧みに使った防御手段である。
肉塊となったランマルは、更に上空へと浮かび上がっていく。
全身の流動する肉を波打たせてランマルは叫んだ。
「もらったもんは……熨斗つけて倍返しだ!」
肉塊の表面にいくつもの拳が浮かび上がると、それが雨霰となってセイコに降り注いだ。無数の拳には変換したエネルギーが送り込まれている。
セイコから受けた打撃パワーを取り込み、自分のものにすることで打ち返してきたのだ。勿論、自らの勁も上乗せしている。
拳の豪雨は、すべて形意券の技となっていた。
崩拳を初めとした五行拳に、獣の動きを模倣した一二形拳……。
一斉に降ってくる形意拳の乱舞は、墓穴よりも深い陥没をいくつも大地に抉り、大爆発を起こして大量の土砂を巻き上げた。
舞い上がった土砂は上空のランマル(まだ肉塊)に届きそうだ。
その土煙を突き破り、セイコが飛び上がってくる。
「絨毯爆撃かぁ……大軍ならともかく、一人にゃ大味だぜ!」
避けるの簡単で当たるわきゃねえ! とセイコは鼻で笑う。
「アンタにゃ当たると思ったんだよ、デッカいから!」
急接近してくるセイコを撃ち落とすため、ランマルは肉塊の表面を泡立たせると再び刑意拳のフルコースを一斉掃射しようとする。
発射よりも速く、セイコが肉塊の表面に取り付いた。
「発勁は中国拳法の専売特許じゃねえんだぜ?」
セイコもまた空手流の“勁を導く動き”をすると、かざした掌底を肉団子状態のランマルへ突き立てる。
「──当破ッ!」
当法とも記される、空手ならではの打撃法である。
流派によって解釈の仕方は様々あるが、セイコの突き込んだ一撃は発勁でいうところの「相手の体内へ染み込むようにダメージを与える」浸透勁に近いものだったが、彼ならではのアレンジがされていた。
敢えて言うなら──貫通勁である(初めて見るが)。
セイコの放った当破の威力は、ランマルの肥大化した肉塊内部を一直線に貫き、反対側まで通った。ただし、皮や肉を破ってはいない。
あくまでも、直進する力で穿ったのみ。
しかし、ランマルはエネルギーを溜めに溜め込んだ肉の積乱雲と化しており、セイコの貫通勁はその内に渦巻く力を出口へ導いたも同然。
貫かれた場所から、エネルギーが噴出するように逃げていく。
さながら栓を抜かれた風船である。
「うわぁぁあぁあぁい……ち、力が抜けてく~~~ッ!?」
抜ける力に吹き飛ばされ、徐々に体積が縮んでいくランマルの肉塊。
そういう風船の玩具みたいだ。
やがて元通りの美青年に戻ると、綺麗なフォームで着地した。
新体操でも意識したのか、両脚を揃えて背筋もピーンと立ち、両手も左右に真っ直ぐ伸ばして十字架のようなポーズを取っている。
「10点! 10点! 10点! じゅ……デボラッ!?」
「余裕ぶっこいてる場合かこのアホ!」
案の定、遊んでるところにセイコの飛び蹴りを食らった。
「真面目に戦んなさい、このアホッ!」
ツバサとの相談中だが、姉のネネコもお叱りを飛ばした。
ランマルは強烈な蹴りを無抵抗で受け入れ、その反動を利用して大きく跳び下がりながらセイコとの間合いを取るつもりだったのだろう。
しかし、そんな行動は先読みされやすい。
セイコは逃げることを許さず、ランマルから離れない。
どんなにランマルが飛び退こうが逃げようが、拳足の届く間合いをキープしていた。俊敏性に自信がありそうなランマルは顔を真っ青にして大わらわだ。
「……デッカいのに速いとか恐ぇ!?」
羆かよ! とランマルは毒突いた。
セイコは抜かりなく、ランマルを追い詰めていった。
もう懐に入り、体勢を立て直す暇も与えず剛拳の連打を決める。
「今度は肉団子にもさせねぇぞ!」
セイコは拳打によるダメージの伝導効率を変えていた。
先ほどまでは“内に置く打撃”でランマルに内側から大ダメージを与えようと目論んでいたが、変身能力によって逆手に取られてしまった。
そこで──あの貫通力のある当破だ。
一発一発が大型車級の砲弾をイメージしていただきたい。
それがセイコの剛拳くらいのサイズにまで圧縮され、体内に撃ち込まれる。その先端は高速回転するドリル状になっており、全身を激痛でズタズタに苛んでから肉体を貫いていくのだ。
ダメージは激増、吸収して和らげることは許されない。
滅多打ちにされてもランマルは食い下がり、どうにか姿勢を整えると近接戦で対応していくが、如何せんやられっぱなしである。
2m50㎝の巨体と180㎝の体格差――ウェイト差も効いている。
そこでランマルは身長差を利用することにした。
セイコからの攻撃はランマルの身長に合わせると、どうしてもやや下方へ打ちざるを得ない。そこで正拳突きや逆突きが放たれた瞬間、可能な限り身を縮めてやり過ごそうとしているのだ。
脚力というバネを活かせる限界ギリギリまで膝を曲げて、セイコから飛んでくる剛拳を辛うじて避ける。
頭のつむじスレスレを、セイコの突きが通り過ぎていった。
余波だけで頭を持っていかれそうになるの耐えたランマルは、幽霊のようなポーズで両手をダラリとさせ、両腕を胸の前でたわめた。
その構えを維持したまま、セイコの懐へ忍び込む。
そして渾身の力を込めて腹部を狙い、両手を打ち込んだ。
刑意拳・一二形拳がひとつ──虎形。
そこから派生した諸手による掌底、虎撲子という技だ。
セイコから貰った拳打の衝撃エネルギー(ほとんど貫通しているが)と自分の勁を練り合わせ、またしても反撃を試みるランマル。
虎撲子を喰らったセイコの腹部で、閃光を伴う大爆発が起きた。
だが──。
「痛ぃぃぃってええええっ! なんでこっちが大ダメージッッッ!?」
爆発で吹っ飛ばされたのはランマルの方だった。
両腕は原形を留めておらず、肘から先が無くなっている。だが、変身能力で両腕をスライム状に変えていたため欠損は免れたようだ。
セイコは自らの腹をパンパンと叩く。
覚えときな、とセイコは怪我ひとつない腹筋を誇った。
「不用意に空手家を殴ると痛い目に遭うってな」
空手にも発勁と同じ原理の技がある。
これは攻撃手段に限ったわけではなく、中国武術における硬気功や排打功といった剛体法(肉体を硬くして防御力を上げる技法)も存在する。
代表的なのは体幹を練るための構え──三戦。
セイコはランマルの虎撲子を受ける寸前、腹筋のみに自己流の剛体法をかけて、打ち込んできたランマルを痛い目に遭わせてやったのだ。
防御に留まらず──攻撃者を破壊する剛体法。
セイコの過大能力の特性も手伝って、その効果は抜群である。
「そぅらそらそら! どうしたおさげの坊主! ツバサの総大将に火ぃ吹きかけてきた威勢はどこ行った? まだ、おめぇのいいとこ全然見てねぇぞ?」
両腕を復元させる時間さえくれてやらない。
セイコは一足跳びで間合いを詰め、空間が梵鐘のように鳴り響くくらいの震動を持った打撃を一切の手加減なく叩き込んでいった。
無論、どれも全身を責める貫通勁として放たれている。
腕を治るのを優先させたランマルは、甘んじてこれらを喰らった。
しかし、ただ無抵抗に喰らっているわけではなさそうだ。
セイコもまん丸の眼を細めて気付いている。
「……ほぉ、また面白ぇ小細工か?」
ランマルは貫通勁の衝撃エネルギーを逃がすまいと、身体を変化させて取り込もうと試みていた。背中へ抜けていドリル状のエネルギーを、肉体を部分的にタケノコみたいに尖らせることで体外へ漏らすまいとしていた。
背中から抜けようとする貫通勁に引っ張られ、どんどん後ろに遠ざかる。
セイコとの距離が大きく開いたところで、人間状態に戻った。
ただし、その右腕はとんでもないことになっている。
「今度こそ……貰ったもん倍返ししてやるぜ、デッカい人ッ!」
貯め込んだ衝撃エネルギーをすべて右腕に集め、更に後方へと伸びていくランマルの腕は、どんどん肥大化して仰々しい変形を遂げていた。
高層ビルをも握り潰しかねない──大きな手。
指から手の甲まで分厚い鋼の甲殻で鎧われているため、まるで怪獣の手だ。その怪獣の手を握り締め、巨大な拳を形作っている。
それを見たセイコは、ちょっと感心していた。
「そうだよ、一人相手に乱射なんて無駄打ちだ。やるんなら乾坤一擲、そうやって狙い澄ました精密射撃を打ち込んできやがれ」
学習能力はあるようだな、とセイコはその点だけは褒めた。
……ということはミロよりマシか。
なんだろう、悲しくて涙が出そうになる。
「ツバサの総大将の受け売りを真似してもいいが……いいだろう、そのひたむきさに免じて、真っ向から迎え撃ってやる」
セイコはランマルを追わず、その場で構え直した。
いつもより引き絞られた右腕に、異様なまでの“気”が膨れ上がっていくのを感じられた。どうやらセイコも過大能力で応じるようだ。
ランマルが怪獣の拳に力を込めている間、セイコも真似するように右腕に力を注ぎ込んでいた。それは目に見える形での変化すら起こしていく。
「──硬くなれ、おれの腕!」
セイコが呟いた瞬間、彼の右腕が何倍にも巨大化した。
注ぎ込まれた“気”が変質まで促したのか、膨張した筋肉が硬い岩のように荒々しい質感となっている。そして、“気”の増幅はまだ終わらない。
「──重くなれ、おれの腕!」
もう一度、倍加するセイコの右腕。
今度はメタリックな質感を帯びており、言葉通り重量も増しているのか、セイコの両足はズシン! という地響きとともに沈んでいった。
ランマルの右腕が怪獣だとしたら、こちらは巨大ロボの鉄拳だ。
二度の加重を経たセイコの豪腕は、彼の巨体を上回るサイズにまで巨大化しており、岩と鋼の変形を繰り返したためか鋭角なフォルムとなっていた。ダイダラスやダグザディオンの腕を思い出させる形状である。
ランマルの怪獣の手とタメを張れるサイズになっていた。
電磁波まで発生しているのか、バチバチと電光まで飛び散っている。
どちらの腕も一撃虐殺――国をも破る威力を発揮する。
それほどの力が宿った利き腕を強弓のように引き絞り、お互いに示し合わせて、全力全開を発揮できるまで溜め状態に入っていた。
全力全開の力比べこそ──漢の浪漫。
どちらが競り勝つか? これを試したいらしい。
ツバサも一人の漢として、また1人の格闘家として興味は尽きない。最期まで見届けたいが、神々の乳母が理性的に「待った」をかけてきた。
2人が激突したら、この地に大穴が空いてしまう。
それもアメリカの州のひとつやふたつは収まる奈落の大穴だ。
やや乾燥地帯とはいえ、この辺りは蕃神の被害も少なそうだし自然にも恵まれているので、なるべくなら傷つけたくはない(2人が暴れて今更だが)。
セイコ相手に善戦できるランマルの実力は本物だ。
腕試しは十分と判断して、そろそろ仲裁に入ることにした。
ちょうど――2人も激突するところだ。
「ウルトラスーパーゴージャスミラクルデンジャラス……劈拳ッッッ!」
ランマルは巨大怪獣と化した右腕を解き放つ。
一応、ここまで異形になっても形意拳に則っているのか、“腕を発射台にしてミサイルのように打つ”と形容される劈拳のつもりらしい。
「よっしゃ、来いやぁッ!」
一方、セイコは固く口を結んで本気の一打。
漢らしく正々堂々と迎え撃つは、空手の象徴たる正拳突きだ。
ただし、繰り出すのは巨大ロボの如き巨拳だが。
隕石直撃にも匹敵する威力の拳と拳が、周囲の迷惑も顧みずに打ち出される。大激突による破滅のインパクトが起こる寸前、ツバサが割って入った。
ヤクザの女親分の変装を解いて、普段の格好に戻る。
「なっ……カワイコちゃんなんでッ!?」
「総大将ッ!? タンマタンマってもう間に合わねえぞッ!?」
双方ツバサに気付いて拳を引っ込めようとするが、桁外れの力を込めて放たれた攻撃は、撃った大砲や発射したミサイルのようなものだ。
もはやコントロールできる状態ではない。
左右から迫る2つの巨拳に、ツバサは持ち上げた両手で受け止める。
瞬間――ツバサの長い髪が蒼に染まった。
受け止めたランマルの怪獣の手もセイコのロボな拳も、ビタリと停止してビクとも動かなくなる。これだけ巨大なものが絶大な運動エネルギーを持って動いていたのに、急停止させられたら大惨事が起こるのは必定だった。
行き場を失ったエネルギーが荒れ狂うはずだ。
だが、辺りにはそよ風が吹くくらいの余波しかもたらさない。
衝撃波も激震も大爆発も──起こらなかった。
やがて過大能力によって巨大化していた2人の格闘家の腕も、空気が抜けた風船のように縮んでいき、元のサイズへと戻っていった。
巨拳が激突した爆心地――になる予定だった場所。
そこには蒼い髪をなびかせたツバサが立ち尽くしているばかりだ。
セイコは身を以てこの技の原理を何度も味わっているので、軽く口笛を吹くくらいだが、初めて体験したランマルは呆然としている。
「なに、これ……すっげえ変な感触……?」
それでも顔には「ヤバい!」と驚嘆を露わにしていた。
「この勝負、水入りとさせてもらう」
セイコとランマル、両方に目配せをしてそう言い聞かせた。
眼光で威圧するのも忘れず、暴れん坊と利かん坊を母の威厳で黙らせる。
「――誰が母親だッ!?」
「言ってねぇって総大将! そりゃ空耳だ!」
「母親? カワイコちゃんってばママンなの? 若くてキレイだな~」
セイコはびくついて両手で「まあまあ」と制しながら後ずさり、ランマルはツッコミに脅えた様子もなく変なところに感心していた。
本当、どこかのアホの子そっくりだ。まったく動じていない。
ツバサはバツが悪そうに目を閉じて軽く俯き、気を取り直してからセイコに話し掛けた。彼もなんとなく察しているようだ。
「セイコさん、お楽しみのところ悪いがこれ以上はやり過ぎだ。2人が本気になったらこの一帯がなくなってしまう。彼の腕前もわかったことだし……」
「わかってるって総大将、おれも調子に乗りすぎた」
つい熱くなっちまったぜ、とセイコは照れ臭そうに詫びてきた。
外見に似合わず、彼は物わかりが良く理知的だ。
多くを言わずとも、ツバサが仲裁に入った理由をわかってくれた。
そして、対戦相手にもちゃんと気を遣う。
口に片手を添えてメガホンにし、大声でランマルに呼ばわった。
「悪かったな、おさげの坊主! 試すような真似しちまってよ!」
おまえは合格だ! とセイコは朗らかに言った。
ランマルはキョトンとしている。
「え? 試す? 何を? 勝ったらおにぎり食い放題などうなったの!?」
……アカン、ホンマもんのアホの子だ。
ランマルの頭の中には「デッカい人と戦って勝ったらおにぎり食べられる(食い放題に更新されてるが)」しかなかったらしい。ハトホルフリートに火を吹きかけたことさえ忘れていそうで怖い。
まだ戦うつもりでいるのか、三体式で構え直そうとする。
「ランちゃん、拳を引っ込めなさい。仕合は終わりよ」
しかし、姉の一声でフニャリと構えを解いた。
セイコがツバサの元へ近付いてくるように、ネネコも豊満な身体を揺らして弟のランマルの元へと歩いて行く。
隣まで来たネネコは、弟の頭を軽く小突いた。
「また過大能力で遊んで……ちゃんと勝負を挑まれたのなら、身につけた武術で応じなさい。それだってアンタはまだ巧夫が足りないんだから」
後でお説教よ、とネネコは母親視点で睨みつける。
さすがのランマルも姉には頭が上がらないのか、「姉ちゃんごめん……」と小さな声で謝ると意気消沈したように項垂れてしまった。
構わずネネコは弟に言い聞かせていく。
「アンタとセイコさん……デッカい人が戦っている間に、あたしとツバサ君……そちらのお姉さんとで話がついたからね。もう勝負もケンカもなしよ」
それを聞いたランマルは希望とともに顔を上げた。
「じゃあ姉ちゃん、この人たちはやっぱり……?」
やっぱりと付け加える辺り、ランマルも直感的にわかっていたようだ。
ネネコは「そうよ」と喜びを隠さずに答える。
「あたしたちが待ちかねた――この世界を共に生きていける仲間よ」
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