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第14章 LV999 STAMPEDE
第332話:黄金の霧を切り開くは戦乙女の騎兵隊
しおりを挟むカミュラ・ドラクルン──満10歳。
イシュタル陣営に所属する元小学4年生の女の子。ツバサの元にいるマリナとは幼馴染みで、「マリちゃん」「ミカちゃん」と呼び合う仲だ。
アルマゲドン時代は吸血鬼のみ加入できるギルドに所属し、ギルドの方針で悪役に徹していたため、ツバサたちの前に立ちはだかったこともあった。
(※第24話参照)
異世界転移直後──これが裏目に出る。
フィクションでしか起きるはずのない異常事態に遭遇したカミュラは、テンパったあまり異世界でも悪役を貫いてしまったのだ。
通りがかったエルフの難民を血祭りにあげようとしたのだが、そこをハルカに止められる。そのハルカも殺そうとしたところへ、ミサキとジンが駆けつけて瞬殺された(殺してない殺してない。負かしただけ)。
ミサキからの一撃──これが愛の鞭となったらしい。
ショック療法のように我を取り戻したカミュラは、誰彼構わず殺そうとした自分の行いを反省。よくわからない異世界に1人でいることが恐くなって、「ごめんなさい! 仲間にしてください!」とミサキに泣きついてきた。
これが2人の馴れ初めである。
以後ミサキの妹分を名乗って行動を共にするパーティーの一員となり、イシュタルランドを守る戦士となった。
……本当のところ、生産系技能をろくに習得していなかったため、戦うしか能がなかったのだ。ミサキも同類だったので強くは言えない。
今ではハルカから裁縫、ジンから料理を教わり、かなり習得していた。
ところで、カミュラは元々魔族である。
吸血鬼の極み──吸血鬼真祖。
吸血鬼は序盤からでもなりやすい種族だが人気があって基礎能力も高い。真祖ともなれば立派な上位魔族。吸血鬼最大の弱点である日の光を浴びても灰になることはなく、太陽の下を平然と歩くことも可能。
吸血鬼の能力にも磨きが掛かり、その不死性にも拍車が掛かるのだ。
(※欧州の吸血鬼は夜間にのみ活動し、日中に行動することは少ない。なので漠然と「日の光に弱い」という説はあった。有名なドラキュラも日の光を苦手とする描写はあるが、太陽光を浴びても滅びはしない。なんなら作中では日中も平気で出歩いている。太陽光で滅びる描写で有名になったのは、吸血鬼ドラキュラを下地に作られたドイツの映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』に登場するオルロック伯爵)
そのため選ぶプレイヤーが多かった。
しかし、カミュラは不満を抱くようになる。
『ミサ兄もジン兄もハル姉もアキ姉もレオ兄も……みんな神族じゃ。妾だけ魔族なんて仲間はずれみたいで嫌じゃ! 妾も神族になりたい!』
神族から魔族、魔族から神族への転換。
できないことはないが、相当量の魂の経験値を要求される。
カミュラも努力したのだが、なかなか成果が実らずにふて腐れるようなったので、可哀想に思ったミサキは最後の手段に出た。
ミサキは8京に及ぶ、莫大な魂の経験値を蓄えている。
努力家というのもあるが、ミサキの「世界を創り直す」という究極の過大能力は、魂の経験値を大量に消費する厄介な特質を持つからだ。
なので、魂の経験値の備蓄は欠かせない。
この貯め込んだ魂の経験値をカミュラに分け与えることで、主従関係を結ぶ眷族とした。主となったミサキは主人権限で眷族であるカミュラの種族を魔族から神族へと変更してやったのだ。
こうしてカミュラは吸血鬼真祖から戦乙女にクラスチェンジした。
そして、魂の経験値を分け与えたミサキをこれまで以上に兄貴分(姉貴分にあらず)と敬うようになり、「ミサ兄の義妹じゃ!」と称するようになった。
~~~~~~~~~~~~
「でも……まさか過大能力まで変わるとはな」
ミサキは自分のやったことながら他人事みたいに感想を漏らした。
──イシュタルランド上空。
3人の神族が飛行系技能で空を浮かぶ。
眼下には拠点となるミサキたちの暮らす家を中心に、扇状から徐々に放射状へとなりつつある街が広がっていた。以前は村に毛が生えたくらいの規模だったが、もうじき都市と呼べる大きさになりそうだ。
戦女神となった美々しい女体に愛用のボディースーツを身に付け、紫の髪を棚引かせたミサキは無意識に巨乳の下で腕を組む。
隣には師匠にして軍師のレオナルドが並んでいる。
相変わらずナチス将校みたいにゴテゴテした軍服。ロングコートをマント代わりに羽織り、革手袋をした手で銀縁眼鏡の位置を直している。
2人が見つめる先──カミュラがいた。
「うぬぬぬぬ……ウヌゥ……うぬぅ…………」
目を閉じて小さく唸り、真剣に集中しているのが窺える。
吸血鬼の名残なのか固く結んだ口の端からは、牙のような八重歯が覗いていた。戦乙女をイメージしたホワイトピンクのファッションに身を包み、天使の羽を思わせるマントを羽織っている。
カミュラは胸の前で手を合わせていた。
俗に“ろくろのポーズ”と呼ばれるふんわり構えた手の間では、金色に輝く粒子が渦巻いている。目が細かい砂金みたいにキラキラ瞬く粒子だ。
金色の粒子は止め処なくあふれてくる。
やがてそれは金色の霧となり、カミュラを取り巻いた。
金色の霧を操るカミュラの新しい過大能力。それを見つめていたミサキは、初めて彼女と出会った頃を思い出した。
「能力自体は変わったけど、どことなく面影はありますね」
「以前の過大能力は、吸血鬼が霧になる能力の増強版だったのだろう?」
又聞きのレオナルドが訊いてきた。
直接攻撃を受けたミサキは具体的に解説する。
「そうです。自らを霧と見間違うほどの微粒子にして様々な攻撃を無効化しつつ、その微粒子で相手を取り巻いて延々と血を吸うことで継続ダメージ効果を与えるものでした。確か名前は……」
過大能力──【心血に染まりし濃霧】
カミュラが吸血鬼真祖として獲得した過大能力だ。
微粒子の霧となって斬撃や打撃をやり過ごし、相手にまとわりついて血を吸い上げ続ければ、遠からず敵を仕留めることができる能力。霧状になることでいくつもの用途があったはずだが、カミュラは戦闘にしか使ってこなかった。
また、戦闘面ではツバサがいくつもの弱点を指摘している。
微粒子化した自身を何らかの方法で擂り潰されればダメージを負うし、勢いのある炎を浴びれば小さな微粒子はあっという間に燃え上がり、多量の水流には押し流されてしまう。
特に流れる水は吸血鬼の急所のひとつだ。
これらの弱点を思い知らされたカミュらは落胆してしまった。
『わ、妾の過大能力……もしかして弱すぎ?』
そんなことはない、とミサキは妹分を諭してやった。
『どんな過大能力にだって短所はある。だが、それを補って余りある発展性を見出せるのが過大能力のいいところだ。要は使い方次第ってことだよ』
ツバサさんやレオさんの受け売りだが、兄貴分らしくアドバイスする。
『……うん、妾も修行してもっと強くなるぞ!』
カミュラも芯は強い子なので、ちゃんと再起してくれた。
そんな彼女が戦乙女となって新たに覚醒した過大能力が、この金色の霧を湧かせるものだ。無論、この金色の粒子はギミック満載である。
この砂金のような霧は――彼女の分身。
カミュラの意のままに動くのは当然、金色の霧は斬撃や打撃のエネルギーを吸収する防御壁となる。また魔法攻撃を受けると霧の中で乱反射させて威力を増幅させ、放ってきた相手に倍返しすることも可能。
様々な機能を有する極小機械のようなものだ。
微粒子ゆえ火に燃えやすい弱点や、水流に流される欠点も克服していた。
そして、カミュラの新しい過大能力の真髄はここからだ。
「んんん~……オーバードゥーイング発動!」
カミュラはまん丸の瞳を大きく見開き、満を持して能力を解き放つ。
過大能力──【黄金の霧を切り拓くは戦乙女の騎兵隊】
雲のようにわだかまる金色の濃霧。
カミュラの頭上で一気に膨れ上がった霧は、球状の積乱雲となった。渦巻く雲の奥から、発光する人影が飛び出してくる。
現れたのは、神々しい燐光を帯びた戦乙女の一団。
個人差はあるが、全員女性らしいフォルムの鎧兜で武装している。長大な槍を右手に携え、左手には全身を覆い隠すサイズの大盾を構えていた。
これが──カミュラの新しい過大能力の効果。
黄金の霧から、戦乙女の兵隊を創り出すものだ。
戦乙女たちは即席の従者ながらLV900を超えており、それぞれ人並みの知能を有しているため自立行動し、編隊を組んで行動することもできる。
「……なんか、ミサキに似てるのは気のせい?」
「……ミサキ君どころかツバサ君に似た戦乙女もいないか?」
あれらもまたカミュラの分身のはずだ。
なのに戦乙女は女子高生くらいの頭身があり、顔立ちや体型がミサキにそっくりだった。5体に1体は長身でツバサ並の爆乳巨尻である。
「当たり前じゃ──妾が憧れる女性たちをモデルにしたからな!」
戦乙女の騎兵隊を連れたカミュラが、ミサキの元へ戻ってきた。
カミュラの意見を聞いたレオナルドが納得する。
「なるほど、自らの分身である戦乙女に、尊敬するミサキ君やツバサ君の姿を仮託したわけか。ならば似ていて当然だな」
得心するレオナルドの横で、ミサキは微妙な顔をしていた。
「オレはいいけど……ツバサさんはどうかな~?」
ミサキの脳内では「誰が戦乙女だ!」と怒鳴っているツバサのイメージが暴れていた。ツバサさんは女性扱いされることに腹を立てやすい。
恐らく「俺は男なんだ!」という自己意識が強いためだろう。
ミサキは自身の女体に適応しつつあり、なんなら万能の過大能力で一時的に男に戻ることもできるので、ツバサさんほど男性性に拘泥していなかった。
大目に見てもらうしかないな、と心の中で嘆息する。
カミュラは「いい仕事してるじゃろ?」と誇らしげだ。ツバサさん似のだけ創り直せと注意できる空気ではない。
100点満点のテスト用紙みたいにカミュラは自慢する。
「どうじゃミサ兄レオ兄、100体まで同時に出せるようになったぞ。何もなければ空中を漂う目には見えない粒にしておけるし、敵が攻めてきたらすぐ黄金の霧になって、この最強ヴァルキュリア部隊を出撃させるのじゃ!」
「ああ、迎撃システムとしては優秀だな」
「バッドデッドエンズ自体には通じないが、彼らの中にも従者を操る者がいるかも知れない。その抑えとしては十分だね。それに100体が一丸となれば、連中をしばらく足止めできそうだ。その間に住民を避難する時間も稼げる」
ミサキが一言にまとめて褒めた後、レオナルドが付け加えるように微に入り細に入り活用方法を具体的に挙げてくれた。
2人に太鼓判をもらったカミュラは、満面の笑みを浮かべる。
「――これで妾もみんなの役に立てるな!」
カミュラの返事は明るく天真爛漫なものだったが、その奥には幼いなりに責任感を果たせたという安堵が垣間見えた。
最悪にして絶死をもたらす終焉──その未曾有の脅威。
忍び寄る悪意の集団に対抗するため、四神同盟は対策の準備に余念がない。特にダイン、ジン、ヨイチの工作者トリオは各陣営を駆けずり回っており、ミサキたちも寝る間を惜しんで様々な対抗策を講じていた。
なのに──自分は何もできない。
カミュラを初めとした幼い子供たちは、まだLV999になれないため戦力には数えられない。ジンたちの作業を手伝えるほど器用でもない。
それでも、手伝いたいと苦慮していたのだ。
幼気ないじましさに、ミサキは胸の奥が熱くなった。
ツバサほどではないが、ミサキも戦女神になってからというもの母性本能が疼くことがままある。今がまさにその時だった。
「……ああ、すごい役に立ってるさ」
目の前にいたカミュラの肩に両手を回すと、力いっぱい抱き締める。彼女が「おっぱいに潰されるーッ!」と喚いても加減しない。
「ミサ兄に褒められるのは嬉しいしおっぱいムニムニしたいけど……これはヤバいのじゃーッ! ミサ兄のおっぱい独占してるとハル姉に怒られるーぅ! 人形たちでお仕置きされてリンチされるのじゃーッ!」
ジン兄みたいになるのは嫌じゃーッ! とカミュラはジタバタ藻掻く。
しかしミサキはカミュラを抱きしめて離さない。
彼女へのご褒美もあるが、ミサキも健気な妹分が可愛いのだ。
「妹分とのスキンシップに妬くほどハルカもヤキモチじゃないだろ」
アカン……そういうミサキも自信がない。
ハルカは恋人への独占欲が強く、嫉妬深いところがあった。
ミサキとの恋仲を公言してからというもの、ハルカは誰にでも「ミサキ君のおっぱいは私のもの」と言い張って憚らない。
ジンが笑いを取るためにミサキへセクハラしようものなら、神でも死にかねないお仕置きをするくらいだ。カミュラは間近で幾度となく目撃してるから、トラウマレベルで刷り込まれているのだろう。
ちなみにジンはハルカのお仕置きが「癖になるぅ!」らしい。
まかり間違って死なないように祈っておこう。
「でも不機嫌になるのは確実じゃーッ! ああ、でもミサ兄のおっぱい落ち着くし癒やされる……だけどハル姉も怖いのじゃーッ!」
どうしたらいいんじゃーッ!? とカミュラは叫びつつも、ミサキの乳房の谷間に顔を埋めて、おっぱいをプルンプルン揺らすように顔を振っていた。
カミュラ、結構楽しんでない?
「オホン、ゴホン! 落ち着きなさいカミュラ君」
荒ぶる愛弟子のおっぱいという、精神的な処理に困るものを見せつけられていたレオナルドが言った。くどい咳払いに動揺が表れている。
「おそらく、ハルカ君はそれどころじゃないはずだ。現にミサキ君のちち……胸に甘えていても、人形たちが騒いでないんじゃないか?」
ミサキは半眼でニヤニヤ笑い、レオナルドの揚げ足を取る。
「……今、乳って言いかけましたね師匠?」
「そこは掘り下げなくていい! こんな時だけ師匠呼びは勘弁してくれ!」
揚げ足を取られたレオナルドは、真っ赤になった顔を両手で覆った。
この人、対外的には「仕事のできる紳士」なイメージを大切にしているが、骨の髄までおっぱい星人なのだ。それも並外れた爆乳じゃないと満足できないうえに、おっぱいが揺れればそちらに振り向く筋金入りである。
ミサキやツバサの乳房にも一家言ありそうだが、下手な発言をすれば親友や弟子から白い目で見らてしまう……と自重しているようだ。
でも、時々こうしてボロを出す。
風邪でもひいたのかと心配になるくらい咳払いをしたレオナルドは、ハルカの眼を心配しなくてもいい、と改めてカミュラに説いた。
「知っての通り、ハルカ君の操る人形たちは彼女の過大能力だ。ハルカ君と意識を鏡像同期のごとく共有しているが、彼女が忙しければそれどころじゃない」
「そういえば……静かだな」
カミュラがミサキのおっぱいを堪能しているのに、その乳房の谷間にいつも潜んでいるはずの人形たちが騒がなかった。
ハルカを模した小型の人形――人形たち。
彼女の過大能力はこの人形を何億何兆と繰り出すもので、正攻法では攻略しにくい技だった。武装させれば手に負えないほど凶悪になる。
意識を共有できるという特性をいいことに、ミサキの巨乳やツバサの爆乳に包まれる感覚をいつでも感じられるようにと、複数の人形たちをそれぞれの谷間に忍ばせているのだ(ミサキは1体、ツバサさんは3体までいけるとか)。
……師匠どころか恋人までおっぱい星人になっていた。
そこに思うところがないわけでないが、とにかく今はミサキの胸の谷間に常駐している人形たちがいないことが不思議だった。
それどころじゃないんだよ、とレオナルドは繰り返す。
「彼女は今、死に物狂いで強くなろうとしている真っ最中だからね。自分の能力である人形たちを結集させて、総動員しているはずだ」
さもなきゃ――死にかねない。
恐ろしいことをサラッと言ったレオナルドは、空の彼方を見遣る。
そちらは西方、ハトホル国のある方角だった。
~~~~~~~~~~~~
その頃ハルカは――死地にいた。
「いやあああああああっ! もうダメ無理! 神さまでも死ぬ! でも中途半端に体力ついて身体も丈夫になってるから死ににくい! なかなか気絶できないし死にたくないし痛いのもヤダから意地でも動くしかないしぃ!」
絶体絶命の窮地なのに、悲鳴よりも文句が口を突いて出てくる。
こんな絶望的な状況でも無駄口を叩ける地力が付いたのかも知れない。
ハルカは何もない荒野をひたすら走る。
特訓といえど服飾師としてオシャレを忘れたくない。
そんな矜持から、ファッションデザイナーの師匠と仰ぐホクトとともに愛用のロングカーディガンもデザインを一新してみたというのに……。
「もうボロボロ!? 初日でズタボロ!?」
初日どころか始まって1時間も経っていない。
縫製技術を上げて核兵器の直撃にも耐えられる防御力を備えた衣装が、1日目にしてボロ雑巾のような有り様だった。
「LV999になる前に死んじゃうタスケテミサキクンゥゥン!? ツバササンテカゲンシテシンジャウシンジャウシンジャウウウウウーッ!?」
片言で喚きながら、ガタガタになってきた足腰に鞭を打って、とにかく前へ前へと駆ける。その足の重いこと……。
「重力が……重さがどんどんキツくなってないこれぇ!?」
ここはツバサさんが発見した空間――異相。
この空間は真なる世界とまったく同じ風景が広がっているが、ほんの少し灰色のグラデーションがかかっていた。それだけならまだいいのだが、空気は薄いし、重力は強いし、極寒と灼熱がランダムで襲ってくる。
とても過酷な環境だからこそ、神族が修行するにはもってこいだ。
『ハルカの“器”はできている――LV999になれる』
ツバサさんにそう言われ、事態が事態だからLV999になるしかないと覚悟を決めたハルカは、異相でのトレーニングに参加したのだが……。
「バッドなんちゃらと戦う前に死んじゃいますよぉぉぉぉッ!?」
ハルカの過大能力――【破滅の奈落より来たれ軍勢】。
召喚した何億もの人形たち。
後方に展開させたそれらは、分厚い防壁となってハルカを守る。
ジンに作ってもらった人形用の重武装をさせており、ドローンみたいな戦闘機やラジコンみたいな戦車でも兵装させてある。蟻の大群が象をも仕留めるというが、今の人形たちは雀蜂ぐらいの攻撃力があるはずだ。
いかにLV999であろうと、一瞬では突破できないはず……。
「なのに刹那で破られるってどゆことーッ!?」
人形たちに攻撃的な防御陣を張らせても、瞬く間もなく蒸発した。
恒星誕生に匹敵する原初の光球が飛び交い、輻射熱だけであらゆるものが溶解するプラズマの嵐が吹き荒れ、ハルカを追い詰めるように迫ってくる。
チラリ、とハルカはガン泣きの顔で振り向いた。
深紅に染まるツバサさんは知っている――殺戮の女神モードだ。
純白に着飾るツバサさんも知っている――ブライドと呼ばれていた。
「じゃあ、あの……蒼で彩られたツバサさんはなんなのぉーーーッ!?」
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