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第12章 仁義なき生存戦略
第289話:穂村組番頭 レイジ・アリギエーリ
しおりを挟む──氷の彫像と見紛う男だった。
青白い肌に尖った耳。エルフ系の種族から魔族へとクラスアップした系統らしく長身痩躯の青年だ。整った顔立ちは美青年と評していい。
長めの髪は癖のないオールバック。
同じオールバックでもどこぞの愛弟子バカは髪質が独特すぎてハリネズミみたいだが、こちらはすっきりまとまっている。
仕立ての良さそうな高級スーツは寒色な肌の色に合わせたのか落ち着いた灰色で、薄く色違いのストライプになっている。胸元のポケットにはスカーフを飾ってダンディなオシャレを強調していた。
バリッと音を立てそうなワイシャツの襟は硬く鋭い。
愛弟子バカとよく似た銀縁眼鏡をかけているが、あちらはレンズフレームまでお堅い長方形だが、こちらは小洒落た丸形だ。
鑑定士が愛用する白手袋をはめた手でクイッと位置を直している。
その銀縁眼鏡の奥──感情が窺えない凍てついた双眸。
凡そ生き物とは思えない、暖かみのない眼だ。例えるなら鰐や鮫といった感情が読みにくい冷徹な捕食者を連想させる。
マーナ一味の隠れ家。そこでも使い道のなさそうな尖塔。
まだ壊れていないその突端に男は立っていた。
笑いもせず怒りもしない。
喜怒哀楽がない眼差しでマーナ一味を見下ろす。
いいや──あれは見下げ果てていた。
男を見上げるマーナは鉄火肌を鳥肌にして脅えており、ホネツギーはおろかドロマンまで彼女に抱きつき、一緒になってガタガタ震えている。
無駄口の多いホネツギーどころか、マーナにでも一言物申すドロマンですら何も言わない。仕方なく女ボスが代表して悲鳴を上げた。
「ば、ばばばばばば……番頭さん!?」
どうして此処に!? とマーナは驚愕の相で叫ぶ。
番頭、という単語にツバサの片眉が動いた。
アキが入手してくれた穂村組に関する資料は四神同盟に配られており、ツバサも目を通していた。組長については「よくわからないッス」とする部分が多いが、4人の幹部については概要が記されていた。
組長に次ぐ組織の№2“若頭”──火野源治郎。
そのサポート役である“若頭補佐”──夜村真里。
先代組長の師匠にして最古参“顧問”──百地万治。
そして、組の実務を司る“番頭”──氷室玲二。
マーナ一味が“番頭”と呼ぶのなら、あの男が穂村組の実務担当に違いない。
ツバサは誰にも気取られぬよう舌打ちした。
「……“顧問”ならワンチャンあったんだがな」
穂村組とはインチキ仙人を介して多少の縁がツバサにもあった。顧問が相手なら穏便に行かなくとも、少なからず伝手はあったのだ。
しかし、彼も“番頭”の肩書を持つ男。
穂村組という組織が活動をするためには、他の組織との円滑な関係を築く必要があり、組織の顔とも言うべき営業を担当する面もあるはずだ。
誰にでも無闇に喧嘩腰でぶち当たることはあり得まい。
穏便に話し合いで済ませようとする側面もあるはず、営業ならば尚更だ。
交渉の余地があるかも知れない。
乱入者の登場で困惑するヴァトとイヒコは、「どうしようママ?」と再び無言でお伺いを立ててきた。誰がママだ、と心の中で言い返す。
大声を上げて、番頭の意識をこちらに向けさせたくない。
ツバサの反応をミロは本能的に理解する。
セクハラ搾乳を止めると、ツバサの横に並んだ。ツバサと肩を並べる陣営の代表という無意識の自覚があるのか、覇気を発して存在感を示す。
だが──アホはやっぱりアホだった。
「アレだね、ドーラ一家の息子たちが困った時にお母さんのドーラにお伺いを立ててるのを思い出すよね。確か三兄弟なんだよね、息子たち」
ヴァトたちの狼狽振りを見て、感想みたいな無駄口を囁いてきた。
ツバサは誰にも見られない速度でミロを小突く。
「うるさい黙れ──ドーラさんはカッコいいだろうが」
密かにドーラ一家に憧れるツバサだった。
ミロの阿呆なボケにツッコミを入れながらも、ツバサは子供たちへの指示を忘れない。アイコンタクトで「戻りなさい」と命じた。
コクリと頷いたヴァトとイヒコは、マーナ一味や番頭から目を離さず、ゆっくり後ろ脚でこちらに戻ってくる。猛獣を刺激しない動きだ。
レイジはマーナたちから視線を外さない。
一方でツバサたちにも注意を払っており、一度足りとてこちらに目もくれないが「少々お待ちください」と態度で伝えてきた。
どうやらマーナ一味へのケジメを優先させたいらしい。
ほんの少しだけ、番頭レイジの出方を窺ってみることにした。
こちらが打って出ず様子見に徹することを雰囲気で伝えると、レイジは一瞥して「感謝します」という素振りの会釈をした。
穂村組らしからぬ柔らかい物腰……交渉できるかな?
ツバサと無言の(本当に一時的な)休戦協定を結んだレイジは、銀縁眼鏡の位置を何度か直すと、まずは言葉を発することなく圧力をかける。
無言の威圧にマーナ一味は押し潰されそうだ。
「おや、最後の奥の手とやらは披露しないのですか?」
拍子抜けですね、とレイジは眼鏡の位置を直す。レオナルドもそうだが、メガネキャラの癖なのか? ズレるなら新調しろと言いたくなる。
「組に顔を出せば若様……オホン、組長におべっか三昧のオープンな幇間持ちだと思っていた君たちの秘密兵器。是非とも拝見したかったのですがね」
マーナ一味から目線を外して左右へ横目を振る。
レイジはこの動作だけで隠し鉱山の状況を具に観察した。掘り出されるすべての鉱石の産出量まで見極めるように分析まで働かせる徹底ぶりだ。
「……この施設についても説明してくれますよね?」
レイジの眼光は鋭さを増す。
マーナ一味は白刃で斬られたように「ヒィィィィィッ!?」とみっともない悲鳴を上げて、もっと密着するように抱き合った。
まったく……レイジはうんざりしたため息を漏らす。
しかし、氷の表情は崩さない。感情を表すことなく言葉を続けた。
自分が現れた理由を遠回しに明かす。
「どんな仕事にも裏と表があるものです。私の場合、組の経理や実務を司る反面、監察官という汚れ仕事も任されておりましてね」
監察官? とミロを含めた子供たちが小首を傾げた。
レイジを邪魔しないようツバサは小声で解説する。
「簡単に言えば『組織内における警察』だ。それこそ警察の監察官が有名だが……組織内で『悪いことしてないよな?』って取り締まる仕事だよ」
ほぉ~、と子供たちも小さな感嘆で納得する。
番頭のレイジは穂村組における監察官であることを自認した。
監察官の目線ではなく素人了見だとしても、マーナ一味のやってることは9割方アウトだ。これだけの規模の鉱山を開いておきながら、組織にまったく報連相していない時点で大問題である。
彼は常日頃から構成員に目を光らせており、マーナ一味が組に内緒で隠し鉱山を作ったことを知って、その調査のために現れたらしい。
大方「私腹を肥やしているのでは?」と疑ったのだろう。
だが、マーナ一味の悪巧みは私腹に留まらない。
ツバサはクロコとジャジャの諜報活動により、マーナ一味が「真なる世界で天下取ったる! 穂村組は隠れ蓑な」という野望を知っている。
そこにレイジがどこまで迫るのか? せっかくだから高みの見物だ。
眼鏡のブリッジに指を当て、クイッと持ち上げる。
すると光の反射で眼鏡が瞬いて、レイジの視線を覆い隠した。
「君たちにはいくつか不審な点があったのでね。内密にマークさせてもらっていたのですよ。ま、結果は予想通りでしたが……」
眼鏡の奥で輝く眼光を想像しただけでマーナ一味は震えている。
これは──実力行使で余程の目に遭わされたらしい。
骨身に染みた恐怖にマーナ一味は調教されていた。
あんな為体でよく「天下取ったる!」とはしゃげたものだ。
「ふ、不審な点って……あたしら、穂村組のため、組長のため、一生懸命にやってきたじゃありませんか! 上納だって毎月欠かさず収めてきましたよ!?」
マーナは疑惑を払拭しようと、上擦った声で弁明した。
女ボスの勢いに触発されて、ホネツギーとドロマンも勇気を振り絞る。
「そそそそーよそーよ! 毎月t単位の鉱石やら貴金属やら、ぜーんぶインゴットにして穂村組に上納してきたのは僕ちゃんたちなんだからして!」
「ダスダス! こ、ここは安定して上納を収めるために作った鉱山ダス! 別に組に疚しいことしてるからって隠してたわけじゃないダス!」
ドロマンは言い訳が下手らしい。かなりボロを出していた。
マーナとホネツギーがドロマンの口を塞ぎ、愛想笑いで誤魔化す。
レイジはピクリとも表情を変えずに淡々と返した。
「疚しいところがなければ報告できますよね? 組に顔を出す度、3人揃って講壇に立った弁士よろしくおべんちゃらを長々と喋る君たちだ。この鉱山にしても功績として報告すれば、もっと組長の覚えが良くなりますよ?」
デスヨネー、と三悪トリオは渋い顔で押し黙る。
レイジの指摘が正論なので反論できまい。
しかしまあ、穂村組の上納は大変キツいと聞いているので、この隠し鉱山のことが知られれば「安定供給できるようになった? じゃあ来月から上納2倍だな」と命じられるのは容易に想像できる。
そう考えれば、この鉱山を隠しておきたいのは使いっ走りの人情だ。
ちょっとはピンハネしたくなる。
俯いた目線を明後日に逸らして顔は脂汗まみれ。
言い返せないマーナ一味にレイジは糾弾を続ける。
「そもそも君たちは組長の覚えがいいのです。有り体に言えば子分の中でも上位に入る“お気に入り”なのですよ? この鉱山のことを報告すれば上納は増えるかも知れませんが、それ以上に組長から目をかけてもらえる……」
何故──そうしなかったのですか?
レイジの詰問はいちいちもっとも、マーナ一味は弁解も難しい。
そこでマーナは別の切り口から許しを求めた。
「あたしたちが組長に気に入られてるというなら……なんで番頭さんに怪しまれなきゃならないの!? 自分で言うのも烏滸がましいですけど、あたしらは穂村組のために粉骨砕身、今日まで頑張ってきたんだよ!?」
上納も毎月欠かさず収めてきたし! とマーナが続けかけた時だ。
「──その上納が問題なんや」
レイジではない、関西弁がマーナの言葉を遮った。
番頭の背後からヒョコッと顔を出したのは、小太りな青年だった。
少年漫画の主人公をコロコロに太らせたような風貌だ。
この太くて丸い体型では、細身の番頭の後ろに隠れられるわけもない。
いきなり気配が現れたところから察するに、空間移動系の技能か、道具箱を操る系の過大能力で転移してきたのだろう。
急斜面な尖塔の屋根で滑りそうになる小太りな青年。
ちょっともたつきながらも両脚で踏ん張って姿勢を保ち、番頭の斜め後ろに腹心らしく控えると、転びかけた醜態も気にせず不敵な笑みを浮かべた。
アラビアンな商人風の衣装で身を固め、分厚い革の前掛けを付けており、頭には宝石と鮮やかな羽根で飾ったターバンを巻いている。腰にはジャラジャラと重そうな音を鳴らす$と¥のマークで彩られた金貨袋を下げていた。
眠たそうな半眼、小さな口から歯を覗かせてニヤリと笑う。
「金庫番……アンタも来てたのかい」
番頭レイジには平身低頭なマーナ一味だったが、この商人風の小男を見る目には敵対心が隠れている。どうやら仲はよろしくないようだ。
金庫番──この男はアキの情報リストにない。
現在の組長も“穂村”という姓の男性であるということ以外は、「どういうわけか検索や調査に引っ掛からないッス」と実在を疑いたくなるミステリアスな人物なのだが、この金庫番に関しては完全にノーマークだった。
ひょっとして──現実ではないどこかでスカウトしたのか?
アキが入手したのは、現実における穂村組の情報。
真なる世界やその前身とも言うべきVRMMORPG内での穂村組の調査は、他のゲームマスターの管轄だったと聞いている。その情報は現在、アキの過大能力で現実世界からサルベージしている最中だ。
金庫番という通称からして、経理担当なのは明白と言えよう。
実務担当である番頭の補佐でもあるらしい。
マーナ一味の愚かしさを見透かすように金庫番は嘲笑する。
「来てた、とはナメた言い草やな。ワイは番頭はんと一緒におどれら構成員からの上納を一銭たりとも無駄にせず勘定するのが役目なんやで? そん上納に不審な点があったら調べるんも金庫番の仕事ないか」
「不審な点って何よぉ! 僕ちゃんたち、毎月上納してたでしょ!?」
「そうダス! 毎月ちゃんと収めてたはずダス!」
番頭に何も言い返せなかった子分2人だが、金庫番には遠慮なく文句をぶつけていた。えらい強気でもある。
しかし、脂肪が厚そうな金庫番の鉄面皮は弾き返す。
ホネツギーとドロマンの反論を金庫番は一笑に付した。
「そう──毎月欠かさなかった上納こそが疑いのタネやねん」
はへ? とマーナ一味は気の抜けた表情で唖然となり、頭に大きなクエスチョンマークを浮かべた。金庫番は意地悪に笑うばかりで答え合わせはしない。
番頭であるレイジが1から解説を始める。
「我々がこの異世界に転移してきてから早いものでそろそろ1年……この右も左もわからない世界で生き抜くには、何をさておいても大量の物資が必要との判断から、構成員である君たちには物資を大量に収拾するよう命じました」
収拾した物資を稼ぎとして組に上納すること。
構成員は数人から数十人のグループに振り分けられ、それぞれの得意分野で物資を集めるように番頭から指示を受けていた。ある者は食糧を、ある者は水資源を、ある者は植物資源を、ある者は鉱物資源を……。
全員、毎月の稼ぎからの上納が割り当てられている。
上納を越える稼ぎを得られた場合、それを報告する義務こそあれど、手に入れた構成員の私財にしていいルールだ。しかし、緊急事態には組のために差し出させるので、各構成員が保有する物資量にも帳簿が付けられているという。
「そん帳簿の管理こそが金庫番の仕事や」
穂村組全体の総資産は一分の隙もなく管理されていた。
「マーナ君たちは鉱物資源担当──毎月t単位の上納ご苦労様です」
レイジは気のない棒読みで感謝の意を伝えた。
そこからの長ったらしい講釈は、徐々に嫌味が含まれていく。
「毎月毎月、ズタズタのボロボロの見苦しい格好で集会に顔を出しては、上納ギリギリの鉱石インゴットを組長に差し出し、とにかく大変な目に遭ったことを身振り手振りも大袈裟に報告して……君たちの面白おかしいハチャメチャドタバタ大冒険は組員の間では笑い物でしたが、張り詰めた彼らの精神を和らげる一服の清涼剤であり、若様……組長も月1コントと楽しみにしておられましたよ」
レイジの語尾から明確な苛立ちを感じられた。
いつもの仕種で眼鏡フレームを持ち上げようとするが、レイジの額やこめかみは怒りで浮かんだ編み目のような血管に邪魔される。
「それらすべてが……猿芝居だったとはね」
「「「ヒッ! ひぃぃぃひいいいいいいいいいいぃぃぃーーーッ!?」」」
魂の芯まで凍りつきそうな青白い魔力を発散させて、レイジはマーナ一味を凄絶な眼力で睨めつける。本当に冷気を帯びており、ホネツギーやドロマンは凍らずとも全身を霜で覆われていた。
マーナに抱きつくことで、意図せず彼女を守ったらしい。
番頭レイジ──冷気系が得意のようだ。
冷気というより局所的な猛吹雪になりつつあるレイジの魔力。
凍えるマーナ一味にレイジは罪状を告げる。
「隠し鉱山で安定供給できるようになったのに報告せず、私財を肥やす目的で秘密裏に鉱石資源を横領、その資源を用いて高火力の戦艦まで製造し、これもまた組には報告していない……」
これだけでも「背信の意志あり」と断罪されて然るべきであろう。
だが、レイジが怒っている原因は他にあった。
「あまつさえ若様……組長が毎月楽しみにしていたコントが、すべて作り話の捏造だったなんて! 若様を騙したこと、万死に値しますッ!!」
「「「「──激怒するポイントそこッ!?」」」」
レイジの怒声に、マーナ一味は異口同音でツッコんだ。
いや、金庫番も「そこなんでっか!?」と大口を開けて驚いていた。
レイジが感情を露わにしたかと思えば、怒っているポイントは割とどうでもいい部分だった。なんというか、組長に過保護すぎるのでは?
そして、ツバサはあることが気になる。
「レイジ、組長のことを若様と言いかけているが……」
当代の穂村組組長──もしかして若いのか?
番頭のレイジは一見すると20代後半から30代前半。彼が「若様」と呼ぶ年齢と考えれば、清々20代前半がいいところだろう。
ツバサの意見を聞いて、ミロが「それはどうかな?」と逆説を唱える。
「獅子のお兄ちゃんの同類っぽいインテリヤクザな人よりも年上な可能性も無きにしも非ず……年上の偉い人を『若様』って呼ぶこともあるしね」
「年長者を『若様』? そんな例あるわけ……」
「ドンキホーテ・○フラミンゴ」
「……ああ、うん、ごめん。あったわ。俺がド忘れしてたわ」
ミロに会話でやり込められた。ちょっと悔しい。
こちらのひそひそ話は聞こえておらず、穂村組劇場は続いている。
「だ、だからぁ……どうして上納で疑われなくちゃならないんですか! そりゃあ隠し鉱山のことは隠してましたけど、あたしらだってちょっとは自分たちの蓄えが欲しいだけで……大体、上納のピンハネやらチョロまかし、物資のへそくりなんて他の組員もやってることでしょ!?」
マーナは懸命に言い訳を並べるが、金庫番は鼻であしらう。
「無論みーんなやってるで」
ワイが一から十まで把握しとるけどなぁ、と金庫番は自慢げに胸を張る。
「当然、穂村ん若様も知っとる。しかし、そんくらい大目に見るんが組織のトップちゅうもんや。そやけど……おんどれらはやり過ぎや」
脂肪に埋まる太い首で隠し鉱山をグルリと見渡す。
「こんだけのどえらい鉱山があれば、単純な試算でも月に5tの鉱石なんぞ楽勝……手を抜いても3tは稼げるはずやな。ここんことが組長に知れて、おどれらの上納が倍に跳ね上がったとしても、毎月数tの稼ぎは自分の懐に転がり込んできたんやで? それをせぇへんちゅうことはや…………」
腹に一物ある──と疑われても仕方ないやん。
金庫番が通告した後、番頭はマーナ一味の失敗を突きつけた。
「何より……君たちは毎月の上納を必ず収めてきた」
それが疑惑の焦点なのですよ、とレイジは冷たい声で指摘した。
さすがのマーナも憤慨してレイジに食って掛かる。
「だぁかぁらぁ……なんでどうして! 毎月の上納を守ったら監察官のお世話にならなきゃいけないのよ!? あたしらノルマ守ったのよ!? 会社でも組織でも、月のノルマを達成する社員なんざ優秀だから表彰されるべきでしょ!? なのに、なんで氷の番頭さんや金庫番のデブに追及されなきゃいけないのよ!?」
責められすぎて気が昂ぶったためか、マーナは慣れない敬語も忘れて下町言葉で乱暴に言い返した。ツバサもキレると地が出るので共感が持てる。
金庫番がむっつり顔で「……デブ」とぼやいた。
レイジは馬耳東風で涼しげに聞き流すと、マーナが喋り終えて落ち着くまで一拍の間を置いて、プレゼンするかのように語り出した。
「この異世界に転移してきて早1年……上納のための集会は11回を数えて今度の集会は12回目、ちょうど1周年になります」
11回の完納を果たしたのは──マーナ一味だけなんですよ。
この意味がわかりますか? とレイジは詰問する。
レイジの物言いから、11回のノルマを怠ることなく収めてきたことを問題視されているのはわかるのだが、それの「何が悪いのか?」がマーナたちには理解できず、3人とも言葉に詰まって番頭を仰ぎ見るしかなかった。
おつむが足りんなぁ、と金庫番はマーナ一味を見下して助け船を出す。
「ええか? 四大幹部に匹敵するLV900越えのダテマル3兄弟、セイコはんにガンリュウはん……おどれらよか全然強い、穂村組のエース級の面々でさえ、1回か2回はしくじってるんやで?」
どんな精鋭でも、最低一度は上納できず未納になっているという。
ある時は上位魔族でも死にかける天変地異に見舞われ──。
ある時は想像を絶するモンスターの群れに出会し──。
そして、ある時は得体の知れない凶悪な怪物に襲われ──。
予期せぬトラブルは起こるものだ。
ましてや未知の異世界、何が起きてもおかしくはない。いくら組の生え抜きである猛者といえども、生き延びるだけで精一杯の時もある。
ゆえに精鋭部隊といえど上納できないことが数回あった。
「組長に顧問に若頭に番頭はん……幹部たちが一目置いて信も置く精鋭の中の精鋭ですら、この世界で稼ぎを得るんは命懸けっちゅうこっちゃ」
マーナたちは一斉に「あッ!?」と声を上げた。
ようやくマーナ一味は自分たちの脇の甘さに気付いたらしい。
「わかりましたか? 君たちは優等生すぎたんです」
他の優等生が失敗している毎月の難問に、お調子者トリオが11回も連続で満点を取れば怪しまれて当然だ。
「この異世界は、現実世界がぬるま湯に思えるほど苛酷です」
現実でも一騎当千の猛者であり、この世界への転移に備えて修練してきた穂村組の精鋭ですら、上納のための稼ぎを得るのは至難の業だった。
「なので君たちの力量ならば5度か6度は上納できずに詫びを入れるだろうという目算でしたが……蓋を開けてみれば最優秀賞ですからね」
「半年くらいまでなら大目に見たが、1周年を目の前にして怪しまずにはいられへんかったちゅうことや……ほんま、やり過ぎやでおどれら。自分より格上の連中がしくじり報告してるんやから、ちょいと考えりゃ良かったのにな」
マーナ一味はぐうの音も出ず押し黙る。
これ以上は言い訳も通じまい、と諦めたようだ。マーナは元より、ホネツギーもドロマンも口を開いて何か言おうとするのだが、一言も出せないまま口を閉ざして項垂れてしまう。
そんな彼らを──巨大な氷の鎖がまとめて縛り上げた。
氷の鎖から迸る冷気がマーナ一味を氷漬けにして、氷塊へ閉じ込める。
「ツバサさんが手を下すまでもなかったね」
ミロがぽそりと呟いた。
「……ああ、塩漬けにして100000年封印な」
もっともレイジは単に氷漬けにしただけかも知れないが──。
「もはや申し開きもできないでしょうが、組まで連行して若様へ……組長に詫びを入れてもらいましょう。ついで、ケジメもつけさせないといけませんね」
レイジが冷凍保存されたマーナ一味を指差すと、氷塊は独りでに宙へと浮かんで彼の背後まで飛んでいき、そこで不自然に消えた。
アイテムとして道具箱に格納したようだ。
「さて、馬鹿者たちの連行はひとまず終わりました。不始末についての責任に言及するのは組に帰ってからするとして……」
「こっちの問題も対処せななぁ……こりゃ厄介そうやで番頭はん」
レイジと金庫番は、揃ってツバサに振り向いた。
~~~~~~~~~~~~
番頭と金庫番が尖塔から降りてきた。
飛行系技能を利用して落ちる速度を加減すると、マーナ一味がギャアギャア騒いでいた広場に立ち、数歩こちらへ近付いてくる。
何があっても対応できる──そんな距離で立ち止まった。
改めまして、とレイジは胸に手を当てて敬服を示したお辞儀をする。
「お初にお目に掛かります、ツバサ・ハトホル様。私は“穂村組”という組織において番頭を務めさせていただいておりますレイジ・アリギエーリと申す者」
ひとつよしなに──レイジは慇懃に名乗ってきた。
彼の丁寧な挨拶には裏がある。
彼の分析系技能はマーナよりいくらかマシだった。
自分のLVが985、ツバサとミロがLV999なのをわかっている。
彼我に覆しがたい力量の差があるのを把握しているのだ。
穂村組の流儀で「子分の落とし前をつけてやる!」と喧嘩を吹っ掛ければ、痛い目を見ると悟っている。むしろ、態度からは「こちらに非がある」と弁えている感もあった。
少なくとも──喧嘩腰ではない。
ちなみに金庫番はLV777。おまけに戦闘系ではない。
かといってダインやジンのような生産系でもない。分析系で調べているのだが、いまいち要領が得ない。敢えて言うなら……商売系?
マーナ一味を退場させた今、戦力的に不利と算盤を弾いたのだろう。
「失礼ながら……貴女方のことは承知しておりました」
レイジは胸に手を当ててて頭を下げたまま、目線だけを上目遣いにしてツバサを見つめながら進言してきた。
マーナ一味に対する内定は1ヶ月ほどまえから始まっており、使い魔や偵察係を派遣して、彼女たちの行動をチェックしていたという。その甲斐もあってこの隠し鉱山を発見できたそうだ。
マーナ一味がハトホルの国で起こした悶着も知っているという。
これは……ハトホルの国の内情も調べてるな。
ツバサは内心舌打ちしたが顔には出さない。相手が口を滑らせるまで待ち、どこまでこちらの事情を知っているか引き出せるようにしないと……。
しかし、レイジはより深く頭を下げてきた。
「ウチの若い者が縄張りの流儀も知らず、そちら様に迷惑をかけたのは私の不徳のいたすところ……これより組へ連れ帰りまして、厳しく躾けて参りますので、今日は私の顔を立てると思い、穏便に済ませてはいただけないでしょうか? 詫びやご迷惑料に関しましては後日ということで……」
思い掛けず──レイジは謝罪をしてきた。
勝つまでやる、と公言する暴力団らしからぬ腰の低さには違和感しかない。
「意外だな──穂村組」
ツバサは爆乳の下で腕を組み、探りを入れるようにレイジに問う。
穂村組のことも先刻承知という態でだ。
「喧嘩の売った買ったの問答も煩わしいと、組の者と一度でも争えば、相手が地に沈むまで戦い続けると噂の反社会集団。そんな穂村組が詫びてくるとは……それもまた、組のポリシーを裏切る行為なんじゃないか?」
ほんの少し、嘲りを込めて挑発してみる。
「考え無しの狂犬の群れならば、今日まで生き延びることは叶いません」
ツバサの煽りを受けても、レイジは冷静に切り返してきた。
そういえばレオナルドが言っていた。
穂村組には代々優秀な頭脳役がいたらしく、戦国、安土桃山、江戸、幕末、明治、大正、昭和、平成、令和……と時代を越えて生き延びてきたと。
「私は勝てない相手に喧嘩を売るほど愚かではありません。負け戦に全額投資する度胸も持ち合わせていない……余所様に対して無礼をしでかした部下がいるならばこれを叱りつけ、相手方へ非礼を詫びるのが上司の務めです」
「……そうだな、違いない」
レイジの言い分は理に叶っている。
そもそも穂村組の信条が組織として不合理なのだ。
これは推測だが、代々の穂村組は自分たちよりも強力な組織、その時代における覇者に頭を垂れてきたはずだ。そうすることで命脈を保ってきた。
代々の番頭役は苦労人に違いない──レイジのように。
曲者だらけの組織をまとめる、という心労はツバサも抱えている。レイジの眉間に寄った皺から察するに、問題児はマーナ一味に限るまい。
交渉だけではなく同情の余地もありそうだ。
ツバサはわずかに緊張の糸を緩めると、静かだけど相手に伝わるリアクションでため息をついた。大きく乳房がバウンドするが気にしない。
「……わかった、レイジさん。この場はあなたの顔を立てよう」
「感謝いたします、ツバサ・ハトホル様」
ツバサが謝罪を受け入れると、すかさずレイジが礼を述べてきた。
そこへ間髪入れずツバサは交渉に打って出た。相手が下手に出ている今、高圧的ではない譲歩を持ち掛け、穂村組との話し合いを持ち掛る。
「そちらの三悪トリオがしでかした不始末は、あなたが厳しく処断するという言葉を信じて不問としよう。それでも、改めて謝罪に来てくれるというのなら、そちらの組長さんに是非ともお目に掛かりたい」
お連れすることはできるかな? とツバサは遠回しに要求した。
レイジが小さく肩を揺らしたのを見逃さない。
彼の返事よりも早く、ツバサは組長に会いたい理由を告げた。
「なに、組長さんに頭を下げろというんじゃない。こう見えて、俺たちもそれなりの集団でね……俺やミロのようにLV900越えのプレイヤーが何人も与する組織なんだ。組織の長として挨拶し、お互いの交流を深めてみたいんだよ」
この世界を生き抜くために──と最後に要点を伝える。
それとなく「俺たちみたいなLV999が他にもいるぞ」と婉曲にこちらの戦力も伝えておいた。威嚇と威圧を兼ねた言葉による示威行動だ。
「申し訳ありません、私の一存では即答しかねます」
レイジはツバサを刺激しないよう、穏やかな口調で了承を避けた。
「組織同士の繋がりを持つのは、私個人の意見としましては大賛成です。しかし、これは組長本人の裁可を求めなければなりません。残念ながら現在、組長はかなり遠方におられまして、すぐに連絡がつかないのです」
ですが──とレイジは代替案を切り出した。
「申しました通り、他の組織と連携するのは私は賛成です。必ずや組長を説き伏せ、ツバサ様が率いる組織……ハトホルの国と仰いましたよね? そちらへお伺いするよう手配しましょう。そう……半月ほどお時間をいただけませんか?」
やっぱりハトホルの国を知ってやがった。
この分なら国民にいる種族や、プレイヤーについても知っていそうだ。
それぐらいは調べが付いているのだろう。
しかし、期限付きの約束を引き出せたのは上々だった。
交渉するにしろ戦争するにしろ、準備期間が欲しいのは想定の範疇だ。
今回はハトホル陣営として、交渉を前提に話を進めたいので時間を与えることに異存はない(戦争ならそんな暇は絶対にやらない)。
穂村組に「組長の面貸せやオラ」と持ち掛け、その営業担当である番頭に「2週間以内には結果を出します」という言質を取れたのは大きい。
もしも約束を破れば──こちらから出向くまでだ。
こんなこともあろうかと、ヴァトたちが激戦を繰り広げていた時、マーナ一味にまたツバサの髪の毛を発信器代わりに絡ませておいた。
レイジが三悪トリオを連れ帰れば、奴らの本拠地が割り出せる。
どんな展開に転がろうとも、穂村組の組長とは御対面できる予定だし、レイジの出方からすると穏便に話をまとめられる可能性もなくはない。
「半月ほど──わかりました、お待ちしましょう」
ツバサは鷹揚に認めた。
「感謝いたします、ツバサ・ハトホル様」
レイジは大仰に頭を下げて感謝の意を伝えてくると、姿勢を正してから金庫番にアイコンタクトを送った。今日はこのまま引き下がるつもりのようだ。
「あ、最後に一個だけ──よろしいでっか、ハトホルの姐さん」
誰が姐さんだ、と口から出そうになる。
すんでのところでミロに尻を摘ままれたので飲み込んだ。
「んっ……ううん! はい、何かな?」
ツバサは咳払いをして金庫番からの質問に応じた。
おおきに、と金庫番は軽い会釈をしてから了解を求めてくる。
「あのー、ウチの三馬鹿トリオがかき集めてきた原住民の奴隷。あれワイらが持ち帰ってもよろしゅうおまっか? 三馬鹿が組へ上納せんと隠しとった財産みたいなもんやからな。ワイらの組の所有物っちゅうことで…………ヒィッ!?」
話の途中でも構わず、金庫番は悲鳴を上げて後退った。
レイジも危険を察して「なに余計なこと言ってるんですか!?」と非難がましい目で金庫番を睨みつけるも、同じように飛び退いた。
ツバサは──殺戮の女神と化していた。
ミロを初めとした子供たちは危険を察して離れており、ツバサは全身から怒りの業火を噴き上げ、その熱量は踏みしめている大地を焦がしていた。
ツバサの半径5m以内が溶融し、マグマとなって流れていく。
燃える吐息とともにツバサは怒声を漏らす。
「あの子たちを…………奴隷? 財産? 所有物……だと!?」
ヴァラハ族もナンディン族も、神々の乳母の眷族となった。
神々の乳母にしてみれば眷族は我が子も同然。
その子供たちを原住民と差別的に愚弄して、奴隷と称して非人間的に扱い、あまつさえ財産と呼んで人権を無視し、所有物と言い張ったのだ。
この瞬間──ツバサの脳内から「交渉」の二文字は消え去った。
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