上 下
265 / 533
第11章 大開拓時代の幕開け

第265話:ハトホル魔法魔術学校

しおりを挟む



 講武館こうぶかんからけたたましい気合いが響く頃──。

 総合訓練場の別館でも、各種族から選ばれた若者たちが戦闘に関する知識を学んでいた。こちらは運動能力よりも資質が物を言う能力だ。

 魔術訓練場──と名付けられた建物が数棟並んでいる。

 多くの種族から『ハトホル魔法魔術学校』と呼ばれていた。

「いくらハトホルの国だからって……何でもかんでも神々の乳母ハトホルの名前を付ければいいってもんじゃないだろ! 誰だあんな名前付けたの!?」

 この学校名にツバサは異を唱えたことがある。

 住民の誰かが言い出したとは思えないネーミングセンスに、ツバサは「発案して広めた者は名乗り出なさい。お母さん怒らないから」と握り締めた拳に血管を浮き立たせて説教したが、この名前を広めた張本人は見つからなかった。

 ……十中八九、フミカとプトラだ。

 読書家の2人なら、あの有名作品から思いつくことは造作もない。

 きっとツバサが抗議せずにいたら、各教室にグリフィ○ドールやらスリザ○ンやらと好き勝手に組み分けしていたのは想像に難くない。

 それはさておき──魔術関連は確かにツバサの領分だった。

 神々の乳母ハトホルは魔法を司る女神でもある。

 実際、格闘技ばかり教えているわけじゃない。

 徒手空拳を主として戦闘をこなし、合気の技で敵を軽やかに投げ飛ばし、義憤ぎふんに駆られれば鉄拳制裁。これがツバサの基本スタイルなので『戦いの女神』と思われがちだが、大きな勘違いである。

 ツバサの神族としての権能けんのうは大地母神。

 その技能スキル構成は本来、魔法や魔術に重きを置いていた。

 役割的には魔法職に特化しているのだ。

 しかし、現実世界においてインチキ仙人を自称する師匠から格闘技術を叩き込まれたおかげで、ツバサ自身は合気を主流とした武術の達人。

 それを活かした格闘スタイルに、魔法を付与して戦ってきた。

 あと──アホミロが無茶してもフォローできるように、戦闘系の魔術技能のみならず回復系や補助系も充実させたら、魔術魔法特化になったというのもある。

 アルマゲドンでは、魔術と魔法は明確に線引きされていた。

 魔術とは──力を技で操作して様々な現象を起こす。

 これは修練さえ積めば人間を初めとした種族でも使える。

 魔法とは──膨大な力で世の則をねじ曲げて超常現象を起こす。

 こちらは神族や魔族といった上位種族にのみ許される奇跡。

 具体的に例えれば──以下の通り。

 魔術によって起こされた火や雷は自然現象に準ずるものだ。火なら水で消化できるし、雷も海に落ちればすぐに威力が弱まる。

 しかし、魔法によって生じた火や雷は違う。

 費やされた魔力にもよるが、ツバサのようにLV999の魔法使いならば、水の中でも盛んに燃える業炎を生み出すこともできるし、海中を減衰げんすいすることなく進む稲妻をほとばしらせることも可能なのだ。

 魔術と魔法には歴然れきぜんとした差があった。

 この魔術訓練場は種族のために用意されたものなので、『ハトホル魔術学校』と呼ぶべきだろう。魔法は教えられないし習得もできないからだ。

 ……訂正するのも今さらだけど。

 住民たちに定着してしまった上、調子に乗ったダインが魔術訓練場の入り口に『ハトホル魔法魔術学校』なんて仰々しい看板まで作ってしまった。

 本当、悪ノリ好きな子供たちである。

 そんなわけで、ハトホル魔法魔術学校では今日も多くの種族たちが通い、一人前の魔術師になるべく練習に練習を重ねていた。

   ~~~~~~~~~~~~

 ハトホル魔法魔術学校──その一角。

 ここは体育館みたいな天井の高いイベント会場にも似た建物だが、床が張られておらず地面がむき出しになっていた。踏み固めの甘いグラウンドみたいに土が敷き詰められている。

 そこには──何本もの木が植えられていた。

 背が低い割に多くの枝を伸ばしている果樹かじゅのような枝振りだが、どの木にも花が咲くどころか葉の1枚もついていない。一見すると枯れ木のようだ。

 閑散かんさんとした冬の屋内果樹園。

 そんな風景の中で、多くの種族が魔術の基礎を学んでいた。

「ま、あたい・・・被造物ハンドメイドだからちゃんとした植物じゃないし」

 プトラは木々の枝振りを見て回りながら呟いた。

 ──プトラ・チャンドゥーラ。

 イヒコやヴァトとともに、世界樹の跡地に隠れていた妖人衆との一件でハトホル一家に加わったプレイヤーの1人である。

 年の頃はダインやフミカと同じ17歳。

 現実ではコギャルな女子高生だったそうだが、アルマゲドンでのキャラクターもコギャルな女子高生というキャラ造りを徹底していた。強制転移により真なる世界ファンタジアに飛ばされても、そのスタイルを変えるつもりはないらしい。

 女子高生を意識したコスチューム。

 やけに凝ったデザインのブラウスに、かなり攻めた短い丈のスカート。足回りは特殊効果を付与バフしたというレッグウォーマーで固めている。

 長い金髪は片側だけ派手に盛り上げて、もう半分はサイドテール風にまとめている。コギャルの割にお化粧は薄めだが、それは彼女の美貌に合っていた。

 シルバーアクセサリーの代わりではないだろうが、腰で交差させた2本のベルトには物作りに欠かせない道具をジャラジャラと下げている。

 プトラは生産系の天才と言っても過言かごんではない。

 運動神経ゼロなので戦闘においては役立たず、読書家と言い張る割に頭が悪いのか魔法系技能スキルも低く、私生活においても家事全般はまるでダメ。

 一緒に旅をしていたイヒコやヴァトからも「ダメ人間!」と呼ばれ、当人もケラケラ笑いながら否定しない、自他ともに認めるダメ人間。

 しかし、生産系では天才肌なのだ。

 ダインやジンのように工作系クラフトに秀でているわけではない。

 彼女は小物や雑貨といった、身の回りのちょっとした小道具を作ることに秀でており、そうしたアイテムに特殊効果を付けるのが上手いのだ。

 現実でもシルバーアクセサリーなどの小物を作るのが趣味だったというが、その才能が真なる世界ファンタジアで開花したらしい。

 神の力が──彼女の才能を加速させる。

 プトラの過大能力オーバードゥーイング──【工芸の女神ゴッデス・が編み出す一風クラフト・変わった小技】ワークス

 この過大能力によって、彼女の手作りしたアイテムには神懸かり的な効果が付与されるようになった。その威力は一言で評するなら「やりすぎ!」だ。

 例えば──注いだ液体がなくならない水筒すいとう

 水不足には悩まされなくなるが、万が一にでも横倒しにして放置すれば、その地は一昼夜で大きな湖に没してしまう。

 例えば──無限に使えて火力調整ができるライター。

 最大火力は森を一瞬で灰燼かいじんに帰し、岩石や岩盤さえも焼き溶かして溶岩に変えてしまう。もはや自然災害を兵器にしたレベルの威力だ。

 例えば──龍宝石ドラゴンティア灯芯とうしんにした永久に明るい角灯ランタン

 これも光量調整できるのだが、最大光量に設定するとレーザー光線みたいな威力となる。指向性も調節できるため、これも兵器となるだろう。

 ……こんな具合に付与される効果が半端じゃない。

 使い方を一考すれば価値がありそうなものばかりだが、ツバサたちが使うにしろ種族に貸し与えるにしろ、危なっかしいのだ。

『もう少し手心というか、付与効果の加減を覚えなさい』
『ちょっと手を抜くぐらいでいいんスよ。あと安全装置つけるッス』

 ツバサの教育とフミカの助言により、最近ようやくさまになってきた。

「そんなあたいの春の新作ニューアイテム──『マジックツリー』だし」

 プトラは魔術訓練場に立ち並ぶ木々を紹介する。

「あの木、各種族の魔術練習用に作ったんですよね? 一体どういう使い方をするんですか? ワタシ、先生役は今日が初めてで……」

 プトラの横に立つマリナが興味から尋ねた。

 ゴシックロリータなドレスに身を包み、王冠型帽子を被るマリナ。

 彼女にとっての正装であり戦闘用装備だ。

 これらの衣装には魔法系に強化バフ付与ふよする効果がある。

 戦闘技術だけではなく魔術などの技能スキルも教えていくことになり、魔術の上位互換である魔法を使える神族は持ち回りで講師役を務めていた。

 今日はマリナの初当番──プトラがサポート役だ。

「木といってもあたいが作った造花ぞうか……木だから造木ぞうぼくかな? だから自然に帰しても増えたりはしないけどね。マリナちゃんなら見てればわかるし」

 百聞は一見に如かず、とプトラは木を指差した。

 プトラの指先に釣られて、マリナは訓練場内の様子を観察する。

 マジックツリーの回りには、生徒である各種族の魔術師候補生が立っていた。彼らは木を見上げて、その枝先に手を伸ばしている。

 枝の先端──そこに結ばれたつぼみを両手で軽く包んでいた。

 蕾を風から庇うように、両手で包み込むようにして覆っている。そんな彼らの手から魔力が出ているのをマリナは感じ取った。

 放出される魔力は、マジックツリーの蕾を感化させる。

 魔力を浴び続けた蕾はやがて──。

「あ、お花が……?」

 とあるケット・シーの少女が蕾に魔力を注いでいると、その蕾は見る見るうちに膨らんでパッと花開いた。真っ赤な花弁が幾重にも複雑に絡んだ、見たこともない花である。多分、プトラのデザインした想像上の花だろう。

 その花の中央には──魔力の炎が灯っていた。

 隣の木でもハルピュイアの娘が同じことをしており、こちらも蕾が花開いたのだが、こちらの花はハイビスカスに似ているのに爽やかな青だった。

 その花には──魔力の風が渦巻いている。

「……そっか、わかりました。あのマジックツリーって木、魔力を注いであげると花が咲くんですね。しかも、注いだ人によって咲き方が違います」

「ピンポーン、大正解だし♪」

 プトラはネイルアートが煌めく人差し指を立ててクルクルと回す。

 マジックツリーに関しても説明を加えていく。

「あの造木はね、魔力を受けると増えたり変わったりするあたい特製の紙を何百枚も折り重ねて、ちょいと特殊なアレンジを加えてできてるからね。ああやって魔力を注いでいくと、その魔力に応じた花を咲かせるってわけだし」

 咲いた花は自然に枝から離れ、種族の手の内に収まる。

 自分の魔力で咲いた花を両手で掬うように持ち、魔術師候補生たちはこちらへ集まってくる。ポン! とプトラはマリナの背中を押した。

「さ、こっから先はチビッコ先生の出番だし。あの花はまだ特製の紙が生きているから、魔力を注いでやれば色んな風に変わるし」

「なるほど、そうやって魔力の使い方を練習させてあげるんですね」

 一を聞いて十を知る──マリナはすぐさま理解した。

 そういうことだし、とプトラは賢い妹に微笑んだ。

「マジックツリーやそこから生まれた花に何かあったら、あたいがちょちょいと直してあげるから、マリナはみんなの先生お願いするし」

「はいです、わかりました。それじゃあ……はーい! お花を咲かせられた人はこっちに集まってくださーい! ワタシの前に順番に整列して……はい、ココから順に4列……いえ、5列に並んでくださーい!」

 マリナは魔術師候補生の人数をザッと数えて、5列がちょうどいいと判断すると彼らを等間隔に整列させて、「まずは魔力の花から出てくる火や風や水を、掌の中で持続できるようにしてみましょう」と課題を与えている。

 そうして、1人1人を漏らさずチェックするように見て回りながら、筋のいい子にも不器用そうな子にも、分け隔てなくアドバイスしていく。

 なかなかどうして──いい先生っぷりだ。

 マリナの先生っぷりを見守りながら、プトラはマジックツリーの整備をしつつ、魔力の花を散らしてしまった候補生たちに次の蕾を用意してやっていた。

 セイメイの講武館と、マリナとプトラの魔術訓練場。

 どちらの授業もつつがなく進行しているようで何よりである。

   ~~~~~~~~~~~~

 千里眼による視察を終え、ツバサの視界は我が家マイ・ホームへ戻ってくる。

 今では地母神の権能でハトホルの国の全てを知覚できるツバサだが、人間だった頃の感覚が捨てきれないためか、どうしても視覚情報に頼ってしまう。

 視界が戻ると、まずミロの姿を探した。

 すると欄干らんかんにもたれかかって「ボケーッ……」としていたので、無意識に抱き寄せるとその頭を爆乳の支えにする。

 いつでもハトホルの国の隅々まで視界が届くように千里眼はそのままにしておくと、ツバサは秘書役のフミカの第一次産業の状況を尋ねてみた。

「フミカ、食糧自給はどんな具合になっている?」

「農業、畜産、酪農、漁業、林業……すべてにおいて順調ッス。林業はさっきオリベさんが視察に行ってましたけど、一応ご報告すると全種族の中から力自慢な子たちが山の木を切り出して、街と結んだ街道を毎日えっちらおっちら荷車を引いて建材となる材木を一生懸命に運んでくれてるッス」

「そうか……伐採した森はどうしている?」

 千里眼で見る限り問題なさそうだが、報告として聞いておきたかった。

 報告書としてまとめられた【魔導書】グリモワールをフミカはめくる。

「ダイちゃんやジン君の教えた通り、植林活動してるッスよ。本来なら数十年かかるところを、バサ兄が地母神の力で植物育成を早めてくれてるおかげで、数年後には木材として使えるまでに成長すると思われるッス」

 ツバサは頷きながらも、あまり釈然としなかった。

 これは植林に限った話ではない。

 住民たちが必要とする物資で、ツバサが大地母神の力で用意できるものはできる限り増産できるように地脈へ働きかけているのだ。

「本来、こういうのは神の力を利用したズルなんだが……種族たちには急いで文明的な力を取り戻してもらわないと、いつ蕃神ばんしんが総攻撃を仕掛けてくるかもわからないからな。あちこちかすようだが仕方ないか……」

「子供を甘やかしたくないお母さんみたいだねー」
「誰がお母さんだ」

 ツバサに抱き締められて子猫みたいにゴロゴロ喉を鳴らしていたミロが、不意に茶化してきた。だが、その発言は言い得て妙である。

 我が子同然である種族を甘やかせたくはない。

 かといって、いつ蕃神が大攻勢を仕掛けてくるやも知れない、このイカレた時代を生き抜くためには、大急ぎで文明の力を取り戻させる必要がある。

 そのためには、何かと入り用なのだ。

 幸いにも現実世界のように金銭的なコストこそかからないし、神の力に目覚めたプレイヤーたちが援助できるのだから、やらないに越したことはない。

「戦争ってばお金がかかるばっかりで得るもの少ないッスからね」

 フミカはシニカルな微笑みで知ったような口を利く。

 ツバサも承知の上で愚痴を垂れる。

「おまけに蕃神から吹っ掛けてくる侵略戦争。こちらは防戦一方だからな……勝利したとしても自軍の陣地とも言えるこの世界を守れるだけ。蕃神どもの領地が得られるわけでもない……クソ、言葉にしてみたらムカついてきたな」

 勝ったとしても旨味うまみがない。

 国力や民が疲弊する戦いを強いられても、得られるのは安全のみ。

 既に述べた通り、蕃神どもの世界や領地をこちらのものにできたり、倒した蕃神から有用な素材でも剥ぎ取れれば話は違うのだが、どちらも望むべくもない。

 蕃神の潜む異次元は、ツバサたちが気軽に手を出せる領域ではない。

 また、蕃神たちの死骸も瘴気しょうきをばらまくばかりで使い道がない。むしろ後始末に更なる労力がかかる負の産物である。

 浄化する手立てはいくつかあるが、再利用しにくいのが悔しい。精々、蕃神たちの瘴気や死骸を綺麗にして幾許いくばくかの“気”マナを得られるのがいいところ。

 奴らを倒しても得られる物は少ないのだ。

 苦労の割にリターンは限りなくゼロ、見返りがないのが業腹ごうはらだった。

「でも、んなきゃみんな滅ぼされちゃうからね」

 戦るしかないっしょ、とミロだけが前向きな意見を述べた。

 胸に抱き締めたままのミロを褒める代わりに、そのほっぺを両手でムニムニこねくり回しながら、ツバサは気になった農業についても訊いてみた。

「そういえば農業はどうなってる? 一気に人口が増えたから、かなり広い農地を用意して、農作業のための人員もそれなりに投入したはずだが……」

 言い忘れていたが──他の種族も増えている・・・・・・・・・・

 ケット・シー、セルキー、ハルピュイア。

 ハトホルの谷の頃から居着いていた種族たちの別の部族が、各地を巡回していたスプリガンの高速艦によって発見、保護されていたのだ。

 コボルトにノームにラミアも、複数の部族を時間差で保護していた。

 このためハトホルの国の総人口は爆発的に増え、現在では数千人にまで膨れ上がっていた。だからこそ、第一次産業の拡充や街の発展を急いでいるのだ。

 この急激な人口増加──ハトホルの国に限った話ではない。

「アタシのおかげで、どの陣営も絶賛人口爆発中だもんね~♪」

 ツバサの両手で頬をこねられたまま、ミロは得意気にドヤ顔で偉そうにふんぞり返った。シニョンにまとめた頭がツバサのお腹にめり込んでくる。

 そう──ミロが過大能力オーバードゥーイングにて行った大号令。

 あの効果は今なお続いており、各陣営に続々と種族が集っているのだ。

 ハトホルの国がこの通りなのは言わずもがな、イシュタルランドも、ククルカンの森も、タイザン平原にある還らずの都周辺も……。

 各陣営に集まった種族は、そのまま保護下にある集落に住み着いて、それぞれの陣営に属する住民として暮らしていた。どの陣営の人口も平均して2000人ほどを数えている。

 ある意味望んだことではあるものの、ウチのアホが思いつきで何の相談もなしにやったことなので、各陣営に迷惑を掛けているなぁ……と思わないでもないツバサはそこはかとない罪悪感も覚えていた。

「ムギュゥゥゥッ! ツバサさんギブギブギブッ!?」

 憂さ晴らし代わりに、これでもかとミロの顔を両手で押し潰してやった。

「増えた住民のためにも、食糧増産は最優先すべき事項だ。しばらくは俺たちから供給するのはやむを得ないが、それに頼るようになったら困る」

「いずれ税という形で取り立てもするからには自立してほしいッスね」
「その通りだ。それで、農業も順調だと言ったな?」

 言ったッス、とフミカは答えてニンマリ笑った。

「なんせスプリガン族の面々が、簡単な耕作機械やらまで手作りして手伝ってくれてるッスからね。そりゃ捗るのも当然ってなもんッスよ」

 これを聞いたツバサは目を丸くした。

「えっ……スプリガン族が? どうしてまた?」

 彼らは他の種族と違い普通の食事を摂らない。“気”マナを凝縮させた結晶体である気密体マナトリクスという特殊なエネルギー食で生命活動を維持している。

 だから──農業に参加する義務も必要性もない。



「そんな彼ら……いや、彼女たちが農作業を手伝ってくれているのか?」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

新しい自分(女体化しても生きていく)

雪城朝香
ファンタジー
明日から大学生となる節目に突如女性になってしまった少年の話です♪♪ 男では絶対にありえない痛みから始まり、最後には・・・。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...