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第9章 奈落の底の迷い子たち

第224話:妖怪たちの正体~“破脚”の蹴速

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 後にウネメはこう述懐じゅつかいする。

「見たことも聞いたこともない──壮絶な明王みょうおうがそこにいた」

 不動明王ではなく、降三世ごうざんぜ明王でもなく、軍荼利ぐんだり明王でさえなく、大威徳明王とも思えず、金剛夜叉明王ですらなく、愛染あいぜん明王や孔雀明王でもない。

 憤怒ふんぬそうにて仏法を守護する明王とは、似ても似つかぬ兇猛きょうもうそう

 その時のセイメイは──千剣せんけん万刃まんばを振るう破軍はぐんの明王に見えたという 

   ~~~~~~~~~~~~

 ウネメと共にこの根城を守るしょうの1人──オサフネ。

 彼の正体は何百本もの自我を持つ刀だ。

 何百本もある刀剣の群れが“オサフネ”という1人の人格で動いており、一振り一振りの刀は、彼にとって手足みたいなものらしい。

 ウネメ同様──この地で化生けしょうに墜ちた1人だ。

 ウネメが侵入者である“天魔てんま凄鳴せいめい”という剣客けんかくを誘き寄せたのは、オサフネが罠を張っていた武術鍛錬のための地下“道場”。

 そこでオサフネはさも「足利あしかが義輝よしてる公の最期」を真似したかのような、地面に突き立てられた無数の刀を演じて、侵入者を待ち構えていた。

 ウネメの剣術で侵入者を討てれば──それで良し。

 オサフネは彼の振るう剣という役目だけを果たせばいい。

 しかし、侵入者の実力がウネメを大きく上回った場合、彼の合図でオサフネが罠を発動させる。刀のフリをやめて、自ら襲いかかるのだ。

 四方八方、三百六十度から無数の刀剣による一斉同時刺突。

 最強の軍神と恐れられた古代中国の蚩尤しゆう、剣豪将軍と謳われた足利あしかが義輝よしてる

 一騎当千が過ぎるあまりどれだけの兵卒へいそつが束になっても敵わなかった彼らも、捨て身の覚悟を決めた兵士たちによる全方位からの一斉攻撃で命を落とした。

 どんな豪傑ごうけつすらも殺す――力なき一兵卒いっぺいそつたちによる最後の手段だ。

 念には念を入れて隙を作る一手も忘れない。

 ウネメがさらすことをいとう、異国の女性のように変わり果てた身体を囮にして、侵入者の注意を逸らすと同時にオサフネが群がる。

 数百本もの刀で一斉に狙われて、躱しきれる者などいるはずがない。

 そう思っていた──あの時までは。

   ~~~~~~~~~~~~

久世くぜ一心流いっしんりゅう──破軍はぐん

 セイメイが技名を呟いた時、すべてが終わっていた。

 飛来する刀の群れは、餌を求めて襲ってくる凶鳥きょうちょうの群れにも等しい。

 如何いかに達人であろうと、上下左右の全方向から一斉に数百本の刀に突き刺されては一溜まりもあるまい。全身を刺し貫かれて絶命するに決まっている。

 そう思っているだろう──ウネメとオサフネは。

「まさか、全部へし折られるとは思わなかっただろ?」

 セイメイはオサフネの刀を1本残らず斬った。

 斬り、断ち、折り、叩き、砕き、弾き、切り、曲げ、潰し、殴り……一振りたりとも逃すことなく、害鳥の群れを駆除するが如く斬り伏せたのだ。

 やったことは至極単純──。

 迫ってきた刀から順序よく斬り落としてやったのだ。

 それを神の領域──神速にて行ったまで。

 破軍の名が示す通り、この技は軍勢を破るために編み出された。

 本来なら兵士を完膚なきまでに斬殺するのが本領なのだが、刀だけ折れば良かったのでお手軽バージョンで済んだ。

 ウネメの動体視力なら、来業伝を持つセイメイの腕が千手観音よろしく増えて、刀の群れを斬り払ったように見えたことだろう。

 それをウネメは──悲鳴じみた声で言い表した。

「バ、バケモノ……いや、世にも怖ろしい明王が……ッ!?」

 金髪の美女にしか見えぬ風貌は冷や汗に濡れて顔面蒼白。腰を抜かしてその場にへたり込み、立ち上がる気力もなさそうだ。

「腰をぬかしている場合か、ウネメ! 立て、立つのだ!」

 折れた刀身を振るわせてオサフネが叱咤しったする。

 口がない代わりに、鋼の身体を震わせて音を発しているらしい。

 ほとんどの刀をへし折ってやった割にオサフネの声は元気だった。刀身が長めに残っているボロ刀を浮かび上がらせて、抗戦の意志を露わにする。

「我らが負ければオリベ殿・・・・に負担がかかるッ! ましてや姫様・・になんと申し開けば……差し違えてでも、この男だけはここで仕留めねば……ッ!」

「やめろ、オサフネ──もう無理だ」

 ウネメは江戸っ子っぽい口調を抑え、真剣味を帯びた声音で告げる。

 腰を抜かしてへたり込んでいたウネメは死をも覚悟した形相になるや否や、その場であぐらをかいて握り締めた拳を地面につき、深々と頭を下げてきた。

 武士らしいお辞儀の仕方だ。

「参りました、天魔凄鳴殿──オレたちの完敗です」

 潔く負けを認めるウネメにオサフネは抗議の声を震わせる。

「何を言うのだウネメ! 我らはまだ負けてはおらぬ! 刀が必要というなら私がいくらでも打てばいいだけのこと! 戦う力は残されているッ!」

 見れば──折れた刀が復元していく。

 カーン、カーン、とつちを打つ音が響く度、折れた刀がくっついて元通りになっていった。砕けた破片も繋ぎ合わされ、潰された刃も研ぎ澄まされる。

 セイメイが折った数百の刀は瞬く間に復活を遂げた。

 オサフネが再び切っ先を尖らせる前にウネメが叱り飛ばす。

「やめろと言ったんだ、オサフネッ!」

 力関係ではウネメが上なのか、叱責を受けたオサフネは震え上がった。それは海を泳ぐ魚群ぎょぐんが迫る勇魚いさなに脅える様によく似ていた。

 ウネメは真に迫った声で言い聞かせる。

「おまえ、まだわからないのか? この黒いの……いや、凄鳴殿はな、オレたちを殺さないように、ずっと手加減してくれてたんだ。その気になればいつでも殺せたはず……死ににくくなった・・・・・・・・オレたちでさえもな……」

 そう──セイメイなら殺せる。

 ウネメの力量なら、初手で仕留めるのも容易たやすかった。

 折っても壊しても高速再生するオサフネを殺し尽くすのは難しそうに思えるが、セイメイならば手練てれん手管てくだで殺すこともできる。

 死ににくい者を殺す技なら久世一心流にごまんとある。

 それでも殺せないとなれば──過大能力オーバードゥーイングを使う。

 セイメイの過大能力【遍く万物オールシングを斬り・スレイ・絶つ一太刀】デストロイヤーは、斬った者を一片残さず塵へと返す。それしか能がない滅殺めっさつの力でもあるのだ。

 汎用性はんようせいのない使い勝手の悪さがチャームポイントである。

 抹殺、抹消、消滅……この世から消すことに関しては天下一品だ。

 ウネメは過大能力について知らなそうだが、セイメイの剣技が「尋常ならざる領域をも越えている」と、戦った肌感覚で感じ取ったのだろう。

「このかたが本気を出せば……オレたちなど一瞬で滅ぼせる」

 ウネメは固唾かたずを飲んで、実力差を伝えた。

オレたち・・・・ってのはウネメオレとオサフネだけじゃない……野次馬をやっている連中はおろか、ここで暮らす者すべて……一人も例外なくだ」

 それがオサフネへ──やがて妖怪たちへと伝播でんぱする。

「この場の者どころか、すべてを鏖殺おうさつするだと……ッ!?」

 オサフネの言葉にウネメは首を振った。

「ああ、この根城に暮らすオレたち郎党を1人も余すことなくだ……ケハヤの旦那も、オリベの大将も……姫さんも、皆殺しの憂き目に合う」

 だが、セイメイはそれをしなかった。

「この人は、たまたまオレがやっとう・・・・に秀でているのを知って、遊び相手に選んでくれただけ……最初からオレたちをどうこうするつもりはなかったんだ」

 勘のいい奴は嫌いじゃない。セイメイは微笑んだ。

「それがわかるだけでも見所あるな」

 勝負あった──セイメイは来業伝を収める。

 これがボンクラなら、まだ自分の力を過信したことだろう。

 オサフネがそうなりかけたから、ウネメが怒鳴ってでも制したのだ。

 オサフネは渋々ながらもセイメイに切っ先を向けることをやめ、ガチャガチャと金属音をさせて1箇所に集まる。やがて無数の刀剣は一振りの日本刀となって、頭を下げるウネメの傍らに突き刺さった。

 ウネメの敗北に騒いでいた妖怪の観客たちも声を失う。

 先ほどまでの喧噪けんそうが静まり、水を打ったかのような沈黙が訪れた。

 そんな中、ウネメがはっきりした声で訴える。

「勝負に負けたのはオレだ。煮るなり焼くなり首をねるなり……この身体・・・・に興味があるってんなら、アンタの好きにしてくれて構わない」

 だが──他の連中には手を出さないでくれ。

「虫のいい話かも知れないが……できれば、オレ1人の命でこの場は収めてもらいたい! 願わくば……このまま何もせず帰ってくれ!」

 敗軍はいぐんしょうとして責任を取るつもりのようだ。

 後生だッ! とウネメは頭を下げて懇願こんがんしてくる。

 セイメイは「どうしたもんか」と眉を左右非対称にひん曲げた。

「いや、そんなご大層な覚悟を示されても、オジサン困っちゃうんだけんども……玄関をブッ壊したり、殴り込んできて大暴れしたのはこっちだからな。そういった非礼はこの場で謝っておくよ」

 ごめんな、とセイメイはウィンクして片手で拝むように謝罪する。

 ウネメはセイメイの柔らかい物腰に少しだけ気を緩めたのか、恐る恐る顔を上げながら、まず気になったであろうことを問うてきた。

「オジサンって……アンタ、まだ若いんじゃないか?」
「あらやだ、おれの年わかんの?」

 剣の腕前だけではなく、ウネメは洞察力どうさつりょくもあった。

 親族からは「伯父おじより老けて見えるおいってどうよ?」とからかわれるくらいなのだが、セイメイは23歳のフレッシュボーイなのだ。

「ま、神様になっちまったら年なんて関係ねえだろうけどな」

 おれよりもアンタだ、とセイメイはウネメを見遣る。

「体格やら骨格やらは着物ぐらいじゃあ誤魔化せねえ。少なくとも、おれなら見抜けたはずなんだ。それに身のこなしや体捌たいさばきもそうだが……とても女にゃ見えなかったんだがなぁ…………?」

 チラチラ、とセイメイの視線はある部分に吸い寄せられる。

 ウネメは座ったまま地面に拳を付けて謝っているが、戦闘で乱れたままの着物の合わせ目から、どうしても乳房の谷間に目が行ってしまう。

「ああ、この髪や乳のことか?」

 ウネメは上半身を起こすと着物の前を開けた。

 恥じらわず惜しげもなく、ガバッとさらけ出すようにだ。

 ツバサやミサキに比べたら見劣りするものの、巨乳と褒めて差し支えない質量を持った胸の肉が弾むのは男として見逃せない。

 例え妻帯者になろうとも──眼を背けられるものではなかった。

「女の子がはしたない! ちゃんと前を合わせて!」

 それでも愛するジョカの笑顔を思い出して、良識を説くセイメイだった。

 セイメイの言葉にウネメはまゆを八の字にして、着物の前を合わせる。

「オレも困ってんだよなぁ……この女の乳みてぇなこぶにはさ」

 近頃は尻まで膨れてきたし、とウネメはうんざり顔だ。

「乳みたいな瘤? 尻が膨れる? え、どゆこと?」

 ウネメの発言内容を察することができず、セイメイは首を傾げた。

 サラシが切れたせいで、着物越しでも胸が膨らんでいるのがわかる。女性のものとしか思えない乳房をウネメは持ち上げるように掴んだ。

「アンタから見ても南蛮人の姉ちゃんみたいに見えるだろオレ? 今じゃ乳房や尻だけじゃない。あそこ・・・まで変わってきてるからなぁ……男としちゃあ見るも無惨に小さくなっちまったぜ。いやホント、情けないくらいに」

 見てみるかい? ウネメは自嘲して着物の裾をまくろうとする。

「興味がなくはないんだけど、あんまそそるもん・・・・・ではなさそうだなぁ……ってことは何かい? ウネメくん・・はウネメちゃん・・・に変わりつつあるってことか?」

 だとしたら──合点がてんが行く。

 乳房や臀部でんぶが育って丸みを帯び、男性器が縮小する。

 肉体的には女性化が進行しているが、骨格はまだ男性に近いのだろう。

 見間違えるのも無理はない。

「へっ、あちこちで女を泣かした因果かね。好色こうしょく一代男いちだいおとこうたわれたオレが、まさかこんなになっちまうとは……」

 因果は巡るってか──ウネメはため息をついた。

「その論理だと女泣かせの色男ドンファンはみんな女にされちまうぞ」

 原因は別にあんだろ、とセイメイは言った。

 するとオサフネが口を挟んでくる。

「この世界に来た者は……人でいられなくなるのだ」

 刀は切なげに人の声を発した。

「ウネメのように性別が変わったり、姿形が多少変わろうとも、五体が揃っているならマシな部類だ……中には私のように……こうして人の原型を留めぬほど変わる者も少なくない……」

 今のオサフネは一振りの刀にしか見えない。

 なのに、刀身を震わせて発する声は口惜しさに溢れている。

 ここまで聞いたセイメイは彼らの正体を察した。



「おまえさんら…………人間なのか」



 敢えて「だったのか?」と過去形かつ疑問形で問わない。

 彼らの人間性に配慮した上で、人として接してやりたかったからだ。

 セイメイの問いには、ウネメが苦虫を噛み潰したような笑顔になる。苦笑いどころではない。悔しさをにじませてだ。

「アンタからすりゃバケモノにしか見えないだろうけどな……オレだって、こんなナリになっちまったし……日の本ひのもとの人間にゃあ見えんよなぁ」

 声まで女性に近付いているのか、深編笠ふかあみがさがないと中性的に聞こえる。

 或いはハスキーボイスでウネメはぼやくと、自分の金色に波打つウェービーヘアを摘む。男とも女とも、どちらにも見える微妙な太さの指だった。

「…………ま、わからないけど大体わかった」

 妖怪たちは元人間──セイメイが理解したのはそこまでだ。

 彼らが「どこから来たの?」とか、この地下で「何してるの?」とか、チビッコたちと一緒にいた「プトラって嬢ちゃん知らない?」とか……。

 聞きたいことはたくさんあるが、ノータッチにしておく。

 ツバサちゃんが解決してくれる──多分。

 セイメイは過大能力オーバードゥーイングにしろ技能スキルにしろ、戦闘向けに先鋭化せんえいかされている。なので彼らの状況を聞いても解決できる才覚さいかくはない。

 精々「大変だったなぁ」と同情するのが関の山だ。

 だったら彼らの話をあれこれ聞き出すよりも、力尽くで彼らを屈服させたことにして、先行するツバサを追っかけた方がいい。

 すべてはこの地下に暮らす妖怪たちと和解してからだ。

 ツバサちゃんなら何とかしてくれる。

 彼らの心情を汲み取り、良い方向へ取り計らってくれるだろう。

 そうと決めたら即実行──セイメイは穏やかに申し出る。

「そんで、アンタらをどうこうするつもりは毛頭ないし、このダンジョンを荒らしに来たわけでもない。おれの雇い主がちょいと人を捜しててな」

 人捜し、と聞いてオサフネが刀身を振るわせる。

「尋ね人……もしや、ぷとら・・・殿のことでは?」

 知ってるなら話は早い、とセイメイは相好そうごうを崩した。

 そして、有無を言わせずまくし立てる。

「それそれ、そのお嬢ちゃんの連れが心配してな。どうも此処ここの真下にいるらしいっていうから探しに来たんだよ。アンタらがその嬢ちゃんに無体な真似をしてりゃオレの雇い主により死刑確定だが、そうでなけりゃあ八方無事に納められる公算こうさんが高いんだ。そんなわけで……」

 案内してくんない? とセイメイは笑顔で頼み込んだ。

   ~~~~~~~~~~~~

 セイメイが決着をつける少し前──。

 ドンカイも似たような状況に誘い込まれていた。

 やはり横穴をドーム状にくりぬいた広場のような場所に誘い込まれたドンカイは、妖怪たちが“ケハヤ”と讃える謎の野人と戦っていた。

 いくつもの灯籠とうろうが照明となって場を照らす。

「リングで戦ってる気分じゃな……いや、土俵か?」

 ケハヤ──身の丈3mを越える野人。

 蹴り技を主として振るう彼の攻撃を捌きながら、ドンカイは周囲の状況にも目を配らせておいた。ここは敵陣のど真ん中、何があるかわからない。

 ドンカイは知る由もないが、セイメイがいる“道場”とほぼ同一の規格でくりぬかれたと思しき、横穴の奥に設けられたドーム状の広場。

 周囲には“蛍光石”が仕込まれた灯籠が立ち並んで照明となり、天上からは提灯ちょうちんにしか見えない照明器具がいくつもぶら下がっていた。

 中には提灯型の妖怪まで紛れ込んでいる。お化け提灯だ。

 その広場の中央──白い線で囲まれた闘技場。

 元横綱のドンカイにしてみれば「土俵」を意識せざるを得ないが、大きさは日本相撲協会公式の土俵よりも大きい。学校のグラウンドぐらいはありそうだ。

 その中央にて、ドンカイとケハヤの勝負は繰り広げられている。

 ──ウォ! ウォ! ウォ! ウォ! ウォ!

 闘技場を囲む妖怪たちは、一定のリズムではやし立ててくる。

 足踏みや手を打ち鳴らして拍子を取ってノリノリだ。

 血湧き肉躍る格闘戦を目の当たりにしてたかぶるのか、歓声を上げる者もいれば、ケハヤを応援する者もおり──。

「どうした相撲取りぃ! ケハヤ様のやられっぱなしじゃねぇか!」
「いっちょ前にまげなんか結ってよぉ! おめえさん、どこ部屋の力士だぁ?」
「いいとこ前頭まえがしら……いいや、二段目の下の方じゃあねえのかぁ?」

 ドンカイに野次やじを飛ばしてくる者も少なくなかった。

 別段、ドンカイはこういった野次を気にしない。

 若くして横綱という角界かくかいの最高峰を極め、引退して親方になった後もタレントとして活動した。そのためメディアに露出する機会の多かったドンカイは、あることないこと悪し様あしざまに陰口を叩かれたものだ。

 メディアに「ゲーム好き」という趣味を揶揄やゆされたこともあった。本人を前にして臆面もなく罵声ばせいを浴びせられたこともあった。

 人間──というより群衆はこんなもの・・・・・だ。

 諦念ていねんではなく、そう解釈せざるを得なかった。

 1人1人は悪人でもない。かといって善人でもない。

 上に昇る者がいればねたんでやっかみ、下に墜ちる者がいればさげすんで見下す。強烈な悪気はないのだが、つい口から出てしまう。

 いつの世も人間とは──群れを成す集団とはこういうものなのだ。

 そう考えると彼らは妖怪のような外見の割に人間くさい。

 何より気になったのは、彼らの発する野次の内容だ。

 こやつら──“相撲”を知っとるのか?

 野次の端々はしばしから聞き取れるのは、相撲でお馴染みの単語だった。しかし、近年のものではない。番付ばんづけの呼び方が古いのだ。

 前頭はともかく、二段目という番付は現代にはない。

 江戸時代の番付表では二段目という言葉を使っていたが、今は前頭までの力士は幕内、そこから下は十両、幕下、三段目、序二段、序ノ口となっている。

 この世界にも相撲と似たような武術はあるのかも知れない。

 だが、現実の日本で使われていた番付まで同じものがあるとは考えにくい。そう考えるよりも、彼らが本物の相撲を見知っていると考えた方が合理的だ。

 こやつらも──現実から飛ばされてきたクチか?

 しかし、それにしては違和感がある。

 ドンカイたちとは異なるズレ・・を感じてしまうのだ。

「キョオッホォォォッ! ハヤッ、ハヤッ、ハヤッ! シェアアアアアーッ!」
「おっと考え事は後回しにせねばな」

 ドンカイはケハヤの攻撃をしのぐと、大きく飛び退いて間合いを取った。

 ケハヤも追いかけず、荒い呼吸を繰り返して距離を見計らう。

 闘技場の際まで退いたドンカイは、野次を飛ばす妖怪たちに聞こえるだけの声量で答えるように言った。声を上げながら上半身の諸肌もろはだを脱いでいく。

「土俵に上がれば番付なぞ関係ない──皆、ただの相撲人すまいびとじゃ」

 有名な格闘ゲームに登場するスモウレスラーのような格好になったドンカイは、その場で大きく四股しこを踏んだ。ほんの少しばかり力を込めてだ。

 それだけで──地下洞ちかどうに激震が走る。

 横綱の踏む四股は大地をも揺るがす。

 そんな風に形容されがちだが、本当にそこまでの威力がある四股を踏める力士がいるはずもなかった。あくまでも大袈裟に讃えたものに過ぎない。

 だが、ドンカイの四股は──本当に大地を揺るがした。

 足場を割ることなく、大地だけを震動させる四股を踏む。

 右足、左足、と交互に踏んで地下世界を揺るがした後、土俵入りの構えを取って雲龍型のままジリジリと摺り足すりあしにじりり寄る。

 その迫力に、妖怪たちは総毛立って言葉を失う。

 野次を飛ばしてきた連中も沈黙、固唾かたずを呑むことさえ忘れていた。

 妖怪たちはドンカイの実力に圧倒されるばかりだが、対戦者であるケハヤは顔色ひとつ変えず、むしろ闘志を掻き立てられたかのように身構えた。

 しかし、すぐには攻撃を仕掛けてこない。

 攻めるべきを窺い、力を溜め込むように身体をたわめていた。

「……おまえさんはノーリアクションか」

 好戦的なケハヤの態度は他の妖怪たちと異なっていた。

 相撲の四股──雲龍型を目の当たりにした妖怪たち。

 彼らの顔色を覗いてみると、半数以上は“相撲”という武術を知っている表情を浮かべていた。雲龍型に懐かしさすら覚えているようだ。

 しかし、目の前に立つケハヤからは何の反応もない。

 もしも相撲を知っていて茶目っ気でもあれば、ドンカイに呼応して四股のひとつでも踏んでくれるかと期待したのだが手応えはない。

「そもそも、おまえさんだけ言葉が通じんしのぅ」

 妖怪たちは現地種族よろしく会話が通じる。

 なのに、このケハヤという野人だけは何を言っているのかわからない。

 さっきから気合いめいた叫声きょうせいしか上げてないのだ。

 無駄口を叩かない主義なのか? と疑問符を浮かべた矢先──。

「──ケェシャアアアアアアアアアアアーーーッ!」

 奇声を上げてケハヤが躍りかかってきた。

 初動のきざしすら捉えさせぬ、豪速のトップスピード。

 LV999の角力神となったドンカイでなければ、初撃の跳び蹴りで頭を撃ち抜かれて御陀仏だったところだ。それほどケハヤの攻撃は鋭く重い。

 また、インパクト直前で速度が上がるのだ。

 このため油断していると急所に直撃をもらいかねない。

 蹴りを受けたドンカイの掌に爆発的な衝撃が生じる。

 ドンカイ自身はノーダメージなのだが、衝撃の余波は周囲に飛び散ってしまい、観戦していた妖怪たちが悲鳴を上げて逃げ惑うほどだった。

「いかんいかん、土俵際だと観客に怪我をさせてしまうか」

 ドンカイは慌てて身を翻すと、闘技場の中央まで移動した。

「シャギャァアァァーッ! ハシャシャ! フィヤアアアアーッ!」

 ケハヤも律儀に追ってくる。追撃の手も休めない。

「むぅ……当たる直前に速度が増し、防御してもダメージが通る爆裂するような感触……なるほど、そういうカラクリ・・・・になっとるのか」

 幾度かの手合わせで、ドンカイはケハヤの攻撃の仕組みを看破した。

 正しくは──ケハヤの肉体構造を把握したのだ。

「おまえさん、関節と筋肉が改造人間みたいになっとるんじゃな」

 ケハヤの関節は、超常的な弾力に優れた軟骨なんこつに覆われていた。

 そして、関節の内部は髄液すいえきのようなもので満たされているのだが、それに衝撃を与えると爆発する作用があるらしい。

 これが──インパクト直前で速度が上がる仕組み。

 蹴りを放つと同時に関節が爆発するので足が数段伸び、キックの威力も爆発的に上昇して、相手に爆裂的ダメージを与えられるのだ。

 超弾力を持つゴムのような軟骨のおかげで、足はすぐに元へと戻る。

「キィィィィヤァァアアアアアアーッ! シェアッシャアアアアアーッ!」

 必殺の蹴りを受け止められたことにわずかな狼狽を見せるも、ケハヤは怯むことなく蹴り続ける。空中に滞空しながら、遠心力を利用しての回し蹴りを放つ。

 振り回しすぎた脚が、円盤のように見える錯覚を起こしていた。

「間接の仕組みだけじゃなく、筋肉もまた異常な質を持っとるのか」

 ドンカイは片腕のみで、ケハヤの猛攻を捌いた。

 そうしている間にもケハヤの特質的な筋肉を分析アナライズしていく。

「おまえさんの筋肉はまるでバネ──高性能なスプリングじゃ」

 この筋肉をたわめることで、動き出すと同時にトップスピードの動きへと繋げられるのだろう。アスリートなら欲して已まない筋繊維だ。

 ゴム人間でバネ人間──どこぞの能力者の合わせ技か。

「見てくれこそちょいと毛深いだけの野人じゃが筋肉、骨格、間接、これらが完全に人間離れ……いや、生物としてありえない形になっておる」

 おまえさん──何者じゃ?

「ケエェェッハヤァアアアアアアアアアアアアアアアーッ!!」

 ドンカイの問いに答えたわけではないだろうが、その咆哮ほうこうは彼の呼び名でもある“ケハヤ”と聞こえてしょうがなかった。

 ケハヤの足技は留まるところを知らない。

 天地を逆にしたケハヤは逆立ち同然。腕を脚として使い、脚を武器としていつ果てるかもわからないキックの嵐を打ち込んでくる。

 足技──キック主体の武術というのは少なくない。

 代表的な例を挙げればブラジルのカポエイラ、タイのムエタイ、フランスのサバット(南フランスならショソン)、韓国のテコンドー、中国拳法でもいくつかあるし、日本発祥ならばキックボクシングがある。

「しかし、ここまで徹底した足技使いも珍しいのぉ」

 ケハヤは手を用いた技を一切使っていない。

 どんな足技主体の武術でも、ちゃんと手や腕を使う技はあるものだ。

「まるで、どこぞの海のコックさんじゃな」

 海賊王の仲間クルーである色男を思い起こさせる徹底ぶりだ。

「そういえば昔…………」

 ドンカイは戦いながらも回想にふけつつあった。

   ~~~~~~~~~~~~ 

 まだ新人の頃──ドンカイはある大関の付き人だった。

 荒っぽい人間が多い力士の中でも穏やかな人格者だったその大関は、大の読書家で博識家だった。唯一の難点と言えば、蘊蓄うんちくたれぐらいなものだ。

『知っておるか蒼一郎そういちろう──最初の相撲の決まり手は“蹴り”だったのだぞ』

 ある日、読書家の大関はそんなことを教えてくれた。

 意外かも知れないが、相撲において“蹴り”は反則ではない。

 相撲の決まり手には“蹴手繰けたぐり”や“蹴返けがえし”というものがある。

 風潮として「膝より下を蹴らない」というものはあるが、ルール上は回し蹴りをしようがドロップキックをかまそうが、反則にはならない(はずだ)。

 ただし、「倒れたら負け」という相撲のルール上、姿勢が不安定になる蹴り技なんておいそれと使えるものではないし、ドロップキックなんてやろうものなら相撲の品格を問われること請け合いだ。

野見宿禰のみのすくねを知っているだろう?』

 駆け出しだろうと相撲を志す者ならば知らぬわけがない。

 野見宿禰──相撲の始祖あるいは神として奉られる人物。
(※王墓おうぼへの殉死じゅんしを廃するため“埴輪はにわ”を作ったともされる)

 日本で最初に相撲を取り、勝利したのが野見宿禰だとされている。

『その戦いは蹴り技の応酬だったと言い伝えられている。野見宿禰は相手の脇腹を蹴って悶絶させ、倒れたところ腰の骨を踏み砕いて勝利したのだ』

 腰の骨を砕かれた対戦相手は、そのまま死んでしまったという。

 野見宿禰に負けた男の名は──。

「確か、当麻たいまの蹴速けはや……いや、まさかな……」

 奇しくもドンカイが戦っている相手も“ケハヤ”だった。

 そのケハヤだが、猛攻を続けるあまり息が上がっていた。

「ヒャア……ハヒャア……シェア、アアッ……シャアアアアアッ!」

 苛立ちの奇声を上げて、ケハヤは大きく飛び退いた。

 回想に浸ったまま片手だけでケハヤの連続攻撃を凌ぎきったドンカイに、さすがの野人も脅威を抱いて距離を置くことにしたらしい。

 ケハヤの実力はLVに換算するなら──700を越えた程度。

 LV999に達して尚、日々の精進を怠らないドンカイには及ばない。

 ドンカイとの間合いを大きく開けたケハヤは、独特の構えを取った。

 次の一手が丸わかりとも取れる構えだ。

 一見すると、短距離走に挑むスプリンターのようだった。

 その場にしゃがみ込んだケハヤは、五指がめり込むほど地面を掴む。

 利き足である右足を大きく踏み出して、左足は身体を支えるように後ろへ伸ばすと、いつでも蹴り出せるように地面を蹴っている。

 その体勢を取ったケハヤの間接各部が目に見えて膨張を始め、スプリングの筋肉がギチギチと音をさせながらたわめられていく。

 クラウチングスタート──真っ向から突っ込んでくる気だ。

 恐らく、蹴り技ではない。最大の武器である脚力を限界以上に発揮することで、ミサイルよろしく突撃してくるつもりだ。

 ゴムとバネの特性を活かした──全身全霊の一撃。

 回避する暇もない超速にてドンカイへ突き刺さり、五体を四散させる威力を発揮させるだろう。ケハヤは今、ひたすらに力を溜めている。

「一発勝負か、それも良かろう」

 ドンカイはケハヤからの勝負を受けることにした。

 ケハヤのクラウチングスタートなポーズに応じるべく、ドンカイはもう一度四股を踏むと、相撲ならではの「はっけよい!」の姿勢で身構えた。

 お互い「待ったなし」の状態で睨み合う、ドンカイとケハヤ。

 行司不在のため「のこった!」の掛け声はなく、どちらも相手の動く兆しを見逃すまいと全神経を集中する。息を呑む緊張感にドームは静まり返った。

 次の瞬間──ケハヤが大爆発に見舞われた。

 観客の妖怪たちには何が起きたかわからない。ただ、ケハヤが大爆発に巻き込まれて姿を消したようにしか見えなかった。

 刹那せつなよりも短い時間で起きたことが──これ・・だ。

 まずケハヤが動いた。

 全身のゴムとバネを躍動やくどうさせて地面を蹴り、ドンカイへ特攻する。

 手足から発せられる衝撃はかつてない爆発力を誇り、ケハヤの足下は発破でもかけられたかのように吹き飛び、それが野人の巨体を前へと推し進める。

 ミサイルを越える推進力を得て、ケハヤという弾丸は発射された。

 発射直前──ケハヤは撃ち落とされていた。

 ケハヤが大爆発と共に飛び出すよりも遙かに速く、ドンカイが一気に間合いを詰めると張り手一発でケハヤを叩き落としたのだ。

 縮地しゅくち──地を縮めたかと錯覚するほどの超高速移動。

 いくつもの技能スキルを重ねたドンカイが、瞬間移動テレポートに等しい速度で迫ったのだ。

 張り手はケハヤを大地にめり込ませ、彼の推進力となった爆発の中へと叩き込むだけに留まらず、ドンカイの本気のパワーが上から押し潰す。

 これらが合わさることで大爆発を引き起こした。

 ドンカイの張り手で叩き落とされたケハヤは、大爆発に巻き込まれながらも地中深くめり込んでいき、深く大きな穴の底へ沈み込んでいった。

 深さもさることながら、濛々もうもうと噴き上がる粉塵ふんじんのせいで姿も見えない。

 だが、ケハヤは完全に沈黙していた。

 ドンカイが大穴を覗き込めば、横っ面に張り手による手形をこさえたケハヤが、穴の底でひしゃげるように気絶しているのが確認できた。

「決まり手は叩き込み──ってとこじゃな」

 自分の勝利を広く知らしめるように、ドンカイはわざとらしい大声を張った。妖怪たちも「ケハヤ様の負けだ」とわかっている様子。

 ドンカイは目を細め、周りの妖怪たちをすごむようにめつける。

「──まだワシに挑む者はおるか?」

 わざと高圧的な物言いをして、彼らが逆らわぬように威圧する。

 彼らの中でも実力者であるケハヤを一蹴し、圧倒的な力量を見せつけたことで妖怪たちは心を折られたようだ。誰も逆らう気配はない。

 ある者は両手を挙げて降参、ある者は白旗を上げて降参。

 そして、多くの者は土下座でひれ伏した。

「……いかん、ちょっとやり過ぎたかの」

 ドンカイは反省するも、この場は上位者として振る舞うことにした。

 これ以上の無益な争いを避けるために──。



「では、案内してもらおうか──おまえさんらの大将のいる場所へ」



 そこにワシの主人あるじもいるはずじゃ、とドンカイは言った。


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