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第6章 東の果てのイシュタル
第131話:ジャジャマリナ! お昼前編
しおりを挟む「今日はとってもアンバランスな日です」
「休んでる人と働いてる人がいるでゴザルからな」
我が家の応接間。いるのはマリナとジャジャの幼女2人。
マリナは戦闘用に作られたいつもの勝負服ではないものの、ゴシックでロリータっぽいドレスを着ていた。彼女の私服は大体こんな感じだ。2つに結った三つ編みのおさげや、赤と青の大きなリボンはいつも通り。
あのリボンは──ツバサとミロの娘という誇りなのだ。
自分も母上であるツバサの黒髪と、ママ上であるミロの金髪。2人の特徴が渾然一体となった、虎柄みたいな髪を気に入っているように──。
そんなジャジャは、女児向けのトレーナーにオーバーオール。
せめて男の子らしい服を着たいと主張するのだが、ミロやクロコが許してくれず、最近はツバサまで「それ可愛い」と言い出す始末だ。
7歳児の肉体では持て余すサイズのソファにジャジャはちょこんと腰掛け、その前に立っているマリナはお姉さんらしく振る舞っている。
中身は15歳になる少年のジャジャにしてみれば、年下の幼女が頑張って大人ぶっているのを微笑ましく見守りたいのだが、今や自分が年下の妹なので、ちゃんと付き合ってやらないといけない。
こちらが年上ぶると──お姉ちゃんにお仕置きされるのだ。
まあ、お仕置きといってもひたすらくすぐられたり、柔らかい拳でこめかみをグリグリされる程度の可愛らしいものなのだが。
「センセイとミロさんはお休み、お部屋に引き籠もってます」
「ママ上はともかく、母上は精神的なダメージがかなりのものだったようでゴザルからな……ほとんど自分のせいなのでゴザルが」
ヴァナラの森での騒動からもう三日は過ぎていた。
魔力の消耗が激しい転移魔法を使わず、ツバサたちは飛行系技能でのんびり帰ってきたのだが、ツバサの疲労は群を抜いていた。
実際のところは──気疲れという名の精神的疲労である。
「自分がナアクに攫われたため、母上の心配性が天元突破したのでゴザルな。帰ってきてからの反動が凄かったでゴザルし……」
「ワタシとジャジャちゃん、すっごい甘やかされましたもんね」
帰ってきたツバサは、マリナとジャジャを片時も放そうとしなかった。
赤ん坊を抱き締めるみたいに離さなかったのだ。
家事のほとんどをクロコに任せて、ツバサはマリナとジャジャを可愛がることに専念した。「そうしないと神々の乳母が落ち着かない」と言い訳して、ひたすら娘2人を愛でまくったのだ。
ついには抱っこ紐で2人を身体に縛り付けようとまでした。
ジャジャを胸でマリナは背中、前後に配備するつもりだったらしい。
『センセイ! ワタシたち赤ちゃんじゃないです!?』
『母上、抱っこ紐だけは勘弁を! その爆乳で窒息するでゴザル!』
それだけは遠慮させてもらった。
見るに見かねたフミカやクロコが宥めたのもあって、ツバサもわずかに冷静さを取り戻したらしい。抱っこ紐だけはやめてくれた。
それでも──マリナとジャジャを決して離さなかったのだ。
隙あらば抱っこして、片時も手を離さず、常につきまとわせていた。
「けど、センセイ……いいえ、お母さんが一日中一緒にいてくれて、つきっきりで甘やかしてくれるなんて夢のようでした……」
「なんだかんだで自分たちもマザコンでゴザルなぁ……」
昨日までの夢みたいに甘ったるい一時を思い出し、マリナとジャジャはうっとりしてしまった。あんなに優しく甘やかしてくれる母性本能フルパワーなツバサなど滅多に……いや、初めてのことである。
おかげで──ハトホルミルクもたっぷり堪能できた。
普段なら「ハトホルミルクを飲みたい!」とお願いすれば、ツバサの男心が露骨に嫌な顔をする。それを押して頼むことで、不承不承に授乳させてくれるのだが、この2日間はツバサから誘ってきたのだ。
「あれがかつて某SNSで一世を風靡した、『大丈夫? おっぱい飲む?』という伝説の励ましなのですね!」
マリナは小さな拳を握り締めて断言する。
「はて、『大丈夫? おっぱい揉む?』だったような……?」
ジャジャの記憶違いかも知れない。
どちらにせよ、ジャジャもマリナもツバサのおっぱいにこれでもかと甘えられ、一緒に遊んで、一緒にお昼寝して、食事の時も手取り足取りで世話をしてもらい、お風呂も一緒に入って、夜寝る時も一緒で……。
まさにフルタイム“お母さんといっしょ”だった。
それを都合2日も続けて、さすがにツバサも我に返ったのだろう。
もしくは神々の乳母が落ち着いたのか?
「そしたら今度は……ミロさんが暴走したんですよね」
「2日間、自分たちに掛かりっきりで、ママ上はほったらかしだったでゴザルからなぁ……ある意味、あの人が一番世話の焼ける子供でゴザルな」
今朝──ミロの我慢が限界突破した。
『マリナちゃんとジャジャちゃんばっかりッ! アタシはツバサさんの長女で旦那さんなんだよ!? もっとアタシに構ってちょーだいよッ!』
そんなわけで、今日のツバサはミロの貸し切りなのだ。
みんなでの朝食が終わったと同時に、ツバサはミロに捕まってツバサの部屋へと引きずり込まれていった。抵抗しなかったのは気のせいか?
何故か、ミロは自分の部屋に引きずり込まない。
そういうことをするのはツバサの部屋と決まっているらしい。
マリナは頬を赤らめて瞳をキラキラ星空のように輝かせ、10歳児とは思えぬ興奮っぷりでジャジャに確認するみたいに訊いてきた。
「お二人で部屋に籠もっているということは……きっとイチャイチャしてるんですよね? 昼間から大人のお付き合いをしてるんですよね!?」
「どうして“妹”の自分に問うでゴザルか……?」
「だってジャジャちゃんはジャジャさんでしょ? 精神年齢15歳なんだからワタシよりずっと知ってるでしょ? そ・う・い・う・こ・と・を!」
「……こういう時だけ年上扱いはズルいでゴザル」
しかしまあ、想像に難くない。
ツバサとミロが2人っきりで部屋に籠もるのは──そういうことだ。
休みの日などは半日ほど部屋に籠もっているし、平日でも互いにやることがなくなれば示し合わせて、やっぱり2人でどこかにしけ込んでいる。
「やることないからやることやってるんですよね!」
「上手いこと言えてないでゴザルよ、姉上」
いくらおませさんでも悲しいかな、小学生の語彙力では限界だ。
しかし、イチャイチャしているのは間違いない。
戻ってくるとミロはやや疲れているが幸せそうな顔をしているし、ツバサは恥じらいながらも髪も肌も艶々になり、活気と精気に満ち溢れているのだ。
そこから──2人の関係性も窺える。
「そりゃあ自分の父方の遺伝子はミロさん……ママ上で、母方の遺伝子は母上……つまり、ツバサさんになるのも道理でゴザルよな」
最近ミロは「美少女も男の娘も変幻自在!」と公言しており、女性同士の楽しみ方もできれば、ノーマルな男女の営みさえ可能だという。
しかし、ツバサは女性のままだ。男には戻ることはできない。
おまけにツバサはまだ女性化して半年ほど。
女性同士の行為にしても、普通に男女の交合にしても、ミロに主導権を取られているらしい。明言こそしないが、元男同士の誼でジャジャに愚痴るのだ。
「今頃きっと──イチャイチャしてるんですよね!?」
マリナは食い気味に迫ってくる。
思いがけない迫力にジャジャはソファの背もたれにまで退いた。
「そ、それは……まあ、夫婦同然な2人の関係からすれば……」
部屋に籠もる前のミロの眼は、完全にやる気だった。
今頃、事に及んでいるのは確実である。ほぼ100%だ。
そして、マリナの瞳はミロそっくりだった。
何かを決意した瞳で、ジャジャの手を取って引っ張る。
「ワタシ、気になります! ちょっと覗きに行きましょう!」
「覗ッ……い、いけないでゴザル姉上!」
反論する前にジャジャはマリナに抱きかかえられ、体格差を利用されて持ち去られるように連れて行かれる。10歳児と7歳児という年の差もあるが、ジャジャは年齢の割に一際小柄なのだ。
情けないことに、今では筋力さえマリナ以下になっている。
「そういうところに子供が飛び込むのは御法度……間違って目撃すると“真夜中のプロレス”って勘違いするか、トラウマになるでゴザル! っていうか、わかってて覗きに行くなんてマセガキもいいとこでゴザル!」
「マセガキ上等です! そういうエッチなのが気になるお年頃なんです! 後学のためと言い張れば、センセイもミロさんもワタシたちの向上心に免じて許してくれるはずです! ほらほら、お姉ちゃんの理論武装は完璧です!」
「幼稚にも程があるでゴザ……ワタシ“たち”? 自分も巻き添えッ!? 興味は尽きぬが巻き込み事故は勘弁でゴザルゥゥゥ……」
お姉ちゃんには逆らえない──妹という理不尽な身の上よ。
~~~~~~~~~~~~
結局、無理やり連行されてしまった。
マリナに抱き上げられたまま連れてこられた先は、我が家の一階奥にあるツバサの自室前だ。案の定、部屋のドアには鍵がかかっている。
「おまけに……結界が張られてますね」
「これ、ママ上の過大能力によるものでゴザルよね?」
ミロの過大能力──【真なる世界に覇を唱える大君】。
ミロの命じるがままに世界その物を改変する究極の過大能力であり、その万能性は他の追随を許さない。最強無敵のツバサでさえ「対処しようがない」と舌を巻くチート能力である。
「ワタシはハトホル一家の中で、結界の能力が一番強いって自信がありますけど……ミロさんの結界はレベルが違うんですよね」
チラリ、とマリナは期待を込めてジャジャを一瞥する。
「……期待されても無理でゴザルよ。自分の過大能力は覚醒したばかりで、こんな強力な結界を破る方法なんて持ってないでゴザル」
ジャジャの過大能力──『12の意志を受け継ぎし忍者の魂』。
かつて魂を分け与えてくれた12人のプレイヤーの力と、ツバサとミロから受け継いだ力が融合した、未だ成長途上にある過大能力である。
ツバサからは「鍛えれば俺やミロに匹敵する……或いは越える」と太鼓判を押されているが、まだまだ未熟な心と身体だ。
ジャジャとマリナに、この結界を破る術はない。
これで諦めてくれればいいけれど……と願うジャジャの思いは、何らかの技能を使おうとするマリナの行動によって呆気なく無下にされた。
マリナは自分の過大能力【神聖なる幼女の不可侵領域】と結界系技能を連動させて、ミロの結界に干渉しようとしていた。
「ちょちょちょーッ! なにやってんのマリナちゃん!?」
ゴザル口調も姉上呼びも忘れて、ジャジャは素でツッコんでいた
「“お姉ちゃん”でしょう? ワタシの力じゃミロさんの結界は解除できないけど、少しくらいなら弱めることならできます」
呼び方を言い直させつつ、マリナはジャジャに尋ねてくる。
「ジャジャちゃん、確か忍法で壁の向こう側とか透視できましたよね? ワタシが結界を弱めれば、ちょっとは覗けるようになるんじゃないですか?」
「それは……できるような、できないような……」
「お部屋の中でセンセイとミロさんが何をやっているか……」
覗けますよね? とマリナは瞳を爛々と輝かせて問い詰めてきた。
「恐らく……可能でゴザル」
その勢いに負けたジャジャは、素直に答えてしまった。
マリナの過大能力とジャジャの忍法を連動させて、ツバサの自室で何が行われているかを覗き見しよう、というお姉ちゃんからの危ないご提案だ。
禁じられた遊び──である。
しかし、ジャジャとてまだ15歳の少年。
このような悪戯には男の子としての遊び心をくすぐられてしまう。
「……できますよね?」
マリナの目は据わっていた。
「……できるでゴザル」
ジャジャの目も据わってしまった。
「では、行くです」
「行くでゴザル」
──そういうことになった。
マリナは胸の前で音がするほど合掌すると、両手をツバサの部屋に張られた結界へと向ける。その掌から不可視の力が発せられた。
マリナの結界にまつわる過大能力が、ミロの結界を少しだけ柔らかくする。
その隙を突くようにジャジャも印を組んで忍法を発動させた。
「忍法──壁に耳あり障子に目あり!」
幼女2人の合体攻撃により、ミロの結界がわずかに揺らぐ。
すると、壁がぼんやりと透けていき、ツバサの部屋の自室内部がうっすらとだが見て取れるようになった。ただし、解像度が非常に荒い。
モザイクが強めにかかっているような状態だった。
それでも壁は直径1.5mほどの円形に透過されており、室内の様子をなんとなく捉えることができた。モザイクはきつめだが──。
いや、これ、モザイクがあって正解かも知れない。
最初に聞こえてきたのは──粘り気のある水音だった。
続いて聞こえるのは艶やかな女性の嬌声。
『はぁ、ん……んぁぁっ……くっ! ミ、ミロォ……お願い、す、すこし……休ませ、て……ふぅん♪ も、もう……俺、何回、逝ったか……』
母と慕う女性(本人はまだ男だと言い張っているが)の、鼻にかかった甘い声が響いてくる。彼がこんな蕩けそうな声を出すところを聞いたことがない。
『んふふ……♪ まだまだだよツバサさん、数えてないけど10回もイッてないでしょ? ほらぁ、女の子は何回でもイッちゃえるんだからさ……えいっ!』
『まっ、待っ……だめっ! 今そこ、はあっ、くぅぅ……ッ!』
キングサイズのベッドの上──絡み合う2人の姿が辛うじて見える。
ベッドの上で仰向けになっているのは背格好や長い黒髪からして、恐らくツバサに違いない。モザイク越しでも、その大きな乳房は丸わかりだ。
仰向けになったツバサは股を裂くように大きく足を開き、その片足にしがみついている小柄な女性の姿が見える。こちらがミロだろう。
ツバサの開かれた足にしがみついたミロは、女性化した彼の股間部分に自分の股を押し当てるような体勢で蠢くように身体を揺らしていた。
一度揺れるごとにツバサがあられもない声を上げ、ビーチボールみたいに爆乳を弾ませ、胸の先端から白い飛沫を飛び散らせていた。
汗なのか、ハトホルミルクなのか、違う粘液めいたものか──。
ミロが身体を揺らす度、ツバサが乳房を弾ませる度、いやらしい水音がグチャグチャとヌチョヌチョとベチョベチョと……幾多の水音が聞こえてくる。
聞いているだけで、こちらまで粘つきそうだ。
『ほらほら、気持ちいいんでしょー? ハトホルミルクもこんなに噴き出しちゃって……さっすが牝牛の女神様だよねぇ~♪』
『いやぁ、ああっ……ん! い、言うなぁ、それぇ……』
なんとか男らしい口調で返そうとしているようだが、あえぎ声が強すぎて情けなさを助長してしまっている。だから、余計に女らしく聞こえた。
ツバサとミロの愛し合う様──。
モザイク越しなので詳細はわからないが、おおよそのところはわかるので、ジャジャとマリナは呆けたまま魅入っていた。
無性に喉が渇いて固唾を呑み、耳の先端まで熱くなる。
マリナの顔色を盗み見れば、顔どころか指先まで真っ赤にするほど興奮しているようだった。多分、ジャジャも同じ状態になっている。
その時、ツバサの身体がビクン! と激しく跳ねた。
こみ上げる強烈な快感を堪えるように、ツバサは両手でシーツを破きそうな勢いで握りしめ、言葉にならない嬌声を上げてから突っ伏してしまった。
荒い吐息を繰り返して、興奮を抑え込んでいる。
一方で、ミロは余裕たっぷりに含み笑いを漏らしていた。
『あらまぁ、ツバサさん、またイッちゃったんだ……ホント、敏感で感じやすくて……ステキだよねぇ、ツバサさんのドスケベボディ♪』
アタシ大好き! と小さな身体がツバサの豊満な肢体にのしかかる。
ツバサとミロの顔が重なっているようだ。
チュッ、とキスの音がする。1度や2度ではない。
『さぁて……そろそろ本番も大丈夫かなー?』
ミロは元気よく上半身を起こすと、両手を自分の下腹部に添えて、そっと股間の方へと下ろしていく。そこにある変化が訪れようとしていた。
モザイク越しでもわかる。ミロの股間から何かが生えてきた。
天に向かってそそり立つ──逞しい肉色の棒。
荒い解像度でもわかる、あれは男性しか持ち得ない器官。
かつてはツバサもジャジャも備えていたものだ。
「自分、あそこまで“ご立派”ではなかったでゴザルが……」
幼女となった今、更に自信を無くしそうだ。
ようやく息が整ってきたツバサは、突っ伏したままミロに振り返ってその器官を目にする。一瞬ギョッとしたようだが、諦めにも似た境地なのか、哀れみを誘う声を絞り上げて、ミロへ助けを請うように訴えかけた。
『ま、待って、ミロ……今日、ダメ……危険日……だ、からぁ!?』
ミロはツバサの抵抗を封じるため、再び覆いかぶさる。
股間のそれはツバサの大切なところに押し当てられているようだ。
『もう我慢しなくていいんだよ、ツバサさん……赤ちゃん欲しいんでしょ? 自分で産みたいんだよね? そうじゃなきゃあ……ジャジャちゃんやマリナちゃんを、あんな母性本能MAXで可愛がったりしないはずだよ?』
聖者が愚者を諭すような──優しくも魅惑的な囁き声。
『あっ、ううっ、うあぁ……ぅぅぅぅぅぅぅぅ…………ッ!!』
ツバサの啜り泣く声を初めて耳にした。
ただでさえ女性としての快感に翻弄され、抵抗する力を極端に奪われているツバサは、そんなミロの優しい言葉に説き伏せられていく。
『さ、行くよツバサさん…………気を楽にして……ね』
『まっ! 待っ! だ、め、いやぁ……いやあああぁぁぁ……ッ!』
ここからが本番なんですか!?
覗いている幼女2人も手に汗握る展開になってきた。
ミロの男性として凸な部分が、ツバサの女性としての凹な部分へ潜り込む。モザイク越しなのは変わらないが、大体は見て取れる。
まさに、その瞬間の出来事だった。
「──はい、そこまで!」
一人のメイドが幼女たちの前に立ち塞がった。
クロコは颯爽と割り込んでくると、『お目にかけられませんわ!』とゴシック体でデカデカと書かれたフリップを掲げて、こちらの視界を遮った。
不思議なことに音声まで遮断されている。
「ふぅ、間一髪……危ないところでしたわね」
汗もかいてないのに、額を拭う仕種をする駄メイド。
「先ほどまでの展開なら、百合の英才教育の一環として目を瞑ってもよろしかったのですが、本番中の本番はさすがの私も許容いたしかねます」
自主規制フリップを掲げたクロコは、無表情のままドヤ顔で言い放つ。
「ここから先は──R18指定でございます」
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