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第5章 想世のケツァルコアトル
第107話:南方より来るは美しき鳥
しおりを挟む「最近──ツバサ兄さんが変」
隣に座るトモエが、不意にそんなことを口にした。
ドンカイは川面に垂らした釣り糸から目を逸らさず、プカリプカリと流れにたゆたう浮きを眺めていた。トモエも自分の浮きを見つめている。
──ダインとフミカの婚約から早1週間。
今日もまた日曜日。
午後は釣りを楽しもうと、いつも通りに川にやって来たドンカイは緩やかな清流に釣り竿を振っていた。
この川にはツバサとフミカの過大能力によって復活した魚がおり、中にはアルマゲドン由来の“食べたら強化のつくレア食材”もいる。
ゲームでも釣りにくい大物だったが、こちらの世界では更に難しい。
これを釣るのが最近のドンカイの楽しみだった。
漁師の倅というだけではない。元々ドンカイは釣り師なのだ。
そして──今日はお供にトモエがついてきた。
いつもならミロ、ジャジャ、マリナ、の誰かが一緒についてきて、少年みたいに川で銛を突いたり、手網でカニやエビを掬って川遊びをしている。
だが、今日はトモエだけ。しかも珍しいことに──。
「んな、親方さん、トモエに釣り教えて」
そう言ってドンカイに釣りの手引きを請うてきたのだ。
「どういう風の吹き回しじゃ?」
「んなぁ……トモエ、気付いた。トモエ、せっかち」
考える前に動いちゃう、と自分の短所が気になったらしい。
「短気は損気、ツバサ兄さんにも言われた。短気でせっかち良くない。だから直す。集中力つけたい。親方さんみたいに釣りでジッとする」
要するに「釣りで集中力を培いたい」ということらしい。
集中力を鍛えるなら別の方法もあると思うのだが、心を穏やかにしてせっかちさを直そうという発想は悪くない。
何より──釣り仲間が増えるのは歓迎だ。
ドンカイは喜んでOKし、トモエに釣りのやり方を教えた。トモエも飲み込みは早く、簡単な釣り竿の作り方なら習得済みである。川魚を釣るための仕掛けなども覚えてしまい、自分で餌を付けられるようにもなっていた。
釣り餌の虫がウネウネ動いても気にしない。
こういうところは女の子であっても野生児らしかった。
こうして昼食後、ドンカイとトモエは仲良く川縁に腰を下ろして、現実世界ではもうお目にかかれないような清流に竿を垂らしていた。
川面を覗けば手の届きそうなところに魚影が踊る。
耳を澄ませば清流のせせらぎが響き、不思議と心を落ち着かせてくれた。
ドンカイは力士らしく浴衣の普段着。
トモエは紺のブルマに運動着という格好──それと真っ白なジャージを肩にかけていた。動きやすくて気に入ったらしい。
鬼の親玉みたいな力士と、ブルマ姿の野生児少女。
端から見たらどんな関係と思われるのだろうか? 良くて親子か、それともおじさんと姪っ子か……老人と孫はないと思いたい。
どうでもいいことに気を回していると、トモエが無言に耐えかねたのか先のようなことを言い出した。ドンカイも退屈しのぎに付き合ってやる。
「変、とはどんな具合にじゃ?」
「んなぁ、昨日、トモエ応接間でうたた寝した。そしたら……」
夜も遅かったため、ツバサに「もう部屋に戻って寝なさい」と促され、トモエは眠い目をこすりながら「んな、お母さん」と返したらしい。
「当然、来ると思った。いつもの決め台詞」
「あれか、『誰がお母さんだ』ってやつじゃな」
ドンカイもよく耳にする、ツバサの決め台詞だ。
決め台詞といっていいものか悩むところだが、男なのにオカン扱いされることは遺憾であると主張する、彼の口癖になっているのは間違いない。
実はあれ、かなりバリエーション豊富らしい。ミロに聞いた限りでは「女性扱いされると必ず言い返してくる」とのこと。
オカン、ママ、母親、女神、牝ライオン……などなど。
つい先日、マリナとジャジャだけは「お母さん」や「母上」と呼ぶことを許されていた。ドンカイもその場に立ち会っている。
あれはツバサが、幼い彼女たちに絆されてのことだろう。
母恋しい幼子を慮ってのことだ。
しかし、あそこまで母親らしい女神になっても、芯の部分ではまだ自身を男だと認識しているようで女性扱いには抵抗があるらしい。
そうした気持ちが、あの台詞に表れているようだ。
「昨日はそれを言わんかったと?」
「んな、トモエ言ってから『しまった、来る!』と身構えた。けど、いつまで経っても返事ない。こわごわツバサ兄さん見たら……」
『お母さんでもいいから……ほら、早く寝なさい』
ツバサは本当のお母さんみたいに優しい微笑みでトモエの頭を撫でて、部屋まで送ってくれて、ベッドに寝るまで付き添ってくれたという。
「トモエ、ボーッとしてそのまま寝た。次の日、目が覚めて“あれっ!?”って気付いた。あんなのツバサ兄さんじゃない!」
ツバサ母さんだ! と珍妙に断言する。
即答できないドンカイは首を傾げながら返事を見繕う。
「……それはそれでいいんではないか?」
「んな! ツバサ母さん優しくて素敵! まさに理想のオカン!」
でも、なんか違う──トモエは素直に受け入れない。
どうにも納得がいかないようだ。
この子は蛮神という神族のため、身体能力は並外れて高いのだが言語能力が些か乏しい。それでも根気よく聞いていれば理解できる。
「トモエたち、お母さんと呼ぶ。ツバサ兄さん、『誰がお母さんだ』と返す。これが自然なやり取り。それがないと……なんか、おかしい」
「調子が狂う、ってことかのう?」
そうそれ、とトモエはこちらを振り向いた。
「さすが親方さん、難しい言葉知ってる」
「ハハハ、ワシも学のある方ではないがのぉ」
釣り竿をくゆらしてドンカイは話を続けた。
ドンカイなりの見解を加えて、わかりやすく伝えてみる。
「多分、ツバサ君もこちらでの生き方を……女神としての在り方というものを模索しているのじゃろう。トモエ君も知っておるだろう、マリナ君とジャジャ君がツバサ君をお母さんと呼ぶのを許されたことを?」
「んな、知ってる。トモエ、羨ましいと思った」
ツバサを母と慕う娘たちは誰もが羨んでいた。
それほど彼の母性は魅力的であるらしく、娘として甘えたくなるのだろう。そういう“母親”なんて技能でも習得しているのかも知れない。
「君たちもいずれ許されるようになるじゃろう。その、トモエ君を優しく寝かしつけてくれたツバサ君は、自分なりの母親像を試しておったのかも知れん」
いつまでも男のままではいられない。
男に戻る方法も見つからず、男に変わる機会にも恵まれない。
次々と増える娘たちに母親として慕われ、望むと望まないとに関わらず母性本能を刺激される毎日……オカン系男子という気質も手伝っているのだろう。
このまま本当の女神に──地母神になるしかない。
「近頃ツバサ君の背中からは、そんな覚悟が見え隠れしてならんからのぉ……昨日の優しいツバサ君は、母心の表れなんじゃろうな」
男として悲壮な決意をしながら、女となりつつある心を理解し始め、母性本能を持つオカンとして当然のように馴染んでいく。
男心と女心と母心──1対2で分が悪い。
それでも彼は苦悩し、煩悶し、葛藤し、迷っているはずだ。
肉体と精神は相互に作用する。
スポーツや格闘技に取り組む者なら実感する事実だ。
ツバサは女神と化した自分の肉体を否定できず、その心に宿る強烈な母性までもが増幅され、受け入れざるを得なくなっているのだろう。
「自分はもう女神として生きていくしかない……ツバサ君自身、そんな諦めの境地に達しつつあるのかも知れんな……もっとも、ワシの見立てだから、彼自身がどう思っているかは見当もつかんがの」
「ツバサ兄さんが、ツバサ母さんになる……」
それを……とトモエは言い淀んでから尋ねてくる。
「ツバサ兄さんは喜んでるのか? ツバサ兄さんは本当にトモエたちのお母さんになってくれるのか? それで……ツバサ兄さんは幸せなのか?」
ツバサが母親になってくれるのは嬉しい。
だが、それでツバサが苦しむ様など見たくはない。
そんなトモエの優しさに心打たれたドンカイは、浮きから目を離すとトモエの顔を覗き込み、大きな手でそっと頭を撫でてやった。
「ツバサ君はいい娘に恵まれたのぉ」
「ん、んなぁ……」
褒められたのが照れ臭いのか、トモエははにかんで俯いてしまう。
「安心せい、彼は自分の納得できんことは決して認めん。身内が喜ばんことを選びはせんよ。自分が納得した上で皆が幸せになる道を選ぶ……そういう男じゃよ」
彼はな、とドンカイは竿をくゆらした
「んな、ツバサ兄さんはそういう人」
ドンカイの言葉に、トモエも同意して頷いてくれた。
「トモエ、できれば今まで通りのツバサ兄さんでいてほしい」
母親として厳しくも優しくて、こちらが女の人扱いすると「誰がお母さんだ」と怒ってくれる男性の気持ちを持っていて、それでも娘として甘えると本当のお母さんよりも優しくしてくれる。
「男の人の気持ちを持ったお母さん……そんなツバサ兄さんでいてほしい」
「ハハハ、トモエ君はワガママじゃのう」
ドンカイも悪くないと思うし、ツバサもそうありたいのかも知れない。
差し詰め――オカン系男子といったところだろう。
ただな、とドンカイは竿を1度引き上げる。
獲物の気配を感じたが気のせい、針には餌がついたままだ。糸をつまんでから竿を鳴らして、再び川面へ針を投げ落とした。
「ワシやダイン君もそうじゃが……現実とは異なる肉体でこの真なる世界に転移させられた者は多かれ少なかれいる。そうした者は、今の身体とどこかで折り合いをつけていかねばならんのじゃよ」
ドンカイは2m75㎝もある鬼神になっている。
ダインは全身をサイボーグ化し、機械の身体に変わっている。
「ワシやダイン君もな、日常生活でこの身体にふと違和感やら不便さを覚えることがある。ツバサ君もあの豊満な身体なら尚更じゃろう……女顔がトラウマなのも口にしておったし……受け入れがたいんじゃろうなぁ」
「んなぁ……あの綺麗な顔、コンプレックスなのか」
女顔の美男子というのは割といるが、ツバサほど美女と見紛うような美貌は多くないだろう……いや、ミサキという獅子翁の弟子もお仲間か。
しかし──ミサキは女顔を苦にしていなかった。
彼も真なる世界に飛ばされていれば女性化しているはずだし、やはり現実との性の不一致に悩まされていることだろう。
そもそも、ツバサやミサキに限った話ではない。
ドンカイの知る限り、現実とは異なるアバターを与えられた内在異性具現化者は他にもいる。彼らの苦悩も如何ほどのものか──。
「嫌でも、憎くても、許せずとも……これが自分の身体だと認めるしかない。そうやって、少しずつ我が身を受け入れていくしかないのぉ……」
ツバサにも、そんな心境の変化が訪れているのかも知れない。
母なる大地母神として生きていくために──。
トモエはわかったようなわからないような不思議な顔をして、何度も首を左右に捻っていた。まだ少し理解が追いつかないらしい。
「んなぁ……ツバサ兄さんも親方さんもダイン兄ちゃんも、みんな大変か」
「そうじゃよ、女所帯だからワシらは肩身も狭いしのぉ」
ドンカイが冗談めかして言うと、トモエもクスッと微笑んだ。
その時、トモエの浮きがビクッ! と川面に沈む。
「うん? トモエ君、君の竿にアタリが来とるぞ!」
「んなッ、こ、これ引けばいいのか? んなあああああああっ……んな!」
ドンカイに負けず劣らずの怪力で引っこ抜けば見事な一本釣り。
水飛沫を上げて釣り上げたのは、ドンカイが常日頃から狙っていたこの川の大物にしてレア食材、仙王鯉という大魚だった。
全長1m、エメラルド色に輝く鱗を持った大鯉である。
「おおおっ、よおやったトモエ君。大金星じゃな!」
釣り上げた仙王鯉を持ったトモエも満面の笑みを浮かべていた。
「んな! 晩御飯のオカズ、ゲット!」
「ああ、一品増えたのぉ。帰ったらツバサ君に…………ッ!?」
喜びも束の間、ただならぬ気配の接近を感じる。
ドンカイは竿をその場に突き刺すと、すぐさま立ち上がって気配の迫る方角を見上げた。ここより南方、大きな雲の湧いている向こう側だ。
トモエも感じたのか、仙王鯉を地面に置いて身構える。
「親方さん、何か来る……いっぱい、それとデカいの!」
「ああ、わかっとる。数が多い方には脅威を感じんが、デカいのは……」
この谷に近寄らせてはならない。
かつて対峙したアトラクアやティンドラスに近い気配を感じる。
ということは、また別次元の怪物なのだろう。
「ッ! 見えた! あれ……鳥さんの群れ?」
トモエが見たままに言った通り──最初は鳥の群れだと思った。
雲を突き抜けて飛んできたのは、翼を羽ばたかせてこちらへと飛んでくる鳥の群れだが、距離が離れていてもその大きさが窺える。
羽ばたく翼の大きさもさることながら、胴体も人間ほどはある。
「違う……あれはまるっきし人間じゃ!」
技能で視力を補正して具に観察すると、彼女たちが人間の身体に鳥の翼を生やしていることが見て取れた。鳥人とでも言うべき種族だろうか?
顔から首、胴体から下半身、太ももから膝までは人間だ。
しかし、その両腕は身体のサイズに見合った鳥の翼になっており、足も膝から下は鳥のような脚になっている。爪先などは猛禽類を思わせた。
胸の膨らみや腰つきから察するに──全員女性だ。
「んなっ! 来た、でっかいの!」
鳥人の群れを追うように表れたのは、甲殻で覆われた蝙蝠だった。
カミツキガメのような凶暴な亀を連想させる鋭角な顔立ち。
首も亀のように多少は伸縮するらしい。
細長い胴体は高速で飛ぶ航空機のようだ。その顔や胴体や肩廻りは黒光りする甲殻で覆われ、皮膜の翼は片方だけでも15mはある。
翼長だけでも30mを優に超えている、
翼を広げて飛ぶ姿は蝙蝠に似ているが──まるで別物だ。
「パッと見、古代龍よりでかいのぉ……」
ほとんど翼の大きさなので、重量感はあまりない。
その甲殻で覆われた蝙蝠は、しきりに首を伸ばすと1匹の鳥人を狙い撃つように噛みつこうとしていた。しかし、よく見ると違うようだ。
「彼女……もしや殿か?」
他の鳥人たちよりも一回り大きな翼を持った鳥人が、その素早い動きで巨大蝙蝠を牽制し、気を引くことで仲間を逃がしているように見えた。
なんと健気な──あれを助けねば男が廃る。
ドンカイが動き出すのに応じてトモエが声を上げた。
「んな! 親方さん、トモエ先陣切る!」
「おう、頼んだぞトモエ君!」
トモエが何をする気なのか、言わずとも察したドンカイは右手を掲げると、その掌にトモエは両足を揃えて飛び乗った。
次の瞬間──ドンカイはトモエを投げ飛ばした。
砲丸投げと同じ要領で投げつつ、トモエもその瞬間にドンカイの掌を蹴って飛び出したので、威力は何倍にも膨れ上がっている。
トモエの過大能力──【加速を超えた加速の果て】。
これにより更なる加速を果たしたトモエは容易く音速の壁を突き抜け、ロケットみたいな速度で空を行きつつ、大声を張り上げた。
「パズルアーム──裂き貫くもの!」
彼女の呼び掛けに道具箱内に仕舞われていたパズルのピースが飛び出してくると、一本の大槍となって彼女の手中に収まる。その大槍を突き出すように構え、トモエは鳥人の群れを縫うようにして蝙蝠へと立ち向かう。
「トモエ君、皮膜……いや、翼を切り裂け!」
「んな、りょーかい!」
最初は蝙蝠の頭を狙っていたトモエだが、ドンカイの指示を受けると進行方向を逸らして、巨大蝙蝠の皮でできた翼を狙った。
「んんんなあああああああああああああああああああーーーッ!」
巨大な皮膜の上を滑るように飛びつつ、槍の穂先を皮膜に引っ掛けて一気に斬り裂いていくと、巨大蝙蝠は悲鳴を上げながら空中で体勢を崩した。
それでも最期の意地を見せたいのか、巨大蝙蝠は限界以上に首を伸ばして、殿を努めていた鳥人に噛みつこうとするのだが──。
「ぬぅぅぅおりゃああああっ!」
ドンカイによって横っ面を蹴り飛ばされた。
トモエを投げたと同時に、ドンカイも飛行系技能で追いかけていたのだ。
そして、巨大蝙蝠に追いかけ回されて鳥人を抱き留める。
「大丈夫か、娘さん?」
「…………あ、は、はい……だいじょう、ぶです……」
消え入りそうな声でなんとか返事をする鳥人の女性。少女というにはやや大人びており、大人というにはまだ若すぎる年頃だ。
美しい──ドンカイの率直な感想である。
人間的な部分の美貌もさることながら、その身を飾り立てる羽の色も艶やかで美しいものだった。こんな時でなければ見惚れていただろう。
しかし、追い回されたせいで翼はボロボロ。肌も傷だらけだ。
「年頃の娘さんになんて惨いことを……許せんのぉ」
ドンカイは牙で歯ぎしりすると巨大蝙蝠を睨みつける。
巨大蝙蝠もまた顔を蹴り飛ばしたドンカイをにらみ返すと、片翼を駄目にされたにもかかわらず、もう片方の翼だけで無理やり羽ばたいている。
巨大蝙蝠は怒りで目を真っ赤に燃やすと、ドンカイに突っ込んできた。
首を伸ばして大口を開け、ドンカイごと鳥人に噛みつくつもりだ。巨大蝙蝠の亀にも似た鼻先が2人の間近へと迫ってくる。
ドンカイは鳥人の女性を抱いたまま、振り翳した右腕を突き出した。
「せっかくじゃ──我が新技の露と散れぃ!」
ズドン! と重々しい音が響き渡る。
ドンカイの掌底が、巨大蝙蝠の鼻先にぶち当たる音だ。
そこから幾重にも重ねた震動のような重低音が聞こえてくると、巨大蝙蝠の身体を鼻先から爪先まで瞬時に激しく痙攣させる。
そして、巨大蝙蝠の巨体が爆ぜた。
ドンカイの過大能力──【大洋と大海を攪拌せし轟腕】。
これを使えば大地にあるもの全てを押し流すほどの大津波を起こすこともできるのだが、この新技はそれを応用したものだ。
掌底と共に津波に等しい威力の振動波を相手に叩き込む。
しかも掌底を叩き込んだ一瞬に何千回もだ。
津波は1回で街を押し流すほど強力なもの。その強力な振動波を瞬時に何千回も体内に送り込まれれば、耐えられる者などいるはずもない。
先の巨大蝙蝠のように弾け散るのが当たり前だ。
これこそドンカイが過大能力から編み出した新必殺技。
「波利磨王──とでも名付けるかの」
助けた鳥人の女性が抱かれたままポカンとしながらも頬を赤らめているというのに、ドンカイは得意げに新技に名前を付けていた。
存外──ドンカイも厨二病であった。
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