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第4章 起源を知る龍と終焉を望む龍
第86話:5人目の“娘”は転生忍者
しおりを挟む推測と憶測が入り交じるが──ツバサは前置きする。
「俺とミロはジャジャたちを蘇らせようと過大能力で働きかけたことがある。それも1回や2回じゃない。何度もだ」
ミロはジャジャたちを生き返らせようと奮闘した。
だが、世界を改変するミロの過大能力【真なる世界に覇を唱える大君】でも、魂を奪われた彼らを蘇らせることはできなかった。
個としての枠を失い、雲散霧消して世界へと帰っていく過程にある魂魄。
もはやそれは魂魄と言えず、記憶の残滓も曖昧な“気”に過ぎない。戻るように呼び掛けても、永遠の眠りにつこうとする意識には酷なことだろう。
それを知ったツバサは「無理はするな」とミロを止めたのだ。
一旦はミロも渋々納得したのだが、「だったらツバサさんの過大能力と連動したらどうだろう?」と閃き、ツバサもそれに乗ってみた。
世界を改変する【真なる世界に覇を唱える大君】。
自然を操作する【偉大なる大自然の太母】
猫族のために自然や動物を蘇らせたように、2つの過大能力を連動させればジャジャたちの魂や肉体も復元できるのではないか?
微かな望みを託したが──上手く行かない。
暇を見つけては2人で何度も試みたが、成功しなかった。
「……だが、あそこには俺たちは幾度となく過大能力で働きかけたため、そういう力場ができてしまったんだろう。魂を呼び戻す力場が……」
その力場が──ジャジャの魂を引き留めてしまった。
のみならず、ジャジャを含む葬られた13人の綻びた魂を結びつけてしまい、あろうことか1つに融合させてしまったらしい。
「その融合した魂をまとめたのが、このジャジャなんだろう」
あそこに葬られた13人の中で、彼はツバサやミロと縁がある。
だからこそ2人の呼ぶ声がダイレクトに届き、融合した魂の中で自我を保つことができた……これはもう希望的な憶測でしかない。
もしくはジャジャが臨死体験で見たように、他のプレイヤーたちが蘇生を諦め、粘るジャジャに餞別として魂を残していったのかも……。
とにもかくにも──ジャジャの魂は戻って来た。
数ヶ月の時間を要したが、魂の復元には成功したらしい。
しかし、肝心の肉体がズタボロだった。
墓から這い出てきたのはいいものの、ゾンビにもなることもできない崩れた肉体では立ち上がることさえままならなかったはずだ。
そこへクロコのメイド人形(7歳型)がやって来た。
ジャジャの聞いた人形の不思議な言葉──。
その真偽はさておいて、疑似生命の切れかかった肉体と、生命力はあるのに肉体が再起不能の魂。
この出会いが奇跡を引き起こしたらしい。
「2つが何らかの反応を起こして融合し……こうなったんだろうなぁ」
自分で解説しておきながら、ツバサは未だに「信じられない」と叫びたい眼差しで美幼女になってしまったジャジャを見つめた。
ジャンパースカートを着せられた──可愛い7歳の幼女。
ソファに座るミロは、先ほどまでの警戒心はどこへやら。
外見は可愛い幼女で中身はジャジャ。そう理解するや否や、彼女の小さな身体を膝に乗せて、ニヤニヤしっぱなしで愛でまくっていた。
「もー、細かい話はどうでもいいじゃーん」
ミロは幼女のぷにぷにほっぺに摩擦で火がつきそうな勢いで頬ずりする。ツバサが合理的解釈を求めようしているのに、まるで興味なしだ。
「ジャジャさんが復活して、おまけにこんなカワイイ幼女になって戻ってきてくれただけで丸儲けじゃん! 誰も損してないからいいんだよ、これで~♪」
「損得の問題じゃなくて理屈の問題だ」
「理詰めで物事を考えようとするんは君らしいのぉ、ツバサ君」
応接間の床へ直に座るドンカイが、ツバサの態度も“らしい”と評価する。良いとも悪いとも言わない辺り、両義的な意味で言ったのだろう。
真面目に考えすぎて融通が利かないことは多々あるので認めるしかない。
ちなみに、ドンカイは応接間のソファに座らない。
先日ソファに腰をかけたら2m75㎝の図体に耐えきれず、ソファがパンクしてしまい、それ以来「反省……」と座るのを戒めていた。
現在、工作者に特注の特大ソファを発注しているところだ。
「親方、そうは言いますけどね……」
確かに──ジャジャの復活は素直に喜びたい。
だが現実的な物の見方をするツバサは、どんな不可思議な出来事だろうと起きた現象に筋道を立てなければ気が済まなかった。たとえ仮説であろうともだ。
強迫観念にも似たツバサの性分である。
「第一、ジャジャ自身はどうなんだ?」
自分が復活できた理由を知りたくないのか? と問うてみる。
「え……あ、はい、最高です!」
ミロに抱かれていたジャジャは、ツバサほどではないにしろ「Dカップになった」と威張るミロの胸に顔を埋め、締まりのない顔で照れていた。
「ミロの谷間の感想を聞いてんじゃない!」
「あっ、す、すいません! えーっと……わかりません!」
「話を聞いてなかったな、おまえ!?」
ごめんなさい! とジャジャは小さな身体をすくめた。
そんなジャジャをミロは抱き直して、「よしよし」と庇いながら撫でる。
「おー怖い怖い、お母さんは怒りっぽいから気をつけようねー♪」
「誰がお母さんだ!」
定番の台詞で怒鳴るツバサ、その肩をフミカが叩く。
「バサ兄バサ兄、お母さんってのはあながち否定できないッスよ?」
「あん? どういうことだよ?」
フミカは空中に何枚かのスクリーンを開いた。
分析でジャジャの状態を調べてくれたらしい。
「このジャジャ……さん? ちゃん? まあ今の見た目ならジャジャちゃんでいいッスかね……あんまりにもバサ兄とミロちゃんに似てるんで、遺伝子配列とか調べてみたんスけど、そしたら案の定というか……」
「おい、まさか……?」
一目会った瞬間、「他人ではない」という直感はあった。
その直感を裏付けるように、フミカは調査結果を報告する。
「お察しの通り──このジャジャちゃん、遺伝子的にバサ兄とミロちゃんの遺伝子を受け継いでて……現実で親子鑑定なんかやろうものなら、母親はバサ兄で父親はミロちゃんって結果が出るはずッスよ」
予感的中──遺伝子が共鳴した感覚は本物だったわけだ。
これも過大能力のせいなのか?
ツバサとミロが幾度となく過大能力を連動させた結果だというのか?
再生した肉体にまでツバサたちの影響を及ぶとは……。
「でも……なんで俺が母親でミロが父親!? そこは逆だろ!」
フミカの両肩を掴んだツバサは、前後に揺らして抗議する。
こちらの爆乳でフミカの巨乳を潰すほど迫ったが、女同士なので大目に見てもらおう。「オカンの圧力パない……」という一言は聞かなかったことにする。
ズレた眼鏡を直しながらフミカも弁解してきた。
「ウチに文句を言われても困るッス! 分析結果だとジャジャちゃんの遺伝子で母親由来のはバサ兄のもので、ミロちゃんの遺伝子は父親由来でしか発現しないものだったんスよ!」
もっと具体的に言うなら、とフミカは詳細を語り出す。
「バサ兄が卵子提供者でミロちゃんが精子提供者。その受精卵をクロコさんのお腹で十月十日育てて、代理出産させたっぽいのがジャジャちゃんなんスよ。ほら、クロコさんのメイド人形、あれがジャジャちゃんの肉体の基礎になっているせいか、分析すると“そんな感じ”って答えが出るんスよ!」
「なんだその、こんがらかった設定は!?」
ツバサが母親でミロが父親だというだけでも男心が受け入れがたいのに、クロコに代理出産させたことになるってどういうことだ!?
……と思ったが、強く否定はできない。
クロコを元にしたメイド人形、その肉体を使ってジャジャは復活した。
それが「クロコの代理出産」に繋がるのだろう。
「つーわけで、この子はバサ兄の子! ウチたちとは兄弟姉妹ッス!」
フミカのやけっぱちな発言に、家族の目が一斉にジャジャに向けられる。
「つまり、こん子は……アニキとミロちゃんの血を受け継いだ……娘?」
「んな……マリナよりも小さいから……トモエの新しい妹……?」
「センセイとミロさんの娘……つまり、ワタシの妹……?」
長男、三女、四女──この理解力と受け入れの早さよ。
「おまえら適応力高すぎだろ……」
ツッコミはさておき、ジャジャとミロに振り返る。
「アタシとツバサさんの娘……ホンマモンの娘キターーーッ!」
よっぽど嬉しいのか、幸せの絶頂にあるミロはこの世の春と盆と正月がいっぺんに来たように大喜び。瞳からは感涙が止め処なくあふれている。
そして、当のジャジャはと言えば──。
「自分が……ツバサさんとミロさんの本当の娘……ッ! い、生きてて良かった! 1回死んだけど頑張って生き返って……本当に良かった!」
ミロそっくりの表情で感激し、やっぱり滝のような感涙を流していた。
あの顔を見ると、血の繋がりを感じずにはいられない。
恍惚の表情で立ち上がったミロはテーブルに片足を踏み上げ、両手をジャジャの脇に差し込んで高々と掲げていた。
どこからともなく光が差し込み、ジャジャの小さな身体を照らす。
「なんか見たことある構図じゃな。有名な劇か映画で……」
ドンカイは顎に手を当てて思い出そうとする。
「ラ○オンキングじゃないスかね」
それじゃ、とドンカイはフミカの助言に手を打った。
ひとしきりライオン○ングごっこをしたミロは、ジャジャを持ち上げたまま両手を大袈裟に振り回し、パスするみたいにツバサに渡してきた。
「ささっ、ツバサさん! アタシとの愛の結晶を抱いてあげて! ほーら、ジャジャちゃん! アタシがママで、ツバサさんがお母さんですよーッ!」
「おい、だから生物学的におかしいと……」
有無を言わさず幼女化したジャジャを押しつけてくる。
幼気な幼女を無下にするわけにも行かず、投げ渡される形で受け止めると、彼女はその小さな手でツバサの大きな胸にしがみついた。
──ジャジャとは付き合いが長い。
ツバサが男だということは「内緒にします!」と知っているし、こういうおふざけが嫌いなツバサの性格も知っている。
だからなのか、ツバサの胸に縋りつく手もおっかなびっくりだ。
ジャジャは年相応の外見で脅えている。
震えながらも覚悟を決めたような顔をすると、唇をキュッと噛んでからツバサを見上げて一生のお願いをする気持ちで訴えてくる。
「ツ、ツバサさんが男なのも、こういうことも嫌いなのはし、承知してます……で、でも、ちょっとだけでいいんです、ほんの少しだけ……自分なんかじゃ気持ち悪いかも知れませんが……お願いします、もう一度だけ……」
お母さん……切ない声で呟きながら抱きついてきた。
目に入れても痛くない、愛らしい幼女が泣きそうな顔でだ。
いつもなら「誰がお母さんだ!」の合いの手で済ますのだが、ジャジャに対してはそれができなかった。理由は2つある。
かつてジャジャの死に際に立ち会った際、走馬灯の最中にあったジャジャの最期の言葉である「お母さん、置いていかないで……」という、彼のトラウマめいた一言を思いやると、突き放すようなことは冗談でも言えない。
2つ目はミロが「自分がママだ!」と言い張るように、ツバサもこの幼女が自分の娘だと心のどこかで認めているのだ。
血の繋がりは元より、魂の結びつきまで感じてしまう。
ツバサとミロの過大能力による相乗効果が、ジャジャの魂をあの世から呼び戻しただけに留まらず、必要以上に縁を繋いでしまったのかも知れない。
何より──可愛くて仕方ないのだ、この幼子が!
いくらツバサの男心が「しっかりしろ! 男という自覚を保て!」と叫ぼうとも、この神々の乳母という肉体に宿る母性本能が荒ぶっている。
この子は俺の娘だ! と声高らかに宣言したい。
この幼女を部屋に連れ込んで引きこもり、ずっと可愛がっていたい! これからずっと世話を焼いて面倒を見て……大切に育てていきたい!
そんなツバサの心中を見透かすように、ミロが忍び寄って囁いてくる。
「ツバサさぁ~ん……母の幸せに浸った顔してるよぉ~?」
「だ、誰が…………ッ!?」
母だ! と言葉を続けることができなかった。
自分の娘だと信じて疑えない幼女が、涙で濡れた瞳をウルウルと煌めかせて乳房に縋りついたまま、母親を慕う目でツバサを見つめているのだ。
ジャジャの心中は察するに余りある。
ここでツバサが「母親じゃない」などと言い捨てようものなら、母親に置き去りにされた過去を持つジャジャのトラウマを抉ることになるだろう。
それだけはできない──人として! 母として!
ツバサは覚悟を決めた──母親という泥沼に片足を突っ込む覚悟を。
「っっっ~~~~~~…………あああ、もうっ!」
ツバサは喉を唸らせると、ジャジャを力いっぱい抱き締めた。
限りない母の愛を込めた優しい抱擁でだ。
「わかったよ! この娘は……俺とミロの娘だ! 認める、認知するよ! 経緯はどうあれ、俺とミロの力から生まれた血の繋がりがある娘だ! 俺が母親になればいいんだろ! 5人育てるも6人育てるも一緒だ!」
これでいいんだろ! とツバサはヤケクソ気味に言い放った。
ツバサの宣言を聞いたジャジャは泣き腫らした顔を上げ、嬉しさの余り涙まみれの顔をグシャグシャにしてわななかせた口で泣き叫ぶ。
「あ、あ、あ……ありがとうございます、ツバサさぁん……ううっ、う……ああああああん! お母さん、お母さぁーん……ッ!」
ツバサの胸の谷間に顔を埋めて泣き叫ぶジャジャ。
一時それを微笑ましく見守っていたミロたちだが、ジャジャが落ち着くとツバサからそっと譲り受け、娘たち全員で胴上げを始めていた。
「やったー! 5人目の姉妹だーッ! アタシがママで長女ねーッ!」
「え、ウチが長女じゃないんスか? 年齢的にもほら?」
「アタシ、こないだ17歳になったから、アタシが長女でフミちゃんが次女ね! だってアタシがツバサさんの夫で一番なんだから!」
「んっ! フミカが次女ならトモエ三女な!」
「ワタシは、ワタシは、えーっと……四女ですね! で、ジャジャさん……いえ、ジャジャちゃんが五女! ついにワタシもお姉ちゃんです!」
娘5人は大騒ぎ、ジャジャを歓迎している。
ツバサはせめて今だけは、男性陣に回って傍観させてもらった。
「20歳の身で6人の子持ちとは……君も大変じゃのう」
同情するドンカイの言葉を鼻で笑ってやる。
「俺は世話こそ焼きますけど、それ以外は放任主義ですからね。子供たちには勝手に育ってもらいますよ。無論、躾はしますが……」
おんや? と傍らにいたダインが不思議そうに首を曲げた。
「アニキ、計算がちくっと合わんぜよ? 5人育てるも6人育てるもって……ジャジャちゃん加えたら娘は5人、なんで6人ちゅうんじゃ?」
「おまえ、カウントの仕方間違ってるよ」
ツバサは呆れ気味に、ダインに掌を伸ばして指を折る。
長女──ミロ・カエサルトゥス。
次女──フミカ・ライブラトート。
三女──トモエ・バンガク。
四女──マリナ・マルガリーテ。
五女──ジャジャ・マル。
五本の指を曲げた後、折り返すように小指を立てる。
「そして、長男のダイン……ほら、6人じゃないか」
「あ、アニキ……わしんことも“息子”と認めてくれるんか……ッ!」
アニキーッ! と号泣するダインまで抱きついてきた。
ツバサかフミカに気を遣ったのか、爆乳には触れてないが……。
「あ、こらやめろ! おまえ金属製だから抱きつくと……冷たッ! いや熱ッ!? 冷却装置の冷たさとエンジンの熱が!?」
これだからサイボーグは! と恥ずかしさを誤魔化すために毒突いた。
「そういや……あいつが静かだな」
ツバサとミロ──つまり、女性同士の間に娘が生まれた。
こんな百合めいた話題にクロコが食いつかないわけがないのだが……?
ツバサは自分の座っているソファの後ろに振り返る。クロコはメイドらしく主人の後ろに控えていた。両手を前に組んで立ち尽くしている
いつも通りの無表情──鉄面皮と言い換えてもいい。
だが、よく観察するとおかしい。
神経を集中して注意しなければわからないほど、彼女の身体は微細な震動を起こしている。つまり、カタカタと小さく震えているのだ。
次の瞬間──爆発した。
見開いた眼からは噴水のように涙をあふれさせ、鼻からは夥しい鼻血を噴き出し、口からも水音がするほどの涎、耳からよくわからない汁を流す。
体中の穴から体液を噴出させてクロコは卒倒した。
床に倒れ伏してもガクガクと痙攣は収まらない。
舌を噛みかねないのに何事かを呟いている。
「ツ、ツバサ様とミロ様の……真性百合夫婦に、お母さんとママの間に生まれた娘……し、しかも、私のメイド人形で代理出産……ぜ、全世界の百合やレズが夢にまで見た、女性の女性による女性のためだけの家族計画…………おっほぉっ♪」
最期にブルリ! と大きな痙攣をしてクロコは動かなくなる。
「……うむ、脈はないのぅ」
ドンカイがしゃがみ込み、細い腕の脈を取った。
「瞳孔が開いとる……対光反射もないぜよ」
ダインが頭を掴み、瞼をこじ開けて目にライトを当てる。
「心肺停止……死んでるッス」
最期にフミカが走査で確認をする。
「えっと、えっと……お医者さんはいないから、回復役ーッ! ヒーラーの方はいませんかー……って、ワタシだそれ!?」
マリナにしては珍しく、1人ボケツッコミが冴えていた。
「望外すぎる幸せを受け止めきれなかったか……」
神族だからどうせ仮死状態だ──放っておけば息を吹き返す。
その日は夜遅くまで宴会めいた騒ぎが続いた。
主役は勿論ジャジャ──その復活と転生を祝っての宴だ。
~~~~~~~~~~~~
翌朝──拠点前に並んだハトホルファミリー一同。
ツバサとミロが拠点に背を向け、肩を並べて立っている。
向かい合うように右からドンカイ、クロコ、トモエ、マリナ、フミカ、ダインの順でズラリと居並んでいた。
そして、新たにもう1人──。
「おーい、出ておいでー」
ミロに呼ばれて、新しい家族が拠点から出てくる。
ツバサが新調した子供サイズの忍者コスチューム。赤のカラーリングこそ変わらないが、デザインは忍者ではなくくのいち仕様だ。可愛らしさや女性らしさを醸し出すようになっており、露出が増えた分は鎖帷子などで補填してある。
覆面はやめさせたがトレードマークの赤いマフラーは健在。長い髪は後頭部でまとめて髷のようなポニーテールに仕立てている。
腕には母親である地母神とママに当たる英雄神、2人の女神を彫り込んだガントレット。ダインに頼んでサイズ変更してもらったものだ。
無論、足にもちゃんと具足を装備している。
ツバサとミロを良いところを受け継いだ愛らしい顔は、出会った時と比べて活き活きしており、子供らしいエナジーに満ち溢れていた。
見た目は忍者──というより、くのいち幼女である。
「ほら、改めてみんなに挨拶しなさい」
ツバサが母親のように背中を押して促すと、こちらに振り返ってはにかんで頷き、仲間たちに向かって元気よく挨拶を始めた。
「どうも初めまして──自分、ジャジャ・マルと申します」
両手を合わせて合掌し、そのまま拝むかのように頭を下げる。
「一度は別次元の怪物に食われて死にましたが、命冥加なことに生き返え……いえ、生まれ変わることができました! それもこれもツバサ母上とミロママ上のおかげです! こんな自分ですが、これからお二人の娘として、生まれ変わったつもりで頑張っていこうと思います! ですので……」
ドーゾヨロシク! とジャジャは満面の笑顔でそう言った。
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