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第4章 起源を知る龍と終焉を望む龍
第81話:少しだけ穏やかな日々
しおりを挟むクロコたちを家族に加え、1ヶ月半が過ぎようとしていた。
季節は夏を通り越して秋の気配を帯びてきた。
暑さも温むと草木も色づいて、果実がたわわに実り始める。
本当に秋が近付いているのだ。
ツバサの過大能力は自然に働きかけることができ、その能力で自然に感応すると季節が秋になりつつあることをダイレクトに感じられた。
どうやらこの一帯には四季があるらしい。
この秋が過ぎれば、雪の舞い散る冬が来て、やがては春が訪れる。そして、また暑い夏がやってくる……そんな季節の移り変わりを肌感覚で予想できた。
人間の肌感覚ではない。神族、それも大地母神の肌感覚だ。
その的中率は天気予報の比ではなかった。ほぼ確定したようなものである。
まるで日本のような四季が訪れるらしい。
ケット・シーたちに聞いても同じようなことを言う。
遠く離れた異世界だというのに、不思議な類似もあるものだ。
物知りなフミカが調べた範囲では──。
「この幻想世界……いや、真なる世界なんスかね? 呼び方はいいとして、太陽や月は1個ずつちゃんとあるんスよね。星座の並びも何だか地球から観測した感じとよく似てるし……まだちゃんと計算してないスけど、きっと星の自転や太陽の公転周期、それに1日も24時間ぐらいだと思うッス」
「なんだそれ、地球と同じじゃないか」
これを聞いたツバサは訝しげに眉をひそめるしかなかった。
また、ダインとフミカは周辺地理の調査に出掛けている。
その結果──この世界は途方もなく大きいと判明した。
物は試しにと行けるところまでハトホルフリートを飛ばして、2泊3日してから戻ってきたのだが、片道だけでも3万㎞以上は費やしたという。
日本からブラジルまで、おおよそ1万7000㎞ほど。
片道だけでもその倍は費やしているのに、どこまでも大陸が広がっている……どれほど大きいのか見当もつかない。
ただし──途中には海と見紛うような大河や湖があったという。
それを聞く限り、水資源は安定供給が見込めるようだ。
アブホースやアトラクアなどの別次元の侵略者による略奪は現在進行形かも知れないが、水がふんだんにあると知れただけでも安心感がプラスへと傾く。
「現実世界だと水資源の奪い合いで戦争する地域もあったからな」
「日本は割と恵まれた方だったけど、そろそろヤバいって噂あったッスからね」
巨大惑星が衝突するまで保たなかったかも知れない。
実のところ、地球は危険な領域に突入しかかっていたのだ。
――誰もが日常的に終末を予感する日々。
もしもジェネシスによる全人類を異世界へ転移させるという計画が実行されなかった場合、遠からず破滅の日を迎えていたのは想像に難くなかった。
もしかすると、この異世界転移は人類を救う一筋の希望になるかも知れない。
だが、怪しむべき点はいくつもあった。
地球などとは比べ物にならない広大な大陸を擁する惑星。
比例して海の面積も計り知れず底知れないものだろう。この大陸以外にも未踏の大地があることは示唆されており、そこがここ以上の超大陸という場合もある。ここが島に見えるくらい、もっと大きな大陸があるという可能性も……。
なのに、星の自転と公転、及び星座配列などは地球のものと酷似。
……偶然にしては出来過ぎではないか?
ダインとフミカは、自分たちの見てきたものを報告してくれた。
「行き帰りの道中、滅んだ村とか街とか都市の跡は発見できたんじゃが、ここん猫たちみたいな原住民らしき連中は見っからなかったぜよ」
「この世界、とんでもなくでっかいみたいッスね。どこまで行ってもだだっ広い大地が広がってるッス。自然が鬱蒼となっている地域もあちこちにいっぱいあったんで、まだ別次元の奴らに侵されてない場所も多いみたいッスね」
あと──フミカは悲しげに呟いた。
「ダイちゃんとふたりっきりだったのに何にもなかったッス……」
「……もうおまえから告白っちゃいなさい」
「いやッス! ダイちゃんの口から『好きじゃ! 愛しちょる! 結婚してくれフミィ!』って言ってくれなきゃイヤッス!」
「……だから進展しないんだよ」
ダインは恋愛に奥手だから尚更だ。
「そういうバサ兄はミロちゃんとどうやってラブラブになったんスか!?」
興奮したフミカはいきり立っていた。
勢い任せに、ツバサとミロの馴れ初めを聞き出して参考にしたいようだ。
ツバサはバツが悪そうに、目線を逸らしてボソリと答える。
「あー、うん、それは…………ミロに告白されて、すぐ押し倒された」
「ダイちゃんのこと言えない奥手じゃないスか!?」
「うっ、うう、うるさいなぁもう! どうせ女々しいよ俺は!」
だから女体になってるんだし! と照れ隠しに怒鳴っておいた。
~~~~~~~~~~~~
建前は言わなくなり、他人行儀で接することもない。本音で言い争うこともあれば、掛け値なしのツッコミを入れてくる。
それが普通にできるくらい、ツバサたちは家族になっていた。
都合4ヵ月も一緒に暮らせばそうなるだろう。
今日も朝食を済ませると──それぞれの仕事に赴いていった。
ツバサとクロコは朝食の後片付けを終えると、洗濯物に取り掛かる。食器を洗っている間に、ダインが作ってくれた全自動洗濯機を3台同時に回している。
8人家族の大所帯だから、洗濯物もかさむ一方だ。
それぞれ、戦闘や探索に出向く際には愛用のコスチューム(ツバサなら真紅のジャケット、ミロなら蒼いロングカーディガン)を持っているが、拠点という我が家にいる時はツバサが作った普段着で過ごしている。
神族は人間のように老廃物が出ないので着たきり雀でも構わないのだが、気分的に嫌なので毎日着替えさせていた。
「そういうところ、ツバサ様はまさにオカンですね」
「誰がオカンだ」
久し振りに正統な合いの手を返せた気がする。
布団カバーにシーツも定期的に洗っているので、洗濯物の量はとてつもなく多くなった。ツバサ1人では持て余しただろう。
しかし、幸いなことにクロコが増えたので助かっている。
「こら、隙あらば下着をポケットに突っ込むな!」
「ご安心を──お嬢様方のものには手を出しておりません」
これはツバサ様のものです、とクロコはショーツをギュッと握り締めた。
「……おまえ、それを本人の前で言い切るか?」
反面、こういう心労は増えていた。
クロコを叱りながら、一緒に洗濯物を干していく。
ダインが拠点に大きなサンルームを作ってくれたので、そちらに干してもいいのだが、今日はせっかくの快晴だから外に干すことにした。
2人で手分けして干していくが、なかなか減らない。
衣類にしろ下着にしろバリエーションも豊富だ。ただ、女性が6人に男性が2人なので、比率的に女性物が多くなるのは仕方ない。
「そして、この巨大なブラは他でもない……」
「人の下着で遊ぶな! 嗅ぐな! 吸うな! 帽子みたいに被るな!」
洗い立てのツバサの下着で遊ぶクロコを後ろから張り倒す。
最近ツッコミ待ちなところがあるな、クロコ。
「しかし、普段着も増えてきたな」
ドンカイ専用のバカでかい浴衣を干して、ツバサはぼやいた。
ダインも甚平とかラフな格好を好む。
ツバサもそうしたいのだが、この乳尻太ももでは……着ればちぐはぐになりそうだし、ネタにされそうなので当たり障りのない格好を選びがちだ。
「私たちも年がら年中、同じ格好しているわけではありませんからね」
「いや、おまえは始終メイド服だろうが」
クロコは普段着を用意しても「これが私の普段着にして戦闘服です」と言い張って、頑なにメイド服しか着ないのだ。
それとクロコの洗濯物に下着が一切ないのだが…………まさか?
「おぅいツバサ君、ちょいと出掛けてくるぞ」
クロコを問い詰めようとした時、ドンカイに声を掛けられた。
見ればドンカイがミロとマリナ、それに数人のケット・シーを連れて川へ足を向けていた。その肩には大小の船を重ねて担いでいる。
「あ、親方。今日も川で漁の練習ですか?」
「うむ、この子らは筋がいい。今日は投網を教えようかと思うてな」
ドンカイは自他共に認める戦士──かつては最強の横綱である。
なので戦闘系技能ばかりかと思えばさにあらず、ある部類の生産系技能に秀でていた。いや、狩猟系技能と言うべきか?
ドンカイは漁や船に関する技能を数多く習得していたのだ。
「力士にならなければ、実家を継いで漁師だったからのぅ」
海にちなんだ四股名は実家由来だという。
昔取った杵柄と言うわけではないが、船の製作や操船技術、釣りから投網などの漁に至るまで、水産物関係の技能を豊富に備えていた。
水産関係に疎いツバサたちにしてみれば、大助かりな新メンバーだ。
先日のこと。ツバサの過大能力【偉大なる大自然の太母】と、ドンカイの過大能力【大洋と大海を攪拌せし轟腕】を連動させ、猫族の村の近くに水源としていくつかの清水を湧かせ、穏やかな河川も作った。
これで猫たちが船を使えるようになれば海までの水路ができ、川魚などの水棲生物もフミカに復活してもらったので食生活に幅が出る。
ドンカイは猫たちに櫓や棹を使った初歩的な船の操り方を教えつつ、釣り竿の作り方や仕掛けや浮きの作り方、網を使った漁法を指導してくれていた。
ミロやトモエがついていく必要はないのだが──。
「ツバサさーん、今日はオッチャンと川で遊んでくるねー!」
「ツバサ兄さん、トモエも行ってくるー!」
川遊び用のラフな格好をした2人は、シュノーケルやら浮き輪やら銛やらを装備しており、川魚を捕りに行く少年にしか見えなかった。
ミロはともかく──トモエには良い傾向が現れている。
シズカを失ってからの彼女は憂鬱気味だった。
ともすれば鬱にでもなって部屋に引き籠もるかと危惧していたが、ミロやマリナが気に懸け、ダインやフミカも世話を焼いてくれたのだ。
ツバサの杞憂で終わったのは何よりである。
それ以降、トモエは必ず誰かにくっついて、何か新しいことに取り組もうと努力するようになった。具体的には、フミカと一緒に読書をしたり、ダインと一緒に簡単な機械の組み立てを手伝ったり──。
やりたいこと──新しいことに取り組もうと頑張っていた。
その懸命な姿勢を微笑ましく見守っている。
今日はドンカイについていき、漁を教えてもらうつもりのようだ。
「オッチャンオッチャン、ザリガニ捕りたいんだけどいるかな?」
ドンカイにまとわりつくミロが、期待を込めて尋ねる。
「ザリガニぃ? おったような、おらんかったような……そういえば、川エビならウジャウジャおったがのぉ」
「じゃあエビでもいいや。ツバサさんに天ぷらにしてもらおう!」
本当に獲ってきたらそうしよう。
「いやー、あのサイズは数を集めんとかき揚げにもならんぞ?」
「じゃあかき揚げで! 今晩のおかず決定ーッ!」
それもいい。立ち聞きしていたツバサはコクンと頷いた。
「ん、トモエ、カニのが好き。親方さん、カニはいる?」
「おお、カニもたんとおるぞ。これまた小さい沢ガニばかりだがな」
それを聞いたトモエはニッコリ笑った。
「ん、それでもいい。今日はカニのお味噌汁。決定」
夕飯の献立がまた一品増えた。
猫たちも交えて和気藹々、一行は川に向かう。海流すらも意のままとするドンカイがいれば水難事故の心配もないから安心だ。
ドンカイたちを見送っていると、拠点から次の一行が出てきた。
フミカとマリナだ。2人はたくさんの書籍を抱えている。その後ろにのそりとダインが続く。こちらは大量の砂鉄を運んでいた。
「3人とも今日の講義か?」
シーツを干しながらフミカたちに声を掛ける。
「そうッス。今日は食べられる野草や木の実のお勉強、こう加工すれば日持ちしたり食べやすくなるとか……その辺を猫ちゃんたちに教えてあげるつもりッス」
「ワタシもお手伝いするんですよ」
本を抱えたままマリナが寄ってきたので、その頬を撫でてやる。
「ダインは鉄器の加工の続きか?」
マリナを愛でながらダインにも聞いてみた。
「そうじゃな。砂鉄の集め方は教えたから当面は間に合うじゃろ。大掛かりなんは教えると一大事業になりかねんし、自然をぶっ壊すからのぅ……」
「ああ、一昨日聞かされたあれか……あれはなぁ」
──砂鉄を大量に採る方法。
簡単に言えば、山を丸々ひとつ掘り崩すようなものだ。
砂鉄成分をふんだんに含んだ山を崩して、その土砂を川に流して砂鉄だけを掬うように集め、それを精錬していくという作業を行う。
これ――ほとんど環境破壊に等しい。
山を崩すということは、その上に広がる森林を伐採するということ。
土砂を流すということは、河川を汚して生物を殺すということ。
まだ猫族たちは多くの鉄器を必要とするほど増えてはいないし、ようやく自然が甦りつつあるのに、大規模な森林破壊をすることもない。
「そんなわけじゃし、今日は狩りや漁に使う槍先や銛、それに植物採取用のナイフなんかの作り方を教えてこうかと思っちょるんじゃ」
「木製品と組み合わせて使うタイプか……うん、いいんじゃないかな」
ケット・シーたちの文化水準も少しずつ上がってきた。
拠点の高台から見下ろす谷の家々も、最初の頃の掘っ立て小屋が嘘のようで、今ではログハウスの一歩手前の丸太小屋になっていた。
これもダインの指導の賜物である。
発展してきた猫族の村について、フミカに相談することがあった。
「そういえばフミカ、ケット・シーたちの食糧の自給についてなんだが」
「はいはい、そろそろ農耕を教えるかどうかについてッスね」
歴史書なども読んでいるフミカに、その辺りの導入時期はいつ頃がいいかを検討してもらったのだ。もう答えは出ているらしい。
「多分、まだ時期尚早ッスね」
猫族の人口が増えるか──彼らのような庇護するべき種族が増えるか。
村全体の人口が極端に増えない限り、もしくは彼ら自身が気付かない限り、無理に教えることはないという。
「結局、農業にしろ牧畜にしろ養殖にしろ、人口が増えすぎて自然からの恵みだけじゃ賄えなくなったから、食糧欲しさに始めたことッスからね」
それまでは狩猟や採取で間に合うそうだ。
「自発的に行動するのを待つか、頃合いを見計らうべきか……」
現時点、まだ猫たちはそれほど増えていない。
彼らは年2回ほど発情期を迎え(最近あったのだが、村全体が凄いことになったのは割愛する)、それから半年ぐらいで出産するらしい。
ツバサたちが来る前の発情期によって生まれた子供たちは、アブホスからの襲撃を受けていた時期と言うこともあり、その数は少ない。
「こないだの大騒ぎでベビーブームが来るだろうが……」
「これからジャンジャン増えるだろうし、それからでいいと思うッス」
ちょっと頬を赤らめながら2人は確認し合った。
それじゃあ、と3人は手を振って講義に出掛けていく。
ツバサは手を振って見送った。
「お昼ご飯には戻ってこいよー!」
はーい! と3人の揃った声が聞こえてきた。
元気な返事にツバサが顔を綻ばせていると、その横顔を微笑ましそうにクロコが生温かい眼で見守っていた。なんか腹立つ。
「そうしてお子さまたちを見送る姿など、母親そのものですわね」
「……誰が母親だ」
本音を明かせば──悪い気はしていない
ここのところ母性本能の勢いが増しており、「もう本当に女に……母親になってもいいか……」と諦めにも似た境地が芽生えてきていた。
だが、「おい、ふざけんな!」と暴れる男の自分もいる。
「……そういや、おまえの特権技能『性別転換』って」
「はい、先日も試してみましたが、ツバサ様には無効のようですね」
ツバサとクロコの100を超えるLV差。
それとツバサの過大能力【万能にして全能なる玉体】。これがクロコの技能を呪いと判定して抵抗してしまい、何度やっても効果を現さないのだ。
一縷の望みも絶たれた気分である。
ガックリうなだれるツバサ、その肩をポンとクロコが叩く。
「踏ん切りをつけて、そろそろ母として女として生きる覚悟を……」
「決められるわけないだろ! これでも男として20年生きてきたんだぞ!?」
クロコは魔性の微笑みで手招いてくる。
「フフフフフ……ようこそ、甘美なる百合とレズの世界へ…………」
「や、やめろぉ! 俺を引きずり込むなぁーッ!?」
実のところ、とっくの昔にミロによって引きずり込まれているのだが──。
「ほら、遊んでないで洗濯物を片付けるぞ」
それからお昼ご飯の用意な、と衣類を物干しロープにかけていく。
「はい、かしこまりました」
クロコにはシーツやタオル類を任せる。
間違っても、みんなの衣類や下着を預けるようなことはしない。
「ふぅ……だいたい、こんなもんかな」
燦々と照りつける太陽の下、色取り取りの洗濯物がはためいている。それを見上げていると不思議な達成感があった。
「さて、それじゃあ昼食の支度を……」
「ツバサ様、お待ちください」
拠点に戻ろうとする前にクロコが制してきた。
失礼いたします、とクロコは制した手を伸ばしてくる。
ツバサの胸元に指を伸ばしてきたのでセクハラを警戒したが、クロコの手はすぐに離れていった。その手には1枚の布きれが摘まれている。
「ひとつだけ──干し忘れております」
「……ッッッ!?」
それは──マリナのお子さまパンツだった。
洗濯物を干している際、他の衣類に紛れ込んだのがツバサの胸の上に落ちて、そのままになっていたのだろう。干すのに夢中で気付かなかったらしい。
しかも落ちていたのは首元の近く、ツバサにとって死角だ。
改めてパンツを干すクロコは澄まし顔で呟いた。
「このまま皆様の前に──特にマリナお嬢様の前に出ようものなら、どうなっていたことでしょうねぇ……想像してみていただけますか?」
「や、やめてくれ! 考えたくもない!」
目も当てられない大惨事になったことだろう(ツバサ限定)。
『お母さ……センセイ、サイテーです! 大嫌いッ!』
マリナにそんなこと言われたら軽く死ねる。
鬱になって、絶望して、悲劇的になり、首を括りたくなったはずだ。
「いけませんねぇ……これはいけません」
クロコはこれ見よがしにため息をついて首をプルプル左右に振る。それから思わせ振りな仕種で、ツバサに近付いてきた。
「ツバサ様は誰よりも麗しい女体を持ちながら、その価値や素晴らしさ、そして弱点さえご理解なされておられない御様子。それは宝の持ち腐れというものです……よろしい!」
ポヨン! とクロコは自分だってツバサのことは言えない爆乳を右手で叩くと、「大丈夫、任せて!」と言わんばかりに詰め寄ってきた。
「このクロコが──ツバサ様に女性の体の何たるかを、巨乳や爆乳の何たるかをレクチャーさせていただきましょうッ!」
クロコはノリノリだが──ツバサは嫌な予感しかしなかった。
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