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第4章 起源を知る龍と終焉を望む龍
第78話:クロコ・バックマウンドへの尋問
しおりを挟むジェネシス──世界的協定機関。
表向きはグローバルな多国籍企業を装うも、その業務は『揺りかごから墓場まで』と多岐に渡り、手掛けぬ事業はないとまでされていた。
しかし、その実体は大いに異なる。
いつか訪れる地球崩壊を予見して、人類を存続させるために世界中の大財閥や各国政府が提携した、秘密結社の如き協定機関である。
彼らは地球崩壊に備えて、人類が移住できる新天地を探していた。
水星、金星 火星、木星……太陽系惑星の地球化改造計画。
太陽系よりも遠くの惑星へ移動するための宇宙船建造計画。
宇宙空間に新たな居住区を作るスペースコロニー建設計画。
そして──別次元にある異世界への移住計画。
ある日のことだ──。
新型VRシステムの開発中、試験者が偶然にも迷い込んだ空間があった。
そこは有り体に言えば異世界だった。
極秘裏に研究が進められた結果、この世界は霊的に高次元な場所に位置しており、古来より現実世界と接点を持っていたことが判明する。
具体的に言えば、神話や昔話の元ネタはここにあるらしい。
妖精の目撃譚、ドラゴン退治、魔物の伝説……これらは幻想世界からの来訪者であり、神隠しや異世界への冒険譚は現実世界からの渡航者だ。
ゆえに──幻想世界と名付けられた。
幻想世界は霊的な高次元にあり、生身の人間が行くのは少々難儀だったが、迷い込んだ試験者は“魂”だけが飛ばされていたらしい。
そのことに気付いた研究者たちは、新システムの開発に成功する。
それがソウルダイブシステムだ。
VRシステムで電脳世界へダイブするためのヘッドギアを改良したもので、使用者の魂を肉体より一時的に分離させ、幻想世界へと送り込む。
幻想世界を人類の移住地──その候補のひとつに数えたジェネシスは、この世界を開発していくための準備を始める。
まず初期GMとなる者たちを派遣し、広大な安全地帯を確保。この一帯は特殊な力場で大規模に閉鎖され、後にアルマゲドンのフィールドとなる。
何度となくソウルダイブシステムの安全性が検証され、それが確立されると同時に計画は次の段階へと移された。
一般人を交えた臨床試験的なものを始めたのだ。
また調査の結果、幻想世界にはモンスターを初めとした強力な現住生物が多数確認された。これらに対抗、もしくは排除できる戦力が必要となった。
そうした調査の過程で──GMたちに異変が生じる。
幻想世界での活動を繰り返すうちに魂が鍛えられでもしたのか、あちらでのアバターが強化されて不思議な技を使える者が現れたのだ。
これは使える、と研究者たちは判断したらしい。
そこで考案されたのが──VRMMORPGアルマゲドンだ。
義務に全力を費やす人間は少ない。
だが、娯楽や趣味となれば話は別だ。人は全身全霊を傾けて集中し、時に寝食も忘れて没頭する。その人間心理を利用したのだ。
ソウルダイブシステムで送り込まれたプレイヤーにアルマゲドンで遊んでもらい、モンスター討伐や敵性エネミーとの戦いで魂の経験値であるSPを稼がせ、やがて最強種族である神族や魔族に成り上がってもらう。
そうして──幻想世界を制する尖兵に仕立て上げた。
~~~~~~~~~~~~
「……ここまではフミカやマリナ、それに帰りの道中でおまえから聞き出した情報だ。おおむね間違いはないよな? 訂正すべき箇所はあるか?」
「ございません──わかりやすくまとめられていると思います」
ツバサの問いにクロコは素直に答えた。
ここは猫族の聖地──騎士の神様が鎮座する場。
天井画を掲げた洞窟内には、クロコ、ドンカイ、ツバサの成人組のみ。
ミロたち未成年組は宴会が終わってとっくに寝ている。
深夜、ツバサは2人をここに連れ出した。
「てっきり二次会に誘われたのかと思いきや……なんじゃ、小難しい話だったか。酒を持ってくるべきではなかったかのぅ?」
「親方、あなたはどれだけ飲んでも素面でしょうに」
ドンカイはツバサが用意してあげた大樽の酒を担いできており、適当なところに座って手酌で大杯を煽っていた。
しかし自分でガバガバ飲む前に、予備で持ってきた杯に酒を注いで騎士の亡骸に捧げるところなど、彼の人となりが窺える。
杯を傾けるドンカイは興味深げに天井画を見上げていた。
だが、余計なことを言わない。
クロコも訊きたそうだがツバサに「話がある」と呼び出された手前、自分から天井画について触れるようなことはしなかった。
本当に──ツバサを主人と認めているらしい。
「大人だけを呼び出したのは、お子さまたちへの配慮ですか?」
「重い話にもなりそうだからな。ミロみたいにタフなのもいるが……全員そうとは限らない。あとで俺がそれとなく話しておく」
いいな? とツバサは釘を刺した。
即ち「子供たちに余計なことを吹聴するな」ということだ。
「承知いたしました」
クロコは両手を前に組んだ直立姿勢から礼をして承る。
こうして厳しく言いつければ、(エロ以外は)素直に聞き分けてくれる。その点においては信頼を寄せていいだろう。
「……でだ、おまえに訊きたいのはここからだ」
「はい、拷問からの尋問ですね!」
いきなりクロコは無表情のまま、瞳だけキラキラさせて迫ってきた。
「だーかーら……順番を履き違えるな!」
拷問されるのを今か今かと待ち構えて躙り寄るクロコを「どうどう!」と暴れ馬のように落ち着かせ、ツバサは本題に入る。
「おまえ、まだ俺たちに話してないことがあるだろ? ジェネシスの内情とか、アルマゲドンの転移とか……そこを話してもらいたいんだ」
教えてくれるか? とツバサは真摯に問う。
クロコは無表情から真顔になり、誠意を込めて答えてくれた。
「はい、包み隠さずお話することを約束いたします」
我が主人と認めたツバサ様になら──。
クロコは胸に右手を当てて、左手は後ろに回して深々と頭を垂れた。これは君主への敬意を示すお辞儀だというが、それをツバサに行ったのだ。
どうやら、本気でツバサに仕えるつもりらしい。
しかし、このお辞儀。執事や騎士が君主にやるなら様になるが、メイドさんがやると似合わないような……まあ、彼女の気分なのだろう。
「わかった、ありがとう……じゃあ、まず訊きたいのは──」
「拷問ですね!?」
クロコの頭頂部にチョップを落とした。もう我慢ならん。
かなり強めに落としたのでさすがのクロコも涙目になっていたが、それ以上に恍惚の表情で頬を染めているのが理解できない。
そもそも、こいつのオールラウンダーな性癖が理解不能だった。
「あぁ……せ、せめて頬への平手打ちとかでお願いいたします……で、でも、これはこれで……斬新な責めやも知れません……あぁん♪」
もう一発チョップをお見舞いするが、こいつにはご褒美だった。
「……ああもう! おまえ話しづらいよ!」
こっちは真面目に聞き出したいのに、クロコのキャラがそれを許さない。
レオナルドというGMの頭皮が危なくなるのも頷ける。
「端から見てると下手なコントより笑えていいがのぉ」
聞いてるだけのドンカイはいい気なものだ。
ツバサとクロコのやり取りを肴に酒を煽っている。
「話にくいというのであれば……えいっ♪」
気合い一発──クロコは特殊な技能を発動させたらしい。
すると、一瞬でツバサとクロコの衣装が変わる。
「なっ…………なんじゃこりゃーーーッ!?」
気付けばツバサは、レザー製のボディスーツを着せられていた。
黒いベルトを編んで作られたような際どいデザイン。胸も上半分が丸々露出させられている。金糸を織り込んだ派手なタイツをはかされ、腕や腰まわりにはドレスを思わせる真っ赤なショールを這わせている。
手には鞭まで握らされ、まるっきりSMの女王様だ。
対して、クロコも黒いレザー製で露出の激しいボディースーツを着込んでいるが、両手両足は拘束されており、完全に虐げられる側だ。
ご丁寧に黒い皮製の目隠しまでつけている。
「さあ、ツバサ様! これで拷問……いえ尋問しやすくなったかと思います! 思う存分、この私めを鞭打って尋問を…………あぁぁぁ~~~ん♪」
「拷問はなしって言ってんだろうがーッ!」
怒りに任せて鞭で叩いたら、クロコは喜びの嬌声を上げた。
我慢どころか勘弁ならん。堪忍袋の緒が切れたツバサは、我を忘れてビシバシとクロコを鞭打つ。それでも法悦の声を漏らすのだから、こいつは本物だ。
簡易SMゴッコをする2人を見てドンカイが一言。
「……うむ、どちらの尻も甲乙つけがたい!」
「やかましい! 酔っぱらいの尻マニアは黙っとれ!」
家族になった分、ドンカイにも遠慮がなくなったツバサは怒鳴る。
その後──コスチュームは元に戻させた。
ツバサが「真面目にやらんと見捨てるぞ」と脅したら、「それだけはご容赦を!」とクロコが泣いて謝ってきた。ようやく話が進められそうだ。
「……しかし、あんな早着替えの技能なんてあったのか?」
「いえ、48のメイド必殺技のひとつです」
わけわかんないな、こいつ……ツバサは聞かなかったことにした。
「では真面目な話を始めるか……言っておくが、また話を茶化そうものなら、ミロがなんと言おうとおまえを捨てる。明日から野良メイドな」
大型の段ボール箱に放り込んで「拾わないでください」と張り紙してやる。
あるいは魔法系技能を駆使してアラビア風のランプに封印でもするように詰め込み、鎖で重石を括り付けて海に投げ捨ててやろう。
これ以上、この駄目メイドの被害者を増やさないための対策だ。
「承知いたしました、我が主人」
二度目はない、と厳しく躾けたので大丈夫だろう。
まずツバサが問い質したいことは──。
「もう現実には……と言うより、地球には帰れないのか? いや、言い方が違うな……地球には戻らない方がいいんじゃないのか?」
もしくは──地球その物がなくなっているのではないか?
この質問にクロコは無表情のまま肯定した。
「やはり、お気づきになっておりましたか……さすがですね、ツバサ様」
さすツバですね、とクロコは妙な略し方をした。
「最後のアナウンスを聞けば想像ぐらいつくさ」
『間もなく現実世界は終焉を迎えます』
他にも「地球の代わりとなる新天地を用意しました」や「アルマゲドンはそのための準備期間です」とか言っていた。
あれを素直に受け取れば、「地球が終わるので新天地に移住してください」としか聞こえなかった。
「ジェネシスという組織は人類を存続させるため躍起になっていたという……ゼガイ姉弟の話を真に受ければちょっと違うが……しかし、移住計画に関しては慎重に行動していたようにも受け取れる」
そのジェネシスが──プレイヤーを強制的に転移させた。
「移住計画が本当ならば、もっと長いスパンであれこれ試行錯誤を繰り返してから、この幻想世界を完全に移住地として定めて、それから全人類を少しずつ移動させればいい。なのに、こんな大急ぎで俺たちを送り込んだってことは……」
「のっぴきならない事態になったとか?」
口を挟んできたドンカイに、ツバサは人差し指を向ける。
「それです──直近で地球に危機が迫っていた」
だから、せめてアルマゲドンプレイヤーだけでも取り急ぎ幻想世界に送り出す必要があったのではないか? とツバサは考えたのだ。
「そんな緊急事態でもなければ、俺たちの意志を蔑ろにしてまで異世界に強制転移させないはずだ。なんせ、幻想世界を開拓するにせよ平定するにせよ、本人たちの意志を確認できていないんだからな」
移住計画を前提としたら非効率だ、とツバサは付け加えた。
この推測にクロコは丁寧に答えてくれた。
「ツバサ様の仰るとおりです。当初、ジェネシスは長いスパンで……それこそ数十年から百年もの長きに渡る計画を予定しておりました」
人類の移住先にしても、幻想世界に限らなかったそうだ。
「火星などの比較的近い惑星の地球化改造を推進したり、宇宙ステーションの発展型でもあるスペースコロニーを設計したりと……私が聞いた限りでも、数十の計画が同時進行していたはずです」
勿論、有望な移住先はランキング形式で上位になっていた。
「この幻想世界は常時トップ3の人気振りでした」
「人気の理由はあったのか?」
ドンカイの素朴な疑問にも、クロコは逐一返事をする。
「地球化改造なしでも人間が暮らせる生態系。ソウルダイブシステムという移動手段の制作費は、宇宙船やスペースコロニーの建造費より激安。更に現地の文明は滅んで原住民にも力はない……コスパ最高ですよね?」
「ゼガイ君だったか? 彼も似たようなことを言っておったのう」
ドンカイはゼガイが同じ発言をしていたと明かした。
「──その割には下調べが不十分だったがな」
ツバサは皮肉っぽく微笑んだ。
「アトラクアにしろ、アブホスにしろ……人類以外にもこの幻想世界を狙っている奴らはごまんといるようじゃないか。そいつらへの対策は?」
問い詰められたクロコは顔を曇らせる。
「その点に関しましては…………申し開きのしようもございません」
私もあれには驚きました、とクロコは謝罪する。
嘘や演技ではない──クロコは本当に異形を知らなかったのだ。
ゼガイによれば、GMはナンバリングが若いほど偉い。
№22以上のGMには相応の情報を与えられており、№19に数えられるクロコはかなりの事情を知らされていたはずだ。
なのに──蜘蛛や触手などは転移させられて初めて知ったという。
「先遣隊の調査不足か? それとも……」
わざと情報を与えずにおいたか、のどちらかだ。
その辺りはジェネシスの最高幹部にでも聞かねばわかるまい。
「ところで……現実の地球が終わるから、ワシらはこの幻想世界とやらに転移させられたというが、具体的には何が起こったんじゃ?」
ドンカイの疑問はツバサも知りたいところだ。
その地球を滅ぼす大異変が起きる前に、ツバサたちは幻想世界へと飛ばされているので知る由もない。だから、恐いもの見たさの興味はある。
「では──こちらを御覧ください」
クロコは宙に手をかざすと、フミカがよく使う映像を投影するスクリーンが空中に現れた。そこに映るのは天体写真のようだが……。
「宇宙空間を移動している小惑星? もしかして……」
「ご推察の通りです……我々がこの世界に転移させられて1週間後、この巨大惑星が地球に落下してきます。被害の規模は計り知れません」
アポカリプス──そう名付けられた巨大惑星。
黙示録の名で呼ばれる遊星は直径だけでもオーストラリア大陸ほどはあり、その軌道は何億回計算しても地球に直撃するコースと算出されたそうだ。
厳かな口調でクロコは語る。
こちらの恐怖を喚起するような怪談めいた語り口でだ。
「かつて恐竜を絶滅に追い込んだとされる隕石でさえも、直径は10㎞前後と推定されています。そのサイズの小惑星が落ちてきただけでも、地球に巨大なクレーターを穿ち、落下の衝撃で大津波を起こし、果ては舞い上げられた土砂が分厚い雲を作って冬のような日々を招くといいます……ですが」
これは格が違います、とクロコは惑星を差した。
「このような大陸サイズの惑星が衝突すれば、地球を砕きかねません。現代の地球の科学力を駆使しても、破壊や軌道変更は不可能と判断されました」
スクリーンにはシミュレーションが映し出される。
巨大惑星が衝突──地球が半壊した。
もう地震とか津波に警戒するどころではない。地球その物が真っ二つになる勢いで砕かれようとしていた。いや、辛うじて半壊で済むのか?
どちらにせよ──人類に明日はない。
これは確かに、間もなく現実世界は終焉を迎えるわけだ。
「こりゃあ……逃げるしかないわな」
さすがのドンカイも酔いが覚める勢いで青ざめていた。
ツバサも血の気の引いた顔でクロコに尋ねる。
「この惑星が地球に衝突する……それが判明したのはいつ頃だ?」
「およそ5年前、と窺っております」
まずはパニックを起こさぬよう全世界に箝口令めいた情報操作を行い、巨大惑星の接近を徹底的に隠蔽したらしい。
「多少アマチュアの天体観測マニアが騒いだそうですが、今までにも『この彗星が地球に激突するかも』と騒いだ前例がありましたので、NASAなどの大家が大騒ぎしない限り、すぐに鎮静化したそうです」
「昔っからあったのぉ、ネットニュースでよくお目に掛かったわい」
さすがアラサーコンビ、古いことをよく知っている。
「失礼ながら……私、まだギリギリ24歳です」
「ギリギリとかいうな、生々しい」
ツバサの心でも読んだのか、クロコはアラサーを否定してきた。
「ここから──ジェネシスの対応は迅速でした」
あの巨大惑星は、無数の隕石も連れてくるとわかった。
それらが太陽系にもたらす被害も想定されたため、他の惑星を地球化改造する計画はほぼ中止の憂き目となった。
銀河系を旅立つ宇宙船の建造計画も間に合わない。
スペースコロニーの建設計画も右に同じだ。
「だからジェネシスは──幻想世界を選ぶしかなかったわけだ」
苦渋の決断、と受け取れなくもない。
ゼガイの「ジェネシスは幻想世界に来ることしか考えてなかった!」という発言をマリナたちが聞いていなければ、鵜呑みにしたところだ。
「アルマゲドン発売が1年前……なんとも性急な話じゃのぉ」
「それだけジェネシスも追い詰められていた、ということです」
ドンカイの感想にクロコは注釈を加える。
幻想世界の調査を進め、安全に管理できる閉鎖空間を設置。
そこをVRMMORPG“アルマゲドン”のフィールドに仕立て、プレイヤーたちを遊ばせながら育成。やがて来る時のためにレベルアップさせる。
「多くのプレイヤーがLV99となって、SPもカンストする者が現れ、巨大惑星も衝突間近……というところで強制転移させたわけか」
「――左様でございます」
ツバサの言葉にクロコは頷きながら一礼する。
「そして、アルマゲドンをプレイしていない人たちは、由明区みたいに現実世界ごとこちらに無理やり飛ばそうって魂胆だったのか?」
「さすがツバサ様、聡明にございます」
さすツバ、とクロコはまた意味不明な略し方をする。
「あれは不幸な事故でしたが……現実世界の人々を幻想世界に転移させるには必要な実験だった、とレオ様から伝え聞いております」
そうだ──話の辻褄はピッタリと合う。
しかし、ツバサたちは他から入手した情報がいくつかある。
幽冥街の真実を知り、ゼガイの発言も聞いてしまった。
『全人類を生き存えさせたいなんて方便もいいとこだッ! 奴らはこの世界に来ることしか頭になかった、他の選択肢など考えてもいなかったんだ!!』
尚かつ、この猫族の天井画を見ている。
彼らを守った騎士の神様たちの遺言と預言も聞いていた。
『そのために──あなたたちは此処へ遣わされたのだから──』
『──いずれ遠き世界より新しき神々が訪れる。
猫族よ、その時までこの地にて雌伏の日々を耐え忍べ──』
やはり、ジェネシスと幻想世界には因果関係があるらしい。
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